【オススメネット小説】秘められた異次元( シークレットディメンション) ムッツリスケベは異世界を救う!?

猫パンチ

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第八章 極限のサバイバル 食材争奪戦!

第四十話 子猫(コニャン)先生VSゆたか

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 オレがワープして、冷菓達を保護していると、冷菓が子猫(コニャン)先生に戦いを挑もうとする。
しかし、連戦続きの為、かなりの体力を消耗しているようだ。

「はあ、はあ、はあ、あそこまで巨大な怪物には、今の私ではとても……。
せめて、体力が戻れば倒せるのですが……」

さすがに冷菓も、子猫先生を倒すだけの圧倒的な水量を出すには、体力が回復するのを待つしかない。
だが、それほど時間を与えてくれる様な相手ではない。

子猫先生は、オレ達の匂いを嗅ぎ付け、ピンポイントでオレ達を潰そうとする。
もう、先生と言う感じではない。

「ふん、ふん、そこか? 死ぬが良いニャン! この人間共が!」

「まずい! 嗅覚が鋭過ぎる!」

オレの瞬間移動能力を持ってしても、攻撃を避けるのが精一杯だった。
せめて、動きをある程度止めて、急所を狙う感じにならないと、倒す事は出来ない。
この巨大な子猫に、急所などあるのだろうか? 

オレがそう思っていると、ゆたかがIPETシリーズをポシェットから取り出す。
それは今まで見た事のない、猫型だった。
果たして、これで子猫先生を止められるのだろうか? 

万能猫では、いろいろとネタが被ってしまうぞ!
 ゆたかは、猫型IPETのスイッチを入れた。
そして、説明し出す。

「これは、史上最強のIPET CAT(アイペットキャット)のウララン! 
本当は、対冷菓用に取っておきたかったんだけどね。
ここで使わなきゃ、学校も壊されちゃうし、仕方ないね!」

ウラランは、子猫先生と同じくらいの大きさになった。
体長四十メートルほどの巨体だ!
これなら、子猫先生を止める事が出来るかもしれない。

当然、子猫先生は、ウラランに敵意をむき出しにする。
猫同士の威嚇が始まっていた。

「フー! 何ニャ、お前は……。とりあえずぶっ殺すニャン!」

「……」
(やれるもんならやって見ろ!)

ウラランは、一言も鳴いていないが、猫同士の威圧感によりそれがアイコンタクトで伝わっていた。
子猫先生は、怒り易い為、当然先制攻撃をする。

「喰らえ、ネコーズスラッシュ!」

子猫先生の鋭い爪がウラランを襲う。

「……」
(ぬるいぜ! もっと本気で攻撃して来い!)

ウラランは、前脚で子猫先生の攻撃を叩き、逆に猫パンチを喰らわせようとする。

「ニャニャ、僕に一撃喰らわすだと……。ふざけるな!」

子猫先生も前脚を巧みに使い、ウラランの猫パンチを止める。

「……」
(やるな! にやり……)

一見軽やかな猫のケンカシ―ンだが、周囲の木は根こそぎ倒されていた。
それほどまでに激しい攻防が続いているのだ。

ウラランが子猫先生を足止めしている間に、オレが何とか子猫先生の急所を探らなければ、この学園は破壊されてしまうかもしれない。

「ちっ、立って勝てるほど甘い相手ではないという事か? 
なら、スピード勝負ニャン!
お前の知らない、本当の猫パンチをお見舞いしてやる!」

「……」
(面白い! こっちも本気中の本気で行かせてもらうぜ!)

子猫先生とウラランは走り出し、オレ達の周囲一面が荒れ地になりつつあった。
大木が飛び交い、土煙が巻き上がる。

「くっそ! 木を避けるのがやっとだ!」

オレは、とりあえずみんなを海岸へ連れて来る。
水を恐れてか、子猫先生は海の方へ来ようとはしない。
巨猫達の戦いは、山側に集中していた。

「喰らえ、スーパー猫パンチ!」

子猫先生は、身体をバネの様にして、強烈な猫パンチを繰り出す。
当たれば、山一つが砕け散るほどの威力だ! 
子猫先生の一撃が、確実にウラランに迫る。

「……」
(ふん、甘い!)

ウラランは、咄嗟に身を後ろに引き、子猫先生の猫パンチの威力を無くす。

「何! そんなバカニャ! 僕のスーパー猫パンチが効かない?」

「……」
(ふん、カウンターの攻撃を喰らえ!)

