49 / 50
49 勇者の光と謎の声
しおりを挟む
「なかなかしぶといグベェ……。」
あれから約一時間、ビビアンと魔王ドシーは激しい戦いを続けていた。
お互いダメージを与えるも、直ぐに回復してしまうため、両者共に倒れる気配はない。
お互いに決定打が足りないのだ。
まさに終わりなき戦いである。
歴代、歴史上存在したとされる勇者達は、そのパーティ全員でお互いをカバーし合い、魔王を討伐してきた。
なぜパーティを組んで戦うのか?
それは魔王という存在は、本来勇者一人で倒せる様な存在ではなく、勇者本人もまた、そこまで万能ではないからである。
その為、
敵の攻撃を防ぐ戦士
弱点を攻撃する魔法使い。
味方を回復させる僧侶
等のあらゆる状況に対応するべく、仲間が必要だった。
だが現在、ビビアンのパーティにはビビアンに比肩しうるメンバーはいない。
そして対する魔王は、歴代勇者達が倒してきた魔王より一段格上。
ビビアンが如何に規格外な強さを持っていたとしても、そんな相手を一人で倒すというのは、正に無謀そのものとも言える。
これが過去に戦ってきた
バーゲンやグラコッサ
の様に相性が良かったなら別であるが、今回に限ってはその相性もまた悪すぎた。
目の前の魔王は一匹であるも、複数の腕から放たれる攻撃は、魔王を同時に三体相手にしている事と同じ。
そういう魔王こそ、本来パーティで討伐すべき対象である。
せめてもう一人アタッカーがいれば……
ビビアンはこの戦いの中で何度も頭でそう思うも、居ない存在を期待しても意味がない。
故に、目の前のこいつと戦える者は自分しかいないという現実を受け止め、ビビアンは戦い続ける。
「はぁはぁ……はぁはぁ……いい加減くたばりなさいよ!」
ビビアンのスタミナは既に限界にきていた。勇者と言えども人間には変わりない。いつまでも無尽蔵に戦えるわけではなかった。
「グベ? 疲れたグベ? ちょうどいいギャ!」
ビビアンの攻撃が止まったのを見て、ドシーは激しい炎を口から吐き出すと、その炎は瞬く間に森を覆い尽くす。
だがやはり、ビビアンにブレスは効かない。
「ふん、そんな炎は効かないわ。まだわからないのかしら?」
ビビアンは、目の前の魔王が無駄な事をしてくれたお陰で、少しだけ息を整えられると思うも束の間、いつのまにかドシーは面前から消えていた。
おかしいわ……。
奴は……?
その時ビビアンはハッと気づく。今のブレスがブラフであった事に。
すると、突然ビビアンの背後から危機迫るマネアの叫び声が聞こえる。
「ミーニャ!! 危ない!!」
ドシーは激しい炎によって発生したその煙で姿をくらますと、ビビアンではなく後方にいた二人に襲いかかっていた。
そして今回狙われたのは、光の結界を保持しているミーニャである。
「おしおきだグベぇ~。」
突如、ミーニャの背後に立つ邪悪な存在。
ドシーはニヤリと気持ち悪い笑みを浮かべると、その無防備な背中を激しく切り裂いた。
「キャーー!!」
何かを抉る様に切り裂いた鈍い音。
それと同時に発せられる痛みの絶叫。
ミーニャの背中は無惨にも切り裂かれ、大量の血が噴き出していた。
ジュルジュル……グベぇ
そしてドシーは、ミーニャの血がついた爪を美味しそうに舐めている。
目を覆いたくなる様な光景がマネアの目に映し出されるが、呆然としている時間はない!
