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第一章 『秘められた異次元(シークレットディメンション)』への扉!
第7話 オーガの秘密と名推理
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あらかた彼女をゲットしたオーク達は、村人と仲良くなり普通に生活を開始した。
実際、筋力は普通の人間よりあるし、農業や力仕事は優秀な部類だ。
頭脳が低いので、新たな事業を開拓するなどは出来ないが、十分過ぎるほど働いてくれる。
朝早くから起き、畑の管理をし、農作物を根気強く育てる。
そして、夜は酒場で働き、雑用や簡単な料理を作る。
喜んで真面目に働き、家族を養っている。
オレの思っていた通りだった。
現代の若者は、働かずして稼ぐ事を望むが、オーク達は人並みの生活を望む。
条件さえそろえば、オーク達の方が何倍も優秀なのだ。
オレは畑と酒場の所有権をオーガに譲り、オーガは毎月オレに稼いだ金の一割をくれる。
当然、オレや友人が酒を飲む時は、すべて無料だ。
上手くいっている事をオレは確認し、オーク達と共に喜んでいた。
しかし、全てが順調というわけではない。数人のオークとオーガは、彼女がゲット出来なかった。
金だけでは、どうにも解決できない問題もあるのだ。
彼女ができなかった数人のオークとオーガで、オレ達は酒場へ集まり、今後の作戦を立てる事にした。
シルビアさんはどこでも顔がきき、どんな場所にでもオレと一緒なら付いて来る。
美人で可愛いくせに、度胸の座った女の子だ。いろいろ経験しているからというのもある。
そこで、オレとシルビアさんは、今後の事を考え始めた。
結婚の事や、黄金のドラゴン退治の事、日本に帰る事などだ。
しかし、彼女の出来なかったオーガが泣き叫ぶ。
うるさいので、オレ達はオーガの問題を解決する事にした。
一応スポンサーだし、無下にはできない。
それに、酒場の女将さんは、美人が理想的だ。
オーガの様な巨体でも、温かく包み込んでくれる様な優しさと強さが必要だった。
そして、出来ればオーガ並みの経営能力なんかも……。
「うう、俺は彼女さえもできなかっただ」
「さすがに、その巨体じゃあねえ……。
細くなればいいとか、そんな問題じゃないからねえ。
後ろに居るだけでも、女の子が逃げて行きますから……」
普段は優しいシルビアさんも、オーガに対しては厳しい。
彼女の能力でさえ、本当に対策が取れないのだ。
村の娘は、小柄なオークは愛せても、巨体のオーガは怖がっていた。
「そうなると、オーガには、相当きつい女性か、何も知識を知らない幼女をゆっくり彼女にするか、しか方法がないのかもな……」
オレのつぶやきを聞いたシルビアさんは、反応して冷たく言う。
「前者は良いですが、後者は道徳的に私が反対します。
たとえオーガさんが不幸になろうとも、女性を傷付けた場合は、容赦なく牢屋に叩き込むのでお忘れなく……」
そう宣言し、シルビアさんはぶどう酒を口に含む。
ちょっとほろ酔い加減のシルビアさんは、美しさの中にもトゲがあり、また違った一面を見せる。
オレは普段と違う一面にしばらく見とれてしまう。
オーガとオレが黙っていると、シルビアさんはまた喋り出した。
どうやら、オーガの恋人になる女性の伝手があるようだ。
「近くの森のエルフ達なら、気性が荒く、大男でも気にしない性格のようです。
ただ、知恵が高いのと、高慢な気質のため、彼女になってくれるかは分かりません。
オーガさんが身体に自信があるなら、狙ってみるのも良いですが、ドSなのは覚悟していてくださいね」
シルビアさんの紹介する人を聞き、オレは冷静に分析して語る。
「じゃあ、ダメだな。オレの一撃で転げまわるようじゃ……。
おそらく、オーガの精神力では耐えられない。
ドMのオレならともかく……」
みんな悪乗りする。
「そうですね。根性もないし……」
「打たれ弱いし……」
「家も車もないし……」
「太鼓腹の上に、ケチだし……」
「顔も怖いし、性格も悪いし……」
みんながそう思った事を言い合っていると、オーガが口をはさむ。
「ちょっと、オラの良い所を言ってくれよ!
