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第九章 古代遺跡 学校編最後の試練!
第五十話 姫野真槍VS光宮冷菓
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異次元の能力の秘密も分かり、真槍ちゃんは槍を構える。
冷菓が戦闘の為に準備していた場所は、迷路の様な建物だった。
崩れやすく建物もしっかりしておらず、日の光が差し込んでいる。
所々暗く、心霊スポットのようだった。
「ふーん、アタシの槍を警戒して、一気に突進出来ないフィールドを選んで来たか。
でも、アタシを甘く見過ぎよ! 直観で攻撃すれば、壁の向こうも容赦なく貫けるのよ!」
「ご心配なく。私は、あなたと接近戦をする気はありませんよ。
遠距離で一気に攻める予定ですから、ほらね!」
冷菓が指を鳴らすと、建物の後ろ側が崩壊し、津波の様な水が押し寄せて来た。
「うわあああ! オレ達ごと、水で押し潰す気か?」
オレは、真槍ちゃんを連れて逃げようとするが、冷菓の攻撃に阻まれる。
真槍ちゃんへの進路を氷で塞がれた為、オレ一人で脱出するしかなかった。
「くっそ! 真槍ちゃん!」
オレが脱出し、真槍ちゃんの居たであろう場所を見ると、水で建物が崩れていた。
もしも人がいたなら、一溜まりもないであろう。
「ふふ、マモル君は、大人しく私の勝利を見守っていなさい♡」
冷菓は、ドSの表情で微笑していた。
「マモル君、アタシならここよ!」
真槍ちゃんの声がする方を見ると、さっきの場所よりかなり離れた所に移動していた。
槍の推進力を利用し、一気に高速移動したのだろう。
「あらあら、一撃で潰す気でいたのに、あの攻撃を避けるとはなかなかやりますね。
でも、槍の推進力は見切りましたよ。次は、当てます!」
冷菓は、一呼吸も措かずに攻撃を仕掛けて来た。
大量の水が、真槍ちゃんに襲いかかる。
「その槍、ブースター付きですから、水で湿ったりすると、一気に戦力ダウン出来ますよね。今の内に畳み掛けます!」
冷菓は、水の塊を操作し連続で攻撃するも、真槍ちゃんの身体能力と槍の操作技術でなんとか凌いでいた。
真槍ちゃんは、冷菓の死角になる通路に入り込み、体勢を立て直そうとする。
水の塊は、しばらく攻撃して来るが、真槍ちゃんには当たらない。
「ふう、さすがの冷菓も死角では攻撃出来ない様ね。
少しだけど攻撃の制度が落ちているわ」
真槍ちゃんは、冷菓の気配を感じ取り、直感とシミュレーションを頼りに場所を探り当てる。
壁の死角に入り、冷菓を攻撃できる範囲まで近付いて行く。
ブースターは使わず、気配を消し、確実に攻撃出来る範囲まで静かに移動する。
(ここまで来れば、一気に冷菓を仕留められる。勝負ありよ!)
真槍ちゃんが槍を構えようとすると、冷菓の声が聞こえた。
「それはどうでしょうかね?」
眼の前の壁が崩れ、高水圧の水が真槍ちゃんを襲う。
咄嗟に槍を水の攻撃と反対方向にして、ブースターを使い飛んだ為、少し水がかかったがダメージは無かった。反射神経では、やはり真槍ちゃんが上なのだ。
「あっぶな! もろに攻撃を受ける所だったわ!
でも、攻撃を避けたから、カウンターの攻撃で終わりよ!」
真槍ちゃんは、冷菓の攻撃方法を即座に判断し、水分量が少ない事を確認する。
その上で、自分の攻撃が通る事を悟り、カウンター攻撃を仕掛けた。
さっきまで冷菓の気配があった以上、冷菓は間違いなくそこにいると思い込んでいたようだ。
壁が完全に崩れて、視界が開けると、そこには誰もいなかった。
槍は空を突き、手応えが全く無い。
「あれ? おかしいわ。アタシは、確実に冷菓の気配を感じ取っていたはずなのに……」
真槍ちゃんは、再度冷菓の気配を探ろうとする。
今度は、冷菓の気配が複数にある事が感知できた。
「何、これ? 冷菓がいっぱいいるって事?
