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第二章 フォルクナー帝国編(只今友情堪能中)

37.次の街がダンジョンだって聞いた俺

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「うぅ…気持ち悪い……」

ケインに引き続き俺までのぼせてしまったので結局全員そろって早々に温泉から出る羽目になってしまった。
でもな、メイビス。慌ててたからって姫抱っこは駄目だと思う。
滑って転んだら危ないだろ?肩貸してくれるだけでよかったんだけどな…。
まあ血相変えてたから何も言わなかったけど。

で、結局楽な寝巻に着替えて膝枕でパタパタ扇がれ中。
誰の膝かは言わずもがな、メイビスだ。
ケインは自分もフラフラなのに水を持ってこようとしてヒースに寝とけと怒られ、代わりにヒースが水を取りに行ってくれた。
本当になんだか申し訳ない。
ついでに言うと、慌てて寝巻を着たせいかメイビスの胸元が結構あいてるんだよな。
湯上りで色っぽいから仕舞っておけよと言ってやりたいけど、今そこまでの気力が湧かないから黙ってされるがままという…。

「大丈夫か?」

片手でパタパタと団扇という道具で俺を扇ぎつつ反対の手でゆったりと頭を撫でてくれる至福の時────。
なんだかこのまま寝てしまいそうなくらい気持ちいい。
それからヒースから受け取った水を俺に飲ませてくれたけど、こちらを気遣いながらゆっくり飲ませてくれて咽ることもなかった。
メイビスはいつも優しくて全く警戒しなくていいから安心だ。

(友達っていいな)

温泉は気持ち良かったけど、浸かりすぎないよう気をつけないといけないんだなと思いながらウトウトと目を閉じる。
少し眠れと言ってくれたメイビスの優しい声に促されるように、俺はゆっくりと夢の中へと旅立った。




翌朝目が覚めたらすっかり気分も良くなっていたので三人におはようと声を掛けて朝の支度を始めた。
ケインも元気になったようで、今度からはお互いに気をつけましょうねと言われた。
うんうん。これくらいなら俺も素直に頷ける。

その後、今日はどうしようかと予定を尋ねたら少しだけ携帯食を買い足して次の街に移動しようということになった。
メイビス曰く次の街は冒険者の街とも言われるほどの街で、なんと地下にダンジョンがあるらしいのだ。
そこなら俺もヒースも楽しめるんじゃないかとのこと。
確かに!これはワクワクするな。
話を聞いただけで早く行きたくて仕方がなくなった。

「早く行きたい!すぐ行こう!どれくらいで着く?」

全然知らなかったけど、フォルクナーって本当に色々行ったことのない場所があって凄く興味深い。
許されるなら1年くらい滞在していろんな場所に行ってみたいとさえ思ってしまった。
帰ったらフォルクナーに遊学に行かせてもらえないか交渉してみようかな。
すっごく勉強になりそうだし、俺が国内にいない方が多分王妃も安心するだろうし。

「待て待て。ちゃんと準備していかないと!」

ヒースから慌てるなと制止の声が掛けられるけどコーリックにはダンジョンがないから俺としては興味津々なのだ。
どんな魔物が出てくるんだろう?
何層くらい下に広がってるのかな?

「あ、そうだ。何日くらい滞在するんだ?」

潜ったはいいけど一日で出てくるならあまり下の方の階層には行けないだろう。
せめて地図を手に入れて三日くらいは潜ってみたい。
そう思って尋ねると、意外にもケインが答えをくれた。

「ルマンド様はどうせ一日だけと言ってもご納得なさらないでしょう?五日ほど潜られては?」
「いいのか?」
「ええ」
「やった!ケイン最高!やっぱり一番俺の事わかってくれるんだな!」

目をキラキラさせながらそう口にすると、ケインが珍しくフッと柔らかく笑って「そう言ってもらえたら嬉しいです」と口にした。
あ~…こういうケインなら好きだな。
ずっとこんな感じでいてくれたら邪険にしなくて済むのに…。

「じゃあ折角だしケインとできそうなコンビプレーでも考えておこうかな。ダンジョンって強敵とかもいるんだろ?」
「ああ、それはいいですね。是非!私とコンビプレーで敵を倒しましょう」

何故是非を強調するのかわからないけど、一応ヒースやメイビスともそれぞれコンビプレーを考えるつもりなんだけどな。だって状況によって使い分けたいし。
折角の機会だから色々試したい。

「あ、そうそう!ダンジョンって死霊系が出るって聞いたことがあるんだけど、ヒースは戦ったことある?」
「あ~…俺はないな」

ないのか。でもそれはそうか。コーリックの森には出てこないしな。

「あれって弱点は光魔法とか聖魔法なんだっけ?」
「確かな」
「回復魔法とかでも効くのかな?」
「う~ん…下手したら敵を回復させちまいそうだし、素直に叩き切った方が早いんじゃねぇか?」
「え~…?それで倒せるのか?」
「多分?」

かなり怪しい。
それならダンジョンに潜る前にギルドで色々情報を得てから潜るとしよう。
ちなみにその街はここモンドの街から馬で一日のレイベルトっていう街らしい。
メイビスもダンジョンは学園生時代に演習で一度だけ潜っただけで随分久しぶりらしい。
しかもその時は三層までしか潜らなかったのだとか。
一日で三層なら五日ならもっと沢山もぐれそうだなと思いつつ、気を引き締めて潜ろうと気合いを入れた。


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