まだまだ可能性があるもんだろ!」
オーガの返答に、オレ達は黙る。
実際、オレは良い所を見抜いているが、他の人に譲る。
しかし、なぜか沈黙が続いていた。
「えーと、モノはでかいとか?」
シルビアさんは勇気を持って訊く。
オーガはそれを聞き、下を脱ぎ始める。
お酒を飲んだ事で、オーガのタガも外れたようだ。
「きゃあああああ、あ、小さい……」
シルビアさんは一瞬驚いたが、すぐに冷静さを取り戻した。
オーガは、シルビアさんが冷静さを取り直した事で恥ずかしくなり、ズボンを穿き直した。キミは、オーガに怒る。
「おい、何、汚いモノをオレの妻に見しているんだ!」
オレの怒りの一撃がオーガを襲う。
みんなも、お酒の席だからと思って、油断しないようにしてね。
警察沙汰になることも稀にあるからね。お酒の飲み過ぎにも注意しよう!
「はー、まあ、当たって砕けますか?」
シルビアさんは諦めたようにそう言う。
オレは、ただ頷くことしかできなかった。
こうして、オレとシルビアさん、オーガとオーク数人で、エルフの森に行くことに決まった。
オーク達も興味本位で美女のエルフを彼女にしようとしていた。
これまでの困難を思い起こし、自分なら大丈夫だと言い聞かせていた。
一瞬で殺される可能性もあるが、大丈夫だろうか?
シルビアさんはお酒に酔ったのか、先に眠ってしまい、オーク達もすぐに眠り込んだ。オレとオーガの二人だけになってしまい、話は日本科学庁長官代理人の話になる。
オーガは巨体と二本の牙によって恐れられていたが、実際にはかなり賢く、国王よりも有能だった。オレ達とは別のルートで情報通が入って来るという。
それで試しに、オレは日本人達の情報を聞いてみる事にした。
「日本の連中が幼女を連れて、どこかへ冒険に行っただと? 聞かねえな……」
「まさか、モンスターにやられて全滅したとか? それなら話は分かるが……」
「いや、もしもそいつらがやられたら、まず俺の所にそいつらの荷物や、女の子の情報が入って来るはずだ。
俺達の今までの収入源は、冒険者を襲ったり、死体処理がほとんどだからな。
金目の物は売っぱらって、生きている人間は金と交換に命を助けた。
女の子は、子孫繁栄のために妻にした奴もいるけどな。
まあ、隙を見て逃げられるんだが……。
情報が入って来ないってことは、どこかで生きているってことだろう。
もちろん、モンスターを倒しているってこともない。
その場合も、俺達に注意を促すはずだからな。
つまり、奴らはひっそりと何かをしているってことだ。
シルビアさんではなく、幼女のお姫様を連れて行くってのも引っかかる。
はっきり言って、俺達は幼女を女としては見ていない。
体格は男の子みたいだし、女としての価値は感じないね。
せめて、十五歳以上じゃないと、親元で暮らす様に促すか、もう少し育てて妻になってもらう。
オーク達みたいな下っ端が、嫁として腕力も女子力もない娘をさらうのは、あまり抵抗されないためだ。
それ以外で幼女というと、誰も魅力を感じんぞ」
「うーん、オレの日本では、幼女は意外と重宝されている。
男の中にも、ロリコンといって、若い女の子が好きな男も存在する。
おそらく代理人もそんな感じだろう。
シルビアさんはこの国王の娘で腕力もあり、能力も女子力も強い。
代理人達は、それを嫌がり、ハブにされたのだろう。
シルビアさんが本気で抵抗したら、数人は犠牲が出るかもしれないからね。
そのリスクを避けたのだろう。
異世界は、日本の法律が及ばない無法地帯だからな。
日本人達がこの異世界に来た目的はおそらく……」
「いや、そうとばかりも言えない。
俺達も情報処理にインターネットを使っているんだが、最近は情報操作している奴らが増えて来ている。
