【オススメネット小説】秘められた異次元( シークレットディメンション) ムッツリスケベは異世界を救う!?

猫パンチ

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第十章 引き離されたオレと冷菓!

第六十四話 真槍ちゃんのエプロン!

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 オレは、店員から魅惑のエプロンを受け取り、真槍ちゃんに渡す。

「はい、とりあえず試着して見ようか?」

真槍ちゃんは、エプロンを手に取り、装着する。
いきなり試着とは、中々大胆な行動だ。
オレは、後ろを振り向きながら妄想する。

(ああ、オレの後ろで真槍ちゃんが裸エプロンに……。ダメだ、振り向いちゃ……)

オレは、後ろを振り向くという誘惑を受けていたが、何とか耐え切る。
布ずれの音とかが耳で聞き取れて、手に取る様に分かった。

「良いわよ、振り向いて」

真槍ちゃんの着替えは、意外と早く終わる。
おそらく売れないなりにも職業アイドルだから、生着替えも御手の物なのだろう。
オレは、ドキドキしながら振り返る。

オレの後ろに、エプロン一枚しか着ていない真槍ちゃんがいるのだ。
店員との修行により、エプロン越しでも姿形がはっきり見えるレベルになっていた。

今のオレには、真槍ちゃんの姿は丸裸も同然なのだ。
オレは、振り返り真槍ちゃんのエプロン姿を観察する。

(ん? エプロン越しだが分かる! 
真槍ちゃんは、いつものブラウスの上からエプロンを着用している。
裸エプロンじゃない!)

オレは、騙された様な気分に陥っていた。

「中々良いわね、このエプロン。料理する時とかに使えそう。
裸エプロンは、絶対ごめんだけど……」

そう、エプロンとは、元々服の上から着る物だ。
だからこそ、防御機能や料理時の軌道性も向上する。
裸エプロンなど、夜の夫婦の営みでしか役に立たない。

真槍ちゃんはそれを理解し、料理目的に使う事にしたのだ。
しかし、オレのがっかり感は何だろう。
そして、店員も同じように項垂れていた。

「気に入ってもらえて結構です。どうぞ、存分にお使いください」

目を逸らし、本心ではない事が丸分かりの表情だった。
ここまで落ち込んだ人間は、中々見た事が無い。

「あ、そうそう子狐丸を直してもらうんだった。これ、直ります?」

真槍ちゃんは、オレと店員が知り合いとかいう情報を全く無視し、子狐丸の依頼をお願いする。落ち込んでいた店員も、やる気なさげに品物を見る。

「ええ、二日くらいで直ると思います」

「じゃあ、二日後にまた来ます。えっと、お代はいくらですか?」

真槍ちゃんにそう訊かれ、店員は一気にやる気を取り戻した。

「いえ、お代は入りません! 
ちょっと数十着試着して、遊園地を回っていただければ……。
遊園地と撮影の宣伝にもなります!」

店員は、水着数着やメイド服等のコスプレ衣装を用意していた。
当然、オレのやる気も回復する。これは仕事だ。
オレもサポートとして、真槍ちゃんを助けなければ……。

オレと店員の真槍ちゃんをサポートする旅が始まった。
二日くらいかかるかもしれない。
オレは、カメラを見ながらそう検討する。

「あの、一日しか協力できません。明日は、ちょっと用事がありますから……」

真槍ちゃんは、笑顔でそう言う。
オレは、何も聞いていない。
いったい何の用事なのだろうか? 

デートか? 
オレの知らない秘密の恋人がおり、そいつと遊ぶ予定なのだろうか。
オレは、真槍ちゃんに尋ねる。

「え? いったいどこに行くつもりだ! そして、誰と……」

真槍ちゃんは、オレに近付くように指でサインをする。
店員には聞こえない様にする為の配慮だろう。
さすがに、美少女アイドルの恋人発覚は不味いからな。

スキャンダルとなり、一躍有名になる反面、CMなどの宣伝活動は干される事になるだろう。

そうなったら、CMでの収入が減ったり、今放送されているCMもカットされるかもしれないのだ。

芸能界は意外と厳しい。
裏では、やくざや枕営業、麻薬や覚せい剤が蔓延っている反面、清純アイドルが不倫や恋人発覚しただけでボーズ頭にされる危険もあるのだ。

芸能人の私生活は、個人の自己責任というが、芸能活動をするだけで、やくざや枕営業、麻薬や覚せい剤は付いて回って来る物だ。

過去にタバコを吸っているアイドルなんかも干されたりしたが、ほとんどのアイドルや女優なんかがタバコを吸っている。

二次喫煙なんかは当たり前にある世界だ。
そんな悪環境で仕事をしつつ、タバコを吸ったら終わりとは、本当にふざけた世界だ。
もうタバコなどこの世から消えさったらいいのに、と思うが無くならない。

一度タバコを吸ってしまえば、中毒になる危険もある。
そして、肺を汚し、環境を汚す。

喫煙者は、タバコを吸っている方が癌にかからないと言うが、それはお前らのせいで二次喫煙になっているからだよ! 
副流煙の方が肺を悪く成分が含まれているからね。

タバコは、自分の身体ではなく、他人の身体を害する悪しき物だからね。
食事の味も分からなくなるし、自制心も阻害される。
中・高生くらいは、絶対に吸わない方が良いだろう。

オレの真槍ちゃんは、タバコなんて吸っていない。
それだけで、美少女アイドルとしての価値は高いだろう。
これからも健康なオッパイで居て欲しい者だ! 

