【オススメネット小説】秘められた異次元( シークレットディメンション) ムッツリスケベは異世界を救う!?

猫パンチ

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番外編エピソード 魅惑のケーキマジシャン☆

Bー2 オレ、絶望する!

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オレは自分の携帯電話を取り出し、連絡を取りながら彼女に言う。

「いや、お袋がいるから、お袋に助けてもらうよ。
あんたには、助けてくれて感謝している。
けど、赤の他人だし、もうこれ以上は必要ないよ。ありがとう!」

彼女はオレの携帯電話を奪い取り、「病室での携帯電話の使用は、禁止ですよ。病院のルールはしっかり守りましょう。それに、わざわざ遠い所から、あなたのお母様に来てもらう必要はありません。

私が、あなたのお世話をしますので、必要ありません。
お母様には、可愛い彼女ができました♡と報告してください!」

「ちょっと、何するんだ。返せよ!」

「返しません! 所謂、一目惚れというやつです。
私が付きっ切りで、あなたのお世話をすると決めたのです。
食事からオシッコまで、私がサポートします。これだけは譲れません!」

オレは呪われたリンゴを見て、不安を感じた。携帯電話を必死で奪い返す。

「いや、結構だ! 
リンゴもろくに剥けない女よりは、そこらのメイドを雇った方がいいよ。
それに、女には不自由してないんでな!」

「ああ、なるほど、メイド服の女性がお好みですか? 
これでも、コスプレには自信があるんです。ミシンとカッターを使えば、不器用な私でも服を作ることができるのですよ。

それに、第一声でお袋に頼るなんて男性に、彼女がいるとは思えませんけど……」

「いーや、いるね。考えても見ろ、ケーキ屋で働てるのだぞ! 女など選り取り見取りだ!」

「どうせ、女子高生とかでしょう。
お金目当てに擦り寄って来て、お金が無くなったら、ぽいされるそんな関係でしょう!」

「それでも、二日前に出会って、ここまで強引に近づいてくる女よりは、まだ信頼できるね……」

「そうですか。それは、愛と同情という尊い感情も含まれているからでしょう。
その二つの点で、私は他の女共より信頼できるはずです。お世話させてください!」

オレは引くばっかりでは埒が明かないと思い、押すことにした。

「それに、男と女が一緒に暮すのだぞ。この意味が分かっているのか?」

「はい。要は、妊娠してしまう危険があるかもしれないってことですよね。
大丈夫です。
そうなったら、無理矢理にでも籍を入れて、保険金殺人に切り換えますから。

お腹の子には悪いですけど、あなたが責任も取らない無責任なクズヤローなら、そういう組合に処理してもらって、一人孤独な母として生きていきます。
私のお父様も分かってくださるでしょう!」

オレはそれを聞き、本気で不安になる。

「オレの身に危険な感じがする! 
本当に生命の危険を感じた。悪いが、絶対お断りだ!」

オレは彼女を本気で拒絶し、突き飛ばした。

「キャ!」

オレが彼女を突き飛ばすと、彼女のコートのボタンが外れた。
その中身は、以前に見た黄色と黒色、そして中のワイシャツは白色だったはずなのに、今は赤く染まっている。

「あ、これは……。どうした?」

「これは、あなたの血で赤く染まってしまったのです。
腕をかなり出血したようなので、止血として包帯代わりに……」

「まさか、服を脱いで下着姿のまま、オレが救急車に乗るまでを助けてくれたのか?」

「はい! 人助けなので当然です!」

そう言って、彼女はオレを見つめた。

「分かった。しばらく世話をお願いしよう。
しかし、男女二人きりというのは、どうも……」

「ああ、分かります。クレームってうるさいですからね。
とりあえず、明日は私の友人もお呼びします。ケーキ作りが大好きな人達です。

後、同居人の五歳児の女の子もいるので、あなたが来て喜ぶと思います。
これで、口うるさいババア共は静かになると思います」

彼女は優雅に微笑んでそう言った。

「君、毒舌過ぎない? ちょっとびっくりするくらいなんだけど……」

「え、そうですか? 都会生活が長かったので、その影響ですかね。
まあ、気にしないでください」

オレは二日ほど入院し、空きが無いという理由からすぐさま退院となった。
退院前に、医者は悪い知らせを持って来た。

「どうも。一年くらいは、元のような生活はできませんけど、リハビリ次第で回復も早いと思います。まあ、頑張ってくださいね」

「え、来年の日本ケーキ大会に参加したいんですけど、間に合いますか? 
今年の世界大会は欠場しますけど、来年は両方出て優勝したいのです!」

「あははは、そりゃ無理でしょうよ。だって、お菓子の世界は手が命ですからね。
細かい作業やグランプリを取るまでのレベルとなると、予選を含めて最短で二年はかかりますよ。

まず、来年の予選は半年後でしょう? 
ちょうど、ケーキ作りを開始できるくらいですよ。

プロのあなたが一番相手の実力を分かっているでしょう。
さすがに、専門のケーキ職人達に勝つのは難しいですよ。
手を怪我した自分が悪いと思って、あきらめてくださいよ」

「そんな、他に方法はないんですか?」

「まあ、酸素カプセルという方法もありますが、お金がかなりかかります。
保険の対象外ですからね。日本ケーキ大会優勝者とはいえ、怪我をしたケーキ職人に払える額とは思えませんけど……」

オレは金額を聞いて絶望した。

(ぐっ、オレは、借金して店を建てたからもうお金ない。
オレの怪我と店の資金は、保険で何とかできるけど、高額の治療費は対象外。
ケーキ職人の前であんな大見得を切ったから、ケーキ仲間からの助けは期待できない。

それどころか、これを機に仕返しをしてくるかもしれない。
十年間グランプリが取れなかったのだから、言葉通りケーキ職人をやめろといわれるかもしれない。どうする?)

オレはふと、亡き師匠の助けが欲しいと思った。

(オレの師匠も世界大会優勝後に、謎の事故で亡くなったそうだ。
まさか、同じ犯人なのだろうか?
だとしたら、なおさら大会の優勝をあきらめるわけには……。しかし、資金が……)

オレが不安な顔をして、そんなことを考えていると、彼女が語りかけて来た。

「あの、ケーキ大会で重要なのは、パフォーマンスや飾り付けなんかですよね。
見栄えがないと、注目もされないから……。でも、本当の勝負は味勝負!
なら、いい手がありますよ!」

オレは彼女の両腕をつかみ、尋ねる。

「何! どんな方法だ? 
技術を極限まで極めたオレの技を無くして、ケーキ大会で優勝するための方法だぞ! 
本当なんだろうな?」

「う、痛いです……」

「ああ、すまない。興奮して、つい……」

オレは強くつかんだ彼女の腕を放した。

「その、手を使うという点では同じかもしれませんけど、方法次第では、観客を魅了できるかもしれません」

「ま、まさか……」

「はい、手品です!」

それを聞き、オレは冷静になった。

「ふっ、手品も、器用さもない素人に聞いたオレがバカだったよ。
両親に頼んで、資金でも借りるよ……」

オレは病院の公衆電話へ向かって歩いて行く。それを彼女が阻止する。

「待ってください! その、リハビリにもなりますし、可能性は零じゃないはずです。
どうか、私の師匠に手品を見せてからでもいいので、私に任せてください! 
必ず、あなたを世界チャンピオンにしてみせます!」
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