シルビアさんが間違った情報ばかりを信用していたのも、おそらくこいつらが原因だ。
お前らの情報もちょっと確認したが、日本に一人、他の異次元世界に二人、そういう情報操作をしている奴らがいる。
異次元世界でもインターネットは使えるが、少しは誤作動があるからな。
そこから読み取ると、どこからその情報が来ているかは、大まかにだが分かる。
まあ、居場所を特定するのは困難だが……」
「ああ、オレもそこから情報を判断したよ。
異世界二人は、全くでたらめの情報を流していて、日本に居る奴は、正確だが今欲しい情報じゃなかった。
異次元世界では、どんな限定商品があるの?とか、今流行りは何?とか、そんな話題ばかりだ。
助けを求めても、大変ねえ(笑)で、何の役にも立たない!」
「まあ、この世界の存在を知らない奴からしたら、冗談と思ってしまうかもしれねえな。
実際、異次元世界というのは、大まかに言うと二種類あって、一つが並行世界(パラレルワールド)と呼ばれる現実世界とほぼ同じ無限の大きさの異次元世界だ。
この並行世界(パラレルワールド)は、確認された事が無いし、どうやって行くのかも分からない。
全く未知の領域だ。
偶然でさえも行った可能性が無いから仕方ないけどな。
もう一つが、俺達のいる隠された異次元(シークレットディメンション)と呼ばれる小さな異次元世界だ。亜空間とも呼ばれているけどな。
これは、大きな力の影響で、時空にひずみが出来る事で生じると言われている。
この異次元世界に人が住めるほど大きく安定しているのは、龍脈と呼ばれる地脈などから造られている為だ。
安定して力を供給できるから、現実世界の土地とほぼ変わらない。
俺も日本人が来るまでは全く知らなかったが、彼らが科学技術を提供してくれたおかげで、この異次元世界についても知ることができた。
この異次元世界が、偶然に発見されたのは、六十年前らしい。
まあ、昔だから偶然に迷い込んで、マモルの様に帰れないまま、子孫を残したという事だろう。
異次元の交友が出来るようになったのは、この二、三年だ。
この異次元世界以外にも、隠された異次元(シークレットディメンション)と呼ばれる異世界がある事は確認されているという。
そこには、様々な幻獣と呼ばれる生物も住んでいて、ひっそりと暮らしているらしい。
俺達やエルフなんかは、古代の亜人種の生き残りだ。
元々、この世界に住んでいて、たびたび人類と交友を持っていたという。
シルビアさんは、迷い込んで来た人類の子孫だと思う。
伝説では、六十年前に罪を犯した一人の美女が、この異世界に逃げのびて子孫を残したという。
だから、子孫である彼女も美女なのだろう。
その子孫を、再び日本人達が誘拐しているというのなら、黄金のドラゴン以上の脅威だ。
黄金のドラゴンは貪欲だが、基本的に金を集めるだけで、あまり人間の被害はない。
日本人が人を誘拐しているのなら、そっちの方が危険だ!」
「なるほどな、今のところ黄金のドラゴンに脅威はないのか。
じゃあ、シルビアさんが黄金のドラゴンを倒そうとする理由は?」
「なんか、国王の身内が黄金のドラゴンになったと噂を聞いた事がある。
または、黄金のドラゴンの財産が狙いかもな。
この国の財産の半分くらいは、黄金のドラゴンが集めていると聞く。
その後は、眠って大人しくしているのか情報が入って来ないんだが……。
それを倒せば、この国も豊かになるはずだからな。
はっはっは、シルビアの姉さんは、見かけによらず貪欲かもしれないぞ!」
「そうなると、黄金のドラゴンを倒すより、まずは、日本人達の行方を知る方が重要そうだな……」
「俺達もこの世界の脅威になりそうなら、倒すのを手伝うぜ!
