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第三章 七人の赤い悪魔
第49話 頼れるメンバー達
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オレが剣王アルシャードを助けに行こうかを迷っていると、他のメンバーも話に参加して来る。
実力的にはかなりのメンバーが揃っていた。
彼らは全員頼もしく、こう言う。
「我々も捜索に協力するぞ!」
どいつもリーダーや王女といった実力者ぞろいの連中がそういうのだ。
オレは頼もしく感じ始めていた。
オレと同じナイフを武器として使いこなし、戦闘経験も豊富な元軍人の嵐山火焔(あらしやまかえん)。
光魔法を駆使し、鉄壁のバリアを持っているアルスター王国の現役王女キーリア。
怪力と巨体を武器にし、アルスター王国最強の力を誇る鬼オーガ(孤児だから名前は無い)。
火炎系の魔法を中心に、多彩な魔法を使えるエルフ族元リーダーのアビナ。
ちなみに、オレの妻のシルビアさんはキーリアの姉になり、キーリアはオレの義妹という事になっていた。
姿かたちも似ているが、キーリアは十三歳、シルビアさんは二十一歳で、八歳ほどの差があった。
いつもはオレとシルビアさんが一緒なのだが、今回は違う。
シルビアさんが妊娠しているため、シルビアさんは安静にしていなければならないのだ。
妊婦さんは使用する薬の制限やお酒の摂取などを控える必要がある。
その上、振動や衝撃などに気を付けなければならない。
みんなも電車やバスの中などで妊婦さんを見かけた時は、気を使って席を譲ってあげよう。
明らかに太っているだけの人でも、動き難いのは同じだ。
そういう時も、妊婦さんだと勘違いしたつもりで席を譲ってあげよう。
転がった場合は、他の客が命取りになるかもしれないからね。
「シルビアお姉さまは、今回は無理ね。替わりに私がマモルを助けるわ!」
キーリアは気を利かせこう言った。
それに続き、他のメンバーもオレに付いて来て助けてくれるという。
このメンバーならば、事件解決は楽そうに感じる。
アルシャードが行方不明になった場所へ捜査に行くだけなのだ。
オレも他もメンバーも安心しきっていたが、それが後々に大事へと発展していくのだ。
その時は知る由もないオレ達は、ピクニックに行くような気分で捜索に乗り出す。
アルシャードが行方不明になった地点というのは、アルスター王国の南部に位置する危険な場所『迷いの森』だ。
なんでも、木が二十本しかないのに、一度入るとなかなか外へ抜け出せないといういわくつきの場所。
木はまだらに配置してあり、一見すると迷いそうにはないという場所だ。
地元の人は近付かないという事だが、アルシャードはその場所を知らなかったため、うっかり入り迷い込んでしまったというのがバルベロの推理だった。
確かに、魔物に襲われた可能性は低い。
しかし、こういう事故を処理するのも、異次元の守護者の仕事の内だ。
子供ができて、仕事をしたいという意欲の沸いて来たオレはそう言って、わずらわしい事件に遭遇してしまうのだ。
普段はさぼってばかりいるのにね。
オレ達五人は各自準備をし、翌日に迷いの森周辺で待ち合わせる事にした。
オレは普段通り、使いなれたナイフを装備して向かう事にする。
やはり命がけの戦いに備えて、普段使い慣れた物を使うのは戦闘の基本だ。
さて、他のメンバーはどんな武器を用意して来るのだろうか?
最初にやって来たキーリアと嵐山は得意そうにこう言って、オレに武器を見せて来た。
「どう、この槍、すごいでしょ? 私専用に作ってもらった特別製よ!
今回は魔物の仕業じゃないらしいし、ただの捜索でしょ?
