【オススメネット小説】秘められた異次元( シークレットディメンション) ムッツリスケベは異世界を救う!?

猫パンチ

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第四章 白と黒の遭遇

第79話 一瞬の攻防戦! オレに秘められていた次元能力!

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 オレはヴォルデの攻撃をことごとく避けていく。
スピードは確かにあるが、攻撃が直線的な為にかわす事が出来ていた。
いくらスピードが速くても、攻撃が予測できるのなら恐れる事はない。
とはいえ、威力はかなり強く、長期戦になれば危険だった。

オレはカウンターキックやナイフで応戦する。
しかし、水を切っているかのごとく手応えがない。
ダメージは受けていないのだろうか? ヴォルデは自慢げに語る。

「ふははは、確かに強いな! この攻撃が当たらないとは恐れ入る。
しかも、反撃までして来るほどの余裕! なかなかに気に入った。
しかし、俺様をどれほど傷付けても効果はないぞ! 
この程度の傷なら、すぐに再生してしまうからな。

このヴォルデの仮面はオリジナルと全く一緒だ。
この仮面をかぶる事により、俺様はヴォルデ本人と全く違いがない事を教えてやる! 
さて、貴様の弱点の歩く死体(タキシム)も集まって来たようだし、第二弾の攻撃と行くか。次の攻撃範囲はかなり広いぞ。耐えきれるかな?」

ヴォルデの言う通り、歩く死体(タキシム)がオレとヴォルデの周りに集まって来ている。
バルベロとの距離も遠い。オレは臭いを感じたが、何とか耐えていた。
ヴォルデは、身体の一部を炎に変え、ブースターの様に飛び上がる。
そして、こう説明し始めた。
攻撃する前に自分の技を説明するのは、科学者の癖なのであろうか?

「ふん、この歩く死体(タキシム)は、本来貴様に臭いを嗅がせて苦しめるために用意した物ではない。
本当の攻撃方法は、腐敗ガスが溜まった死体ごと相手を爆死させる事にある。
相手は死体の数が集まり身動きは取れず、避ける事さえも不可能だ。
爆発を防ぐ唯一の方法は、何かを盾にして防ぐ事だが、動く骸骨(スケルトン)では盾にはなるまい。
これが俺様の必勝コンボなのだ! じゃあな!」

ヴォルデが空中で火炎攻撃を放つと、歩く死体(タキシム)から出る腐敗ガスに引火し、一気にオレのいる所は爆発した。
灼熱の炎と天を震えさせるような音が鳴り響いた。
爆発した瞬間、三本のナイフでヴォルデを攻撃する。

攻撃は当たったものの、さっきと同じように奴の身体を通り抜け、無情にも地面に落ちた。
動かなくなった骸骨の破片と、土煙だけが激しく舞い散る。
オレは身体ごと消し飛んでいた。
ヴォルデはそれを確認し、勝利の笑みを浮かべる。

「ふっ、どうやら俺様の勝ちの様だな! 圧倒的な実力というのも困ったものだ。
チェス勝負の様な駆け引きも無く、ただの単純作業と化してしまう。
次は、日本政府を壊滅させる事にするか? 
軍人の何人かくらいは、俺様を足止めくらいは出来るだろう。
トンネルを掘る様に、ちょっとずつ進撃していくのも悪くはない」

ヴォルデは土煙が収まると、バルベロに攻撃目標を移した。
バルベロが機械である以上、直接触られ、電気を流されれば勝負が決まってしまう。
ヴォルデは勝ちを確信していた。

バルベロの方に足を一歩進めた時、聞き覚えの声がする。
さっき倒したはずの相手の声が聞こえていた。
幻聴かと判断に迷っていると、よりはっきりと聞こえて来る。

「勝負はまだ付いていないぞ! オレの渾身の一撃を喰らえ!」

そう、オレは生きていた。
多少のダメージを受けていたが、まだ戦う事ができる。
ヴォルデ自身は、オレに殴られて倒されたものの、ダメージはそれほど受けていない。

しかし、なぜ生きているのか分からない為、困惑しているようだ。
爆発の直撃を受けているはずで、身体能力がいくら高くても避けられるはずがなかったからだ。
ヴォルデは殴られつつも冷静に分析をする。
どうやら痛感覚はないようだ。

「うーむ、俺様の攻撃は完璧だった。
歩く死体(タキシム)に囲まれ、避ける事も逃げる事も出来なかったのは間違いない。
なのに無事で俺様を攻撃している。

貴様の最後の攻撃は、三本のナイフを同時に投げて来る攻撃だったな。
まさか、投げたナイフが偶然に正三角形を描いていたのか? 
それならば、異次元のもっとも簡単なゲートは出来る。
しかし、それだけではまだ別の空間に飛ぶ事は出来ないぞ!」

ヴォルデはオレの足元を見て確信する。

「それは、高速で飛ぶナイフか? 
足に付ける事で、ブースターの役目をしたのか? 
まさか、お前本当に……」

驚きを隠せないヴォルデに、オレはこう告げる。
それこそがオレが無事に攻撃を切り抜けた方法だった。

「そう、別の異次元空間に飛んでいたのさ!
別の異次元に飛ぶのに必要な物は三つ。

一つ目は、異次元ゲートとなる正多角形の図形。
二つ目は、高速移動する事の出来る乗り物。
三つ目は、場所を作り出す明確なイメージ。

もしやと思ってやってみたが、上手くいったようだな!」

ヴォルデは微笑し、オレを誉める。

「ふん! 正解だ! 
ナイフを投げ、正三角形を作り出し、高速ナイフで必要なスピードを手に入れたというわけか。
異次元空間を作るのに使ったエネルギーは、俺様の爆発エネルギー。

