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第六章 水の底から襲い来る死神
ゆたかと霊子の死ぬほど為になる授業(浦島太郎編)
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『浦島太郎編』
むかしむかし、ある所に浦島太郎という若者が住んでいました。
浦島太郎は、釣りに行く途中、海岸でいじめられているカメを発見しました。
そう、昼間から釣りに行くという事は、浦島太郎はニートだったのです。
浦島太郎は、いじめている連中が子供(ガキ)だったので、カメを助ける事にしました。
もしも、大人だった場合、カミツキガメを退治していたなどのいちゃもんを付けられ、金を巻き上げられてしまいます。
そういう事を確認した上で、浦島太郎はカメを助けました。
「こらこら、カメをいじめてはいけないよ。
今は、仕事も学校も無いから分からないかもしれないが、大人になると自殺にまで追い込まれる事になるからね。
今の内から、人に良く接する方法を学びなさい。
媚を売って、上司や先生に気に入られると、将来が生き易くなるからね。
こういう弱い生物を大切にする事も、良い子に見られるポイントだからね。
ちょっと悪い事をしたとしても、ある程度までは許してくれるんだ。
まあ、その時は、泣く演技の上手さにも左右されるけどね」
浦島太郎の説得力ある説明により、子供達は分かってくれました。
しかし、そこに落とし穴が張ってあったのです。
弱い者はとことんまで攻められるという恐怖が、浦島太郎に迫って来ていました。
しかし、浦島太郎はアホなので理解していませんでした。
助けられたカメは浦島太郎に言います。
「いや、助けて下さりありがとうございます。
ぜひお礼に、竜宮城へご案内いたします。
楽しくて、時間が立つのを忘れてしまいますよ。
更に、美少女選手権でも入賞した乙姫様も歓迎してくださいます。
どうぞ、お越しください!」
「そんなに良い所なのか? じゃあ、ちょっと行って見ようかな」
「どうぞ、背中に乗ってくださいよ」
カメはさわやかに接客していました。
(ハーイ、カモ一名様追加です!
いやー、ガキ共を買収した甲斐がありました)
こうして、浦島太郎は助けたカメに連れられて、竜宮城へ行きます。
竜宮城は、とても素晴らしい所でした。
高級ホテルが立ち並び、温泉も整っています。
そして、綺麗なタイやヒラメ(接客の女の子達がコスプレしている)が踊っています。
一番奥には、支配人でもあり、人気ナンバーワンの乙姫様も座っています。
若干十七歳にして、ここのホテルを取り仕切っている美少女。
当然、堅気の人間ではありません。
しかし、浦島太郎はそのあまりの美しさに惚れてしまいました。
「ほほほ、ここの食事は口に合いますか?
夜には、女の子と共に過ごす夢の一時が待っております。
もし良ければ、私と一緒に結婚という事も……。
キャ! 私ったらまだ結婚も出来ない年齢なのに……。
法律では十六歳から結婚ですよね。私、実はまだ十三歳なんです。
もう三年ほどお待ちください♡ では、心行くまでお楽しみくださいね♡」
こうして、浦島太郎は、夢の一夜を楽しみました。
しかし、肝心の乙姫様とは一緒に結ばれませんでした。
「あーん、帰っちゃ嫌!
そうだ、私と一緒になるまでここに居てくださいよ♡
ここにちょっとサインをすれば、三年居る事が出来ますよ♡
その後は、ラブラブ新婚生活です♡」
「何、本当か? サインしちゃう!」
こうして浦島太郎は、乙姫様と婚約を交わして、三年ほど竜宮城に住みました。
三年があっという間に過ぎ、浦島太郎と乙姫様はついに結婚しました。
浦島太郎は乙姫様を連れて帰る事にします。
しかし、乙姫は花嫁道具が多いという理由で、後から来ることになりました。
乙姫はこう言います。
「これは、私の大切なあなたとの思い出です。
どうか、開けないでしまっておいてください。
これが、私があなたに嫁いだという保証ですから……」
「分かった、これを大切に持っている。
早く、俺の家へ嫁いで来てくれよ!」
「承知しました」
乙姫様は、浦島太郎に玉手箱を手渡します。
この中に、乙姫様と浦島太郎の思い出が詰まっているのです。
浦島太郎が海岸に付いてから、仲人のカメがこう言います。
「オイラが乙姫様を連れて来ます。
もうしばらく実家でお待ちください。
二、三日の辛抱です!」
「そうか、ここが俺の住所だ。
乙姫が来る事を待ちわびているぞ!」
何も知らない浦島太郎は、カメに住所を渡して去って行きました。
カメは怪しい笑いをして竜宮城へ戻ります。
浦島太郎は、カメの言葉を信じて実家へと帰ります。
しかし、実家が見当たりません。
「おかしいな。確かに、ここに俺の家があったはずなのだが……。
ははあ、さては、乙姫がすごい宝を持って来たから、大きな家に引っ越ししたのだな。
母も父も大層喜んでいるのだろう。
乙姫と結婚し、親孝行できて良かった。
まさに、玉の輿という奴だな!」
浦島太郎は、近くの知り合いに尋ねます。
「あ、奥さん、俺の実家がどこに行ったか知っていますか?
