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第二章 クラン街の悪夢
第35話 絶体絶命?
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シルビアさん自ら舌を絡めてきたのだ。
昨日のシルビアさんのキスは舌を入れてはきたがぎこちなく初めてを思わせるものだったが、このキスは熟練したキスだったのである。
オレはそれに気付いたが、キスがあまりにすごかったために判断が一瞬遅れてしまった。
キスを終えてから、オレはシルビアさんに問い詰める。
「お前、シルビアさんではないな! シルビアさんはこんなキスは出来ない!」
そう言って涙ながらにすごむオレだが、キスの余韻が残っており、思い出して顔が赤くなる。
偽物のシルビアさんは手を振って偽物じゃないと主張するが、声は一切出さなかった。
まるで謎の少女やあの女子高生のように……。
そう思うと、とたんに目の前にいるシルビアさんがマネキンのような偽物に思えて来た。
声を出さないのは、声を出せない理由があるのではないか?
オレはシルビアさんに声を出すように強めに尋ねる。
「本物のシルビアさんはどこだ? お前は声を出せ無い偽物なんだろ?」
シルビアさんは手で違うという表現をしていたが、オレが疑うのを見て、次第に本性を出し始めた。
可憐だった偽物のシルビアさんの顔は、次第に黒髪の女子高生の顔になっていった。
顔が完全に変わった時には、醜悪な顔になっていた。
声は百年の恋も冷める野太い男の声だった。
ああ、この声では声は出せんわ。
どんなに可愛らしくしてもばれるだろ。
「くそう! もう少しで騙せると思ったのに……。キスでばれるなんて……」
「ふん、シルビアさんがあんなマニアックなキスをするわけないからな!
確かに、して欲しいと思ってはいたが、いきなりできるわけないだろ!
貴様はいったい誰だ?」
「そうだな。インキュバス・サキュバスと言えば分かるかな?
君達の世界では有名なはずだが……」
「サキュバスだって? 確か、美女の姿に変身して、男を誘惑する化物だろ。
なるほど、それでオレを誘惑して来たというわけか。シルビアさんはどこにいる?
お前が隠したんだろ?」
「安心しろ。女は現実世界に帰した。ターゲットはお前だけだ。
お前の精気が取れなかったのは残念だが、別に大した問題じゃない。
死ぬ方法が変わるだけだからな。
お前が誘惑に屈すれば、精気を絞り取ってその日の内に死ぬ。
お前が誘惑に屈しなければ、この異世界に一人残していくだけだ。
今は現実世界と繋がっているが、次第に行動が限られて来る。
一週間もすれば、餓死か衰弱死かのどちらかになるだろう。
いずれは、あの時に誘惑に応じていれば、と嘆く事だろうよ。
お前は異次元を生きる者にとっては脅威の存在だからな。
じゃあな、異次元の守護者さんよ」
そう言って、美女の姿をしたサキュバスは消えていった。
赤い空をしたおかしな荒野の広がる絶望的な世界。
そこに唯一ある人気の全くないような静かな小さい街の中でオレは一人残されていた。
孤独と絶望だけがある世界でオレはどうするのだろうか?
さて、これからどうしようと思っていると、シルビアさんと思われる人からの手紙を発見した。
その手紙の内容はこうだ。
「私は今、現実世界の日本にいます。
眠っていたら、いつの間にか日本のあなたの部屋で寝ていました。
不思議な事に、昨日の昼頃にお母様がお茶を飲もうとした所、ひとりでに落ちて割れたそうです。
そして、掃除をしたと言っていました。
私の気のせいかもしれませんが、さっきまでいた異世界は日本の部屋と繋がりがあるかもしれません。
もし可能であれば、この手紙や別の紙に何か言葉を書いてください。
手紙から手を放せば、私が見えるようになるかもしれません」
オレはしばらく疑ったが、他に助けもなさそうなので思い切って助けを求めてみた。
決死の思いでこう書いた。
「シルビアさん、どうやら異次元の魔物に襲われたらしい。
今のところ身体に外傷はないが、異世界から帰る事が出来ず衰弱死してしまう危険があります。
魔物の名前は、インキュバス・サキュバスという魔物で、オレを襲って来たけど倒そうとしたら、異世界から消えるようにして逃げたよ。
どうしたらいいか分からない。
とりあえずギンロウに相談してください。
日本からアルスター王国ならインターネットが繋がるはずだから……」
果たして、返事は来るのだろうか?
昨日のシルビアさんのキスは舌を入れてはきたがぎこちなく初めてを思わせるものだったが、このキスは熟練したキスだったのである。
オレはそれに気付いたが、キスがあまりにすごかったために判断が一瞬遅れてしまった。
キスを終えてから、オレはシルビアさんに問い詰める。
「お前、シルビアさんではないな! シルビアさんはこんなキスは出来ない!」
そう言って涙ながらにすごむオレだが、キスの余韻が残っており、思い出して顔が赤くなる。
偽物のシルビアさんは手を振って偽物じゃないと主張するが、声は一切出さなかった。
まるで謎の少女やあの女子高生のように……。
そう思うと、とたんに目の前にいるシルビアさんがマネキンのような偽物に思えて来た。
声を出さないのは、声を出せない理由があるのではないか?
オレはシルビアさんに声を出すように強めに尋ねる。
「本物のシルビアさんはどこだ? お前は声を出せ無い偽物なんだろ?」
シルビアさんは手で違うという表現をしていたが、オレが疑うのを見て、次第に本性を出し始めた。
可憐だった偽物のシルビアさんの顔は、次第に黒髪の女子高生の顔になっていった。
顔が完全に変わった時には、醜悪な顔になっていた。
声は百年の恋も冷める野太い男の声だった。
ああ、この声では声は出せんわ。
どんなに可愛らしくしてもばれるだろ。
「くそう! もう少しで騙せると思ったのに……。キスでばれるなんて……」
「ふん、シルビアさんがあんなマニアックなキスをするわけないからな!
確かに、して欲しいと思ってはいたが、いきなりできるわけないだろ!
貴様はいったい誰だ?」
「そうだな。インキュバス・サキュバスと言えば分かるかな?
君達の世界では有名なはずだが……」
「サキュバスだって? 確か、美女の姿に変身して、男を誘惑する化物だろ。
なるほど、それでオレを誘惑して来たというわけか。シルビアさんはどこにいる?
お前が隠したんだろ?」
「安心しろ。女は現実世界に帰した。ターゲットはお前だけだ。
お前の精気が取れなかったのは残念だが、別に大した問題じゃない。
死ぬ方法が変わるだけだからな。
お前が誘惑に屈すれば、精気を絞り取ってその日の内に死ぬ。
お前が誘惑に屈しなければ、この異世界に一人残していくだけだ。
今は現実世界と繋がっているが、次第に行動が限られて来る。
一週間もすれば、餓死か衰弱死かのどちらかになるだろう。
いずれは、あの時に誘惑に応じていれば、と嘆く事だろうよ。
お前は異次元を生きる者にとっては脅威の存在だからな。
じゃあな、異次元の守護者さんよ」
そう言って、美女の姿をしたサキュバスは消えていった。
赤い空をしたおかしな荒野の広がる絶望的な世界。
そこに唯一ある人気の全くないような静かな小さい街の中でオレは一人残されていた。
孤独と絶望だけがある世界でオレはどうするのだろうか?
さて、これからどうしようと思っていると、シルビアさんと思われる人からの手紙を発見した。
その手紙の内容はこうだ。
「私は今、現実世界の日本にいます。
眠っていたら、いつの間にか日本のあなたの部屋で寝ていました。
不思議な事に、昨日の昼頃にお母様がお茶を飲もうとした所、ひとりでに落ちて割れたそうです。
そして、掃除をしたと言っていました。
私の気のせいかもしれませんが、さっきまでいた異世界は日本の部屋と繋がりがあるかもしれません。
もし可能であれば、この手紙や別の紙に何か言葉を書いてください。
手紙から手を放せば、私が見えるようになるかもしれません」
オレはしばらく疑ったが、他に助けもなさそうなので思い切って助けを求めてみた。
決死の思いでこう書いた。
「シルビアさん、どうやら異次元の魔物に襲われたらしい。
今のところ身体に外傷はないが、異世界から帰る事が出来ず衰弱死してしまう危険があります。
魔物の名前は、インキュバス・サキュバスという魔物で、オレを襲って来たけど倒そうとしたら、異世界から消えるようにして逃げたよ。
どうしたらいいか分からない。
とりあえずギンロウに相談してください。
日本からアルスター王国ならインターネットが繋がるはずだから……」
果たして、返事は来るのだろうか?
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