どれが本人か分からない。まあ良いわ。一人ずつ攻撃するだけよ!」
真槍ちゃんは、一番近くにいる何者かの気配を、壁越しに攻撃する。
突くというより、薙ぎ払う感じだ。
壁はもろく崩れ、大量の水が襲いかかる。
「くっそ! これならどうよ!」
真槍ちゃんは、着ていた戦闘服のマントを傘の様に使い、大量の水の攻撃を防いでいた。
「はあ、はあ、はあ、一瞬だけど見えたわ。
今、アタシを攻撃して来た水が、人型をしていた。
これが大量の冷菓の気配の正体というわけね。
誘導とトラップを含んだ恐ろしい手だわ!」
真槍ちゃんは、苦戦しているにもかかわらず、笑顔でそう言う。
冷菓の戦闘力が強いので、思わず笑みがこぼれたのだ。
実に、バトル好きらしい表情だ。
「なら、全部の気配を攻撃するだけよ! いずれは、冷菓に行き着くはず」
真槍ちゃんは、ブースターを噴射し続け、槍で連続攻撃する構えを取る。
気配のする方を、槍で飛び回りながら攻撃する。
誘導ミサイルと化した真槍ちゃんに、冷菓の水攻撃は通用しない。
「ふっふっふ、アタシの槍を甘く見ないでよね。
水の中に沈めれば、壊す事は出来るのでしょうけど、突進しているこの状態なら、多少の水は平気よ! 水圧攻撃も凌げるからね」
槍が傘の役割をし、冷菓の攻撃も受け流す。
真槍ちゃんの操作技術と身体能力だからこそできる芸当だった。
どうでも良いけど、オレが近くにいる事も忘れないでくれ。
とばっちりで攻撃されるのはごめんだ。
冷菓の気配を頼りに、次々と人型の水の塊を破壊して行く。
水は、元の人型に復元するが、真槍ちゃんの攻撃の方が早く復元が間に合わない。
それに、操っている冷菓が攻撃されればバトル終了だ。
「ウンディーネの攻撃をこうもあっさり見破るとは、恐るべき動体視力ですね」
冷菓も必死にウンディーネを復元して行くが、いずれは追い詰められてしまった。
ウンディーネの数が残り数体となり、冷菓は潜んでいる事が出来ない。
それに、その頃には、遺跡の壁が崩れ落ちていた。
平地に近くなり、真槍ちゃんが有利な地形となる。
「冷菓、発見!」
真槍ちゃんは、最後の壁を攻撃し、冷菓を槍で攻撃する。
直線的な攻撃の為、冷菓は槍の攻撃を紙一重で回避する。
すると、槍が通過した瞬間、光る物が冷菓を攻撃する。
「槍は避けても、ナイフ攻撃ならどうするのかしら?」
真槍ちゃんが持っていたナイフで攻撃したのだ。
冷菓は、拳銃を取り出し、ナイフ攻撃をガードした。
「私に銃を抜かせるとは、やるわね!」
冷菓も思わず笑みがこぼれる。
真槍ちゃんは、冷菓の横を通過し、バランスを取りながら着地した。
そこを、冷菓は狙い、攻撃して来る。
「ふふ、槍の威力が強過ぎるのが、あなたの弱点ですよ。
槍を避けた後は、無防備な体勢になる。
そこを狙えば終わりです! アクアショット!」
冷菓の銃から、高速の水弾が飛び出す。
まともに食らえば、水圧で吹っ飛ぶほどに威力だ。
「ナイフではこの攻撃は防ぎ切れませんよ。
ナイフでガードしても、攻撃は通りますからね!」
「くっ、不味った!」
真槍ちゃんは、負けを覚悟するも、身体が反射的に攻撃を防ぐ方法を導き出した。
地面にナイフを突き刺し、槍のブースターを使って攻撃を避ける。
しかし、体勢と槍を握る握力が弱くなった事により、槍は真槍ちゃんの手から離れた。
「なっ、あの攻撃を避けた?」
驚いている冷菓だったが、次の瞬間に恐ろしい物を目にする。
真槍ちゃんの手から離れた槍が、冷菓に向かって飛んで来たのだ。
本来は、安全設計の為に手が離れると、ブースターも自然に止まるのだが、至近距離の為にかなりの威力で突っ込んで来た。
冷菓は、槍と共に吹っ飛び、瓦礫の一部に激突する。
冷菓は、瓦礫に押し潰され、地面には一筋の血が流れていた。
「う、痛い。何があったけ……。そうだ、冷菓にやられかけたんだったけ……」
真槍ちゃんは、攻撃を避け切れず、受け身が取れない状態で地面に激突した。
頭を軽く打ち、脳震蘯(のうしんとう)を起こす。
意識が回復するとともに、冷菓の様子を確認する。