訓練のためにこの槍を使おうと思ってね」
キーリアは槍を構え、空中を突こうとする。
脚が小刻みにプルプルし、かなり無理しているのが分かる。
槍を見ると、確かに軽量で扱いやすい武器なのは分かる。
鉄製だが、女性に扱える武器らしい。
しかし、キーリアにはまだ無理だろう。
空中を突くのがやっとのようだ。
活躍はあまり期待できない。
嵐山火焔の方も、最近手に入れたという剣を持って来た。
訓練された元軍人だから剣もそれなりに扱えるようだが、得意のナイフほどではない。
戦闘力としてはいまいちというところだろう。
しかし、本人は気にすることもなく剣を振り回し続けていた。
玩具を手に入れた子供か。期待していただけに、オレの精神的ショックはでかい。
まあ、何事もなければ問題ないのだが……。
ちょっと遅れて来たのがオーガとアビナだった。
それも仕方ない。食糧はシルビアさんが来ない今、アビナの腕にかかっているのだ。
少しくらい遅れてもいい。美味しいお弁当を用意してくれているのならな!
オレの予測通り、アビナは美味しそうな弁当を作って来てくれた。
前述していないが、キーリアも槍のほかに弁当を持って来たのだ。
とても破壊力のある毒の弁当を……。
魔物に食わせれば、たちどころに立ち去る素晴らしい弁当だ。
オレ達には食えないが、状況に応じて使い分けていくのが冒険というモノだ。
アビナは弁当の他にも、弓矢を装備していた。
エルフというだけあって、弓矢もかなり似合う。ファッション的には合格だ。
弓矢があれば、戦闘もかなり楽になるだろう。毒を仕込めば、一撃必殺の武器になる。
オレは気になって訊いてみた。
「弓矢を使って、何年くらいになるんだ?」
「いや、私は魔法専門だったからね。弓矢は最近覚えようと思って練習し始めたんだ。
私が練習する時は近くに来ないでね。どこに飛んで行くか分からないから……」
決して、オレの近くで撃たないでくれと思った。
背後からの味方の攻撃ほど恐ろしい者は無い。
お前の弁当と魔法は期待しているから、弓矢は捨ててくれと無言で願っていた。
最後にオーガだ。自分の扱いやすいサイズの棍棒を持って来た。
力一杯殴れば、どんな魔物もイチコロだろう。
雑魚だと思っていたが、一番期待できるし信頼できる。
この素晴らしいメンバーで迷いの森を捜索する事になった。
行方不明の剣王は見付かるのだろうか?
実力的にはかなりのメンバーが揃っていた。
彼らは全員頼もしく、こう言う。
「我々も捜索に協力するぞ!」
どいつもリーダーや王女といった実力者ぞろいの連中がそういうのだ。
オレは頼もしく感じ始めていた。
オレと同じナイフを武器として使いこなし、戦闘経験も豊富な元軍人の嵐山火焔(あらしやまかえん)。
光魔法を駆使し、鉄壁のバリアを持っているアルスター王国の現役王女キーリア。
怪力と巨体を武器にし、アルスター王国最強の力を誇る鬼オーガ(孤児だから名前は無い)。
火炎系の魔法を中心に、多彩な魔法を使えるエルフ族元リーダーのアビナ。
ちなみに、オレの妻のシルビアさんはキーリアの姉になり、キーリアはオレの義妹という事になっていた。
姿かたちも似ているが、キーリアは十三歳、シルビアさんは二十一歳で、八歳ほどの差があった。
いつもはオレとシルビアさんが一緒なのだが、今回は違う。
シルビアさんが妊娠しているため、シルビアさんは安静にしていなければならないのだ。
妊婦さんは使用する薬の制限やお酒の摂取などを控える必要がある。
その上、振動や衝撃などに気を付けなければならない。
みんなも電車やバスの中などで妊婦さんを見かけた時は、気を使って席を譲ってあげよう。
明らかに太っているだけの人でも、動き難いのは同じだ。
そういう時も、妊婦さんだと勘違いしたつもりで席を譲ってあげよう。
転がった場合は、他の客が命取りになるかもしれないからね。
「シルビアお姉さまは、今回は無理ね。替わりに私がマモルを助けるわ!」
キーリアは気を利かせこう言った。
それに続き、他のメンバーもオレに付いて来て助けてくれるという。
