【オススメネット小説】秘められた異次元( シークレットディメンション) ムッツリスケベは異世界を救う!?

猫パンチ

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第四章 白と黒の遭遇

第76話 持久戦・精神力の戦い

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 シルビアさんは、鉄となって防御力が強化している黒沢エレンを、徐々に酸化させる攻撃で追い詰めていた。
氷のナイフと風魔法による突風で強制的に防御をさせつつ、徐々に身体を削り取って行く。

オレは、山口美香を倒した時と同じように、エレンも倒せると思っていた。
しかし、黒沢エレンが諦めの微笑を浮かべたと思った瞬間、突風と火炎が辺りを包み込んだ。
やはり一筋縄ではいかない敵の様だ。

「やるわね。でも、その攻撃では私を倒す事は出来ないわ。
氷を上回る炎を出せば、酸化による強化も加わって、地獄の業火とかしてあなた達を攻撃するのよ♡」

黒沢エレンの言う通り、シルビアさんの氷魔法を全て消し去るかのような熱風がオレ達を攻撃する。
シルビアさんが吹雪で攻撃しなければ、オレも焼け死んでいただろう。
剣による戦闘は、氷のナイフを使い、数で圧倒していたものの、火炎攻撃でまた拮抗状態に戻されたのだ。

「確かに、氷魔法は応用が利いて厄介ね。
なら、持久戦勝負と行きましょうか。
私の精神力は、常日頃から異次元空間を使っているし、美貌を保つために使っているから、ほぼ無尽蔵なのよ。
根本的な精神力勝負なら、私が勝つわ! 

異次元のカフェ店だって自分の力で作り出しているし、この二十代の見た目を保つのだって精神力を使って作られている。
いつも自分を極限状態に置く事で、精神力を鍛えていたのよ。
どっかのお姫様とは違うのよ」

黒沢エレンは、炎の剣を使い、火炎攻撃を仕掛けて来た。
火炎放射機の様な激しい攻撃がシルビアさんを襲う。
対抗するには、全力の氷魔法で押し返すしかない状況だった。
オレがいる中間は、中和されて温度が温かいくらいになっていた。

このままの状態が続けば、脱水状態で熱中症になってしまうだろう。
オレはやはりシルビアさんを応援する。
早い所勝ってもらわなければ、オレの命さえも危うい。
激しい攻防戦が数時間続いていた。

「やるわねえ……。でも、そろそろ限界じゃないの? 
諦めて降参しなさい。そうすれば命までは取らないわ!」

「嫌ですよ。まだまだ限界じゃありませんからね。
私だって、水魔法でお肌の潤いを保っていたり、風魔法で酸化を防止していたり、料理を作る時なんかにも氷魔法を使っているんですよ。

アイスケーキとかも得意料理ですしね。
なんならケーキ対決と行きますか? 
料理の腕でも負けませんよ!」

「ほーう、良い提案ね。
でも、作者はそれほどケーキの知識があるわけじゃないのよ。
ただ好きなだけ。

しょぼいケーキ対決になっても良いの? 
その事も考えなさい!」

「えーと、ネットで拾ったケーキの知識でいいのなら使いますけど……」

「まあ、素人レベルから見たらレベルが高いか……。
味は保証しないけどね! 
でも、ここまできたら剣の力技で押し切るわよ。
こっちの方が速いし、確実に勝てるからね!」

「確実に勝てる? 
私をなめないでくださいね。
かれこれ体力勝負に持ち込んで二時間経ちますけど、まだ後一時間くらいは余裕ですから! 
あなたの方がやばいんじゃないですか? 御老体で……」

「ふふふ、さてね……」

余裕の表情に感じられる黒沢エレンだったが、すでに体力が尽き掛けて焦っていた。
シルビアさんと同様に後一時間くらいが限界値だったが、体力勝負で引き分けに終わった場合、かなりのリスクを負うのは彼女の方だからだ。

(まずい! 魔法戦による精神力が尽きた場合、シルビアの方は水分による保湿効果が保てなくなる程度(強制睡眠効果もある)で済むでしょうけど、私は違うわ! 
昔の姿をイメージして再現している能力タイプだから、精神力が尽きた場合、本来の年齢の顔に戻ってしまう。

優に百歳は超えているから、常時魔法美肌効果で肌を守っているとしても、推定四十代の顔になってしまうわ! 
そうなったら生きていけない、キャ! 
割と、マジでやばい!)

黒沢エレンの顔から笑顔が消えた。
一気にシルビアさんとの勝負に決着を付ける気の様だ。
手加減する気もなく、この一撃で勝敗を決する気らしい。

「本気で行くわよ! 殺しちゃうかもね!」

エレンは、剣を鉄に変え、特攻勝負に出る。
自分の身体を炎に変え、ロケットブースターの様にして一気に敵を切り裂く技だった。
シルビアさんは氷魔法を使い、足元から出る巨大な氷柱(つらら)で攻撃したが無駄だった。
巨大な氷柱(つらら)ごとシルビアさんの身体を切り裂き、身体から血が滴り落ちた。

「嘘でしょ……。避け切れなかった」

シルビアさんは血で赤くなった地面に倒れ込む。
意識はあるが、戦う事は出来ない。

「ふー、やるわね。
巨大な氷柱で威力を殺したから、その程度の傷で済んだけど、本来なら胴体が二つに切断されていたわよ。
私の目的はあなた達を殺す事じゃない。
だから手加減していたけど、最後の最後に本気を出しちゃったわね♡」

傷を負ったシルビアさんだったが、氷で傷を塞ぎ、強気の発言をする。
無理して立ち上がってもいた。

「はあ? まだ戦えますけど。あなたの方が精神力の限界じゃないんですか?」

「足がふらついているわよ。バルベロちゃんは返すから付いて来なさい! 例の薬と交換よ」

「はあ? 例の薬? ああ、あの山口美香ちゃんに使った奴か。良いですけど、なんで?」

「どうしても必要なのよ! 手当てしてあげるから来なさいよ!」

「良いですけど、私はまだ負けていません。ケーキ対決を要求します!」

「はいはい、応急処置をしたらそうしますよ。バルベロちゃんもいるし、問題ないでしょう」

 オレはイバラから解放され、シルビアさんと共に屋敷へ案内された。
シルビアさんは、エレンに訊く。

「広い屋敷ですね。お金にも困って無いようですし、何が目的なんですか?」

「この屋敷に住み付いた悪魔を殺して欲しいだけよ。
でも、この薬があれば解決できるわ。
ふふふ、それと日本政府が私達を警戒しているようだから、それを無くして自由に成りたいくらいかな。
まずは、あいつを倒さないとね。『魔術王ヴォルデ』を!」

「はあ? テレビドラマのダークヒーローですよね。
株価でも暴落させた原因なんですか?
フィクションでしょう?」

「それならどんなに良い事か……」

 黒沢エレンは重い表情をして、ある部屋の扉を開ける。
その部屋はミニシアタールームになっているようで、すでに誰かが見ていた。
『魔術王ヴォルデ』を……。

『魔術王ヴォルデ』とは、成人男性から人気を得ているドラマのダークヒーローだ。
不老不死の力を得た破壊科学者(マッドサイエンティスト)・主人公だったが、その代償として肉体の腐敗は止められなくなっていた。

腐敗を止めるには、彼が正義の心を取り戻すほかない。
破壊と狂気に狂い、絶望的な状況と誰もが諦めていた。
彼も、その研究者達も……。

しかし、美しい婚約者の女性との出会いが彼らに希望を与える。
主人公は、婚約者の彼女を愛し始めた。
それと同時に、破壊と狂気と腐敗も止まる。

一時的にではあるが正義の心を持つ事ができたのだ。
でも、それは長続きしない。
果たして、彼は本当の正義の心を手に入れる事ができるのだろうか? 

そういうドラマだった。
ストーリーはまあまあだが、肉体の腐敗が生々しくホラー物に指定されている。
黒沢エレンの旦那さんもそのテレビを見ているようだが、後ろ姿なのでどんな人かは分からない。
黒沢エレンは露骨に嫌そうな顔をして近づいた。

「また、そんな物を見て……」

「ふん、オレが何を見ようと勝手だろ! ここはプライベートルームだ。
君の嫌いな物だが、見なければ良いだけじゃないか!」

「はあ、影響が出ていますよ。身体に……」

「え? うっそ! わあ、なんてカッコいいダークヒーロースタイルなんだ! 
子供のころから憧れているヒーローそっくりじゃないか!」

黒沢エレンのご主人は大のホラー好きだった。
それに影響され、姿形もダークヒーローとなっていた。
黒沢エレンはそれを見つめ、つぶやく。

「あの頃の弘毅さんは、もういないのね……」

黒沢エレンはそう言って、キッチンへ移動した。
確かに、黒沢弘毅は男性に人気のヒーローに変身していたが、エレンには理解できなかった。
なぜそんな腐乱した死体の様な姿が良いのかと……。
エレンは何かを決心したようだった。

「『魔術王ヴォルデ』を消し去らなくてはいけなくなったわ。
たとえ、私の愛する人だとしてもね……」

黒沢エレンは、例の薬を仕込み、黒沢弘毅から不老長寿の薬を消し去ろうと画策していた。
シルビアさんはそれを見てつぶやく。

「え? その薬、異次元の技術を理解している人には、一時的にしか効かないんじゃ? 
たとえ元の姿に戻っても、またおかしなヒーローになってしまいますよ!」

黒沢エレンはその話を聞き、絶望の涙を浮かべる。
どうやら薬の効果は理解してなかったようだ。

「ふふふ、臭いまでね、再現しているの……。
弘毅さんに近付くと、腐敗臭までイメージしているようで近付けない……」

どうやら黒沢弘毅は、コスプレのつもりで『魔術王ヴォルデ』になっている様だが、オリジナルの効果も忠実に再現されていた。
本人は気付いていないが、腐乱した死体のような臭いを発生させていたようだ。
彼自身が医者であり、死体を研究していただけに再現度は恐ろしいほど高い!
シルビアさんも嫌悪感を示す。

「うわ! そりゃあ嫌ですね! そんなのと一緒に街を歩きたくない!」

悲しみにくれるエレンさんだったが、希望の言葉を言う人物が目の前に現れた。

「大丈夫よ! 私とマモルが黒沢弘毅の心をへし折ってあげるから。
私、『魔術王ヴォルデ』が大嫌いなの。実物をボコボコに出来る日が来て嬉しいわ」

バルベロは怖い顔をしてそう言う。そこまでホラーが嫌いなのか!
オレは、冷酷なアンドロイドと化したバルベロと一緒に黒沢弘毅に挑む。
ただのコスプレ好きなだけだが、その影響は近所に多大な迷惑をかけているのだ。
黒沢エレンと近所の平和の為、黒沢弘毅の為にも負けることは許されない!
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