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―第七十七話― 読書
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サンビルに帰り着いてから数日後、俺はサントリナの家を訪れていた。
いや、正確には、サントリナの家の図書室だ。
「うん、やっぱりここは落ち着くな」
サントリナの地獄のような修行から逃れるため、よくここを利用していた。
蔵書数が多いだけに、一度本気で隠れてしまえば、なかなか見つからないのだ。
……今思えば、あれが俺の能力の成長を助けていたのかもしれない。
言葉を使うという能力の性質上、ある程度の知識がなければいけない。
そして、俺の知識の大半は、さぼっている間に読んだ本からなのだ。
つまり、俺のさぼりは正当なさぼりだったというわけだ。
……そういう事にしておこう。
って、物思いにふけるためにこんな場所まで来たんじゃなかった。
「えーっと、これとこれと、あとはこれか……」
目当ての本を探し出し、素早く手に取る。
……十五冊か。
よし、二時間以内に読破してやる!
◆
――ふぅ。
二時間と十五分か……。
やっぱり、読まないと速度が落ちてしまうな。
だが、これで俺の疑問も解消された。
俺が読んでいたのは、ドラゴンの生態についての本だ。
この間ドラゴンに襲われた時から、ずっと気になっていた。
ドラゴンというのは、本来は群れで行動し、洞窟の奥底や山奥にこもっている。
だというのに、この間のドラゴンは、単体で行動していたうえに、近くに山や洞窟もないような平原にいたのだ。
魔力量から考察するに、狩りに出ていたわけでもないだろう。
そして、ドラゴンについて調べたことで、俺の考えは確信に変わった。
あのドラゴンは、何者かに追われていた。
一瞬、魔王軍の紋章の件も考えたが、能力で探しても見つからなかった。
しっかしまあ、ドラゴンを追うなんていうもの好きもいるんだな。
さっきも言ったが、ドラゴンは群れで行動する生物だ。
その群れの一頭にでも手を出してしまえば、十数頭のドラゴンから一斉攻撃を喰らってしまうというのに。
……その点だけが、どうしても引っかかってしまうんだよな。
やはり、ただのもの好きがやった行動とは思えない。
……これは俺の直観だが、この件には魔王軍が関わっていそうな気がする。
とはいえ、俺はこれ以上この件に首を突っ込むつもりはさらさらない。
そんな見るからに面倒くさそうなこと、誰が関わるか。
それに、この件の調査については、サンビルについてすぐにサントリナが手配している。
あいつが宴会に出ずに仕事をしたということは、サントリナも俺と同じ疑問を抱いていたはずだ。
なら、あとはサントリナに任せておけば、俺がわざわざ動く必要もなくなる。
てなわけで……。
「次はこれをいくか」
俺は元々、図鑑を読んだりするのが大嫌いなタイプの人間なのだ。
それを二時間以上も読んでいたんだから、少し休憩をしなくてはだ。
用意したのは、三十冊程度の小説たち。
今度は、これを三時間以内に読んでみせる!
「『回復』、『身体能力上昇』」
これで、目の疲れも治ったし、読む速度も強化できた。
あー、やっぱり、能力の無駄遣いって最高だな!!
さて、今日はどれから読もうかな――
いや、正確には、サントリナの家の図書室だ。
「うん、やっぱりここは落ち着くな」
サントリナの地獄のような修行から逃れるため、よくここを利用していた。
蔵書数が多いだけに、一度本気で隠れてしまえば、なかなか見つからないのだ。
……今思えば、あれが俺の能力の成長を助けていたのかもしれない。
言葉を使うという能力の性質上、ある程度の知識がなければいけない。
そして、俺の知識の大半は、さぼっている間に読んだ本からなのだ。
つまり、俺のさぼりは正当なさぼりだったというわけだ。
……そういう事にしておこう。
って、物思いにふけるためにこんな場所まで来たんじゃなかった。
「えーっと、これとこれと、あとはこれか……」
目当ての本を探し出し、素早く手に取る。
……十五冊か。
よし、二時間以内に読破してやる!
◆
――ふぅ。
二時間と十五分か……。
やっぱり、読まないと速度が落ちてしまうな。
だが、これで俺の疑問も解消された。
俺が読んでいたのは、ドラゴンの生態についての本だ。
この間ドラゴンに襲われた時から、ずっと気になっていた。
ドラゴンというのは、本来は群れで行動し、洞窟の奥底や山奥にこもっている。
だというのに、この間のドラゴンは、単体で行動していたうえに、近くに山や洞窟もないような平原にいたのだ。
魔力量から考察するに、狩りに出ていたわけでもないだろう。
そして、ドラゴンについて調べたことで、俺の考えは確信に変わった。
あのドラゴンは、何者かに追われていた。
一瞬、魔王軍の紋章の件も考えたが、能力で探しても見つからなかった。
しっかしまあ、ドラゴンを追うなんていうもの好きもいるんだな。
さっきも言ったが、ドラゴンは群れで行動する生物だ。
その群れの一頭にでも手を出してしまえば、十数頭のドラゴンから一斉攻撃を喰らってしまうというのに。
……その点だけが、どうしても引っかかってしまうんだよな。
やはり、ただのもの好きがやった行動とは思えない。
……これは俺の直観だが、この件には魔王軍が関わっていそうな気がする。
とはいえ、俺はこれ以上この件に首を突っ込むつもりはさらさらない。
そんな見るからに面倒くさそうなこと、誰が関わるか。
それに、この件の調査については、サンビルについてすぐにサントリナが手配している。
あいつが宴会に出ずに仕事をしたということは、サントリナも俺と同じ疑問を抱いていたはずだ。
なら、あとはサントリナに任せておけば、俺がわざわざ動く必要もなくなる。
てなわけで……。
「次はこれをいくか」
俺は元々、図鑑を読んだりするのが大嫌いなタイプの人間なのだ。
それを二時間以上も読んでいたんだから、少し休憩をしなくてはだ。
用意したのは、三十冊程度の小説たち。
今度は、これを三時間以内に読んでみせる!
「『回復』、『身体能力上昇』」
これで、目の疲れも治ったし、読む速度も強化できた。
あー、やっぱり、能力の無駄遣いって最高だな!!
さて、今日はどれから読もうかな――
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