【オススメネット小説】秘められた異次元( シークレットディメンション) ムッツリスケベは異世界を救う!?

猫パンチ

文字の大きさ
153 / 302
番外編エピソード 魅惑のケーキマジシャン☆

Bー3 恐怖のお宅訪問!

しおりを挟む
オレは少し彼女に興味を持った。
彼女に近づいて挑戦的に言う。

「ほーう、世界チャンピオンか? 分かてるのか? 
手品で魅了するっていうのは、ケーキ大会では邪道なのだぞ!」

「邪道だろうと、感動させればいいんです。
新しい種類のケーキの見せ方を世界に見せてやりましょう!」

「ふん、リハビリも兼ねて協力してやるよ。
タイムリミットは、オレの技術が戻るまでだ。
へたくそ手品師に何ができるのかな?」

「へ、へたくそ……。そんな言い方ないじゃないですか……。
これでも、努力しまくっているのですよ!」

「努力が伴ってないのじゃ……。まあ、よろしく頼むぜ、サポーター!」

オレは手を差し出した。

「う、大きい手……。よ、よろしく……」

彼女は弱弱しく手を握った。
オレは退院し、彼女の勧めで彼女の家に来た。

彼女の家は高級マンションの一室であり、家具もなかなか良い物がそろっている。
四人ほどは、余裕で泊まれそうな広さだった。

「へー、なかなかの広さだな……。
売れない手品師だから、ワンルームアパートに住んで、痴漢やら変態に狙われているのかと思ったぜ!」

オレは部屋を見回してそう言う。

「そんな、変態だなんて……。
都市に長いこと住んでいますけど、今まで一人も見たことありませんよ。
なかなか安全なものです」

彼女はコーヒーを淹れながら言う。

(一人はいるけどな……)

オレは出されたコーヒーを飲み、彼女に尋ねる。

「ふー。で、もう一人の同居人は、どんな奴だ?」

「えっと、五歳くらいの女の子ですけど……。駄目でしょうか? 
まさか、そんな女の子がいるのに襲ってきたりはしませんよね……」

彼女はちらりとオレを見て言う。

「は、まさか逆に、オレ達の子供も欲しいぜ! 
あいつに妹を生んでやりなよ的な展開に……」

「ならねぇよ!」

「そうですよね。
そんな子供がいて、真夜中に、あーんとか声を出したら、教育上良くないですもんね……」

「お前と同居している時点で良くはないな」

オレ達がそんな話をしていると、玄関のチャイムが鳴り、五歳の女の子が入って来た。

「ふーん、こいつが例の男か……。名前はなんていうんだ?」

その子は、オレを見て尋ねる。

「水島瑞希お兄さんよ。
ケーキ職人で、今は無能になり下がってるけど、本当はすごいんですから。
ケーキのテクニックとか、私を落とすテクニックとか……」

彼女は、オレの代わりに答えた。

「美香に比べりゃ、誰でもすごいだろ……」

オレはその会話を聞き、思い出したように尋ねる。

「そういえば、あんたらの名前は?」

彼女は、はっとするような表情をする。

「なんてこと、出会って二日後にして、ようやく名前を教えることになるなんて……。
き、きっと二人の相性が良すぎて、気にならなかっただけですよね。
そうに、違いないです!」

