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第九章 古代遺跡 続・学校編最後の試練!
第五十ニ話 姫野真槍VS光宮冷菓 決着!
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冷菓の氷攻撃の範囲が広く、真槍ちゃんは槍を握ったまま、氷の中に閉じ込められた。さすがに、これは勝負あったか……。
オレは、静かに、真槍ちゃんの敗北を受け入れていた。
オレの愛するべき相手は、やはり光宮冷菓なのだと……。
「ふう、勝負ありだな! ギリギリだが、冷菓の勝ちだ!」
「ちぇっ、もう少しでマモル君と毎晩の様に愛し合う事ができたのに……。
まあ、良いか。チャンスはまだまだいくらでもあるし!」
ゆたかはそう言って、冷菓に狙いを定めていた。
恋のライバルとして、冷菓を再度評価したのだろう。
冷菓や真槍ちゃんが、この先の戦いで傷付いたり、逮捕された場合は、ゆたかの計画が現実になってしまう。
オレが二人を守らなければ……。オレは、そう覚悟した。
凍り付けになった真槍ちゃんだったが、しばらくすると透明な氷が曇り始めた。
次第に、真槍ちゃんの身体も見えないくらい曇り始める。
いったいどうしたのだろうか?
「まだ、まだよ! これで終わりじゃないわ」
真槍ちゃんは、セカンドウェポンのナイフを使い、氷を砕いて脱出する。
「なるほど。槍使い(ランサ―)や騎士(ナイト)がナイフを携帯していたのはこの為か。いつ、何時、氷らされるか分からないからね」
ゆたかが、真槍ちゃんを見ながらそう推理するが、絶対に違うだろう。
対冷菓戦だからこそ、ナイフが氷を砕くのに役立ったのだ。
普通の戦いなら、絶対に凍らされる事は無い。
「恐るべき根性と負けず嫌いですね。
やはり、確実にダメージを与えなければ、諦めてはくれませんか?」
「ふん、諦められるわけないわ。
どんなに愚かに見えようと、常に本気なんだからね!」
真槍ちゃんは氷を砕き、すでに上半身は自由に動けるようになった。
残りは、下半身だけ。
動けるようになるのも時間の問題だった。
「これで最後です。
この攻撃は、ナイフでは避け切れませんよ。アクアショット!」
冷菓は、下半身がまだ動けない真槍ちゃんを攻撃する。
強大な水の塊が、真槍ちゃんを容赦なく襲いかかる。
「くっ、冷菓、ここまで考えてアタシを氷に閉じ込めたというの。
完全にアタシの負け」
ナイフで避けようとするが、巨大な水の塊は真槍ちゃんの周りの氷ごと一気に撃ち砕いた。
氷が砕け散り、真槍ちゃんの身体だけが地面目掛けて落下する。
オレはワープ能力を使い、地面に叩きつけられる前に真槍ちゃんを抱きかかえた。
身体は相当冷えており、最後の攻撃により気を失っていた。
しかし、それ以外に目立った外傷は無く、かすり傷がちょっと付いている程度だった。
冷菓は、オレと真槍ちゃんに近付きながら言う。
「ふう、彼女は美少女アイドルですからね。
後々の仕事で支障が出ない様に、怪我しない方法で戦いました。
さすがに、ちょっと疲れましたよ……」
冷菓は肩の傷を押さえながら歩いていた。
真槍ちゃんを気遣いながら戦っていたのか。
そして、完全な勝利を手にした。やはり冷菓はすごい。
オレのパートナーは冷菓だけだ。
オレの頭の中ではそう理解しているのに、真槍ちゃんの幻のFカップを見ると決心が揺らぐ。
今なら、少しぐらい揉んでも大丈夫だろう。
オレがそう思って、真槍ちゃんのオッパイを温めようとすると、冷菓の視線が痛く感じる。
「ふふ、さすがに記憶が無いと言っても、気を失っている女性の胸を触るのはNGですよ。
まあ、気を失ってなくてもダメですけどね♡」
「ふっ、何の事かな? オレは心臓マッサージをしようと……。ごめんなさい!」
いつもならいろいろ言い訳できるオレも、冷菓の前では素直に謝ってしまった。
まあ、結婚するなら、オレの暴走を留めてくれるくらいがベストなのだろう。
男は、一度暴走し出すと、自分では制御したくてもできなくなる事もあるからね。
夢だろうと性欲だろうと、オレに注意をしてくれる存在が必要なのだ。
オレは、冷菓ならそれが出来ると確信する。
真槍ちゃんをオレのマントに包み、冷菓に預ける。
さっきからしていた異様な気配が、オレに近付きつつある。
じっとりとオレを観察する様な視線だ。
その異様な気配は、この遺跡のもっとも大きな建物から感じられた。
おそらくこのダンジョンのボスだろう。
冷菓は負傷、真槍ちゃんは気絶、ゆたかはエロい。
この状況では、ボスとまともに戦えるのはオレだけだった。
いったいどんな敵なのだろうか?
