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第十一章 金(ゴールド)と星(ランジェリー)
第七十一話 Eカップの美人警察官
しおりを挟むオレ達は、ゆたかよりも先に起きる。
すると、真槍ちゃんが笑顔でこう言った。
「簡単な朝御飯を準備するね。サラダと果物なら用意できるから」
本格的な食事はできないくせに、エプロンまでも身に付ける。
オレとそんなに新婚ごっこが続けたいのかと思うと、胸がキュンと苦しくなる。
オレは、性欲を押さえて、真槍ちゃんが食事を作るのを待った。
ゆたかもいつも通り起きて来た。
昨日の夜中に、眠り薬入りのドリンクを飲まされたなど思ってもいないようだ。
「はーい、ご飯が出来ました!」
真槍ちゃんが作ったのは、ニンジンとレタスのサラダだ。
ドレッシングは手作りの様だが、朝御飯と呼ぶには、質素過ぎる物だった。
そして、リンゴやオレンジが並べられている。
オレとゆたかがサラダに口を付けると、不安そうに訊いて来た。
「味はどうかな? アタシが初めて作ったんだけど……」
ゆたかは、状況が理解できていないのか、真槍ちゃんが望む回答を答えない。
「えっ、普通? ちょっと酢が多い気がする」
その答えでは、真槍ちゃんを満足させる事はできない。
真槍ちゃんは、ゆたかを見限り、オレに全ての期待を込める。
そんなに見つめられると照れるが、オレは真槍ちゃんの望む回答を知っている。
「うん、とっても美味しいよ! 市販のドレッシングかと思うほどだよ。
でも、真槍ちゃんの愛情が籠っている!」
真槍ちゃんは、照れ隠しにオレを叩く。
「いやん、そんな誉められると、アタシ困っちゃう! 普通に作っただけだよ!」
彼女や奥さんが頑張って料理を作った場合、少し大げさに誉めましょう。
至らない点を述べると、反感を買うので、最初の内は誉めまくりましょう。
その後、同じ味は飽きるからという理由で、料理の味を改善して行きましょう。
多少工夫が要りますが、誉める事により料理の美味しい妻が出来上がります。
だいたい一年くらいの辛抱です。
オレ達は、真槍ちゃんの料理を平らげ、警察所へと向かう。
今回のターゲット・金熊童子は、どこの金庫を襲うのであろうか?
それを調べて逮捕する必要があった。
ゆたかの案内の元、Eカップの美人警察官を訪ねる。
「ゆたか、あんたに情報を教えてくれたのは、どの警部さんなの?」
ゆたかは、ある女性の警部のオッパイを突き、こう答える。
「このオッパイだよ!」
オレもオッパイの感触を確かめる様に、警部のオッパイを触る。
「ほう、このオッパイか……」
世の中には、男性でありながら女性ホルモンを注射し、胸を大きくして女性に成りすます変態もいる。
男性の肉体を使い、いろいろ身体能力を有利にさせて、良い成績を残していながら、自分の性を女性と偽るのだ。
オリンピック選手なら、この行為は、ドーピングに匹敵する違反だ。
即刻社会的に抹殺しなければならない。
しかし、オレの手の感覚に間違いが無ければ、この警部は正真正銘の女だった。
整形手術による豊胸では、この感触はあり得ない。間違いなく白だ!
オレは、この美人警部が女性であることを認める。
それに伴い、真槍ちゃんと警部から鉄拳が飛んで来た。
痴漢行為でこの程度の裁きなら、軽い方だ。
みんなは絶対にまねしない様に、十八歳以上は、社会的に抹殺されます。
「またあなたですか? 今日は何ですか?
友人が人質に攫われたのは気の毒ですが、七天童子は、神出鬼没の大怪盗集団。
友人達を救出するには、相当の努力と捜査が必要になります。
今の段階では、彼らが人質を解放するのを待つしかありません。
警察でさえ、犯行時刻と場所が分かっていながら、対処の方法が無いわけですから……」
警部の言葉に、真槍ちゃんは笑って返答する。
「ええ、ですから金熊童子の逮捕に協力したいと思いまして、警部に犯行時刻と場所を尋ねに来たわけです。
ゆたかちゃんでは、正確な場所と時刻までは分かりませんでしたから」
警部は、噴き出す様に笑ってこう答える。
「ぶっふ、天下の大泥棒を、あなた達で捕らえるというの?
無駄ですよ!
それどころか、怪我人と足手纏いが増えるだけです。
素人にうろつかれる以上に迷惑な事はありません。
そういう事なんで、お引き取り願えますか?
当然、詳しい場所と時刻もお伝えする事はできませんよ。
警察の活躍を期待して、家で大人しく待っていてください」
Eカップ警部は、さっさと自分の課に帰って行こうとする。
どうやらそれなりに仕事は溜まっているようだ。
真槍ちゃんは、警部の態度が気に入らず、不機嫌になり始めた。
友人が攫われたというのに、あの態度は確かに礼儀知らずだ。
「待ちなさいよ! こっちは友人が攫われたのよ!