その健康なオッパイが、何者かの手に落ちようとしているのだ。
それを黙って見過ごせるはずが無い! 

真槍ちゃんは、オレの耳元でこう囁く。
息が顔にかかり、良い匂いがする。

「現実世界に戻って、おじさんに会いに行くのよ。剣冴から連絡が来たの!」

オレはそれを聞き、涙が出た。
あの真槍ちゃんが、オレの真槍ちゃんが、どこぞのおっさんと恋人関係だったとは……。知りたくも無かった事実を知り、オレは雷に打たれた様な衝撃を受けた。

しかも、弟の剣冴も容認しているのだ。
どこぞの金持ちかは知らないが、オレの真槍ちゃんと恋人関係でいる以上、奴を倒して奪い取る必要がある。

もちろん容赦はしない! 
真槍ちゃんの眼の前で己の無力を痛感させ、オレの者である事をアピールするのだ。
別れさせるには、それしか方法が無い。

しかし、真槍ちゃんがそんな大人な関係を持っているとは意外だった。ショックで考えていた事がオレの口から洩れる。

「真槍ちゃんは非処女か……」

芸能人と言えば、世間知らずが多い。若い内から常識を知らずに育つのだ。
そうしている内に、良くしてくれる社長や金持ちのおじさんなどに恋心を抱く事があるのだ。まさか、真槍ちゃんがそのタイプだとは思わなかったが……。

オレがそう考えていると、真槍ちゃんの正拳突きがクリティカルヒットした。
怒りを含んだ笑顔で、オレを容赦なく攻撃する。

「アタシは処女だけど、何か質問ある? 
マモル君がどんな事を考えているのか教えてよ。
場合によっては、槍で突くけど……」

真槍ちゃんが、どこぞのおっさんと恋人関係になり、会いに行こうとしている。
オレの考えをそのまま言葉にするのは不味い! 
とりあえず、相手の名前と連絡先を訊いてみる事にした。

「いったい誰と会いに行くんだ? どんな男だ? そんなに好きなのか?」

オレの怒濤の質問に対し、真槍ちゃんはキョトンとした表情をする。
そんなに意外な人物なのだろうか?

「えっと、光宮弘毅さん。家の住所は、マモル君の方が詳しいと思うけど……」

まさかのオレの親父だった。
普段は、お母さんとラブラブとほざいているが、まさか真槍ちゃんとそんな関係だったとは……。

ここは、オレが息子として、真槍ちゃんの彼氏として、一人の男として、奴を倒さなければいけないと感じる。

奴を野放しにすれば、お母さんが悲しむばかりではなく、多くの女性が涙を見る事になるのだ。
オレは、光宮弘毅を倒すと心に決めた。

「真槍ちゃん、オレも行くぞ! 
奴に会って、天誅を下さねばならん!」

「うん、最初からそのつもりだったんだけど。
天誅って何かしら?」

戸惑う真槍ちゃんを連れて、オレは店の外へと出て行く。
店員が撮影の準備をしながら、オレ達を引き留める。

「ちょっと、どこへ行くの? まだ撮影の準備は終わっていないのよ? 
もうしばらくここにいて!」

「そんな物は後だ! オレは今、絶対に倒さなければいけない敵がいる! 
そいつを倒した後でまた来る。何、一日後になるだけだ」

超傲慢な態度を取ってしまったが、女性陣には受けた。
店員は、オレを見送りながら言う。

「カッコいい……」

オレは、店の外へ出て、遊園地から出ようとする。
真槍ちゃんは、オレの後に付いて来るのが精一杯の様子だ。

「ようやく本気になったのね! 
そうよ、あいつを倒さなきゃ、冷菓と奏子も救えないのよ!」

オレを応援する真槍ちゃんだったが、オレはある事実に気が付いた。
どうやって現実世界へ戻れば良いのだろうか? 
帰り方が分からない! 

オレは、真槍ちゃんに尋ねる。

「あの、どうやって現実世界に帰るの?」

真槍ちゃんは、一瞬戸惑って、こう答える。

「店員に訊いてみる?」

オレは、店の中へ戻り、店員にこう尋ねる。

「すいません、現実世界への帰り方を教えてください!」

さっきオレに陶酔していた店員は、小声でこう言った。

「ちっ、迷子かよ! カッコ悪!」

あの時の店員の表情を、オレが忘れる事は無い。超屈辱的な表情だった。
オレ達は、帰る道を教えてもらい、現実世界へ戻る。
待っていろ、光宮弘毅!
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