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第二章 クラン街の悪夢
第37話 亜空間の出入り口を捜せ!
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オレは家に帰り、アイスを食べながら亜空間の出入り口がどこかを考えていた。
さすがに、暗殺者の仕組んだ罠だけあって、そう容易に見付かるものではない。
シルビアさんの手紙を再び見て考える。
こういう推理系は何度も読み直すのが大切なのだ。
別に謎解きの要素もないが、オレはそう考えながら手紙を読み返す。
そういえば、時間が経過するごとに出現場所も変わると教えてくれた。
これはやっかいだ。時間と場所の二つを割り出す必要がある。
しかも、過去にどこへ出現したかの記録もないノ―ヒント状態だ。
闇雲に探しても見付かるはずはない。
オレは捜索を諦め、大人しくシルビアさんが待機している部屋にずっといるようにした方が良いだろうかと考える。
そうは思うが、絶対にその方法で助かるという保証はない。
仮に、予想通り現実の自分の部屋に帰れたとしても、死んでいる場合だって考えられるのだ。
シルビアさんは、三件目に発生した日本の事件が被害者の発見さえ早ければ助かったと報告しているが、実際には、もう少し早ければ助かったのにという状況に仕組んだ暗殺かもしれないのだ。
とにかく亜空間の出口を捜す方が賢明だろう。
今日行った元の世界ではコンビニだった場所も、明日になれば消えてしまうだろう。
明日はスーパーのある方向に行く事にしよう。
そこは明後日には消えてしまうと思った時、オレは亜空間の出口がどこにあるかを思い付いた。
昨日と今日を比べると、二キロほどあった街がだいたい半径百五十メートルほど縮小していたのだ。
つまり、この街は一日半径百五十メートルほど縮小している計算になるのだ。
そこの消滅していく部分が怪しい。
(もしもオレが時間と共に消滅していく亜空間で、他人から出入り口を隠したい場合、この一日に消える部分に出入り口を隠すはずだ。
しかも円形で七日だから、街を六つに区切って時計回りに配置する。
これが一番分かり易いし、自分でも分かりにくくならない。
後は、街の中心と最初に出口を指定した場所を特定できたら抜け出す事が出来る!)
オレはそう考えるがふと重要な事を思い出した。
初日に、一人だけ脱出に成功した人物がいる。そう、シルビアさんだ。
その事を踏まえると、出入り口は徐々に遠ざかるようになっているのだろうか?
「いや、サキュバスはシルビアさんと一緒に寝ていた。
芸術的センスから見ても遠くから近くに来る方がなんとなくしっくり来る。
サキュバスがシルビアさんと一緒に寝ていたのは、間違って連れて来たシルビアさんだけを元の世界に戻すためだろう。
オレと二人きりになってから誘惑し始めたからな」
オレの分析により、この亜空間の出口は遠くから近くに渦巻き状に移動している事が分析できた。
ただし、街の中心地や最初に出口が出現する場所は、まだ見つかっていない。
空を飛ぶ事が出来ず、上空を見渡せないオレに特定することができるのであろうか?
オレは歩きまわって疲れたので、体力温存も兼ねて眠る事にした。
この亜空間に来てから三日目になる明日、なるべく高い所から見渡せる場所に行こうと考えていた。
翌朝になり行動し始めるオレ。
とりあえず一番高い建物を捜そうとして、窓の外を眺めて見た。
どうやらオレの部屋が一番見晴らしの良い場所のようだ。
さすがに、もう少し高い場所へ行きたいと思ったオレは、屋根に上って見る事にした。
さっきよりも一段と高く感じる。
屋根の上にのぼると、街全体が見渡せた。
もうだいぶ街も小さくなり、半分くらいの大きさに感じられる。
街を見渡してみるが、これといって目立つ建物は無い。
まさか、もう消えてしまった場所から選んでいるのだろうか?
街に目印が無いとすると、この家や部屋の中に方向を決める目印があるかもしれない。
方向を決める基本は、屋根の棟を目印にする方法がある。
屋根の棟のどちらかが基準地点になっているはずだ。
屋根の棟の一方側を見ると、赤い夕焼けのような太陽が姿を露わしていた。
屋根に上って、丁度ギリギリ見える位置に配置している。
間違いなく方向を決める目印だ。これにより、亜空間の出口のある場所が推測できた。
三日目に消える場所と、赤い太陽から見て、四時と五時の間くらいの場所だ。
そこの交差した場所に亜空間の出口は存在する!