「いや、興味なかっただけ……」

オレがポツリとそう言うと、彼女は絶望的な表情になった。

「うわああん。私は事前に名前を調べていたのにひどい!」

彼女は泣いてしまった。 

「まあ、あれは放っておいて……。私の名前は、粟野聡美。
五歳だけど、あいつよりはしっかりしているよ。よろしく」

聡美ちゃんは、オレに挨拶をする。

「ああ、分かっているよ」

オレ達の握手を見て、二十歳の女はショックを受けていた。

「ガーン! 先を越された……」

「で、あんたの名前は?」

オレは、ショックを受けている彼女に優しく尋ねる。

「あ、はい。私の名前は、水土美香と申します。
ふつつか者ですが、今後とも末長くよろしくお願いします。水土瑞希様!」

オレはそれを聞き、返答する。

「水土瑞希って、誰?」

「え? 会場で言ってましたよ、日本ケーキ大会優勝者は、水土瑞希って……」

「いや、それは、オレじゃない。その名前は、少年部の優勝者だろう」

「いやあああ!
私、こんな良く知りもしない謎の男を、自分の家に連れ込んだというの……。
あなたは、いったい誰?」

突然取り乱した美香を、聡美ちゃんが諭す。

「慌てるな! 名前が分かんない以外は、たいして変わりない。
怪我をして、ケーキ作りが専門の男性、年齢は二十五歳前後、まあまあ男前、何ら取り乱す必要もない」

聡美ちゃんは淡々と語る。

「いいえ、名前は重要ですよ! 
もしかしたら、前科者の犯罪者かもしれないじゃないですか。
糞ヤローだったら、即警察に来てもらわないと……」

「まあ、そんな危険人物なら、名前を偽ったりしてるんじゃないのか?」

「そうね。さあ、不審者! あなたの名前を言ってみなさいよ。
お尋ね者や偽名なら、インターネットで検索されるはずよ!」

彼女はメガネを取り出し、パソコンの前に坐る。オレは、自分の名前を口にした。

「水土大輝だ。分かったか?」

彼女はインターネットでオレの名前を調べる。

「水土、大輝。あ、あった! ケーキグランプリ優勝! 
そんな、インターネットで検索されるなんて……。
イヤアア、殺される!来ないで!」

彼女はなぜか、取り乱した。

「落ち着け、問題ない! インターネットで検索して出て来ても、何ら不思議はない!」

聡美ちゃんの言葉を聞き、美香は落ち着きを取り戻した。

「あははは、すいません。自分の名前を検索しても出てこないので、てっきり偽名かと思いました。犯罪者呼ばわりしてすいません」

彼女は跪いて、挨拶をする。

「どうも、水土大輝様。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
私、精一杯度よくして精進しますんで、どうぞよろしくお願いします」

オレは彼女の挨拶を見て、恥ずかしく感じた。

「ちょっと、それは大袈裟過ぎないか?」

「放っておいてやれ! あいつはこの出会いを大切にしたいんだ」

聡美ちゃんにそう言われ、オレは美香を静かに見つめた。
美香が頭を上げたので、オレは手を出し、握手しながら挨拶する。

「えっと、こちらこそよろしく……」

彼女は無邪気に笑っていた。

「じゃあ、お前の部屋に案内するか。一応、家事とかも……。できるか?」

聡美ちゃんは、オレを見ながら尋ねる。

「うーん、できる限りは……」

「ゴミ出しとかも無理そうだな。料理のレシピとかは分かるのか?」

「それなら、なんとか……」

「なら、美香の料理指導だな。あいつ、カレーも真面目に作れないから……」

「マジでか?」

 オレと聡美ちゃんの会話を聞き、美香が反論する。

「作れますよ、一人でも! レシピだって、知ってますよ」

「ほう、ジャガイモをそのまま切って、調理しかけたのは誰だったかな? 
アタシが見てなければ、ジャガイモの芽をそのまま入れてしまうとこだったぞ!」

「う、それは……」

「後な、お前が採って来たキノコ。あれ、全部毒キノコだったから。
素人が図鑑で調べて採って来るんじゃないよ。まったく……」

「嘘……。あれは、ウラベニホテイシメジでしょ。
食用キノコって、スーパーマーケットで見て知っていたから採って来たのに……」

「残念でした! よく似たクサウラベニタケだったんだ。ベテランでも間違えるキノコだ。
死にはしないだろうが、嘔吐や下痢、腹痛までは容易にいくぞ。

分かったか。下手にアレンジを加えるから、危険なんだ! 
しばらくは、二人で調理するんだ。さもないと、死者が出るぞ!」

「う……。分かったわ。私、大輝さんの妻にふさわしいように頑張る!」

「分かってくれたか。まあ、舌のレベルは高いだろうが、地道に頑張れ!」

オレは不安になり、聡美ちゃんに尋ねる。

「オレにその気はないんだが……」

「まあ、奴をその気にさせるための起爆剤だ。
あんまし気にするな!」

「そうなのか……。誤解しないでくれよ」

オレは台所で家事のローテーション表を見て驚く。

「ちょっと待てよ。ほとんどあいつじゃねぇか? 
どういうことだ、この表に意味はあるのか?」

「ああ、別にいじめてるわけじゃないぞ。どれ一つ普通にできないんだ、美香は……。
それで、すべて私の指導の下で作業してもらっている。それだけのことだ……」

「そういうのは、一つ一つマスターさせていくもんじゃないのか? 
いっぺんにやったら、いくらなんでも無理だろう」

「おお、そういうもんか……。さすがに経験者は違うな。
じゃあ、まずは洗濯に集中してもらうか」

美香の作業は、すべて洗濯になった。

「アタシもおかんがいないから、そういうことには気が付かなかったよ。
美香が一人で全部やろうとするもんだから、つい……」

「オレがこの家に来た意味があるだけでもうれしいよ……」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

最後の女

蒲公英
恋愛
若すぎる妻を娶ったおっさんと、おっさんに嫁いだ若すぎる妻。夫婦らしくなるまでを、あれこれと。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...