【オススメネット小説】秘められた異次元( シークレットディメンション) ムッツリスケベは異世界を救う!?

猫パンチ

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第一章 『秘められた異次元(シークレットディメンション)』への扉!

第16話 シルビアさんの過去を知る人物?

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 シルビアさんは結婚前日になって語る。
形式だけの結婚式だが、それでオレ達は夫婦になるのだ。

「あの、私が日本に住む事に問題はありませんが、この国を信頼して任せられる人に統治してもらう必要があります。
この国を統治できる人物は、両親を除いてもう一人しかいません」

オレはそれを聞き、シルビアさんに質問する。

「え、オーガとエルフのアビナじゃダメなのか? 
あの二人ならうまくやっていけそうだけど……」

彼らは、オレの計画通りに酒場やホテル経営などで働き、数日後にはオレに富をもたらしてくれていた。
このまま、事業を拡大して行く事もできるだろう。

オレとシルビアさんは、彼らをかなり信頼していた。
もはや王様でいなくても、かなりの収入がある。
日本に帰ったとしても、その収入だけでやっていけるだろう。

仮に、奴らが恩を忘れて裏切ったとしても、オレ達には能力と権力がある。
制裁や粛正するのは容易な事だった。
しかし、彼らは賢く、その事を理解しているようだ。

オレとシルビアさんに忠実を態度で示していた。
こうなって来ると、巨体のオーガも傲慢な巨乳エルフも可愛く感じてしまう。
必要に応じ、彼らにアドバイス(アビナにオッパイが崩れるのを防ぐ為、ブラを着用する様に勧める事など)をする。

「確かに、実力としてはあるでしょう。しかし、問題なのは血統です。
私達が国を統治してきたからこそ、今のように平和なのです。

しかし、種族の違うこの世界では、ある種族が優位に立つと、別の種族が脅威を感じることもしばしばです。
人間という全てにおいて中間的な存在の統治だからこそ、どの種族も余り争う事無くやってこられたのです。
オーガやアビナさんの統治になると、一気にそのバランスを崩すことにもなりかねません。
つまり、国王は人間でないといけないんです。

オーガやオークでは、エルフ達や女性が黙っていないでしょうし、アビナの統治も他の種族から攻撃されることも予想されるんです。
そして、王族以外の人間は、どう統治すれば良いかを学んだこともありませんし、めんどくさいのでやりたがりません。

私達が他の人々と長年に話し合った結果、私達の親族が統治の権限をいただいております。今は、父上がいるので何とかうまく統治してこられたのですが、この契約により、私か妹が統治しなければなりません。
妹は、女王になる気があるので、そこは問題ないのですが、今の所は実力不足です。

私を女王にする予定でいるのが現状です。
正式に妹を後継者にするという名目が無いと、国民に暴動が起こります。
もちろん、妹が失敗しないように、私が選んだ人物を補佐とすることはできますけど……」

「つまり、結婚後、シルビアさんが日本に行くには、妹さんと連絡を取らないといけないということか?」

「はい! この国の統治権を妹に渡す事を、国民が納得しないといけません」

「分かったよ。で、妹さんはどこに?」

「あなたの前に来た日本科学庁長官代理人のところにいると思います。
最初は、私も一緒に付いて行く予定だったのですが、長官代理人の方が妹だけを気にいり、妹のキーリアが付いて行く事になりました。
当時、あの子は十二歳になり、黄金のドラゴンと戦っているかもしれませんね」

「そうか。とりあえず、結婚してから考えよう。もう式は明日だから……」

オレはそう言いながら、不安を感じていた。

(やばいな。妹さんは、今頃大変な事になっているかもしれない。
代理人とやらがドラゴンを退治していれば良いが、もしも別の事が目的なら今頃は……)

不安になるオレだったが、考えても仕方ないと思い、オーガ達に捜索のお願いをしておくに留めた。
できれば、本当に黄金のドラゴンを倒し、この城に帰って来て欲しいモノだ。
しかし、そんな事を考えていても仕方ない。
オレは、オレでやるべき事をして、シルビアさんを幸せにすべきだ。

 そして、結婚式当日、シルビアさんは純白のドレスに身を装い、とても美しかった。
結婚式は、簡単な物だったけど、結構な人が出席してくれた。
日本から持って来たというデジタルカメラを使い記念写真をする。
そして、次はみんなで食事と盛り上がっていると、オレの知らない人物がシルビアさんの所に尋ねて来た。
その人物は言う。

「どうやら、今日結婚するようだな。その前に、新郎と戦わせて欲しい!」

突然に、現れた男はそう言い、オレとの決闘を申し込んで来た。
オレは不思議に思い、シルビアさんに尋ねる。

「すいません。彼は何者ですか? シルビアさんとなにかかんけいがあるんでしょうか?」

シルビアさんも良く分かっていないのか、しどろもどろに答える。

「えーと、私のお父様が知っていると思うんですが……。
以前に、幼い私に結婚を申し込んだそうなのですが、何らかの理由で取り消しになって、それ以来姿を消していた方です。
詳しくは、私のお父様にお聞きください」

結婚に参加していたシルビアさんの父親は、その者を見て語り出した。

「ああ、たしか十年ほど前に、城でいろいろな仕事をしていた者だな。
王妃が力を与えていたおかげで消えずに生き残って来れた者だ。
当分は魔力を使わないからと言って、数年分のエネルギーを渡して解雇した奴だ。
最初は、仕事を熱心にしていたが、次第にサボるようになっていたからな。
大方、私の娘に狙いを付けていたのだろう。

王妃を人質に取り、謎々を用いてシルビアと結婚しようとしたならず者だ。
この国王になろうとしていたようだが、私との試合に負け、その後いなくなった者だったな」

「そうだ。確かに、私は謎々で負けた。
そのため、シルビアに手を出すことはできないが、新郎とあれば別だ。
俺は小悪魔のインプ。新郎のあんた、俺とシルビアを賭けて戦ってくれ!」