きっと、お金が手に入って、大きな家に住んだと思うのですが……」
「はあ? あんたなんて知りませんよ。
今後一切、家の前をうろちょろしないでください。
警察に訴えますよ!」
(ははあ、お金持ちになったから嫉妬してやがるな。これだから貧乏人は嫌だ)
浦島太郎がそう思っていると、その家の子供がこう言います。
「え? この人、浦島太郎さんでしょ? 何で、そんな嘘を吐くの?」
「しっ! 黙っていなさい!」
「え? それはどういう事ですか?」
浦島太郎がそう訊くと、奥さんは慌ててこう言います。
「ああ、昔の知り合いに、浦島太郎って人がいたんですよ。
確か、十年前くらいに行方不明になったお隣の人が……」
浦島太郎はそれを聞き、驚きます。
まさか、竜宮城に居た期間が三年間だったはずなのに、十年間も居たのでしょうか?
浦島太郎は不安になり、海岸へと戻りました。
きっと三日もすれば、カメと乙姫様が来ると信じて。
しかし、一週間過ぎても誰も現れません。
浦島太郎は仕方なく、開けてはいけないと言われた玉手箱を開けました。
すると、そこにはこう書かれた手紙が一通入っていました。
「浦島太郎様へ
このたびは、超高級海底旅館『竜宮城』をご利用いただきありがとうございました。
不払いの料金は、親族の方によりお支払い頂きました。
しかし、不足分がありましたので、あなたの身体(たぶん臓器を移植する闇医者は居たはず……)でお支払い頂きました。
ご利用の際には計画的にしましょう♡
麗しい乙姫より」
その後、浦島太郎を見た者はいない。
みんなも結婚詐欺には気を付けてね♡
むかしむかし、ある所に浦島太郎という若者が住んでいました。
浦島太郎は、釣りに行く途中、海岸でいじめられているカメを発見しました。
そう、昼間から釣りに行くという事は、浦島太郎はニートだったのです。
浦島太郎は、いじめている連中が子供(ガキ)だったので、カメを助ける事にしました。
もしも、大人だった場合、カミツキガメを退治していたなどのいちゃもんを付けられ、金を巻き上げられてしまいます。
そういう事を確認した上で、浦島太郎はカメを助けました。
「こらこら、カメをいじめてはいけないよ。
今は、仕事も学校も無いから分からないかもしれないが、大人になると自殺にまで追い込まれる事になるからね。
今の内から、人に良く接する方法を学びなさい。
媚を売って、上司や先生に気に入られると、将来が生き易くなるからね。
こういう弱い生物を大切にする事も、良い子に見られるポイントだからね。
ちょっと悪い事をしたとしても、ある程度までは許してくれるんだ。
まあ、その時は、泣く演技の上手さにも左右されるけどね」
浦島太郎の説得力ある説明により、子供達は分かってくれました。
しかし、そこに落とし穴が張ってあったのです。
弱い者はとことんまで攻められるという恐怖が、浦島太郎に迫って来ていました。
しかし、浦島太郎はアホなので理解していませんでした。
助けられたカメは浦島太郎に言います。
「いや、助けて下さりありがとうございます。
ぜひお礼に、竜宮城へご案内いたします。
楽しくて、時間が立つのを忘れてしまいますよ。
更に、美少女選手権でも入賞した乙姫様も歓迎してくださいます。
どうぞ、お越しください!」
「そんなに良い所なのか? じゃあ、ちょっと行って見ようかな」
「どうぞ、背中に乗ってくださいよ」
カメはさわやかに接客していました。
(ハーイ、カモ一名様追加です!