おそらくだが、日本人達が集まる場所に異次元の通り道もあるはずだぜ!
残念ながら、どうやって移動するのかまでは知らないが……」
オレはオーガを見て、一瞬躊躇する。
「そうだな、日本に帰る異次元の通り道はそいつらの近くの方が、いろいろと便利だろうな。
この国を通さない事で、どんな悪事も隠すことができるからな。
恐ろしい奴らかもしれない!
だから、お前はまず、その打たれ弱さを直せよ。
超足手纏いだから……」
「うるせー! 彼女ができたら、嫌でも強くなるわい!
男には、やる時はやる必要があるんだよ!
今は、状況がそれほど切羽つまって無いだけさ。
男の真価は、女性など弱い者を守る時に発揮されるのだ!」
オーガは良い顔してそう言う。
「まあ、オレもいざという時は、本気を出さないとな!」
オレ達は後で、旅の準備を始める。
ドラゴン退治とか、結婚の事は良いのだろうか。
シルビアさんと話しそびれてしまった。
まあ、オーガの事が解決するまで、みんなで旅行をするのも悪くはない。
資金も順調にたまっている事だし、焦る必要もない。
そう思って、今回は見合わせようと思った。
こうして、夜は更けて行き、オレとオーガも自然と眠りに陥っていた。
数日後、オレ達は、旅の支度を整え、エルフ村へと旅に出る。
危険が待ち受けている旅だが、果たして無事にオーガの嫁を連れて戻って来られるのだろうか?
漫画的アオリ
肝も玉も小さい!
それがオーガだ!
お持ち帰りは自由!
実際、筋力は普通の人間よりあるし、農業や力仕事は優秀な部類だ。
頭脳が低いので、新たな事業を開拓するなどは出来ないが、十分過ぎるほど働いてくれる。
朝早くから起き、畑の管理をし、農作物を根気強く育てる。
そして、夜は酒場で働き、雑用や簡単な料理を作る。
喜んで真面目に働き、家族を養っている。
オレの思っていた通りだった。
現代の若者は、働かずして稼ぐ事を望むが、オーク達は人並みの生活を望む。
条件さえそろえば、オーク達の方が何倍も優秀なのだ。
オレは畑と酒場の所有権をオーガに譲り、オーガは毎月オレに稼いだ金の一割をくれる。
当然、オレや友人が酒を飲む時は、すべて無料だ。
上手くいっている事をオレは確認し、オーク達と共に喜んでいた。
しかし、全てが順調というわけではない。数人のオークとオーガは、彼女がゲット出来なかった。
金だけでは、どうにも解決できない問題もあるのだ。
彼女ができなかった数人のオークとオーガで、オレ達は酒場へ集まり、今後の作戦を立てる事にした。
シルビアさんはどこでも顔がきき、どんな場所にでもオレと一緒なら付いて来る。
美人で可愛いくせに、度胸の座った女の子だ。いろいろ経験しているからというのもある。
そこで、オレとシルビアさんは、今後の事を考え始めた。
結婚の事や、黄金のドラゴン退治の事、日本に帰る事などだ。
しかし、彼女の出来なかったオーガが泣き叫ぶ。
うるさいので、オレ達はオーガの問題を解決する事にした。
一応スポンサーだし、無下にはできない。
それに、酒場の女将さんは、美人が理想的だ。
オーガの様な巨体でも、温かく包み込んでくれる様な優しさと強さが必要だった。
そして、出来ればオーガ並みの経営能力なんかも……。
「うう、俺は彼女さえもできなかっただ」