直ぐにミーニャに対して回復魔法を唱えた。
「ミーニャ! 【エクスヒーリング】」
しかし、ドシーはそんな時間を与えたりはしない。
今度は、回復魔法を使って隙だらけになったマネアを攻撃しようとした。
「次はお前だグベ。」
だがマネアは魔法を止めない。
当然次は自分がやられるとわかっているが、それでも目の前で瀕死となった妹を助ける事を選んだ。
「プチっとな、だべぇ~。」
ドシーは手をゆっくりとマネアの頭に伸ばし、それを握り潰そうとする……が、そうはならない。
「させないわ!!」
今まさにドシーの手がマネアの頭を掴もうとした瞬間……ビビアンが間一髪で間に合った。
【ビビストラッシュ!】
その一撃により、二本の腕が宙を舞う。
それによりマネアはたすかったものの、ビビアンはギリっと歯を食い縛っている。
あれだけの隙があって尚、ドシーを倒すどころか腕の二本を斬り落とすだけにとどまってしまった現実。本当は今の一撃で倒すつもりであった。
しかし、ビビアンはそこである異変に気づく。なんと、今回は斬ったドシーの腕が直ぐに再生しなかったのだ。
それを見てビビアンは、一つの仮説を立てた。
ドシーの再生能力は完璧ではなく、ダメージが大きければ大きい程再生に時間ぎかかると。
だが今はそんな事よりも、まずは二人を逃さなければならない。
「ミーニャ! マネア! 早く逃げて!」
ビビアンは攻撃直後にそう叫ぶも、マネアは動かずに回復魔法を続けている。
なぜならば、ミーニャの意識がいまだに戻らないからだ。
先の一撃は、ミーニャにとってほぼ即死に近いダメージであった為、回復が追いついてい。
それでも時間さえあればなんとかなるのだが……状況は最悪である。
ミーニャが倒れた事で光の結界は弱まり始めたことで、周囲で燃え盛る炎の熱気がマネアを襲い始めていた。
それを見たビビアンはドシーに追撃せず、周囲の炎を消すためにギバタイフーンを放ち、真空の風で炎を打ち消していく。
それによって少しだけ熱波が弱まった。
「早く回復してミーニャ! そして目を覚まして!」
焦るマネアは、まるで祈る様にミーニャに呼びかけるも、やはり意識は戻ってこない。
するとダメージを負って回復に専念していたドシーが再び動き始める。
「グベーー! よくもやってくれたグベ!」
完全に腕が再生されてしまったドシー。
それに気づいたビビアンは、真っ先に攻撃を再開する。
(マネア達には、絶対近づけさせない!)
「マネア! ミーニャが回復したら急いで逃げるのよ!」
ビビアンはドシーと斬り結びながらも、再度マネアに告げた。
「……はい、わかりました。ですがビビアン様も一度撤退して下さい。」
しかし、マネアの返事にビビアンは答えない。
否、激しく斬りあっていて返す余裕がないのだ。
だがマネアはビビアンを信じ、一刻も早くミーニャを回復するべく、直ぐに魔法に意識を集中する。
すると、ここにきてようやくミーニャの意識が戻った。
「姉さん……ごめん。」
「ミーニャ! 良かった! 意識が戻ったのね。」
「ビビアンは!?」
「今魔王を抑え込んでくれているわ。ミーニャ、立てる? 急いで逃げますよ!」
「え? ちょっとどういう事? ビビアンはどうするのよ!?」
「ビビアン様は私たちを逃すために時間を稼いでくれているわ。私達は……足手まといなの!」
困惑するミーニャに、鬼気迫る勢いで現状を伝えるマネア。
それを聞いたミーニャは、後ろ髪を引かれる思いを感じながらも頷いた。
「わかったわ。でも……一度下がるだけよ! 後方で戦っている仲間を連れて必ず戻るわ!」
「はい。私もそのつもりです。なので……急ぎましょう!」
その言葉と同時に二人は駆け出す。それを横目で確認したビビアンは、少しだけ安心した。
(これで、あとは目の前のコイツを倒すだけ!)
心配の種が消えた今、ビビアンは全ての意識を目の前にいるドシーにだけ注ぎ、全力で攻撃を始める。
その戦いぶりは先ほどと比較にならない程激しいものであり、後に残す余力等全く考えていない動き。
そう。ビビアンは最初から逃げる気などない。
逃げればまた仲間が襲われる。
そんな事を許せるビビアンではなかった。
しかしそれでも尚、ドシーには余裕があるようで、取り残されたビビアンを見て、再び気持ち悪い笑みを浮かべる。
「グベグベ……グヒャヒャヒャ。仲間に見捨てられたグベェ。」
「気持ち悪いわね。なんなのグベグベグベグベ。その汚い口を切り裂いてやるわ!」
「グベべ、威勢の割にさっきから動きが悪いグベ。そろそろトドメを刺すグベェ。」
実際ここまで全力で戦い続けてきたビビアン。
ドシーが言う様に、ビビアンの体力は尽きかけていた。
ドシー相手に一人で戦うには、まだレベルが足りていない。
すると突然、ドシーが腕に黒い稲妻が集約させ始める。それは、ビビアンが来る前にブライアンに放とうとした最凶の技【ヘルスパーキング】の予備動作であった。
それを見たビビアンも、ここが勝負時と感じて、残っている全ての力を剣に込めると、大王者の剣に青い光が収束していく。
「消えるグベ! ヘルスパーキング!」
「消えるのはアンタよ! ギガビビストラッシュ!」
ドシーから放たれた暗黒のいかづちと、ビビアンが放った勇者の一撃!
二つの強大な力が両者の間でせめぎ合う。
「グベェーー!!」
「いけーーー!!」
二つの力は拮抗していたが、次第に青き光が黒に侵食されていった。
それでもビビアンは、必死に力を振り絞って暗黒のいかづちを押し返そうとするも、じわりじわりと押し込まれてしまう。
「どうしたグベ? もう限界グベ?」
「まだよ! まだ負けてないわ!!」
明らかに優勢なドシーは余裕の笑みをこぼす。
そして逆に劣勢のビビアンは、苦しそうな表情で言葉を返していた。
「まだよ! まだ……サクセスに何も伝えられてないわ! アタシは……負けない! 負けられないんだから!!」
ビビアンはその強い想いを叫ぶと、そこで変化が生じる。
なんと、ビビアンの全身からかつてないほど眩い青き光が溢れ出してきたのだ。
「グ……グベべべべ……なんだグベ? 何が起こったグベ!?」
すると、ビビアンから放たれた勇者の波動が暗黒のいかづちを押し返していく。
「消えなさい!!」
「グ、グベ~~!!」
目の前に迫る勇者の光にドシーは叫び声を上げた。
ドシーの本能は、今まさに激しく警笛を鳴らしている。その光が自らを消滅させうるものだと。
だがしかし、その時突然ビビアンの耳に信じられない声が聞こえた。
「勇者様、油断はいけませんよ。」
その声に思わず意識が逸れてしまうビビアン。
何故ならば、その声は……
ーー行方不明になっていたシャナクの声であった。
あれから約一時間、ビビアンと魔王ドシーは激しい戦いを続けていた。
お互いダメージを与えるも、直ぐに回復してしまうため、両者共に倒れる気配はない。
お互いに決定打が足りないのだ。
まさに終わりなき戦いである。
歴代、歴史上存在したとされる勇者達は、そのパーティ全員でお互いをカバーし合い、魔王を討伐してきた。
なぜパーティを組んで戦うのか?
それは魔王という存在は、本来勇者一人で倒せる様な存在ではなく、勇者本人もまた、そこまで万能ではないからである。
その為、
敵の攻撃を防ぐ戦士
弱点を攻撃する魔法使い。
味方を回復させる僧侶
等のあらゆる状況に対応するべく、仲間が必要だった。
だが現在、ビビアンのパーティにはビビアンに比肩しうるメンバーはいない。
そして対する魔王は、歴代勇者達が倒してきた魔王より一段格上。
ビビアンが如何に規格外な強さを持っていたとしても、そんな相手を一人で倒すというのは、正に無謀そのものとも言える。
これが過去に戦ってきた
バーゲンやグラコッサ
の様に相性が良かったなら別であるが、今回に限ってはその相性もまた悪すぎた。
目の前の魔王は一匹であるも、複数の腕から放たれる攻撃は、魔王を同時に三体相手にしている事と同じ。
そういう魔王こそ、本来パーティで討伐すべき対象である。
せめてもう一人アタッカーがいれば……
ビビアンはこの戦いの中で何度も頭でそう思うも、居ない存在を期待しても意味がない。
故に、目の前のこいつと戦える者は自分しかいないという現実を受け止め、ビビアンは戦い続ける。
「はぁはぁ……はぁはぁ……いい加減くたばりなさいよ!」
ビビアンのスタミナは既に限界にきていた。勇者と言えども人間には変わりない。いつまでも無尽蔵に戦えるわけではなかった。
「グベ? 疲れたグベ? ちょうどいいギャ!」
ビビアンの攻撃が止まったのを見て、ドシーは激しい炎を口から吐き出すと、その炎は瞬く間に森を覆い尽くす。
だがやはり、ビビアンにブレスは効かない。
「ふん、そんな炎は効かないわ。まだわからないのかしら?」
ビビアンは、目の前の魔王が無駄な事をしてくれたお陰で、少しだけ息を整えられると思うも束の間、いつのまにかドシーは面前から消えていた。
おかしいわ……。
奴は……?
その時ビビアンはハッと気づく。今のブレスがブラフであった事に。
すると、突然ビビアンの背後から危機迫るマネアの叫び声が聞こえる。
「ミーニャ!! 危ない!!」
ドシーは激しい炎によって発生したその煙で姿をくらますと、ビビアンではなく後方にいた二人に襲いかかっていた。
そして今回狙われたのは、光の結界を保持しているミーニャである。
「おしおきだグベぇ~。」
突如、ミーニャの背後に立つ邪悪な存在。
ドシーはニヤリと気持ち悪い笑みを浮かべると、その無防備な背中を激しく切り裂いた。
「キャーー!!」
何かを抉る様に切り裂いた鈍い音。
それと同時に発せられる痛みの絶叫。
ミーニャの背中は無惨にも切り裂かれ、大量の血が噴き出していた。
ジュルジュル……グベぇ
そしてドシーは、ミーニャの血がついた爪を美味しそうに舐めている。
目を覆いたくなる様な光景がマネアの目に映し出されるが、呆然としている時間はない!
直ぐにミーニャに対して回復魔法を唱えた。
「ミーニャ! 【エクスヒーリング】」
しかし、ドシーはそんな時間を与えたりはしない。
今度は、回復魔法を使って隙だらけになったマネアを攻撃しようとした。
「次はお前だグベ。」
だがマネアは魔法を止めない。
当然次は自分がやられるとわかっているが、それでも目の前で瀕死となった妹を助ける事を選んだ。
「プチっとな、だべぇ~。」
ドシーは手をゆっくりとマネアの頭に伸ばし、それを握り潰そうとする……が、そうはならない。
「させないわ!!」
今まさにドシーの手がマネアの頭を掴もうとした瞬間……ビビアンが間一髪で間に合った。
【ビビストラッシュ!】
その一撃により、二本の腕が宙を舞う。
それによりマネアはたすかったものの、ビビアンはギリっと歯を食い縛っている。
あれだけの隙があって尚、ドシーを倒すどころか腕の二本を斬り落とすだけにとどまってしまった現実。本当は今の一撃で倒すつもりであった。
しかし、ビビアンはそこである異変に気づく。なんと、今回は斬ったドシーの腕が直ぐに再生しなかったのだ。
それを見てビビアンは、一つの仮説を立てた。
ドシーの再生能力は完璧ではなく、ダメージが大きければ大きい程再生に時間ぎかかると。
だが今はそんな事よりも、まずは二人を逃さなければならない。
「ミーニャ! マネア! 早く逃げて!」
ビビアンは攻撃直後にそう叫ぶも、マネアは動かずに回復魔法を続けている。
なぜならば、ミーニャの意識がいまだに戻らないからだ。
先の一撃は、ミーニャにとってほぼ即死に近いダメージであった為、回復が追いついてい。
それでも時間さえあればなんとかなるのだが……状況は最悪である。
ミーニャが倒れた事で光の結界は弱まり始めたことで、周囲で燃え盛る炎の熱気がマネアを襲い始めていた。
それを見たビビアンはドシーに追撃せず、周囲の炎を消すためにギバタイフーンを放ち、真空の風で炎を打ち消していく。
それによって少しだけ熱波が弱まった。
「早く回復してミーニャ! そして目を覚まして!」
焦るマネアは、まるで祈る様にミーニャに呼びかけるも、やはり意識は戻ってこない。
するとダメージを負って回復に専念していたドシーが再び動き始める。
「グベーー! よくもやってくれたグベ!」
完全に腕が再生されてしまったドシー。
それに気づいたビビアンは、真っ先に攻撃を再開する。
(マネア達には、絶対近づけさせない!)
「マネア! ミーニャが回復したら急いで逃げるのよ!」
ビビアンはドシーと斬り結びながらも、再度マネアに告げた。
「……はい、わかりました。ですがビビアン様も一度撤退して下さい。」
しかし、マネアの返事にビビアンは答えない。
否、激しく斬りあっていて返す余裕がないのだ。
だがマネアはビビアンを信じ、一刻も早くミーニャを回復するべく、直ぐに魔法に意識を集中する。
すると、ここにきてようやくミーニャの意識が戻った。
「姉さん……ごめん。」
「ミーニャ! 良かった! 意識が戻ったのね。」
「ビビアンは!?」
「今魔王を抑え込んでくれているわ。ミーニャ、立てる? 急いで逃げますよ!」
「え? ちょっとどういう事? ビビアンはどうするのよ!?」
「ビビアン様は私たちを逃すために時間を稼いでくれているわ。私達は……足手まといなの!」
困惑するミーニャに、鬼気迫る勢いで現状を伝えるマネア。
それを聞いたミーニャは、後ろ髪を引かれる思いを感じながらも頷いた。
「わかったわ。でも……一度下がるだけよ! 後方で戦っている仲間を連れて必ず戻るわ!」
「はい。私もそのつもりです。なので……急ぎましょう!」
その言葉と同時に二人は駆け出す。それを横目で確認したビビアンは、少しだけ安心した。
(これで、あとは目の前のコイツを倒すだけ!)
心配の種が消えた今、ビビアンは全ての意識を目の前にいるドシーにだけ注ぎ、全力で攻撃を始める。
その戦いぶりは先ほどと比較にならない程激しいものであり、後に残す余力等全く考えていない動き。
そう。ビビアンは最初から逃げる気などない。
逃げればまた仲間が襲われる。
そんな事を許せるビビアンではなかった。
しかしそれでも尚、ドシーには余裕があるようで、取り残されたビビアンを見て、再び気持ち悪い笑みを浮かべる。
「グベグベ……グヒャヒャヒャ。仲間に見捨てられたグベェ。」
「気持ち悪いわね。なんなのグベグベグベグベ。その汚い口を切り裂いてやるわ!」
「グベべ、威勢の割にさっきから動きが悪いグベ。そろそろトドメを刺すグベェ。」
実際ここまで全力で戦い続けてきたビビアン。
ドシーが言う様に、ビビアンの体力は尽きかけていた。
ドシー相手に一人で戦うには、まだレベルが足りていない。
すると突然、ドシーが腕に黒い稲妻が集約させ始める。それは、ビビアンが来る前にブライアンに放とうとした最凶の技【ヘルスパーキング】の予備動作であった。
それを見たビビアンも、ここが勝負時と感じて、残っている全ての力を剣に込めると、大王者の剣に青い光が収束していく。
「消えるグベ! ヘルスパーキング!」
「消えるのはアンタよ! ギガビビストラッシュ!」
ドシーから放たれた暗黒のいかづちと、ビビアンが放った勇者の一撃!
二つの強大な力が両者の間でせめぎ合う。
「グベェーー!!」
「いけーーー!!」
二つの力は拮抗していたが、次第に青き光が黒に侵食されていった。
それでもビビアンは、必死に力を振り絞って暗黒のいかづちを押し返そうとするも、じわりじわりと押し込まれてしまう。
「どうしたグベ? もう限界グベ?」
「まだよ! まだ負けてないわ!!」
明らかに優勢なドシーは余裕の笑みをこぼす。
そして逆に劣勢のビビアンは、苦しそうな表情で言葉を返していた。
「まだよ! まだ……サクセスに何も伝えられてないわ! アタシは……負けない! 負けられないんだから!!」
ビビアンはその強い想いを叫ぶと、そこで変化が生じる。
なんと、ビビアンの全身からかつてないほど眩い青き光が溢れ出してきたのだ。
「グ……グベべべべ……なんだグベ? 何が起こったグベ!?」
すると、ビビアンから放たれた勇者の波動が暗黒のいかづちを押し返していく。
「消えなさい!!」
「グ、グベ~~!!」
目の前に迫る勇者の光にドシーは叫び声を上げた。
ドシーの本能は、今まさに激しく警笛を鳴らしている。その光が自らを消滅させうるものだと。
だがしかし、その時突然ビビアンの耳に信じられない声が聞こえた。
「勇者様、油断はいけませんよ。」
その声に思わず意識が逸れてしまうビビアン。
何故ならば、その声は……
ーー行方不明になっていたシャナクの声であった。
0
あなたにおすすめの小説
病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる