【オススメネット小説】秘められた異次元( シークレットディメンション) ムッツリスケベは異世界を救う!?

猫パンチ

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第五章 ミノタウロスの地下迷宮

第五話 地下迷宮の情報収集

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 オレ達は家に戻り、必要な道具を持って行くことにした。
戦闘するなら戦闘服に着替える必要があると思い、剣士の服に着替える。
竹刀を使うなら、防具の方が良いのだろうが蒸れるから仕方ない。
三十分ほどして、ゆたかと共に準備を整えた。

「じゃあ、行くか!」

オレはゆたかを見る。
オレの予想では、ゆたかも剣士か、魔女っ子の衣装だと思っていた。
まさか、浴衣で来るとは思わなかった。

「あの、これから戦闘に行くんですけど、お湯に浸かる銭湯じゃないからね。
ゆたかちゃんは、何で浴衣なの? 着替えて来て!」

ゆたかは一瞬止まって、浴衣をめくり上げてこう語り出した。

「ノーパンだから……」

そう言って武器の包丁をオレに見せる。
どうやら浴衣を着て、ノーパンスタイルを見せて隙を出させ、包丁で一気にトドメを刺す気らしい。
確かに、ある意味戦慄を感じさせる恐怖を敵に与えるが、戦闘には不向きだろう。
というか、何と戦っているんだと突っ込みを入れたくなる。
オレがどう反応しようか迷っていると、ゆたかがこう言い出す。

「良いんだよ、突っ込んでも……」

おそらくオレの考えた突っ込みとは違う突っ込みだろう。
顔を赤くして興奮しているのがその証拠だ。
ゆたかは、オレを性的に見ているようだが、オレはきっぱりと断る事にした。
実際、ゆたかの事は妹にしか見えない。無理矢理そう思い込んでいた。

「ごめん、ゆたかは妹にそっくり(見た目だけ)なんだ。
だから、恋愛対象には見られない。
友達としてなら問題ないんだけど……」

「分かった」

ゆたかは誘惑スタイルから、戦闘スタイルに着替えて来た。
コンタクトを付け、パンティを穿き、包丁と浴衣を装備して出て来た。
メガネを取ったのとパンティを穿いたくらいしか変わりがないが、これがゆたかの考えた戦闘スタイルらしい。
まあ、機動力と戦闘力はありそうだ。

まだ防具屋にも行っていないから、これが精一杯の装備と言えるだろう。
ゆたかのその姿を見て、オレは次の行き先を決めた。
やはり装備を整えることが重要なんだと……。

「じゃあ、武器と防具を揃えよう。それから情報収集で良いね?」

「うん」

ゆたかはそう言って頷いた。

 オレ達は武器屋を目指して歩いていたが、途中でコンビニの様な雑貨屋があるのに気が付き、先にそっちに入ってみる事にする。
この世界がどの程度の金銭価値か、雑貨屋で把握しておくのだ。

海外でも商品のおおよその価格を知っておかないと、ぼったくりに合う危険があるからな。オレの今の所持金は、日本円で三万円程度だ。
ここでATMが使えるかもオレには死活問題だった。

もしもATMが使えなくて、お金を引き出せなかった場合には、どうやって食費を捻出すればいいのだろうか? 
モンスターがいるそうだから、ゲームの様に倒す事によってお金が出るのかもしれない。

「まずは生活のパイプラインの確保。
それが整ってから、モンスターを討伐して課題をクリアするんだ! 
先生はこの異世界から出られないと言っていたが、彼女の危機感はまるで無い。

つまり、彼女や他の先生は、この異世界から出る方法を知っているのだろう。
だから、学校の課題をクリアすれば、オレ達が元住んでいた世界に帰れるかもしれない。
国家プロジェクトと言っていたから、逃げる事は出来ないかもしれないが、やっぱり家族と会う時間は欲しいからな」

ゆたかもオレの意見に同意する。

「うん。私もマモル君の家族に会って挨拶したいよ。一緒に頑張って帰ろうね」

ゆたかが初めてかなり長い文を話した。
それだけ自分の家族に会いたいのだろう。
オレとの会話で慣れて来たというのもあるのだろうが……。
オレの目標は、まずこの異世界から脱出して、家族の元に一時的に帰る事にした。
長期の目的を叶える場合、オレは簡単な目標を作り、クリアしていくのが性分だ。

「じゃあ、この店に入るぞ!」

オレは雑貨屋の扉を開けた。
雑貨屋に入ると、コンビニとさほど変わらない風景が飛び込んできた。
オレも一瞬、元の世界に戻って来たのかと錯覚する。

異世界の学校と言っても、日本が管理している学校だから、コンビニや日本の商品が置いてあっても不思議ではない。
それに、異世界から出入りできるという事が確信に変わった。