それなのにその態度はあんまりじゃない? 部署と名前を言いなさいよ。
クレームを付けてやるわ!」
警部は、不敵に笑いこう言う。
「捜査二課の幾島警部よ!
まあ、同情くらいは聞いてもらえるんじゃない?
じゃあ、私は暇じゃないのでこれで失礼するわ!」
警部は、凛々しい姿勢で歩いて行く。
真槍ちゃんは、勝っているFカップオッパイを揺らしながら怒っていた。
「畜生! これでまた振り出しか。
さすがに、素人が場所も予告時間も知らずに、泥棒を捕まえるのは無理があるわ!」
真槍ちゃんはそう言うが、オレには秘密の情報を知っている場所がある事を理解していた。
普段から人気で、犯行現場に野次馬もいるという事は、情報を伝えている奴らがいるという事だ。
養育施設関係者は確かに知っている可能性も高いが、奴らを庇う可能性も高い。
情報を誤って伝えられる危険もあった。
しかし、新聞社や雑誌記者なら、見返り次第では正確な情報を教えてくれる。
丁度ここには、ゆたかもいる。情報を聞き出すには打って付けだ。
オレは、雑誌記者に相談する事を提案する。オレの意見を聴き、真槍ちゃんも同意する。
「確かに、下端刑事とかは、上から情報を教えてもらえないから、雑誌記者に事件の内容を聴くというわ。早速、雑誌記者に当たって見ましょう!」
オレ達は、雑誌記者に金熊童子の犯行場所と犯行時間を聞き出す。
最初は渋っていた雑誌記者も、エロベアソードの刃により、徐々に饒舌になって行った。男性の前で裸体を晒されるのは、ベテランの雑誌記者でも恥ずかしいらしい。
雑誌記者だからカメラも持参しており、エロい画像を撮る事ができた。
ゆたかは、画像を確保し、ついでに情報も聞き出す事に成功したのだ。
粗方必要な情報が手に入ると、女性記者に替えの服とズボンを渡し、オレ達の聞き込み捜査は、終了した。
真槍ちゃんは、作戦を考えながらつぶやく。
「昼の三時頃、中央銀行を襲撃しに来るわけね。
まあ、エロベアソードがある事をもっと早くに気付けば、幾島警部から情報を聞き出す事が出来たんだけど……」
「さすがに、警察官にあの聞き込み捜査は不味いと思うよ。
逆上して、仲間の警察を呼ばれても厄介だし、この場合は雑誌記者の情報で納得しようよ」
「マモル君の言う通りね。
確かに、警察のホームグランドで、あの聞き込みをしたら、アタシ達が捕まっちゃうわ。まあ、何にしても金熊童子を捕まえれば良いだけだしね。
そうなると、警察が邪魔だわ!
戦闘力は低いし、今まで金熊童子を捉える事の出来なかった無能な奴らよ。
アタシ達の行動は制限して来るだろうし、戦い難いったらないわ!」
「確かに、あの警部が言うのも一理あるな。
無能な奴らと一緒だと、オレ達の行動を制限されて、金熊童子から一番遠い所に配置される。
そのくせ、足止めさえも出来ないから、オレ達が向かう時には、金熊童子に逃げられる可能性が高い。
ベストポジションで待っていてこそ、何とか金熊童子を捕らえる事が可能になる!」
「確かにそうね。マモル君、良い所に気が付いたわ。
無能な警察は、さっさと無能な状態にしておこうかしら?」
真槍ちゃんは、不敵に笑った。
オレとしては、警察官姿にコスプレしている真槍ちゃんが見たい。
これが今のオレの正直な気持ちだった。
それさえ見られれば、作戦なんてどんな方法でも良い!
オレ達は、ホテルに戻り、調理器具一式を借りる。
真槍ちゃんは、料理に目覚めたらしく、冷菓のレシピを見ながら、今日の献立を考える。
オレは、このままオレ好みの嫁に育ってくれと願っていた。
ゆたかは不謹慎にも、レストランで食事を食べたいと言う。
「えー、また真槍の作るご飯? 私は、レストランの方が良い!」
「バカね、こんな街だと、食事代が高いわよ。
自分で作った方が安上がりだから、あんたも手伝いなさい。
今日のお昼は、ラーメンとチャーハンよ。ここに、簡単で易いって書いてあるし……」
夕方も真槍ちゃんがやる気を出して、パスタを作ってくれた。
まあ、普通の美味しさだったが、オレは大げさに誉める。
「美味い! 真槍ちゃん、料理が上達したね」
「本当? もっと褒めて!」
真槍ちゃんの喜び顔見たさにオレは誉める。ゆたかは、普通を連発していた。
ゆたかに、真槍ちゃんの愛情は伝わっていないようだ。
ゆたか、お前も料理を作る様になれば、どれだけ頑張っているかが分かるはずだぞ!
オレ達は休息を取り、明日の決戦に備える。
真槍ちゃんは、ホテルのベッドをもう一つ借り、ゆたかと別々で寝る。
明日は決戦の日、ゆたかに警戒して疲れている場合ではない!
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