10 / 32
プロローグ又は共通ルート
五色
しおりを挟む
「そう言えば、五色に関する情報を伝えておくように言われていたんだったな。すっかり忘れていたよ」
え? 学園長の言葉に、私は目を瞬いた。学園長は私の神託を知らないはずなのに、どうして……?
「その顔はまさか……バレていないと思っていたのかい?」
学園長は驚いた顔をした。
「というと、まさか……」
「陛下にはバレておるよ」
えっ。えええ~~!?
困惑し、顔を青ざめさせる私を見て、学園長は困った顔をした。
「言いにくいことだが、うちの王家と神殿は相当癒着しているのだよ、隣国と違ってな。そして君を受け入れるにあたり、王命が下ったのだ。神託の子を導けとな」
え、それなら私とお父様に血縁がないこととか、私たちが人の記憶を操作したこととか知って……どこまで……? しかし続けた学園長の言葉に、私は胸をなでおろした。
「しかし安心してくれ、五色の証を持っている子たちには伝えていない。……知っているのは、国王陛下、宰相閣下、神官長、そして私だけだ。君の父上である子爵すらも知らないはず。国としても、世界が滅んでは困るからね。五色が君に変な警戒をしないように、とこれまで君の存在は緘口令が敷かれていた、らしいのだが」
「らしい、とは?」
「その部分の記憶をだれも持っていないのだ。……残っているのは、記録だけでな。国中の君に関する記憶を消すとは。君は今、もしかしたらかなりの勢力に狙われているのかもしれない。こちらでも君を守るため全力を尽くすが、君の方でもよく気を付けておくように」
……つまり、私たちがその記憶を消した張本人であることは気付かれていないのか? それに、先ほどまでの発言から考えれば、私と子爵の間の関係は私たちが組み上げた設定通り__おじい様の落とし胤の子だと思われているようだ。それならやりようはある。
「ご心配ありがとうございます。良く警戒して生きてゆきたいと思います」
「うむ。……ただでさえ大変な役目を負わせている君だ。せめて周りを頼れるよう、私の方でもサポートしていこう」
手始めにこれを、そう言って、学園長は一枚の冊子を取り出した。
「君にはすでに校内地図を渡してあったと思うが、これはまた別の……五色の証を持つ者たちに関する基本情報だ。きっと君の役に立つだろう」
私はそれを有り難く頂いた。そもそも記憶操作については私とリズがやったことであるため些か申し訳なかったが、あった方が良いに決まっているので言わないでおこう。
「ああ、良い機会だから学園で必要なものも今渡してしまおう。鞄は……よし、入りそうだね」
「え、こんなに頂いてしまってよろしいんですか?」
「これはもともと学園に入るものは皆入学時に貰うものなのだ。君以外にも転入生が入ることも稀にあるから、常に準備しておいている」
次から次へと学園生活に必要な教材を出してくれる学園長に感謝して鞄にしまっていく。ほとんど情報のなかった出発前とは段違いに、私はこの学園についての知識を身につけていった。
え? 学園長の言葉に、私は目を瞬いた。学園長は私の神託を知らないはずなのに、どうして……?
「その顔はまさか……バレていないと思っていたのかい?」
学園長は驚いた顔をした。
「というと、まさか……」
「陛下にはバレておるよ」
えっ。えええ~~!?