これがオレの出した結論だった。
本来ならば見えない太陽の位置、街の中心がオレの部屋、この二つの点から見ても間違いないだろう。
オレは元の世界でスーパーのあった場所に行き、食糧と飲み物を手にしてから、目的のある場所に向かった。
オレが予測した場所で元の世界に戻れるのは、あくまでも可能性だ。
しかし、元の世界でスーパーだった場所に食糧と飲み物があるであろうことは、これまでの情報から確実性が高かった。
それに、この亜空間の暑い気温を耐えるには、冷たい食べ物と冷たい飲み物が必須だったのだ。
その事を考慮し、まず食糧と飲み物を優先させたのだ。
その甲斐あってか、オレの体力も回復し、ほとんど衰弱する事もなく行動する事ができた。
暗殺者の殺人空間とはいえ、セキュリティがあまりにも緩い。
これでは楽々に出口が出現するのを待っていることもさほど危険な状況ではないはずだ。
オレはおかしいと感じながらも、自分の推理力や洞察力が優れていたのだろうと解釈していた。
そのため、かなりの期待を持って予測した亜空間の出口へと向かう。
亜空間の出口となっている可能性のある場所を捜すと、古い井戸を見付けた。
他にも怪しい所は無いかと探すが、特に見付かる事は無かった。
古い井戸には水もなく、底が見えないほど深い。
さすがに井戸に直接飛び込むのは怖いので、底が無いかを物を落として確かめる。
もしも底があれば、亜空間の出口の可能性は低い。
木の棒では音が反響しないのではないかと思い、石ころを落とす事にした。
果たして、音は聞こえるのだろうか?
オレがそれなりに大きい石を落とすが、底が無いようで反響する音は聞こえて来なかった。
どうやら、ここが出口のようだ。
それでも飛び降りるのは怖いので、ロープを身体に巻き付けゆっくりと降りる事にする。
(ふっ、たとえどんな罠や誘惑が待っていようと、オレは落ちない!
シルビアさんの真似をした化け物にも屈しなかったオレだ!
他の屑共が落ちようとも、オレが落ちるはずもない。
みんなもオレの力を受け取ってくれ!
丁度受験シーズンだしな!)
布で出来ている家には、ロープなどが使われていたため、それらを集めて来て結びつければ、かなりの長いロープができる。
オレはそのロープを使い、ゆっくりと降りて行った。
結び目が程よい足場となって容易に降りる事ができる。
果たして、無事に元の世界に出る事ができるのだろうか?
さすがに、暗殺者の仕組んだ罠だけあって、そう容易に見付かるものではない。
シルビアさんの手紙を再び見て考える。
こういう推理系は何度も読み直すのが大切なのだ。
別に謎解きの要素もないが、オレはそう考えながら手紙を読み返す。
そういえば、時間が経過するごとに出現場所も変わると教えてくれた。
これはやっかいだ。時間と場所の二つを割り出す必要がある。
しかも、過去にどこへ出現したかの記録もないノ―ヒント状態だ。
闇雲に探しても見付かるはずはない。
オレは捜索を諦め、大人しくシルビアさんが待機している部屋にずっといるようにした方が良いだろうかと考える。
そうは思うが、絶対にその方法で助かるという保証はない。
仮に、予想通り現実の自分の部屋に帰れたとしても、死んでいる場合だって考えられるのだ。
シルビアさんは、三件目に発生した日本の事件が被害者の発見さえ早ければ助かったと報告しているが、実際には、もう少し早ければ助かったのにという状況に仕組んだ暗殺かもしれないのだ。
とにかく亜空間の出口を捜す方が賢明だろう。
今日行った元の世界ではコンビニだった場所も、明日になれば消えてしまうだろう。
明日はスーパーのある方向に行く事にしよう。
そこは明後日には消えてしまうと思った時、オレは亜空間の出口がどこにあるかを思い付いた。
昨日と今日を比べると、二キロほどあった街がだいたい半径百五十メートルほど縮小していたのだ。
つまり、この街は一日半径百五十メートルほど縮小している計算になるのだ。
そこの消滅していく部分が怪しい。
(もしもオレが時間と共に消滅していく亜空間で、他人から出入り口を隠したい場合、この一日に消える部分に出入り口を隠すはずだ。
しかも円形で七日だから、街を六つに区切って時計回りに配置する。
これが一番分かり易いし、自分でも分かりにくくならない。
後は、街の中心と最初に出口を指定した場所を特定できたら抜け出す事が出来る!)