「さすがに、その巨体じゃあねえ……。
細くなればいいとか、そんな問題じゃないからねえ。
後ろに居るだけでも、女の子が逃げて行きますから……」
普段は優しいシルビアさんも、オーガに対しては厳しい。
彼女の能力でさえ、本当に対策が取れないのだ。
村の娘は、小柄なオークは愛せても、巨体のオーガは怖がっていた。
「そうなると、オーガには、相当きつい女性か、何も知識を知らない幼女をゆっくり彼女にするか、しか方法がないのかもな……」
オレのつぶやきを聞いたシルビアさんは、反応して冷たく言う。
「前者は良いですが、後者は道徳的に私が反対します。
たとえオーガさんが不幸になろうとも、女性を傷付けた場合は、容赦なく牢屋に叩き込むのでお忘れなく……」
そう宣言し、シルビアさんはぶどう酒を口に含む。
ちょっとほろ酔い加減のシルビアさんは、美しさの中にもトゲがあり、また違った一面を見せる。
オレは普段と違う一面にしばらく見とれてしまう。
オーガとオレが黙っていると、シルビアさんはまた喋り出した。
どうやら、オーガの恋人になる女性の伝手があるようだ。
「近くの森のエルフ達なら、気性が荒く、大男でも気にしない性格のようです。
ただ、知恵が高いのと、高慢な気質のため、彼女になってくれるかは分かりません。
オーガさんが身体に自信があるなら、狙ってみるのも良いですが、ドSなのは覚悟していてくださいね」
シルビアさんの紹介する人を聞き、オレは冷静に分析して語る。
「じゃあ、ダメだな。オレの一撃で転げまわるようじゃ……。
おそらく、オーガの精神力では耐えられない。
ドMのオレならともかく……」
みんな悪乗りする。
「そうですね。根性もないし……」
「打たれ弱いし……」
「家も車もないし……」
「太鼓腹の上に、ケチだし……」
「顔も怖いし、性格も悪いし……」
みんながそう思った事を言い合っていると、オーガが口をはさむ。
「ちょっと、オラの良い所を言ってくれよ!
まだまだ可能性があるもんだろ!」
オーガの返答に、オレ達は黙る。
実際、オレは良い所を見抜いているが、他の人に譲る。
しかし、なぜか沈黙が続いていた。
「えーと、モノはでかいとか?」
シルビアさんは勇気を持って訊く。
オーガはそれを聞き、下を脱ぎ始める。
お酒を飲んだ事で、オーガのタガも外れたようだ。
「きゃあああああ、あ、小さい……」
シルビアさんは一瞬驚いたが、すぐに冷静さを取り戻した。
オーガは、シルビアさんが冷静さを取り直した事で恥ずかしくなり、ズボンを穿き直した。キミは、オーガに怒る。
「おい、何、汚いモノをオレの妻に見しているんだ!」
オレの怒りの一撃がオーガを襲う。
みんなも、お酒の席だからと思って、油断しないようにしてね。
警察沙汰になることも稀にあるからね。お酒の飲み過ぎにも注意しよう!
「はー、まあ、当たって砕けますか?」
シルビアさんは諦めたようにそう言う。
オレは、ただ頷くことしかできなかった。
こうして、オレとシルビアさん、オーガとオーク数人で、エルフの森に行くことに決まった。
オーク達も興味本位で美女のエルフを彼女にしようとしていた。
これまでの困難を思い起こし、自分なら大丈夫だと言い聞かせていた。
一瞬で殺される可能性もあるが、大丈夫だろうか?