妹の奏子がボスと言っていたが、そうなるとオレの敵ではないだろう。
腕力も剣の腕もオレの方が圧倒的に上。勝負にすらならない。
この異様な気配は、妹の物ではないはずだ。
オレはそう考えながら、ダンジョンの奥へと向かう。
ダンジョンの奥は、一番大きい建物があり、設備もかなり立派だった。
ここだけは、修復してあるようだ。内装もこっているし、石像も完全に残っている。
誰かが住んでいると言っても過言ではない。
元々あった遺跡は、全てこんな感じだったんだと、原形を想像する事ができた。
その遺跡の中は、広い空間があり、石像が一定間隔で並んでいる。
「ここが一番危険だな。こういう石像に紛れて、敵が潜んでいる可能性が高い。
例えば、ガ―ゴイルやゴーレムなんかが……」
オレがそう言っていると、案の定に一体の石像が動き始めて、オレを攻撃する。
思った通りだが、一体だけやけにデカイ。
攻撃は避けたが、床に大きなクレーターが出来た。
「さすがは、私のマモルお兄様。すでに、ゴーレムちゃんの出現を予測するとは……」
そこに現れたのは、光宮奏子だった。いつもの制服姿と違い、黒いドレスを着ている。
そして、髪の色は冷菓と同じ金髪だった。その為、オレもしばらくしてからでないと分からなかった。
「お前は誰だ? 奏子なのか?」
金髪のメガネ少女は微笑を浮かべてから、ゆっくりと威圧感を込めて言う。
「そうですよ。これが本当の私です。
本当は、メガネも取りたかったんですけど、さすがに私と分からなくなると思って止めておきました。
可愛いですかね?」
「そんな髪を金髪に染めて、オレは悲しいぞ。
天然だからこそ、触ったり頬ずりしたくなるというのに……」
「そうですか。でも、私も冷菓と同じく天然の髪ですよ。
ちょっと特殊な体質なので、イメージ次第で黒にも、金髪にも、白髪にもできるのです。慣れれば簡単ですよ♡」
「ちょっと特殊だと……。オレは、そんなこと出来ないぞ。どうなっているんだ?」
驚くオレを見て、奏子ははしゃぐ様に語る。
「ふはは、そりゃあそうですよ。
実際、マモルお兄様と私達家族は、全く血の繋がりもありませんからね。
マモルお兄様がおばあさまだと思っていたのが、実際のマモルお兄様のお母さんですよ。
私達は、ただ子供となったマモルお兄様を保護して育てていただけです。
さすがに、お年寄りとなったお母様に子供の世話はこくですからね。
がっかりしましたか?
でも、大丈夫。
これからは、私とマモルお兄様が結婚して、本当の家族になれますからね」
「そんなバカな!」
ショックングな事実を知り、オレは驚く。
だが、ゆたかが静かに奏子の背後に回り込み、パンティの色を確認していた。
偶然オレと同じタイミングで叫び、緊張感が一気に抜ける。
奏子は、パンティのズレを直し、ゆたかを警戒するように離れる。
「まさか、この年齢で黒を所有しているとは……。
なんて大胆なお方!」
ゆたかは、そう言って奏子に近付こうとするが、奏子は一定の距離を保つように逃げていた。
オレは、奏子と話をする為、ゆたかに静かにするように指示を出す。
ゆたかは渋々従ってくれた。
ゆたかのせいで緊張感が無くなり、言葉が出ない。
とりあえず、オレに好きな人ができたことを奏子に伝える。
分かってくれると良いのだが……。
「いや、オレはもうお前ではなく他の人が好きなんだが……。
一時期は、お前をそういう目で見ていた時もあるが、今は全然そんな気持ちは無い!」
「ああ、そうですか。別に問題ありませんよ。
結婚した後で、じっくりと私が好きになる様に調教しますからね。
この勝負に勝ったら、私と強制的に結婚してもらいます。
嫌なら、マモルお兄様が勝てば良いだけですからね。簡単でしょう?」
「オレの感情とかは、完全に無視というわけか? 勝負を拒んだら、どうするつもりだ?」
「断るわけありませんよ。あなたの最愛の人、二人が人質になるわけですから……」
奏子がそう語っていると、背後からウンディーネとイフリートが襲って来た。
二体は、オレではなく、気絶している真槍ちゃんと、傷付いている冷菓に標準を合わせて攻撃する。
オレ達三人は、バラバラにされてしまった。
これでは、オレ一人だけ逃げるわけにはいかない。
「ついでに、こいつもね!」
奏子は、風の精霊シルフを使い、比較的動けるゆたかを攻撃する。
姿が見辛い為か、ゆたかはあっさりとやられた。
壁に叩きづけられ、身動きが取れない。
「うう、しまった。なんか、風に抑えつけられている感じ……」
意識はあるようだが、動く事は無理のようだ。
真槍ちゃん、冷菓、ゆたかが動けなくなったのを確認すると、奏子はこう言う。
「ふふ、バトルの準備が整いましたね。
マモルお兄様が勝つ条件は、三人の内誰かとキスする事ですよ。
別に、そのキスの相手と付き合えとは言いませんので、簡単な気持ちで状況に応じて選んでください。
そして、私の勝利条件は、マモルお兄様にキスする事です。
マモルお兄様は、私を傷付けるなんて事はできませんし、公平な条件かと……。
まあ、私のキスは、熱いディープキスですけどね」
「何、オレならどんなキスでも良いのか? なら、投げキッスで……」
「さすがに、それはダメです。頬にキスまででお願いします」
「なら、オレの勝利条件は、真槍ちゃんか冷菓に唇へのキスだな!」
ゆたかが、私にキスしてとかほざいているが、完全に無視する。
真槍ちゃんか冷菓でなければ意味が無い。
「まあ、その余裕が命取りにならなければ良いですけどね」
そう微笑む奏子に、オレは疑問を投げかける。
「普通は、私を愛して! とか、私と付き合ってとか、お互いの気持ちを考える物なのに、いきなり結婚なのか?
その条件で本当に後悔しないのか?」
奏子は、髪をかき上げながら、冷酷な表情でこう答える。
「ええ、だいたい人間の男女という者は、引かれ合う様に出来ているのです。
ブスの女性が嫌だという男性も、ずっと一緒にいれば慣れて好きになる様にね。
そして、性的興奮を継続的に与え続ける事によって、恋愛感情を持続させる事が出来るようになるのです。
最初は、嫌だと思っていた相手とも、数を重ねる内に引かれ合う様になるのですよ。
まあ、この技は、夫婦間でのみ意味がありますけどね♡
じっくりねっとりと愛し合いましょう、マモルお兄様♡」
オレの前に、ゆたか以上のヤバイ奴が現れた。
この勝負、絶対に負けるわけにはいかない!
オレは、静かに、真槍ちゃんの敗北を受け入れていた。
オレの愛するべき相手は、やはり光宮冷菓なのだと……。
「ふう、勝負ありだな! ギリギリだが、冷菓の勝ちだ!」
「ちぇっ、もう少しでマモル君と毎晩の様に愛し合う事ができたのに……。
まあ、良いか。チャンスはまだまだいくらでもあるし!」
ゆたかはそう言って、冷菓に狙いを定めていた。
恋のライバルとして、冷菓を再度評価したのだろう。
冷菓や真槍ちゃんが、この先の戦いで傷付いたり、逮捕された場合は、ゆたかの計画が現実になってしまう。
オレが二人を守らなければ……。オレは、そう覚悟した。
凍り付けになった真槍ちゃんだったが、しばらくすると透明な氷が曇り始めた。
次第に、真槍ちゃんの身体も見えないくらい曇り始める。
いったいどうしたのだろうか?
「まだ、まだよ! これで終わりじゃないわ」
真槍ちゃんは、セカンドウェポンのナイフを使い、氷を砕いて脱出する。
「なるほど。槍使い(ランサ―)や騎士(ナイト)がナイフを携帯していたのはこの為か。いつ、何時、氷らされるか分からないからね」
ゆたかが、真槍ちゃんを見ながらそう推理するが、絶対に違うだろう。
対冷菓戦だからこそ、ナイフが氷を砕くのに役立ったのだ。
普通の戦いなら、絶対に凍らされる事は無い。
「恐るべき根性と負けず嫌いですね。
やはり、確実にダメージを与えなければ、諦めてはくれませんか?」
「ふん、諦められるわけないわ。
どんなに愚かに見えようと、常に本気なんだからね!」
真槍ちゃんは氷を砕き、すでに上半身は自由に動けるようになった。
残りは、下半身だけ。
動けるようになるのも時間の問題だった。
「これで最後です。
この攻撃は、ナイフでは避け切れませんよ。アクアショット!」
冷菓は、下半身がまだ動けない真槍ちゃんを攻撃する。
強大な水の塊が、真槍ちゃんを容赦なく襲いかかる。
「くっ、冷菓、ここまで考えてアタシを氷に閉じ込めたというの。
完全にアタシの負け」
ナイフで避けようとするが、巨大な水の塊は真槍ちゃんの周りの氷ごと一気に撃ち砕いた。
氷が砕け散り、真槍ちゃんの身体だけが地面目掛けて落下する。
オレはワープ能力を使い、地面に叩きつけられる前に真槍ちゃんを抱きかかえた。
身体は相当冷えており、最後の攻撃により気を失っていた。
しかし、それ以外に目立った外傷は無く、かすり傷がちょっと付いている程度だった。
冷菓は、オレと真槍ちゃんに近付きながら言う。
「ふう、彼女は美少女アイドルですからね。
後々の仕事で支障が出ない様に、怪我しない方法で戦いました。
さすがに、ちょっと疲れましたよ……」
冷菓は肩の傷を押さえながら歩いていた。
真槍ちゃんを気遣いながら戦っていたのか。
そして、完全な勝利を手にした。やはり冷菓はすごい。
オレのパートナーは冷菓だけだ。
オレの頭の中ではそう理解しているのに、真槍ちゃんの幻のFカップを見ると決心が揺らぐ。
今なら、少しぐらい揉んでも大丈夫だろう。
オレがそう思って、真槍ちゃんのオッパイを温めようとすると、冷菓の視線が痛く感じる。
「ふふ、さすがに記憶が無いと言っても、気を失っている女性の胸を触るのはNGですよ。
まあ、気を失ってなくてもダメですけどね♡」
「ふっ、何の事かな? オレは心臓マッサージをしようと……。ごめんなさい!」
いつもならいろいろ言い訳できるオレも、冷菓の前では素直に謝ってしまった。
まあ、結婚するなら、オレの暴走を留めてくれるくらいがベストなのだろう。
男は、一度暴走し出すと、自分では制御したくてもできなくなる事もあるからね。
夢だろうと性欲だろうと、オレに注意をしてくれる存在が必要なのだ。
オレは、冷菓ならそれが出来ると確信する。
真槍ちゃんをオレのマントに包み、冷菓に預ける。
さっきからしていた異様な気配が、オレに近付きつつある。
じっとりとオレを観察する様な視線だ。
その異様な気配は、この遺跡のもっとも大きな建物から感じられた。
おそらくこのダンジョンのボスだろう。
冷菓は負傷、真槍ちゃんは気絶、ゆたかはエロい。
この状況では、ボスとまともに戦えるのはオレだけだった。
いったいどんな敵なのだろうか?
妹の奏子がボスと言っていたが、そうなるとオレの敵ではないだろう。
腕力も剣の腕もオレの方が圧倒的に上。勝負にすらならない。
この異様な気配は、妹の物ではないはずだ。
オレはそう考えながら、ダンジョンの奥へと向かう。
ダンジョンの奥は、一番大きい建物があり、設備もかなり立派だった。
ここだけは、修復してあるようだ。内装もこっているし、石像も完全に残っている。
誰かが住んでいると言っても過言ではない。
元々あった遺跡は、全てこんな感じだったんだと、原形を想像する事ができた。
その遺跡の中は、広い空間があり、石像が一定間隔で並んでいる。
「ここが一番危険だな。こういう石像に紛れて、敵が潜んでいる可能性が高い。
例えば、ガ―ゴイルやゴーレムなんかが……」
オレがそう言っていると、案の定に一体の石像が動き始めて、オレを攻撃する。
思った通りだが、一体だけやけにデカイ。
攻撃は避けたが、床に大きなクレーターが出来た。
「さすがは、私のマモルお兄様。すでに、ゴーレムちゃんの出現を予測するとは……」
そこに現れたのは、光宮奏子だった。いつもの制服姿と違い、黒いドレスを着ている。
そして、髪の色は冷菓と同じ金髪だった。その為、オレもしばらくしてからでないと分からなかった。
「お前は誰だ? 奏子なのか?」
金髪のメガネ少女は微笑を浮かべてから、ゆっくりと威圧感を込めて言う。
「そうですよ。これが本当の私です。
本当は、メガネも取りたかったんですけど、さすがに私と分からなくなると思って止めておきました。
可愛いですかね?」
「そんな髪を金髪に染めて、オレは悲しいぞ。
天然だからこそ、触ったり頬ずりしたくなるというのに……」
「そうですか。でも、私も冷菓と同じく天然の髪ですよ。
ちょっと特殊な体質なので、イメージ次第で黒にも、金髪にも、白髪にもできるのです。慣れれば簡単ですよ♡」
「ちょっと特殊だと……。オレは、そんなこと出来ないぞ。どうなっているんだ?」
驚くオレを見て、奏子ははしゃぐ様に語る。
「ふはは、そりゃあそうですよ。
実際、マモルお兄様と私達家族は、全く血の繋がりもありませんからね。
マモルお兄様がおばあさまだと思っていたのが、実際のマモルお兄様のお母さんですよ。
私達は、ただ子供となったマモルお兄様を保護して育てていただけです。
さすがに、お年寄りとなったお母様に子供の世話はこくですからね。
がっかりしましたか?
でも、大丈夫。
これからは、私とマモルお兄様が結婚して、本当の家族になれますからね」
「そんなバカな!」
ショックングな事実を知り、オレは驚く。
だが、ゆたかが静かに奏子の背後に回り込み、パンティの色を確認していた。
偶然オレと同じタイミングで叫び、緊張感が一気に抜ける。
奏子は、パンティのズレを直し、ゆたかを警戒するように離れる。
「まさか、この年齢で黒を所有しているとは……。
なんて大胆なお方!」
ゆたかは、そう言って奏子に近付こうとするが、奏子は一定の距離を保つように逃げていた。
オレは、奏子と話をする為、ゆたかに静かにするように指示を出す。
ゆたかは渋々従ってくれた。
ゆたかのせいで緊張感が無くなり、言葉が出ない。
とりあえず、オレに好きな人ができたことを奏子に伝える。
分かってくれると良いのだが……。
「いや、オレはもうお前ではなく他の人が好きなんだが……。
一時期は、お前をそういう目で見ていた時もあるが、今は全然そんな気持ちは無い!」
「ああ、そうですか。別に問題ありませんよ。
結婚した後で、じっくりと私が好きになる様に調教しますからね。
この勝負に勝ったら、私と強制的に結婚してもらいます。
嫌なら、マモルお兄様が勝てば良いだけですからね。簡単でしょう?」
「オレの感情とかは、完全に無視というわけか? 勝負を拒んだら、どうするつもりだ?」
「断るわけありませんよ。あなたの最愛の人、二人が人質になるわけですから……」
奏子がそう語っていると、背後からウンディーネとイフリートが襲って来た。
二体は、オレではなく、気絶している真槍ちゃんと、傷付いている冷菓に標準を合わせて攻撃する。
オレ達三人は、バラバラにされてしまった。
これでは、オレ一人だけ逃げるわけにはいかない。
「ついでに、こいつもね!」
奏子は、風の精霊シルフを使い、比較的動けるゆたかを攻撃する。
姿が見辛い為か、ゆたかはあっさりとやられた。
壁に叩きづけられ、身動きが取れない。
「うう、しまった。なんか、風に抑えつけられている感じ……」
意識はあるようだが、動く事は無理のようだ。
真槍ちゃん、冷菓、ゆたかが動けなくなったのを確認すると、奏子はこう言う。
「ふふ、バトルの準備が整いましたね。
マモルお兄様が勝つ条件は、三人の内誰かとキスする事ですよ。
別に、そのキスの相手と付き合えとは言いませんので、簡単な気持ちで状況に応じて選んでください。
そして、私の勝利条件は、マモルお兄様にキスする事です。
マモルお兄様は、私を傷付けるなんて事はできませんし、公平な条件かと……。
まあ、私のキスは、熱いディープキスですけどね」
「何、オレならどんなキスでも良いのか? なら、投げキッスで……」
「さすがに、それはダメです。頬にキスまででお願いします」
「なら、オレの勝利条件は、真槍ちゃんか冷菓に唇へのキスだな!」
ゆたかが、私にキスしてとかほざいているが、完全に無視する。
真槍ちゃんか冷菓でなければ意味が無い。
「まあ、その余裕が命取りにならなければ良いですけどね」
そう微笑む奏子に、オレは疑問を投げかける。
「普通は、私を愛して! とか、私と付き合ってとか、お互いの気持ちを考える物なのに、いきなり結婚なのか?
その条件で本当に後悔しないのか?」
奏子は、髪をかき上げながら、冷酷な表情でこう答える。
「ええ、だいたい人間の男女という者は、引かれ合う様に出来ているのです。
ブスの女性が嫌だという男性も、ずっと一緒にいれば慣れて好きになる様にね。
そして、性的興奮を継続的に与え続ける事によって、恋愛感情を持続させる事が出来るようになるのです。
最初は、嫌だと思っていた相手とも、数を重ねる内に引かれ合う様になるのですよ。
まあ、この技は、夫婦間でのみ意味がありますけどね♡
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