ウラランは、避けた反動を利用して、更に強力なジャンプをする。
子猫先生は、完全にウラランの猫パンチの餌食になっていた。

「グハッ、お腹が痛いニャン!」

「……」
(うえ、こいつのゲロが身体にかかった)

子猫先生が肉体的なダメージを受けたのに対し、ウラランは精神的ダメージを受けていた。
そうした遣り取りが数回ほど続いた。
ダメージを見る限り、先に倒れるのは子猫先生だ。

オレがそう思って数分間見ていると、ウラランが血だらけになっていた。
これは一体?

「ふふふ、後ろに飛んでダメージを回避したと思っていたか? 
甘いんだよ! 僕の猫パンチは、風を切り裂く刃ともなる。

カマイタチは、本来は血も出ないが、何度もダメージを受け続けるなら血もにじみ出てくるニャン」

子猫先生は、勝ち誇った顔をして、自分の手をなめている。
後ろ脚を攻撃されては、さっきまでの動きは出来ない。
子猫先生は容赦なくウラランを攻撃し、学園のお城ごとウラランを押し倒した。

城は半壊したが、ウラランにダメージは少ない。
おそらくお城がクッションになり、ウラランのダメージを軽減したのだろう。

「……」
(くっ、ゲロまみれにされたあげく、まさか後ろ脚を傷付けられるとは……。
温泉に入って身体を洗いたいし、傷を消毒したい)

ウラランは、海側の方へゆっくりと進んで来た。
子猫先生の眼から見れば、まるで逃げ出す様に見えるだろう。

「お? 逃げるのかニャン? それで容赦する僕じゃないニャン。
トドメを刺してやるニャン!」

子猫先生の鋭い爪が、無防備なウラランの背後を狙う。
しかし、ウラランは、海に寝転ぶようにして、その攻撃を回避した。
海のしぶきが飛び、子猫先生は必死でそれを避ける。

本来ならば後ろ脚を怪我して海水に入るなど自殺行為だが、ウラランは嬉しそうに海水に浸かっていた。
ゆたかは、それを大声で説明する。

「ふふふ、ウラランは、オギャーと生まれた時から温泉に産湯を使った温泉キャッティ。
海水程度の水は、恐くもなんともない。
むしろ、程よく温まって気持ちの良いはず……」

猫だからオギャーとは生まれないけどな。
そう突っ込みたかったが、あえて止めておいた。
その話を聞いた後、子猫先生の様子がおかしくなっていた。

子猫先生の記憶の中に、温泉好きの猫などいるはずもない。
それを眼のあたりにし、怖れ始めたのだ。
オレも実際に見た事が無いけど……。

「バカニャ……。温泉好きキャッティだと?
いるわけニャイ。そんな怪物存在するわけニャイ……」

「……」
(嘘だと思うなら、一緒に温泉に浸かろうぜ)

ウラランは、子猫先生を抱えて海に飛び込んだ。
ウラランにとっては気持ちの良い海水も、子猫先生には劇薬と化していた。

「ギャアアアア! 死ぬうう!」

子猫先生は、海水に浸かり、すっかり大人しくなっていた。
身体も元のサイズに戻り、ぶるぶる震えている。

必要なくなったと見るや、ウラランも子猫のサイズに戻る。
ウラランは、ゆたかに抱き抱えられ、子猫先生は冷菓に抱きかかえられていた。

「寒いニャン! 暖かいおコタに入りたいニャン!」

「……」
(ふふ、ワテと一緒にまた風呂に入ろうぜ!
海水に浸かったら、塩だらけになるからね♡)

「ひ―ん、もうお家に帰りたいニャン!」

子猫先生は、脱出を試みるが、冷菓により捕らえられた。
巨大化しない子猫先生は、冷菓にとって普通の猫も同然なのだ。
近くにいたモコソンは、いろいろな面で危険な為、オレの手によって洗われた。

「なんで、僕だけ女の子じゃないの? 不公平じゃん! 羊差別反対!」

なんかいろいろ叫んでいたが、時間が立つごとに大人しくなって行った。
そして、子猫先生も綺麗に洗われていた。
大変な戦いだったが、これで学園は守られたのだ。

まあ、お城が半壊したけど、光子先生たちなら何とかするだろう。
このくらいの被害で済んだのは、軽い方だ。
本来なら、この辺一帯が潰されてもおかしくないくらいだったからね。

今後、子猫先生の様な巨大な敵と戦わなければならない事があるかもしれない。
オレも更に強くならなければ、と決意を新たにする。

子猫先生とモコソンは、
「折角バイトに来たのに、水攻めされるなんて最悪ニャン!」
「水着回と温泉回には、保険医として登場するからね。よろしく!」
「僕はもう来ないニャン!」
そう言って帰って行った。
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