瓦礫の下から、冷菓の手が出ているのが分かった。
その手には、血が滴っていた。
「きゃああああ!」
真槍ちゃんの叫び声を聞き、オレはすぐに駆け付ける。
ゆたかもかなり前から意識を取り戻しており、オレ達の元に駆け付けていた。
声を頼りに、真槍ちゃんの元へ駆け寄る。
「あ、冷菓が……、冷菓が……」
取り乱す真槍ちゃんを冷静になる様に促す。
さすがのオレも、ショックを隠せない。
ただ一人、ゆたかだけが落ち着いていた。
「まあ、剣とか、槍とか、ナイフとか、銃とかをふざけて使っていたら死ぬよね!」
エロベアソードとかいうふざけた武器を使っていたお前が言うなと言いたかったが、オレはあまりの出来事に声さえも出せなかった。
「殺人者姫野真槍は逮捕され、牢獄に入れられた。
美少女と謳われた彼女の容姿は、嘘の様に衰え、オッパイは醜く成り果てていた。
冷菓が亡くなった事により、オレは悲しみを覚えたが、ゆたかのおかげでなんとか悲しみを乗り越える事ができた。今では、ゆたかと毎晩のように求め合い、子供が五十人できる。
オレの子供がみんな良い子に育ってくれてとてもうれしい。
最愛の妻ゆたかに看取られながら、百歳のオレは息を引き取った。(超ハッピーエンド!)」
ゆたかが不謹慎にもそう語っていると、真槍ちゃんが怒る。
「ちょっと、誰が殺人者よ!
崩れている瓦礫の量は、そんなに多くないから生きているわよ!
早く助け出しましょう!」
「うん、そうだと思ったからふざけたんだけど……。元気が出て良かったね!」
「全然良くない! てっか、子供五十人って多過ぎない?」
慌てて救出しようとする真槍ちゃんとオレ達だったが、果たして冷菓は無事なのだろうか?
冷菓が戦闘の為に準備していた場所は、迷路の様な建物だった。
崩れやすく建物もしっかりしておらず、日の光が差し込んでいる。
所々暗く、心霊スポットのようだった。
「ふーん、アタシの槍を警戒して、一気に突進出来ないフィールドを選んで来たか。
でも、アタシを甘く見過ぎよ! 直観で攻撃すれば、壁の向こうも容赦なく貫けるのよ!」
「ご心配なく。私は、あなたと接近戦をする気はありませんよ。
遠距離で一気に攻める予定ですから、ほらね!」
冷菓が指を鳴らすと、建物の後ろ側が崩壊し、津波の様な水が押し寄せて来た。
「うわあああ! オレ達ごと、水で押し潰す気か?」
オレは、真槍ちゃんを連れて逃げようとするが、冷菓の攻撃に阻まれる。
真槍ちゃんへの進路を氷で塞がれた為、オレ一人で脱出するしかなかった。
「くっそ! 真槍ちゃん!」
オレが脱出し、真槍ちゃんの居たであろう場所を見ると、水で建物が崩れていた。
もしも人がいたなら、一溜まりもないであろう。
「ふふ、マモル君は、大人しく私の勝利を見守っていなさい♡」
冷菓は、ドSの表情で微笑していた。
「マモル君、アタシならここよ!」
真槍ちゃんの声がする方を見ると、さっきの場所よりかなり離れた所に移動していた。
槍の推進力を利用し、一気に高速移動したのだろう。
「あらあら、一撃で潰す気でいたのに、あの攻撃を避けるとはなかなかやりますね。
でも、槍の推進力は見切りましたよ。次は、当てます!」
冷菓は、一呼吸も措かずに攻撃を仕掛けて来た。
大量の水が、真槍ちゃんに襲いかかる。
「その槍、ブースター付きですから、水で湿ったりすると、一気に戦力ダウン出来ますよね。今の内に畳み掛けます!」
冷菓は、水の塊を操作し連続で攻撃するも、真槍ちゃんの身体能力と槍の操作技術でなんとか凌いでいた。
真槍ちゃんは、冷菓の死角になる通路に入り込み、体勢を立て直そうとする。
水の塊は、しばらく攻撃して来るが、真槍ちゃんには当たらない。
「ふう、さすがの冷菓も死角では攻撃出来ない様ね。
少しだけど攻撃の制度が落ちているわ」
真槍ちゃんは、冷菓の気配を感じ取り、直感とシミュレーションを頼りに場所を探り当てる。
壁の死角に入り、冷菓を攻撃できる範囲まで近付いて行く。
ブースターは使わず、気配を消し、確実に攻撃出来る範囲まで静かに移動する。
(ここまで来れば、一気に冷菓を仕留められる。勝負ありよ!)
真槍ちゃんが槍を構えようとすると、冷菓の声が聞こえた。
「それはどうでしょうかね?」
眼の前の壁が崩れ、高水圧の水が真槍ちゃんを襲う。
咄嗟に槍を水の攻撃と反対方向にして、ブースターを使い飛んだ為、少し水がかかったがダメージは無かった。反射神経では、やはり真槍ちゃんが上なのだ。
「あっぶな! もろに攻撃を受ける所だったわ!
でも、攻撃を避けたから、カウンターの攻撃で終わりよ!」
真槍ちゃんは、冷菓の攻撃方法を即座に判断し、水分量が少ない事を確認する。
その上で、自分の攻撃が通る事を悟り、カウンター攻撃を仕掛けた。
さっきまで冷菓の気配があった以上、冷菓は間違いなくそこにいると思い込んでいたようだ。
壁が完全に崩れて、視界が開けると、そこには誰もいなかった。
槍は空を突き、手応えが全く無い。
「あれ? おかしいわ。アタシは、確実に冷菓の気配を感じ取っていたはずなのに……」
真槍ちゃんは、再度冷菓の気配を探ろうとする。
今度は、冷菓の気配が複数にある事が感知できた。
「何、これ? 冷菓がいっぱいいるって事?
どれが本人か分からない。まあ良いわ。一人ずつ攻撃するだけよ!」
真槍ちゃんは、一番近くにいる何者かの気配を、壁越しに攻撃する。
突くというより、薙ぎ払う感じだ。
壁はもろく崩れ、大量の水が襲いかかる。
「くっそ! これならどうよ!」
真槍ちゃんは、着ていた戦闘服のマントを傘の様に使い、大量の水の攻撃を防いでいた。
「はあ、はあ、はあ、一瞬だけど見えたわ。
今、アタシを攻撃して来た水が、人型をしていた。
これが大量の冷菓の気配の正体というわけね。
誘導とトラップを含んだ恐ろしい手だわ!」
真槍ちゃんは、苦戦しているにもかかわらず、笑顔でそう言う。
冷菓の戦闘力が強いので、思わず笑みがこぼれたのだ。
実に、バトル好きらしい表情だ。
「なら、全部の気配を攻撃するだけよ! いずれは、冷菓に行き着くはず」
真槍ちゃんは、ブースターを噴射し続け、槍で連続攻撃する構えを取る。
気配のする方を、槍で飛び回りながら攻撃する。
誘導ミサイルと化した真槍ちゃんに、冷菓の水攻撃は通用しない。
「ふっふっふ、アタシの槍を甘く見ないでよね。
水の中に沈めれば、壊す事は出来るのでしょうけど、突進しているこの状態なら、多少の水は平気よ! 水圧攻撃も凌げるからね」
槍が傘の役割をし、冷菓の攻撃も受け流す。
真槍ちゃんの操作技術と身体能力だからこそできる芸当だった。
どうでも良いけど、オレが近くにいる事も忘れないでくれ。
とばっちりで攻撃されるのはごめんだ。
冷菓の気配を頼りに、次々と人型の水の塊を破壊して行く。
水は、元の人型に復元するが、真槍ちゃんの攻撃の方が早く復元が間に合わない。
それに、操っている冷菓が攻撃されればバトル終了だ。
「ウンディーネの攻撃をこうもあっさり見破るとは、恐るべき動体視力ですね」
冷菓も必死にウンディーネを復元して行くが、いずれは追い詰められてしまった。
ウンディーネの数が残り数体となり、冷菓は潜んでいる事が出来ない。
それに、その頃には、遺跡の壁が崩れ落ちていた。
平地に近くなり、真槍ちゃんが有利な地形となる。
「冷菓、発見!」
真槍ちゃんは、最後の壁を攻撃し、冷菓を槍で攻撃する。
直線的な攻撃の為、冷菓は槍の攻撃を紙一重で回避する。
すると、槍が通過した瞬間、光る物が冷菓を攻撃する。
「槍は避けても、ナイフ攻撃ならどうするのかしら?」