困惑し、顔を青ざめさせる私を見て、学園長は困った顔をした。
「言いにくいことだが、うちの王家と神殿は相当癒着しているのだよ、隣国と違ってな。そして君を受け入れるにあたり、王命が下ったのだ。神託の子を導けとな」
え、それなら私とお父様に血縁がないこととか、私たちが人の記憶を操作したこととか知って……どこまで……? しかし続けた学園長の言葉に、私は胸をなでおろした。
「しかし安心してくれ、五色の証を持っている子たちには伝えていない。……知っているのは、国王陛下、宰相閣下、神官長、そして私だけだ。君の父上である子爵すらも知らないはず。国としても、世界が滅んでは困るからね。五色が君に変な警戒をしないように、とこれまで君の存在は緘口令が敷かれていた、らしいのだが」
「らしい、とは?」
「その部分の記憶をだれも持っていないのだ。……残っているのは、記録だけでな。国中の君に関する記憶を消すとは。君は今、もしかしたらかなりの勢力に狙われているのかもしれない。こちらでも君を守るため全力を尽くすが、君の方でもよく気を付けておくように」
……つまり、私たちがその記憶を消した張本人であることは気付かれていないのか? それに、先ほどまでの発言から考えれば、私と子爵の間の関係は私たちが組み上げた設定通り__おじい様の落とし胤の子だと思われているようだ。それならやりようはある。
「ご心配ありがとうございます。良く警戒して生きてゆきたいと思います」
「うむ。……ただでさえ大変な役目を負わせている君だ。せめて周りを頼れるよう、私の方でもサポートしていこう」
手始めにこれを、そう言って、学園長は一枚の冊子を取り出した。
「君にはすでに校内地図を渡してあったと思うが、これはまた別の……五色の証を持つ者たちに関する基本情報だ。きっと君の役に立つだろう」
私はそれを有り難く頂いた。そもそも記憶操作については私とリズがやったことであるため些か申し訳なかったが、あった方が良いに決まっているので言わないでおこう。
「ああ、良い機会だから学園で必要なものも今渡してしまおう。鞄は……よし、入りそうだね」
「え、こんなに頂いてしまってよろしいんですか?」
「これはもともと学園に入るものは皆入学時に貰うものなのだ。君以外にも転入生が入ることも稀にあるから、常に準備しておいている」
次から次へと学園生活に必要な教材を出してくれる学園長に感謝して鞄にしまっていく。ほとんど情報のなかった出発前とは段違いに、私はこの学園についての知識を身につけていった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
猫なので、もう働きません。
具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。
やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!?
しかもここは女性が極端に少ない世界。
イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。
「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。
これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。
※表紙はAI画像です
氷のメイドが辞職を伝えたらご主人様が何度も一緒にお出かけするようになりました
まさかの
恋愛
「結婚しようかと思います」
あまり表情に出ない氷のメイドとして噂されるサラサの一言が家族団欒としていた空気をぶち壊した。
ただそれは田舎に戻って結婚相手を探すというだけのことだった。
それに安心した伯爵の奥様が伯爵家の一人息子のオックスが成人するまでの一年間は残ってほしいという頼みを受け、いつものようにオックスのお世話をするサラサ。
するとどうしてかオックスは真面目に勉強を始め、社会勉強と評してサラサと一緒に何度もお出かけをするようになった。
好みの宝石を聞かれたり、ドレスを着せられたり、さらには何度も自分の好きな料理を食べさせてもらったりしながらも、あくまでも社会勉強と言い続けるオックス。
二人の甘酸っぱい日々と夫婦になるまでの物語。
能天気な私は今日も愛される
具なっしー
恋愛
日本でJKライフを謳歌していた凪紗は遅刻しそうになって全力疾走してたらトラックとバコーン衝突して死んじゃったー。そんで、神様とお話しして、目が覚めたら男女比50:1の世界に転生してたー!この世界では女性は宝物のように扱われ猿のようにやりたい放題の女性ばっかり!?そんな中、凪紗ことポピーは日本の常識があるから、天使だ!天使だ!と溺愛されている。この世界と日本のギャップに苦しみながらも、楽観的で能天気な性格で周りに心配される女の子のおはなし。
はじめて小説を書くので誤字とか色々拙いところが多いと思いますが優しく見てくれたら嬉しいです。自分で読みたいのをかいてみます。残酷な描写とかシリアスが苦手なのでかかないです。定番な展開が続きます。飽き性なので褒めてくれたら続くと思いますよろしくお願いします。
※表紙はAI画像です
黒騎士団の娼婦
星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
前世で孵した竜の卵~幼竜が竜王になって迎えに来ました~
高遠すばる
恋愛
エリナには前世の記憶がある。
先代竜王の「仮の伴侶」であり、人間貴族であった「エリスティナ」の記憶。
先代竜王に真の番が現れてからは虐げられる日々、その末に追放され、非業の死を遂げたエリスティナ。
普通の平民に生まれ変わったエリスティナ、改めエリナは強く心に決めている。
「もう二度と、竜種とかかわらないで生きていこう!」
たったひとつ、心残りは前世で捨てられていた卵から孵ったはちみつ色の髪をした竜種の雛のこと。クリスと名付け、かわいがっていたその少年のことだけが忘れられない。
そんなある日、エリナのもとへ、今代竜王の遣いがやってくる。
はちみつ色の髪をした竜王曰く。
「あなたが、僕の運命の番だからです。エリナ。愛しいひと」
番なんてもうこりごり、そんなエリナとエリナを一身に愛する竜王のラブロマンス・ファンタジー!
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる