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第八章

十一話 【消えたお姫様】

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商会の人に貸し倉庫が無いか尋ねると、酒のお礼に空いてる倉庫を使っていいとの事で、場所を教えてくれた。

商会からは少し離れていたが、倉庫が並ぶうちのひとつを、一週間は空いてるので好きに使っていいそうだ。

お礼を言い、商会を出る。

商会の近所に武器防具屋があったので、覗いてみる。

大きな街だけあって、品揃えがいい店内には冒険者らしい4人組が買う買わないで言い合っていた。

ダンジョン産だろう目玉商品と飾られた槍に、魔法の盾と、どれも物珍しく見ていて飽きない惣一郎だった。

すると、店員のドワーフが話しかけて来る。

「どれも一級品だ、よかったらどうだい?」

「いえどれも手が届きそうもありません。こちらは買取もやってますか?」

「ああ、勿論だ売りたいものがあるなら見せてみな!」

カウンターに案内され、惣一郎はダンジョンで手に入れた装備を並べる。

鉄の剣が17ギー、皮の手袋が1ギー3ネル、青銅の盾が32ギー、そしてチェーンメイルが、2,760ギーと、コレだけ高額だった。

魔法が付与されたチェーンメイルらしく、矢や飛び道具を、魔力消費で弾くらしい。

「装備は普通だが、コレはダンジョンで手に入れたんだろ?」

「ええ、よく分かりましたね!」

「まぁな、これで飯食ってる! 所でダンジョンに潜ったんだよな?」

「ええ、ガーデイルのダンジョンに」

「お前さん、宝石の様な石は、手に入れなかったか?」

そういえばっと、惣一郎は緑の宝石が入った麻袋を出し見せる。

ドワーフの店員は、3つの宝石を見ると目の色を変え見入る。

ダンジョンでたまに出る宝石は[魔晶石]と呼ばれ、魔法の武具を作る為に必要になる物らしい。

「こりゃ風の魔晶石だな…… 売らんか?」

「おいくら?」

「ここまで質がいいと、ん~ 850ギーでどうだ? 3つが無理なら1つでもいい、売ってくれ!」

情報料だ喜んで売る。

結構な金額になった。

前に売ろうとした所では、騙される所だったな!

「ついでに教えてくれ、お祝いムードの様だが、何があったんだ?」

聞くと、なんでも数ヶ月前に行方不明になった姫様が、先日突然帰って来て、王都で一悶着あったらしい。

元々、王位を強引に手に入れようとする兄と、止める妹で揉めてたらしく、突然消息を絶った姫を兄が消したともっぱらの噂だったそうだ。

その兄が色々問題起こす人らしく、国も割れると騒いでた矢先の蒸発騒ぎで、現王もはっきりするまで王位は譲らなかったらしい。

そこに突然戻って来た姫様が、兄の悪事を暴いて継承権を剥奪し国から追い出したとの事。

不信感が広がる民衆もこれには、みんな大喜びで、王都じゃ今もお祭り騒ぎだと言う。

「なるほど…… 情報ありがとう!」

店を出る惣一郎は、そのままギルドへ向かう。

街中でも歓声をあげ喜ぶ人が多かった。

「兄はよっぽど嫌われていたんだな~」

「何したんですかね~ ご主人様」

「さぁ、分からんが、よっぽ…「ご主人様、アレ食べたい」」

………




ギルドに着くと、ここも人で溢れていた。

昼間っから酒を飲み、騒ぐ冒険者の間を通り、買取カウンターで職員に声をかける。

「買取ですね、こちらにどうぞ!」

「ええ、多いけどいいですか?」

しばらく出してなかったので結構溜まっていた。

「では、裏の買取倉庫でお願いします!」

っと元気な獣人の女の子の案内で、倉庫に行く。

サリン     5
オオカミ   12
ギュノ     4
グリピー   26

出した魔獣より、マジックバッグに驚いていた職員だった。

「特注品です」

「えっ、でも」

「特注品です!」

買取は合計で、195ギー。


さぁ、今夜は焼肉だ~!





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