「うわー、ジャンプがあるよ。後、カフェオレコーヒー!」

ゆたかは好きな物をどんどんかごに入れていく。
日本のコンビニだけに、日本円が使えるという安心感があるのだろう。
おやつや飲み物など欲しい物はすべてかごに放り込んだ。
レジに行き、会計を済ませようとする。
事件はここで起きた。

「すいません。日本円では、買い物ができないようになっているんですよ。
お支払いは、このワオンカードをご利用してください。
モンスターを倒せば、自動的に振り込まれるようになっていますから……」

ゆたかはポケットから支給されたらしいワオンカードを差し出した。
残高は、丁度千ワオンと表示された。ちなみに、日本円とワオンは同じ値段の様だ。
おそらく日本円がここでは使えないように規制されているのだろう。

「金額が全然足りませんね。商品を返して来てもらっても良いですか?」

さすがに、千ワオンでは飲み物と弁当が買える程度だった。
ゆたかは勇気を出してこう尋ねる。

「チャージ、お願いします!」

店員は無情にもこう返した。

「大変申し訳ありません。
モンスターを退治する事が唯一のチャージ方法となっております。
武器は無料で貸し出していますので、どうぞ! 
モンスターを倒してからまた来てください」

店員はそう言って、木の棒を渡した。
武器としては加工してある物の、なんか頼りない武器だった。
ゆたかは包丁を見せ、こう言う。

「武器はある」

一瞬、包丁で店員を脅すかと思ったが、さすがにそれはしなかった。
さすがに、この世界でも警察は配備されている事だろう。
敵を倒せばお金が入るかもしれないが、今のオレ達の装備では警察を相手にするのはまずい。

「じゃあ、カフェオレコーヒーとおにぎりとお菓子を可能な限りください!」

ゆたかは残金全てを使い、苦肉の策に出る。
おそらく支給された千円は、武器や防具を買う為に与えられたのだろう。
ゆたかはそれを一気に使おうとしているのだ。オレは一応警告しておく。

「おい、さすがに必要な物を買うのが先だろ。
そういうのは、モンスターを倒した後で買う物だろ!」

ゆたかはキョトンとしてこう言う。

「包丁も浴衣もある。問題ない!」

まあ、本人が納得しているのなら、オレがそれ以上言う必要もない。
オレも竹刀は持っているし、雑魚モンスターなら倒せるだろう。
そう思い、コンビニ弁当を買う。

冒険に出るのだから、携帯し易い弁当を買うのは重要に思えた。
店員に商品を渡し、ワオンカードを差し出す。
すると、思いがけない答えが返って来た。

「すいません。残高零です」

「え? 支給金は入って無いんですか?」

「一応、経歴を調べられますが、調べてみますか?」

「お願いします」

「分かりました。昨日の昼頃、電車のチケットを買われていますね。それで残高が零です」

「ええ! オレ、現金で支払ったんですけど」

「おそらく金額が足りなかったのかもしれません。
丁度二千ワオンですから。
職員室まで交渉しに行ってください」

店員にこう言われ、一つの仮説が浮かんだ。
学校職員なら、日本円をワオンにチャージできるかもしれないと……。
そうなれば、ゆたかにも好きな物を買わせてあげられる。

オレももう少し美味しい弁当が食べたいと感じていた。
そのため職員室へと直行する。
まだ一時間程度しか経ってないし、先生がいる可能性は高い。
オレ達が城の前まで行くと、案の定先生が出て来てくれた。

「はあ、どうしましたか? 
まだ地下迷宮に行かないとは、他の生徒達からどんどん離されていきますよ?」

「実はですね先生、オレのワオンカードの残高が零だったんです。
オレは現金で電車のチケットを買ったつもりだったんですけど、駅員が指定した金額は千円だけでした。
これは、先生が前もってオレのワオンカードで支払ったって事ですよね。
だったら、オレの今持っている日本円もワオンカードにチャージできますか?」

先生は一瞬黙ってしまったが、しばらくしてこう言う。

「できるわよ。さすが、光宮マモル君ね。
この事、本当は内緒だけど、君だから特別に許してあげるわ。
まあ、数万円程度じゃあ、大した武器も買えないだろうからね」

先生は五分ほどでオレのお金をチャージしてくれた。
これでいろいろ買う事が出来る。

「地下迷宮では、早くも負傷者が続出しているわ。
あなた達が行かなきゃ、勝負にもならないみたい。困った子達だわ」

「まあ、頑張りますよ!」

オレは装備を整える為、また雑貨屋に戻った。
ゆたかの好きな物を買い、オレの好きな物を買う事ができた。
次は、武器屋へ行く事にする。
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