【オススメネット小説】秘められた異次元( シークレットディメンション) ムッツリスケベは異世界を救う!?

猫パンチ

文字の大きさ
52 / 302
第二章 クラン街の悪夢

第二章のエピローグ バルベロの策略の真相

しおりを挟む
 オレは部屋に入り、握り拳を作って、バルベロにゆっくり近づいて行く。
オレの攻撃範囲までもう少しだという時、部屋の中にシルビアさんもいる事を確認した。
バルベロに意識が集中していたが、部屋の中には他にも、嵐山やキーリアがいた。

さすがに、自分の奥さんがいる前で、女子高生の顔を殴るわけにはいかない。
たとえ相手が悪くても、男が女性に手を上げるのはいけない事なのだ。
たとえ機械のアンドロイドだとしても……。

その憎いバルベロが語り出した。
顔が笑顔であり、オレの心の中を見透かしているようだった。
いつもの笑顔が、醜悪な表情になっている気がする。

「マモル、どうやら怒っているようですね。
でも、私の身体は超合金でできているので、殴った場合はあなたの拳がいかれますよ。
まずは大人しく私の話を聞いてください」

そう淡々と語るバルベロに対し、オレの怒りは更に増していく。
オレは微笑んで近づき、優しくバルベロの肩を掴んだ。

オレの態度が読み取れないのか、それとも身体が頑丈なので油断したのか、バルベロは無防備にオレが近付くのを許した。
甘いぞ、バルベロ。

たとえ外側は鋼鉄だとしても、内側は何でできているか分からないが弱いはずだ。
オレはバルベロの肩をゆすって、怒りを発散させた。
バルベロも思わぬ攻撃により、ダメージを受けているようだ。

「キャアアア、止めて! 精密機械だから振動は苦手なのよ。お願い、許して!」

五分ほどゆすってやった。
さすがに高性能アンドロイドだから壊れる心配はないが、誤作動が起きているらしい。

人間で言う所のめまいのようなモノか。
調子が戻ったバルベロは言う。

「もう、女の子をゆするなんて最低よ!」

オレは更に精神的にゆすって給料をせびる気だぜ、と心の中でつぶやいていた。
オレは今回の真犯人を追い詰める。

「バルベロ、お前が今回の事件の真犯人だったんだな。
どうしてオレを暗殺しようとしたんだ?」

バルベロは悪びれた様子も無く言い切った。

「この暗殺は、あなたが異次元世界の魔物から自分を守れるかを試したのよ。
異次元の守護者として、最低限自分の身くらいは守ってもらわないといけないから。

いくら私の情報操作で異次元の無能力者になるといっても、本人の実力が無いんじゃ、救出も補助も出来ないからね。
それで知り合いのコスプレ仲間のクランを雇ったというわけよ。

異次元の亜空間を使って暗殺できるし、暗殺方法も弱いからね。
試験としては最適だったというわけ。

まさか、三日足らずで脱出できるとは思わなかったけどね。
十分合格ラインよ! 異次元空間や異世界で問題になった時は任せるわよ!」

「じゃあ、もしオレが死んだ場合は?」

「もちろん、異次元の守護者の資格無しってことでそのまま死んでもらうわ。
本当の無能を雇っておくほど日本政府は甘くないのよ」

「このやろ……」

今日最大限の振動をバルベロに与えてやった。

「ああん、ダメ……。そんなにゆすっちゃ、おかしくなっちゃう……」

バルベロは変な声を出し、膝をついて崩れ落ちた。

さすがのオレもバルベロの声と人間の発作のようなビクビクとした痙攣にびっくりし、それ以上は何もできなかった。
しばらくするとバルベロは意識を取り戻したが、様子がおかしい。

「もう……、体に振動を与えると、人間で言う所の快感が働いちゃう設定だったみたい……。
快感モードの設定を変更するか、もう少し改良してもらわないとダメね……」

バルベロは身体をもじもじさせてそう言った。
いくら人間に近付けたいからといっても限度ってものがあるだろと思いつつ、顔を赤くするバルベロを黙って見ていた。

なんか気不味い空気が流れる。
これ以上は静かにさせてやろうと思っていると、空気を読まずにサキュバスのクランがバルベロに報酬を要求して来た。

いったいオレの命はいくらぐらいだったのだろうか? 
未遂とはいえ、目的は果たせた。
かなりの額の報酬のはずだ。

「目的は果たせたようだし、私に例の物を渡してもらうわ。良いわよね?」

「ああ、クランの要求はコスプレ喫茶だったわね……あ。良いわよ……ん。
ギンロウに連絡を取って、遊園地の喫茶店をあなたの所有物にしておくわ……あ。
私がお金を出しているスポンサーだし、余裕よ、余裕……あん、ダメ……。

(突然の案内説明音)

快感モードの変更を設定しています。
振動による快感設定から、接触による快感設定にしています。

しばらくお持ちください。
変更完了です。

(通常のバルベロの声に戻る)

更に、異次元ゲートを使用する事により、異世界のアルスター王国にいながら、この世界でも営業が可能というスペシャル付きよ! 
私の用意した設備を存分に使って、ガンガン稼いで頂戴ね!」

「うう、ようやく暗殺家業から解放される。
これで、こんな汚れた仕事ともおさらばね。
ありがとう、マモル。

最後に、私の暗殺を阻止してくれてありがとう。
もう、この仕事に未練はないわ!」

クランは感激のあまりオレの手を握る。小さく可愛い女の子の手だった。
これ以上、クランを暗殺仕事に染めさせてはいけない。

それを綺麗に終わらせただけでも良かったとしておこうか。
オレはそう思い、クランにエールを送った。

「ああ、頑張って、すごい店にしろよ!」

「ふふ、仕事が無くなったら、バイトさせてあげるよ。いつでも連絡してね」

こうして、オレは異次元の守護者となり、この事件は幕を閉じた。
別れ際に、クランは思い出したように尋ねる。

「あ、そういえばお前は、何を思ってあの布の家と木の家の世界にしたんだ? 
普通の奴らは、豪華な家や高級ホテルを望んでいたというのに、お前だけはあんな質素な家だったんだけど……」

「何の事だ?」

「ああ、すまない。
私の亜空間は、お前の記憶を元にして作られているのだが、今まで見たこともない世界だったので気になってしまって……。
心当たりが無いのなら別に良いんだが……」

「うーん、希望の家か……。
おそらくイメージできなかったんだろうな。

オレの幸福は、シルビアさんと一緒にいる事だから、物は大して必要ないんだよ。
それが違いじゃないのかな」

「なるほど。確かに、今までの奴らは強欲だったな。その差だったというわけか」

「でも、テントの様な家は考えてないんだけどな。
結果として、その家のおかげで助かったんだけど……」

すると、シルビアさんが話に割り込んで来た。
どうやら、テントの様な家のイメージはシルビアさんが原因らしい。

「あはははは。実は、いつもお城暮らしで、テントの生活にあこがれていたんですよ! 
みんなでキャンプしながら、テント生活。
一度くらい体験してみたいのです!」

「シルビアさんだったのか。
オレが亜空間から助かった要因の一つだな。
妻の内助の功という奴だな!」

その後、オレとシルビアさんはキャンプを計画しテントで寝る事をしたが、蚊が凄過ぎて一晩で寝るのを止めにした。

みんなも、蚊と女性関係には注意してね。
油断していると、背後からグサッと刺されて死ぬかもしれないからね! 
蚊は病気を運ぶし、女性は文字通りに刺して来るからね!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

最後の女

蒲公英
恋愛
若すぎる妻を娶ったおっさんと、おっさんに嫁いだ若すぎる妻。夫婦らしくなるまでを、あれこれと。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...