シルビアさんはお酒に酔ったのか、先に眠ってしまい、オーク達もすぐに眠り込んだ。オレとオーガの二人だけになってしまい、話は日本科学庁長官代理人の話になる。
オーガは巨体と二本の牙によって恐れられていたが、実際にはかなり賢く、国王よりも有能だった。オレ達とは別のルートで情報通が入って来るという。
それで試しに、オレは日本人達の情報を聞いてみる事にした。
「日本の連中が幼女を連れて、どこかへ冒険に行っただと? 聞かねえな……」
「まさか、モンスターにやられて全滅したとか? それなら話は分かるが……」
「いや、もしもそいつらがやられたら、まず俺の所にそいつらの荷物や、女の子の情報が入って来るはずだ。
俺達の今までの収入源は、冒険者を襲ったり、死体処理がほとんどだからな。
金目の物は売っぱらって、生きている人間は金と交換に命を助けた。
女の子は、子孫繁栄のために妻にした奴もいるけどな。
まあ、隙を見て逃げられるんだが……。
情報が入って来ないってことは、どこかで生きているってことだろう。
もちろん、モンスターを倒しているってこともない。
その場合も、俺達に注意を促すはずだからな。
つまり、奴らはひっそりと何かをしているってことだ。
シルビアさんではなく、幼女のお姫様を連れて行くってのも引っかかる。
はっきり言って、俺達は幼女を女としては見ていない。
体格は男の子みたいだし、女としての価値は感じないね。
せめて、十五歳以上じゃないと、親元で暮らす様に促すか、もう少し育てて妻になってもらう。
オーク達みたいな下っ端が、嫁として腕力も女子力もない娘をさらうのは、あまり抵抗されないためだ。
それ以外で幼女というと、誰も魅力を感じんぞ」
「うーん、オレの日本では、幼女は意外と重宝されている。
男の中にも、ロリコンといって、若い女の子が好きな男も存在する。
おそらく代理人もそんな感じだろう。
シルビアさんはこの国王の娘で腕力もあり、能力も女子力も強い。
代理人達は、それを嫌がり、ハブにされたのだろう。
シルビアさんが本気で抵抗したら、数人は犠牲が出るかもしれないからね。
そのリスクを避けたのだろう。
異世界は、日本の法律が及ばない無法地帯だからな。
日本人達がこの異世界に来た目的はおそらく……」
「いや、そうとばかりも言えない。
俺達も情報処理にインターネットを使っているんだが、最近は情報操作している奴らが増えて来ている。
シルビアさんが間違った情報ばかりを信用していたのも、おそらくこいつらが原因だ。
お前らの情報もちょっと確認したが、日本に一人、他の異次元世界に二人、そういう情報操作をしている奴らがいる。
異次元世界でもインターネットは使えるが、少しは誤作動があるからな。
そこから読み取ると、どこからその情報が来ているかは、大まかにだが分かる。
まあ、居場所を特定するのは困難だが……」
「ああ、オレもそこから情報を判断したよ。
異世界二人は、全くでたらめの情報を流していて、日本に居る奴は、正確だが今欲しい情報じゃなかった。
異次元世界では、どんな限定商品があるの?とか、今流行りは何?とか、そんな話題ばかりだ。
助けを求めても、大変ねえ(笑)で、何の役にも立たない!」
「まあ、この世界の存在を知らない奴からしたら、冗談と思ってしまうかもしれねえな。
実際、異次元世界というのは、大まかに言うと二種類あって、一つが並行世界(パラレルワールド)と呼ばれる現実世界とほぼ同じ無限の大きさの異次元世界だ。
この並行世界(パラレルワールド)は、確認された事が無いし、どうやって行くのかも分からない。
全く未知の領域だ。
偶然でさえも行った可能性が無いから仕方ないけどな。
もう一つが、俺達のいる隠された異次元(シークレットディメンション)と呼ばれる小さな異次元世界だ。亜空間とも呼ばれているけどな。
これは、大きな力の影響で、時空にひずみが出来る事で生じると言われている。
この異次元世界に人が住めるほど大きく安定しているのは、龍脈と呼ばれる地脈などから造られている為だ。
安定して力を供給できるから、現実世界の土地とほぼ変わらない。
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異次元の交友が出来るようになったのは、この二、三年だ。
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じゃあ、シルビアさんが黄金のドラゴンを倒そうとする理由は?」
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または、黄金のドラゴンの財産が狙いかもな。
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その後は、眠って大人しくしているのか情報が入って来ないんだが……。
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はっはっは、シルビアの姉さんは、見かけによらず貪欲かもしれないぞ!」
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残念ながら、どうやって移動するのかまでは知らないが……」
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ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
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