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十四章
六話 【考えるだけ無駄】
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「おまっ! 赤かったぞ」
「へ? 全力でぶん殴っただけだぞ?」
自覚ないのか……
「すっげ~! さすがジビカガイライに入るだけはありますよ! 俺らがザザメイトに、どれだけ泣かされたか、それを単独でなんて!」
「あの巨体を浮かせるとは! 恐ろしい打撃ですね!」
弁慶よりも、リヴォイとサヴォイが興奮している様だった。
「次は、ベンゾウだからね!」
「いや、ベンゾウさん! ザザメイトは珍しい部類の魔獣でして、めったには出ないですよ!」
サヴォイくん、もうフラグは立ったのだよ……
惣一郎はザザメイトを回収して、また荷車に乗り森を目指す。
だが、その日は陽が落ちるまで、何事もなく野営する事になる。
リヴォイ達がいる為、食事は外で食べる事になる。
テントでは交代で風呂に入ってもらい、惣一郎と弁慶は、夕食の準備をしていた。
風呂から上がったリヴォイ達にビールを渡すと、熱った顔で美味そうに飲むふたり。
「うまいっす! 冷えたエールがこんなに美味いなんて!」
「これは、凄い経験ですよ! 旅をしながら風呂に入れるし、料理もエールも美味い! なんと言ってもベッドの寝心地の良さ! 高級な宿でもこんな経験出来ませんよ!」
喜んでもらえて何よりで!
夕食は、順次出来た物を食べていく、中華スタイル。
片手で鍋を振る惣一郎。
小慣れた様にオタマをテレキシスで操る。
惣一郎なりに、魔法の練習も兼ねていた。
ベンゾウとセシルが風呂から出てくると、濡れた髪で近付いて来る。
「ご主人様、クリーンして!」
料理の片手間でクリーンをかけると、セシルが、
「あの…… 惣一郎様、杖は? 杖もお使いにならず、魔法を使っているのですか?」
そう言えば……
最近ちょっとの事なら、理喪棍を持つ事もなかった。
「あれ? やっぱ変かな?」
「そう言えば、あまりに自然で気付かなかった…… 変ですよ!」
サヴォイまで変態を見る様な、言いっぷりだ。
まぁ確かに、戦闘でテレキシス連発する時は理喪棍があると楽だが、ちょっとクリーンをかけるぐらいなら、気にせず使っていたな~ 気を付けよう。
「そう言えば、惣一郎さん! 船で左手出してましたよね?」
「幻腕の事?」
惣一郎は幻腕を出し、みんなに見せる。
「なんっすか、コレ! 魔力ですよね?」
青白く燃える様な左腕を、セシルとサヴォイが食いついて見る。
「よくわからんが、魔力だな。多分」
セシルが見開いた目で、
「こんな密度の高い魔力を、どうやって杖もなしに……」
「さぁ知らん!」
「旦那様は、力も強いんだぞ! 魔法使ったアタイと互角さ!」
「さすが、厄災を倒せる冒険者という所ですね」
「冒険者の頂点か…… 遠いな~」
ん~ 勝手にハードル上げてくな~
「あのな、強さなんて相性だぞ! 確かに最近魔力多いなとは思っていたが、力だって弁慶には負けるし、スピードじゃベンゾウに遠く及ばん! 魔力が枯渇したら、サヴォイにだって剣では敵わないぞ、お前らだって、強い敵には工夫して対処するだろ、俺達は厄災と相性がいいってだけだ」
「確かに、相性や工夫は大事ですね…… でも、惣一郎さんが言っても説得力ないな~ そもそも枯渇するんですか? その魔力」
ん~ あれ? 確かに杖無しでもまだ余裕だな、幻腕……
その後も酔ったふたりに絡まれる様に、質問攻めにあう惣一郎であった。
その日の夜。
惣一郎はベッドで、自分の魔力が以前に比べ、確実に上がっていると自覚する。
いつからだろうか……
『怒りで魔力が強くなる』
スワロの件で、怒ってそのまま戻らなくなったという事なのだろうか……
相変わらず、わからない事だらけだな~
魔王ルート、おっさん(神?)から貰った抵抗力、勇者、それに夢に出てきたと言うおっさんは、俺の知るそれと同一人物なのだろうか?
ベンゾウと弁慶の強さも異常だし、厄災についても謎が多い。
俺がこの世界に来たせいで、神のシナリオの外にいるのだとしたら…… 悩むだけ無駄だ。
誰か…… 説明求む!