このメンバーならば、事件解決は楽そうに感じる。
アルシャードが行方不明になった場所へ捜査に行くだけなのだ。
オレも他もメンバーも安心しきっていたが、それが後々に大事へと発展していくのだ。
その時は知る由もないオレ達は、ピクニックに行くような気分で捜索に乗り出す。
アルシャードが行方不明になった地点というのは、アルスター王国の南部に位置する危険な場所『迷いの森』だ。
なんでも、木が二十本しかないのに、一度入るとなかなか外へ抜け出せないといういわくつきの場所。
木はまだらに配置してあり、一見すると迷いそうにはないという場所だ。
地元の人は近付かないという事だが、アルシャードはその場所を知らなかったため、うっかり入り迷い込んでしまったというのがバルベロの推理だった。
確かに、魔物に襲われた可能性は低い。
しかし、こういう事故を処理するのも、異次元の守護者の仕事の内だ。
子供ができて、仕事をしたいという意欲の沸いて来たオレはそう言って、わずらわしい事件に遭遇してしまうのだ。
普段はさぼってばかりいるのにね。
オレ達五人は各自準備をし、翌日に迷いの森周辺で待ち合わせる事にした。
オレは普段通り、使いなれたナイフを装備して向かう事にする。
やはり命がけの戦いに備えて、普段使い慣れた物を使うのは戦闘の基本だ。
さて、他のメンバーはどんな武器を用意して来るのだろうか?
最初にやって来たキーリアと嵐山は得意そうにこう言って、オレに武器を見せて来た。
「どう、この槍、すごいでしょ? 私専用に作ってもらった特別製よ!
今回は魔物の仕業じゃないらしいし、ただの捜索でしょ?
訓練のためにこの槍を使おうと思ってね」
キーリアは槍を構え、空中を突こうとする。
脚が小刻みにプルプルし、かなり無理しているのが分かる。
槍を見ると、確かに軽量で扱いやすい武器なのは分かる。
鉄製だが、女性に扱える武器らしい。
しかし、キーリアにはまだ無理だろう。
空中を突くのがやっとのようだ。
活躍はあまり期待できない。
嵐山火焔の方も、最近手に入れたという剣を持って来た。
訓練された元軍人だから剣もそれなりに扱えるようだが、得意のナイフほどではない。
戦闘力としてはいまいちというところだろう。
しかし、本人は気にすることもなく剣を振り回し続けていた。
玩具を手に入れた子供か。期待していただけに、オレの精神的ショックはでかい。
まあ、何事もなければ問題ないのだが……。
ちょっと遅れて来たのがオーガとアビナだった。
それも仕方ない。食糧はシルビアさんが来ない今、アビナの腕にかかっているのだ。
少しくらい遅れてもいい。美味しいお弁当を用意してくれているのならな!
オレの予測通り、アビナは美味しそうな弁当を作って来てくれた。
前述していないが、キーリアも槍のほかに弁当を持って来たのだ。
とても破壊力のある毒の弁当を……。
魔物に食わせれば、たちどころに立ち去る素晴らしい弁当だ。
オレ達には食えないが、状況に応じて使い分けていくのが冒険というモノだ。
アビナは弁当の他にも、弓矢を装備していた。
エルフというだけあって、弓矢もかなり似合う。ファッション的には合格だ。
弓矢があれば、戦闘もかなり楽になるだろう。毒を仕込めば、一撃必殺の武器になる。
オレは気になって訊いてみた。
「弓矢を使って、何年くらいになるんだ?」
「いや、私は魔法専門だったからね。弓矢は最近覚えようと思って練習し始めたんだ。
私が練習する時は近くに来ないでね。どこに飛んで行くか分からないから……」
決して、オレの近くで撃たないでくれと思った。
背後からの味方の攻撃ほど恐ろしい者は無い。
お前の弁当と魔法は期待しているから、弓矢は捨ててくれと無言で願っていた。
最後にオーガだ。自分の扱いやすいサイズの棍棒を持って来た。
力一杯殴れば、どんな魔物もイチコロだろう。
雑魚だと思っていたが、一番期待できるし信頼できる。
この素晴らしいメンバーで迷いの森を捜索する事になった。
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