【オススメネット小説】秘められた異次元( シークレットディメンション) ムッツリスケベは異世界を救う!?

猫パンチ

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第三章 七人の赤い悪魔

第三章のプロローグ

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秋の十月も終わろうという頃、オレとシルビアさんはバルベロに呼ばれ、異世界の仲間数人とパーティを楽しんでいた。

バルベロはオレに新しい住まいを与えてくれ、医療方面でもかなり信頼できる高級住まいだ。
どうしてそんなものが必要かというと、オレも家族という大切な者を背負う事になるからだ。

今はシルビアさんだけだが、後数カ月もすればもう一人できるようになる。
そう、シルビアさんのお腹の中で、男の子が元気に育っているそうだ。

気付いたのはつい最近、引っ越しを終えて健康診断をした時に妊娠している事に気付いた。
家族ができるとなると、仕事もして良い父親にならなければな、と感じる。
オレの肩に家族の幸福がかかっているのだ。

実際には、日本政府に養ってもらっている事になるのだが、感覚的にはオレが家族を養っているのだ。
そう思うと、仕事をしようという意欲も沸いて来る。

とはいえ、今はパーティの最中だ。
仕事の事はそれなりにして楽しまないとな。
 
十月の終わり頃のパーティというと、ハロウィンを思い浮かべるが、今日のパーティはそんな仮装はしていない。
バルベロが一人でクリスマスのような赤い服を着てはしゃいでいるだけだ。
実際、何のパーティかすら分からない。

突然呼ばれて、家が近いから来ただけだ。
バルベロの紹介した家は、バルベロのいる日本科学研究所の内部の一室のため、バルベロとは近所付き合いの関係になっていた。

バルベロは外に出る事ができないが、オレ達は普通に生活できる。パーティの主旨が気になったオレはバルベロに訊く事にした。
さまざまな宗教の情報も知り尽くしているバルベロだが、どんな理由でパーティするのだろうか?

 オレはバルベロに尋ねる。

「おい、今日はなんでパーティするんだ? 
お前の格好はハロウィンでもないし、クリスマスまではまだかなりの時間があるんだが……」

「あー、はいはい。
まあ、私は名前からしてキリスト教徒なんだけど、キリスト教最大のカトリックが聖書を知らないからね。
そういう誤解を受けるのも仕方ないね。

 実は、ハロウィンはケルト人のお祭りでキリスト教には関係ないんです。
実際に、ハロウィンでは魔女のコスプレとかしていて、魔女狩りどこ行ったって感じですよね。
カトリックが信者獲得のために、他の宗教を取り入れることになったのが原因です。

まあ、参加する参加しないは個人の自由ですけどね。
私的にはこの日を乗っ取って、日本のコスプレ大会にしたいとか考えているんですけどね。

 クリスマスも同じですね。
実際に、キリストが生まれたのは十月くらいですけど、カトリックがまた別の宗教を取り入れたので、十二月二十五日がキリストの誕生日とされているんです。

まあ、商業的に経済が操り易いという理由から、今後は私が乗っ取ろうと計画していますけど……。
真実さえ知らせる事ができれば、大衆を操るなんてどうにでも出来ますから。

 今日、私がパーティを開いた理由は、キリストの誕生日とかぶっているかもしれない私の記念日だからですよ。
私、この日にバプテスマを受けたんです。
それで記念してもらおうとしてみんなを呼んだんです。

ちなみに、クリスマスのコスプレは、やはり女性が来て欲しいランキング上位のコスプレのため、別の形にして取っておきたいと考えたんです。

ほら、赤色は性欲を刺激するというじゃないですか。
だから、少子化対策にも最適のコスプレなんですよ。
こんな格好で美女が出迎えてくれたら、そりゃパーティですよ!」

「うむ。その意見には賛成する。
サンタのプレゼントって、子供にあげるんじゃなくて、子供自身が親へのプレゼントだったんだな!」

「まあ、サンタクロース自身は、有名コーラ会社が作り出したイメージキャラクターですけどね。
赤と白と言えば分かりますよね?」

「どうでも良いけどね」

「まあ、一番重要なのはケーキですよ。
女の子って、数カ月に一度はケーキをむさぼり食いたくなる時期があるんです。
その時期に、みんなの前でオープンに食べれる日がどうしても必要なんです。

ほら、一人でケーキを食べても虚しいだけだし、食べ過ぎて太っても困りますからね。
みんなでワイワイ楽しい雰囲気で食べ、適量で我慢できる。
それがパーティを開く理由の全てです!」

「機械のくせになんて乙女チックなんだ……」

 パーティも進み中盤になった頃、オレは仕事の話をする。
やはり働く男としては、仕事の話は外せない。

「最近、どうだよ。異世界とかでトラブルとかないのか?」

バルベロはケーキを食べつつ語る。

「そういえば、一ヶ月前くらいに剣王アルシャードが行方不明ですかね。
死んでる可能性も否定はできませんが、そんなに大事は起きていませんよ。
ご心配なくパーティーをお楽しみください!」

そう冷酷に語るバルベロにオレは突っ込みを入れる。

「いや、問題あったよ! 
アルシャードがオレの代わりに、魔物に襲われたのかもしれないってことだろ?」

「そうですね。
あなたを異次元の無能力者に仕立てて、アルシャードを英雄にしたのでそうかもしれません。

でも、そのためにあなたを異次元の無能力者にしたんで良いじゃないですか。
予想していた事が、その予想通りに起きた。
慌てる理由も、怯える理由もありませんよ。

敵も危険人物を葬り去ったと思って、満足しているでしょう。
無能だったアルシャードも役目を無事に果たし終えて本望でしょう」

「いや、調査くらいはしないと……。
本当に魔物に襲われたかもしれないし、実は怪我して動けないとかかもしれないし……」

「でも、一ヶ月経ってしまいましたし、死んでいるかも……。
白骨死体になっていたら、特定は困難かもしれませんよ」

「だから、オレが調査しに行くんだろ?
歯型とか、DNA鑑定すれば、本人確認もできるし……」

バルベロはオレを真剣に見て言う。

「良いんですか? 
子供が生まれる前に危険地帯に行くなんて、死亡ブラフじゃないですか? 
魔物に襲われてゲームオーバーかもしれませんよ?

死ぬ直前になって、オレの子供を一度でいいから抱いてやりたかった。
せめて、名前だけでも伝えてくれ、と地面に子供の名前を書いて死ぬかも……」

「うーん、やっぱり止めようかな……」

確かに、アルシャードには恩がある。
オレの代わりに魔物を引き付けてもらっているおかげで、オレは異次元の無能力者として伸び伸び生活できる。

もしもオレが異次元を利用している魔物に存在を知られてしまえば、毎日ゴロゴロするような生活は送れないだろう。

盾になってくれる換わりに、アルシャードが困難に遭遇した時は助けるのが義理というモノだ。
しかし、本当に魔物に襲われたのか分からない上に、一ヶ月も経ってしまっている。

助けに行ったとしても、もう死んでしまっている可能性も高い。
オレは迷ってしまった。やはり命は欲しいからね。
普段は拒否するオレだが、今回は有頂天になっていたのもあって間違った決定をしてしまったようだ。

今回の事件を経験して、オレはみんなに警告する。
普段はしないような事を決してしてはいけない。
それが誰も知らない魔物の仕組んだ罠なのだから……。
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