オレは即座に応える。

「嫌だ! なぜ悪魔と知って戦う? 戦う必要が無いなら、戦う気もせんわ!」

「ほーう、良いのか? 
お前に子供が生まれた時に、その子を奪って行くかもしれないぞ。
産まれたのが男の子なら良いが、女の子なら腕力で襲うぞ!
俺を警戒して、ずっと緊張している状態になるかもしれないぞ。
良いのか、野放しにして?」

インプの申し出を正式に受けるまでもない。
オレが少し実力を見せつければ、一瞬で大人しくなるだろう。
オレは、火薬を仕込んだ加速するナイフで攻撃する。
オレの放ったナイフが、インプの鼻先をかすめる。
インプはビビっていた。
意気がるインプだったが、オレの実力を目の当たりにし、勝負に勝つことが不可能と悟ったようだ。

「これから先は、慎重に言う事だ。
さもないと、勝負以前に貴様は死ぬ事になる!」

インプは内心逃げ出したくなったようだ。
交渉する相手を間違ったと悟ったのだろう。
打って変わって、オレを褒め始めた。

「あー、すごい腕ですね。
これなら、今危険と名高い狼男のギンロウを退治することも出来ますね。
本当は、そのギンロウに迷惑して、助けてもらおうとしただけです。
本心は、安心して暮らせる国になって欲しい、その一心で……」

「また出まかせか? 嘘は命取りになるぞ」

オレはナイフを見せて、インプを威嚇する。
オレの威嚇に、インプはビックリして逃げ出そうとしていた。
その進路を、オレのナイフが飛んで来て塞ぐ。
ナイフが床に刺さり、インプは立ち尽くして震えていた。
自分の命がここで尽きると怖れたのだろう。

「まあまあ、そう急いで帰らずに、食事くらいしていきなよ。
王様の知り合いという事で……」

「へ、へえ、ありがたく頂戴いたします!」

インプは、シルビアさんの過去を少しは知っているようだ。
短いエピソードでも良いから、愛する妻の情報を知っておきたいと思うのは、夫として当然の好奇心だ。
いろいろインプに尋ねてみるが、ほとんど何も知らないようだった。
インプは食事を済ませると、逃げるように帰って行った。
残念ながら、オレの訊きたかった事はあまり教えてくれなかった。
オレが強過ぎて、脅えさせたのが原因だろうか。

なら、インプの言う危険人物のギンロウを捕らえておいた方が良いと考える。
信頼できない情報だが、オレが剣王を倒して以来、勝負になる奴も現れないから仕方ない。
オレは、狼男のギンロウに興味があり、シルビアさんにそれとなく訊いてみた。
すると、シルビアさんは以外にも真剣な表情で言う。

「すいません、忘れていました。
ギンロウは、狼男ですが、頭が良くて、異世界の研究者です。
この異世界で日本人の科学者以外では、唯一異次元の事を理解している人物です。
そのギンロウが異次元世界から脱出する唯一の手掛かりなのに、トラブルに巻き込まれていては大変です! 
明日にでも調査をしに行かないといけません!」

シルビアさんは、ギンロウと小さい時からの知り合いらしく慌て出した。
事情はよく分からないが、ギンロウが暴れまわっている場合は、命の危険を伴うようだ。
オレは、シルビアさんを落ち着かせるため、こう尋ねる。

「ギンロウが異次元の研究者なら、日本人と一緒に行動しているんだろ? 
どうして、一人だけ残っているんだ?」

「確かに、日本の兵士達が来るまでは、異次元の事柄について、日本人の研究者と一緒に私の城で研究していましたが、もしものために一人残っていたのです。
ほら、万が一でも、日本の兵士達が全滅すると、誰も異次元からの救助隊を呼ぶ事ができないじゃないですか。

それで、日本人の科学省の人達がそう言ってお願いしたんです。
数日前の事なので報告が遅れました。
折角、マモルさんが異次元世界から帰れるかもしれない情報なのに……。
残ったギンロウは、何か問題が起こった時に、助けを呼べるように待機しているはずです。
そのギンロウが危険な状態にあると言うことは、異次元世界全体のピンチに直結します。
明日にでも会いに行かなくてはなりません。
きっと、黄金のドラゴンの生態や日本人達の行方も知っていますよ!」

オレはそれを聞き、納得する。

「そうか、オレも会いに行かないといけないな。
日本に戻るにしても、援軍を送るにしても、情報を仕入れるのは大切だからな!」

シルビアさんは不安そうに語る。

「そうなんですけど……。
ギンロウは、以前に村人とちょっとした騒動を起こして、基本的に人間嫌いなんです。
素直に協力してくれるかどうか……」

「日本人に協力してくれているなら、大丈夫だろ! 
事情が事情だし、その辺は分かってくれるって!」

シルビアさんは、不安そうにしつつも、納得する。

「そうですよね。
ただ、満月の夜だけは、ギンロウも野生の力に負けて、オオカミの本性が出てしまうそうなので、満月の夜はダメです。明日は、満月じゃないので大丈夫そうですけど……」

「よし! オーガとアビナを連れて、ギンロウの所まで行こうか!」

「はい!」

こうして、オレとシルビアさん、オーガとアビナで、ギンロウの住む山に行く事になった。
狼男のギンロウは、いったいどんな奴なのだろうか?
シルビアさんの恥ずかしい過去や可愛いエピソードなどを知っていれば良いのだが……。
オレとシルビアさんは、無事に結婚式を挙げた。
しかし、これには策略が仕組まれていたのだ。
この時は、オレ達はまだ気が付いていない!
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