そのため、爆発の威力が突然弱まったのか。
飛んだ異次元空間はただの白い虚無空間だったのだろうが、咄嗟の判断にしては悪くない! 
エネルギーを使い果たし、自然と元の空間に戻って来たようだな」

ヴォルデは抵抗し、オレの攻撃を防御して立ち上がった。
オレはヴォルデの爆発攻撃を避けたが、戦況自体は大して変っていない。
ヴォルデはそれを再確認させるかのように言う。

「ふん、少しは驚いた。だが、その防御法は一度限りの奇跡技に過ぎない。
いくら技術があるとはいえ、再び同じ事をするのは不可能なはずだ。
ナイフのわずかなずれ、タイミングを謝る、エネルギーを変換できない、どれか一つでも失敗すれば防御は出来ないのだからな。
お前の無駄な足掻きもここまでだ!」

確かにそうだ。
ヴォルデの弱点を見付けなければ、また同じ攻撃を受けてオレは死ぬだろう。
ここで、ヴォルデの弱点を見付ける以外に手がなかった。
ヴォルデがまだ歩く死体(タキシム)を大量に作り出す前に!

 オレはこの異次元空間から逃げ出す事にした。
この場所ではヴォルデが有利過ぎて、オレの戦う余地がない。
バルベロなら空中戦も得意そうだし、時間まで逃げ切れるだろう。

オレはそう判断し、決死の覚悟で逃げる。
おそらく、この異次元空間から逃げられるゲートは教会にあるはずだ。
オレは異次元世界で戦った経験を元にそう判断した。
ヴォルデは、オレの潔い逃げを見て焦り始める。

「くっそ! 異次元から脱出して、俺様の高級AV機器を傷付けるつもりか! 
そうはさせない!」

オレの進路を阻むかのように、教会の周りに歩く死体(タキシム)が集合し、異次元のゲートを守る。
そして、異次元のゲートごと爆発した。
さっきまであった綺麗なキリスト教の教会は、ヴォルデの手により爆発された。
これで、オレもバルベロも、ヴォルデでさえ脱出する事ができなくなった。

「ふははは、教会が異次元のゲートという事に良く気付いたな! 
しかし、これで脱出は不可能となった。
後は、お前らを始末し、蓄電池の電気エネルギーが無くなるのを待てば良い事だ。
時間はあまりないが、貴様らを始末するには十分過ぎる時間だ! 
まずは、邪魔な機械女から始末しておくか?」

ヴォルデは、いつでも倒せる俺を後回しにし、バルベロに狙いを定めた。
確かに、追い駆けっこになった場合、時間がないと心に焦りが生じ、攻撃が単調になってしまう。それでは、空中を飛行するバルベロを捕らえる事ができない。

「こっちに狙いを定めて来たか。でも、どうするつもり? 
歩く死体(タキシム)とあなたの炎による爆発攻撃じゃあ、私を破壊する事は出来ないわよ!」

すると、動く骸骨は、自分の骨の剣をバルベロに向かって投げ始めた。
当たりはしないものの、かなり近くまで追い詰められていた。
バルベロは紙一重で次々と攻撃をかわして行く。
上空から落ちてきた剣は、重力落下によって砕け散り、煙の様になって舞い上がる。
バルベロの周りは、視界が徐々に曇っていた。

「どういうつもり? 仮に、ヒットしてもダメージは低いわよ?」

「ふん! そうだな。
しかし、この動く骸骨(スケルトン)は、対貴様用に準備していた物だ。
こいつの成分は、半分ほど鉄で出来ている。
俺様の電撃技と組み合わせれば、貴様を再起不能にする事くらいは容易だ。
弱点は、貴様よりも上空に飛行しなければいけない事だがな!」

ヴォルデは、ジェット噴射を使い、一気にバルベロの上空を陣取った。

「まずい! マモル、これを受け取って!」

バルベロは、大砲ほどの大きさの物体をオレの方に投げて渡す。
それは、スポンジに包まれた携帯電話だった。
そう、唯一異次元空間の外と連絡を取れる代物だ。
これがなければ、シルビアさんに救援を呼ぶ事もできない。

「ふん! つまらん小細工を……。
携帯電話など何の役にも立たんわ。
喰らえ、骨電気(ボーンエレキ)!」

ヴォルデ絡放たれた電気は、通常の様に一筋の雷になることなく、まるで雷鳴の様に怪しく光った。
そして、雷鳴の音がこだまする。

「くう、しまった。また身動きがとれなくなっちゃった……」

バルベロは外傷こそないが、受け身さえとる事ができずに落下して来た。
声を発する事は出来るが、壊れた電気回路を修復するのに数分かかるようだ。
ヴォルデの攻撃目標は、再びオレに戻る。

土煙をバックにゆっくりと飛ぶ姿は、オレの心に恐怖を与えると同時に、本当のダークヒーローの様なカッコ良さを感じていた。
バルベロを一瞬で倒すほどの奴に、オレ一人で立ち向かわなければならないのだろうか?
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