「へ? 全力でぶん殴っただけだぞ?」
自覚ないのか……
「すっげ~! さすがジビカガイライに入るだけはありますよ! 俺らがザザメイトに、どれだけ泣かされたか、それを単独でなんて!」
「あの巨体を浮かせるとは! 恐ろしい打撃ですね!」
弁慶よりも、リヴォイとサヴォイが興奮している様だった。
「次は、ベンゾウだからね!」
「いや、ベンゾウさん! ザザメイトは珍しい部類の魔獣でして、めったには出ないですよ!」
サヴォイくん、もうフラグは立ったのだよ……
惣一郎はザザメイトを回収して、また荷車に乗り森を目指す。
だが、その日は陽が落ちるまで、何事もなく野営する事になる。
リヴォイ達がいる為、食事は外で食べる事になる。
テントでは交代で風呂に入ってもらい、惣一郎と弁慶は、夕食の準備をしていた。
風呂から上がったリヴォイ達にビールを渡すと、熱った顔で美味そうに飲むふたり。
「うまいっす! 冷えたエールがこんなに美味いなんて!」
「これは、凄い経験ですよ! 旅をしながら風呂に入れるし、料理もエールも美味い! なんと言ってもベッドの寝心地の良さ! 高級な宿でもこんな経験出来ませんよ!」
喜んでもらえて何よりで!
夕食は、順次出来た物を食べていく、中華スタイル。
片手で鍋を振る惣一郎。
小慣れた様にオタマをテレキシスで操る。
惣一郎なりに、魔法の練習も兼ねていた。
ベンゾウとセシルが風呂から出てくると、濡れた髪で近付いて来る。
「ご主人様、クリーンして!」
料理の片手間でクリーンをかけると、セシルが、
「あの…… 惣一郎様、杖は? 杖もお使いにならず、魔法を使っているのですか?」
そう言えば……
最近ちょっとの事なら、理喪棍を持つ事もなかった。
「あれ? やっぱ変かな?」
「そう言えば、あまりに自然で気付かなかった…… 変ですよ!」
サヴォイまで変態を見る様な、言いっぷりだ。
まぁ確かに、戦闘でテレキシス連発する時は理喪棍があると楽だが、ちょっとクリーンをかけるぐらいなら、気にせず使っていたな~ 気を付けよう。
「そう言えば、惣一郎さん! 船で左手出してましたよね?」
「幻腕の事?」
惣一郎は幻腕を出し、みんなに見せる。
「なんっすか、コレ! 魔力ですよね?」
青白く燃える様な左腕を、セシルとサヴォイが食いついて見る。
「よくわからんが、魔力だな。多分」
セシルが見開いた目で、
「こんな密度の高い魔力を、どうやって杖もなしに……」
「さぁ知らん!」
「旦那様は、力も強いんだぞ! 魔法使ったアタイと互角さ!」
「さすが、厄災を倒せる冒険者という所ですね」
「冒険者の頂点か…… 遠いな~」
ん~ 勝手にハードル上げてくな~
「あのな、強さなんて相性だぞ! 確かに最近魔力多いなとは思っていたが、力だって弁慶には負けるし、スピードじゃベンゾウに遠く及ばん! 魔力が枯渇したら、サヴォイにだって剣では敵わないぞ、お前らだって、強い敵には工夫して対処するだろ、俺達は厄災と相性がいいってだけだ」
「確かに、相性や工夫は大事ですね…… でも、惣一郎さんが言っても説得力ないな~ そもそも枯渇するんですか? その魔力」
ん~ あれ? 確かに杖無しでもまだ余裕だな、幻腕……
その後も酔ったふたりに絡まれる様に、質問攻めにあう惣一郎であった。
その日の夜。
惣一郎はベッドで、自分の魔力が以前に比べ、確実に上がっていると自覚する。
いつからだろうか……
『怒りで魔力が強くなる』
スワロの件で、怒ってそのまま戻らなくなったという事なのだろうか……
相変わらず、わからない事だらけだな~
魔王ルート、おっさん(神?)から貰った抵抗力、勇者、それに夢に出てきたと言うおっさんは、俺の知るそれと同一人物なのだろうか?
ベンゾウと弁慶の強さも異常だし、厄災についても謎が多い。
俺がこの世界に来たせいで、神のシナリオの外にいるのだとしたら…… 悩むだけ無駄だ。
誰か…… 説明求む!
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