いやー、ガキ共を買収した甲斐がありました)
こうして、浦島太郎は助けたカメに連れられて、竜宮城へ行きます。
竜宮城は、とても素晴らしい所でした。
高級ホテルが立ち並び、温泉も整っています。
そして、綺麗なタイやヒラメ(接客の女の子達がコスプレしている)が踊っています。
一番奥には、支配人でもあり、人気ナンバーワンの乙姫様も座っています。
若干十七歳にして、ここのホテルを取り仕切っている美少女。
当然、堅気の人間ではありません。
しかし、浦島太郎はそのあまりの美しさに惚れてしまいました。
「ほほほ、ここの食事は口に合いますか?
夜には、女の子と共に過ごす夢の一時が待っております。
もし良ければ、私と一緒に結婚という事も……。
キャ! 私ったらまだ結婚も出来ない年齢なのに……。
法律では十六歳から結婚ですよね。私、実はまだ十三歳なんです。
もう三年ほどお待ちください♡ では、心行くまでお楽しみくださいね♡」
こうして、浦島太郎は、夢の一夜を楽しみました。
しかし、肝心の乙姫様とは一緒に結ばれませんでした。
「あーん、帰っちゃ嫌!
そうだ、私と一緒になるまでここに居てくださいよ♡
ここにちょっとサインをすれば、三年居る事が出来ますよ♡
その後は、ラブラブ新婚生活です♡」
「何、本当か? サインしちゃう!」
こうして浦島太郎は、乙姫様と婚約を交わして、三年ほど竜宮城に住みました。
三年があっという間に過ぎ、浦島太郎と乙姫様はついに結婚しました。
浦島太郎は乙姫様を連れて帰る事にします。
しかし、乙姫は花嫁道具が多いという理由で、後から来ることになりました。
乙姫はこう言います。
「これは、私の大切なあなたとの思い出です。
どうか、開けないでしまっておいてください。
これが、私があなたに嫁いだという保証ですから……」
「分かった、これを大切に持っている。
早く、俺の家へ嫁いで来てくれよ!」
「承知しました」
乙姫様は、浦島太郎に玉手箱を手渡します。
この中に、乙姫様と浦島太郎の思い出が詰まっているのです。
浦島太郎が海岸に付いてから、仲人のカメがこう言います。
「オイラが乙姫様を連れて来ます。
もうしばらく実家でお待ちください。
二、三日の辛抱です!」
「そうか、ここが俺の住所だ。
乙姫が来る事を待ちわびているぞ!」
何も知らない浦島太郎は、カメに住所を渡して去って行きました。
カメは怪しい笑いをして竜宮城へ戻ります。
浦島太郎は、カメの言葉を信じて実家へと帰ります。
しかし、実家が見当たりません。
「おかしいな。確かに、ここに俺の家があったはずなのだが……。
ははあ、さては、乙姫がすごい宝を持って来たから、大きな家に引っ越ししたのだな。
母も父も大層喜んでいるのだろう。
乙姫と結婚し、親孝行できて良かった。
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浦島太郎は、近くの知り合いに尋ねます。
「あ、奥さん、俺の実家がどこに行ったか知っていますか?
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「はあ? あんたなんて知りませんよ。
今後一切、家の前をうろちょろしないでください。
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(ははあ、お金持ちになったから嫉妬してやがるな。これだから貧乏人は嫌だ)
浦島太郎がそう思っていると、その家の子供がこう言います。
「え? この人、浦島太郎さんでしょ? 何で、そんな嘘を吐くの?」
「しっ! 黙っていなさい!」
「え? それはどういう事ですか?」
浦島太郎がそう訊くと、奥さんは慌ててこう言います。
「ああ、昔の知り合いに、浦島太郎って人がいたんですよ。
確か、十年前くらいに行方不明になったお隣の人が……」
浦島太郎はそれを聞き、驚きます。
まさか、竜宮城に居た期間が三年間だったはずなのに、十年間も居たのでしょうか?
浦島太郎は不安になり、海岸へと戻りました。
きっと三日もすれば、カメと乙姫様が来ると信じて。
しかし、一週間過ぎても誰も現れません。
浦島太郎は仕方なく、開けてはいけないと言われた玉手箱を開けました。
すると、そこにはこう書かれた手紙が一通入っていました。
「浦島太郎様へ
このたびは、超高級海底旅館『竜宮城』をご利用いただきありがとうございました。
不払いの料金は、親族の方によりお支払い頂きました。
しかし、不足分がありましたので、あなたの身体(たぶん臓器を移植する闇医者は居たはず……)でお支払い頂きました。
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