オレはそう考えるがふと重要な事を思い出した。
初日に、一人だけ脱出に成功した人物がいる。そう、シルビアさんだ。
その事を踏まえると、出入り口は徐々に遠ざかるようになっているのだろうか?
「いや、サキュバスはシルビアさんと一緒に寝ていた。
芸術的センスから見ても遠くから近くに来る方がなんとなくしっくり来る。
サキュバスがシルビアさんと一緒に寝ていたのは、間違って連れて来たシルビアさんだけを元の世界に戻すためだろう。
オレと二人きりになってから誘惑し始めたからな」
オレの分析により、この亜空間の出口は遠くから近くに渦巻き状に移動している事が分析できた。
ただし、街の中心地や最初に出口が出現する場所は、まだ見つかっていない。
空を飛ぶ事が出来ず、上空を見渡せないオレに特定することができるのであろうか?
オレは歩きまわって疲れたので、体力温存も兼ねて眠る事にした。
この亜空間に来てから三日目になる明日、なるべく高い所から見渡せる場所に行こうと考えていた。
翌朝になり行動し始めるオレ。
とりあえず一番高い建物を捜そうとして、窓の外を眺めて見た。
どうやらオレの部屋が一番見晴らしの良い場所のようだ。
さすがに、もう少し高い場所へ行きたいと思ったオレは、屋根に上って見る事にした。
さっきよりも一段と高く感じる。
屋根の上にのぼると、街全体が見渡せた。
もうだいぶ街も小さくなり、半分くらいの大きさに感じられる。
街を見渡してみるが、これといって目立つ建物は無い。
まさか、もう消えてしまった場所から選んでいるのだろうか?
街に目印が無いとすると、この家や部屋の中に方向を決める目印があるかもしれない。
方向を決める基本は、屋根の棟を目印にする方法がある。
屋根の棟のどちらかが基準地点になっているはずだ。
屋根の棟の一方側を見ると、赤い夕焼けのような太陽が姿を露わしていた。
屋根に上って、丁度ギリギリ見える位置に配置している。
間違いなく方向を決める目印だ。これにより、亜空間の出口のある場所が推測できた。
三日目に消える場所と、赤い太陽から見て、四時と五時の間くらいの場所だ。
そこの交差した場所に亜空間の出口は存在する!
これがオレの出した結論だった。
本来ならば見えない太陽の位置、街の中心がオレの部屋、この二つの点から見ても間違いないだろう。
オレは元の世界でスーパーのあった場所に行き、食糧と飲み物を手にしてから、目的のある場所に向かった。
オレが予測した場所で元の世界に戻れるのは、あくまでも可能性だ。
しかし、元の世界でスーパーだった場所に食糧と飲み物があるであろうことは、これまでの情報から確実性が高かった。
それに、この亜空間の暑い気温を耐えるには、冷たい食べ物と冷たい飲み物が必須だったのだ。
その事を考慮し、まず食糧と飲み物を優先させたのだ。
その甲斐あってか、オレの体力も回復し、ほとんど衰弱する事もなく行動する事ができた。
暗殺者の殺人空間とはいえ、セキュリティがあまりにも緩い。
これでは楽々に出口が出現するのを待っていることもさほど危険な状況ではないはずだ。
オレはおかしいと感じながらも、自分の推理力や洞察力が優れていたのだろうと解釈していた。
そのため、かなりの期待を持って予測した亜空間の出口へと向かう。
亜空間の出口となっている可能性のある場所を捜すと、古い井戸を見付けた。
他にも怪しい所は無いかと探すが、特に見付かる事は無かった。
古い井戸には水もなく、底が見えないほど深い。
さすがに井戸に直接飛び込むのは怖いので、底が無いかを物を落として確かめる。
もしも底があれば、亜空間の出口の可能性は低い。
木の棒では音が反響しないのではないかと思い、石ころを落とす事にした。
果たして、音は聞こえるのだろうか?
オレがそれなりに大きい石を落とすが、底が無いようで反響する音は聞こえて来なかった。
どうやら、ここが出口のようだ。
それでも飛び降りるのは怖いので、ロープを身体に巻き付けゆっくりと降りる事にする。
(ふっ、たとえどんな罠や誘惑が待っていようと、オレは落ちない!
シルビアさんの真似をした化け物にも屈しなかったオレだ!
他の屑共が落ちようとも、オレが落ちるはずもない。
みんなもオレの力を受け取ってくれ!
丁度受験シーズンだしな!)
布で出来ている家には、ロープなどが使われていたため、それらを集めて来て結びつければ、かなりの長いロープができる。
オレはそのロープを使い、ゆっくりと降りて行った。
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