真槍ちゃんが持っていたナイフで攻撃したのだ。
冷菓は、拳銃を取り出し、ナイフ攻撃をガードした。
「私に銃を抜かせるとは、やるわね!」
冷菓も思わず笑みがこぼれる。
真槍ちゃんは、冷菓の横を通過し、バランスを取りながら着地した。
そこを、冷菓は狙い、攻撃して来る。
「ふふ、槍の威力が強過ぎるのが、あなたの弱点ですよ。
槍を避けた後は、無防備な体勢になる。
そこを狙えば終わりです! アクアショット!」
冷菓の銃から、高速の水弾が飛び出す。
まともに食らえば、水圧で吹っ飛ぶほどに威力だ。
「ナイフではこの攻撃は防ぎ切れませんよ。
ナイフでガードしても、攻撃は通りますからね!」
「くっ、不味った!」
真槍ちゃんは、負けを覚悟するも、身体が反射的に攻撃を防ぐ方法を導き出した。
地面にナイフを突き刺し、槍のブースターを使って攻撃を避ける。
しかし、体勢と槍を握る握力が弱くなった事により、槍は真槍ちゃんの手から離れた。
「なっ、あの攻撃を避けた?」
驚いている冷菓だったが、次の瞬間に恐ろしい物を目にする。
真槍ちゃんの手から離れた槍が、冷菓に向かって飛んで来たのだ。
本来は、安全設計の為に手が離れると、ブースターも自然に止まるのだが、至近距離の為にかなりの威力で突っ込んで来た。
冷菓は、槍と共に吹っ飛び、瓦礫の一部に激突する。
冷菓は、瓦礫に押し潰され、地面には一筋の血が流れていた。
「う、痛い。何があったけ……。そうだ、冷菓にやられかけたんだったけ……」
真槍ちゃんは、攻撃を避け切れず、受け身が取れない状態で地面に激突した。
頭を軽く打ち、脳震蘯(のうしんとう)を起こす。
意識が回復するとともに、冷菓の様子を確認する。
瓦礫の下から、冷菓の手が出ているのが分かった。
その手には、血が滴っていた。
「きゃああああ!」
真槍ちゃんの叫び声を聞き、オレはすぐに駆け付ける。
ゆたかもかなり前から意識を取り戻しており、オレ達の元に駆け付けていた。
声を頼りに、真槍ちゃんの元へ駆け寄る。
「あ、冷菓が……、冷菓が……」
取り乱す真槍ちゃんを冷静になる様に促す。
さすがのオレも、ショックを隠せない。
ただ一人、ゆたかだけが落ち着いていた。
「まあ、剣とか、槍とか、ナイフとか、銃とかをふざけて使っていたら死ぬよね!」
エロベアソードとかいうふざけた武器を使っていたお前が言うなと言いたかったが、オレはあまりの出来事に声さえも出せなかった。
「殺人者姫野真槍は逮捕され、牢獄に入れられた。
美少女と謳われた彼女の容姿は、嘘の様に衰え、オッパイは醜く成り果てていた。
冷菓が亡くなった事により、オレは悲しみを覚えたが、ゆたかのおかげでなんとか悲しみを乗り越える事ができた。今では、ゆたかと毎晩のように求め合い、子供が五十人できる。
オレの子供がみんな良い子に育ってくれてとてもうれしい。
最愛の妻ゆたかに看取られながら、百歳のオレは息を引き取った。(超ハッピーエンド!)」
ゆたかが不謹慎にもそう語っていると、真槍ちゃんが怒る。
「ちょっと、誰が殺人者よ!
崩れている瓦礫の量は、そんなに多くないから生きているわよ!
早く助け出しましょう!」
「うん、そうだと思ったからふざけたんだけど……。元気が出て良かったね!」
「全然良くない! てっか、子供五十人って多過ぎない?」
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