あなたは僕の運命の番 出会えた奇跡に祝福を

羽兎里

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ジークフリード偏

逃走

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俺が…何だって?
ダメだ、頭が働かない。
この人から目が離せない。
そうか、この香りはこの人の匂いなんだ……。
すると、その人は俺の手を握り歩き出した。
俺と言えば、何の疑問も持てず、ただ手を引かれるまま付いて行くだけだった。
そして今は、庭の片隅にある東屋の中で、
なぜかその人の膝の上に座っている。
その手で腰を抱かれ、反対の手は俺はあちらこちらを撫で回していた。
尻には熱くて硬い物があたっているけど、全然気にならない。
それよりも、その胸に凭れ掛りたい。
だけれど、それがこの人に図々しいと思われないかと怯えてしまう。
そのきれいな顔や髪に指を這わせてみたいけど、鬱陶しく思われないだろうか。
さっきの艶やかな声を聴きたくて、何か話してみたいけど、五月蠅く思われないかな。
そのが今の俺にとって大問題だ。

「大変だったね。」

ううっ。思った通りすっごくいい声。
いつまでも聞いていたい響きの様だ。

「大丈夫かい?色々ショックだっただろう。
私がその場に居たら、君を守ってあげられたかもしれなかったのに、
遅れて来たからそれが出来なかった。」

守るって何を?

「話はざっと聞いた。どうしても気になって君の事を追いかけてしまった。
でも来てよかった。私は君に会えたのだから。」

俺に会えて喜んでくれるんですか?嬉しい。

「名前は何て言うんだい?」

え…。僕の名前なんてどうでもいいです。
それよりもあなたの事を知りたいです。

「君はずいぶん無口で控えめみたいだね。
そうだ、まず自分を名乗らなければマナー違反だったね。
私はジークフリード・ランセルと言う。海軍に籍を置いている。」

海軍…。あぁ、それで今は儀礼用の軍服を着ているんですね。とても似合っています。

「それで、君の名前を聞いていいだろうか。」

「名前…、俺の名前はアルヴィン、アルヴィン・レイヤーズです。」

「アルヴィン、きれいな名前だ。君に似合っている。」

そう言って彼は僕の前髪を掻き上げ、額にキスをした。
キス…だよな。キス。
うわあぁぁぁぁ、どうしよう。会ったばかり人にキスされちゃった。

「アルヴィン、多分分かっているとは思うが、私たちの事気付いているよね。」

気付くってなんの事だろう。
考えるのが面倒くさい。
それよりもキスされた位だから、大丈夫だよな。
俺はそっと両腕を彼の背に回し、その胸に凭れ、目を閉じた。

「アルヴィン……。可愛い。」

ジークフリードさんが俺を抱きしめその頬で俺の頭をスリスリする。
幸せだな。他の事を考えられないほど。

「アルヴィン、今すぐ君を攫って行きたい。
だけど、その前に聞いておかなければならないだろう。
家族の事とか、色々と。
ちゃんとしてから式を上げよう。」

「式…?」

「結婚式の事だよ。だがアルヴィンが式は挙げたくないっていうなら私は賛成するよ。
今すぐ籍だけでも入れよう。」

結婚…、誰と誰が?
一気に正気に戻った。

だれが結婚だって?
話の流れ上、それは俺とジークフリードさんの事だよな。
俺はさっき婚約破棄をされ、やっと自由の身になったんだ。
確かに俺はこの人の傍にいるとおかしくなるほど、この人の事が気になる。
だけど会ったばかりなのに、何でそんな話になるんだ。
俺はジークフリードさんを突き飛ばし、逃げるように走り出した。

「アルヴィン!一体どうしたんだ。
待ってくれ、一人でどこへ行くんだ。」

嫌だ、俺は自由だ。
結婚なんて冗談じゃない。

俺は必死になって走った。
屋敷の門を抜け、坂道を転がるように下った。
だけど、さすがにジークフリードさんは海軍の人だけある。
優男に見えて、やっぱり体力があるんだろう。
あっという間に、俺は彼に捕まってしまった。

   *******


   区切りの都合上、短くてごめんなさい。

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