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第十三章 空中都市『エムロード』 酒呑童子との死闘!
第九十七話 姫野真槍VSベルーダ(酒呑童子)
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オレ達は、三匹のドラゴンを相手に、完全に分散させられてしまっていた。
オレとリンドブルム、ゆたかとファイアードレイク、真槍ちゃんとベルーダの戦闘になっていた。
真槍ちゃんは、空中都市『エムロード』の上でベルーダと交戦する。
槍による推進力で短時間飛ぶ事はできるが、空中戦という観点からして見たら戦力的にかなり不利な状況だった。
『エムロード』を足場にし、接近戦に徹する。
酒呑童子は、ベルーダをコントロールしながら、真槍ちゃんと間接的に戦っていた。
身体その物は、巨大なドラゴン『ベルーダ』だが、脳をコントロールする事により、ベルーダの行動と思考を完全に掌握していた。
本来は、凶暴で獰猛なはずのドラゴンが、言葉を口にして語りかけて来る。
「ふふ、各個攻撃というのは、ある程度集中力できて助かるわ。
実際、この『ベルーダ』と姫野真槍をぶつけるつもりだったからね。
この『ベルーダ』の特徴は、炎と毒による攻撃よ。
そして、美しい乙女を大好物にしているの。
あなたとの対戦には、とてもふさわしいでしょう?」
「何、こいつ。話せるの?」
「ふふ、これは、酒呑童子である私の思考ですよ。
ドラゴン自体は、餌に飢えたライオン並みに凶暴ですからね。
つまり、あなたと話をしているのは、酒呑童子である私という事です」
「こいつは厄介ね」
「厄介なのは、あなたですよ!」
ベルーダは、背中にあるトゲを飛ばして攻撃して来た。
一本一本が箸ほど大きく、毒を持つトゲだ。それを弓矢の様に飛ばして来る。
映画で良く見る無数の矢と言った感じだった。一本でも刺されば、致命傷に成りかねない。
更に、真槍ちゃんは、毒の攻撃には耐えても、傷を負った部分によってはアイドル生命を断たれてしまう。真槍ちゃんは、ほぼ無防備にその強力な攻撃を受けた様に見えた。
「きゃあああ! あれ、トゲの攻撃を受けていない?」
真槍ちゃんは、自分の身体を良く見るが、無数のトゲが飛んで来たにもかかわらず、傷一つ負っていなかった。それどころか、『エムロード』の地面にさえ、トゲは届いていない。
ベルーダは、攻撃を試し、自分の予想通りの結果になった事を悟る。
「やはり、この『ベルーダ』の攻撃は、あなたには効きませんか。
正確には、『エムロード』を傷付ける全ての攻撃を無効にするので、姫野真槍も無傷だったと言うだけですけどね。
ここを陣取ったのは、あなたの勘の良さですね。
ここだけが、ベルーダとあなたがまともに戦えるフィールドですから。
その勘には、敬服しますよ」
「ふふ、アタシとしては、ただ足場が欲しかっただけだけど、かなり有利な場所の様ね!」
ベルーダは、飛行を続けながら語り続ける。
ドラゴンは、強力な武器を持っているが、接近戦はかなり苦手のようだ。
そのため、攻める為に思考を巡らしているのだろう。
真槍ちゃんも槍を構えているが、先に攻撃する事は許されない。
不用意に槍で飛んで、『エムロード』の無効果エリアを出た瞬間、ベルーダの反撃を喰らうからだ。
真槍ちゃん自身は、黙ってベルーダの言葉を聴くしかできない。
お互いに、相手が攻撃するのを待ち続ける状態だった。
「あなたを見ていると、昔に流行った歌を思い出しますよ。
丁度、曲名は、ベルーダの毒と同じ『ポイズン』ですけどね。
あなたのその自分を曲げない芸能活動は、正直敬服に値しますよ。
枕営業やAV等の汚れ役の仕事も有ったでしょうけど、あなた達は全部断っています。
それが一部の芸能人には嫌われ、今まで人気が無かった原因ですね。
でも、そのスタイルでは、いずれ限界が来ますよ。
一日の食事分も稼げない日があるでしょう?
今はまだ良いかもしれないけれど、年齢が上がる毎に追い詰められて行くでしょう?
そろそろ素直になった方が良いんじゃないですか?
このままでは、売れないまま二十歳を過ぎ、アイドルとしては絶望的になりますよ?」
「そうね。でも、これがアタシよ!
自分の信念を曲げてまでアイドルに成る気はないわ。
それは、弟の剣冴も磯辺霊子も同じ考えよ!」
「ふふ、何者にも妨げる事の出来ない真っ直ぐな槍か。確かに、美しく感じるわ。
でも、それを壊して、絶望的な表情を見てみたいのも人間としての欲求ですかね?
この『ベルーダ』で、あなたを絶望のどん底に叩き落してくれるわ!」
ベルーダの方から攻撃を仕掛けて来た。尻尾を鞭のようにして使い、接近戦となる。
基本的に『ベルーダ』の攻撃は効かないが、攻撃範囲を真槍ちゃんに絞る事で、『エムロード』の無効果エリアに対応する。
攻撃範囲が絞られた事により、攻撃方法は地味になったが、それでも人間には驚異の攻撃だった。
「くう、攻撃を耐え続けるのがやっと……」
真槍ちゃんは、ナイフを盾にして、ベルーダの攻撃を受け続けていた。
隙を見て、槍で攻撃しようとすると、ベルーダがこう言う。
「ふふふ、尻尾にも毒はあるわ。ナイフの防御が緩んだ瞬間、死ぬかもね♡」
「くっ、防御に徹するしかないのね。でも、このままじゃあ……」
ベルーダの尻尾攻撃をなんとか凌いでいるが、このままでは体力が尽きてやられてしまう。
何とかベルーダにダメージを与える必要があった。
ベルーダの全身は、硬い毛で覆われており、ナイフ程度では傷付かない。
それは、尻尾も同じであり、徐々に真槍ちゃんが疲れさせる。
ベルーダは、真槍ちゃんの右側だけに集中して攻撃していたが、突然に左側を攻撃する。
「ふふ、反対側が、がら空きよ。まあ、態とそうして攻撃したんだけどね♡」
「くっそ、ガードし切れない!」
不意を突かれた真槍ちゃんは、ナイフでその攻撃をガードする事が出来なかった。
避けられない攻撃を、槍のブースターを使って何とか避ける。
『エムロード』から離れ、真上に飛び出した。
ベルーダは、真槍ちゃんが『エムロード』から離れた事で、全ての攻撃方法を使い、全力で攻撃し始めた。
「離れた、離れた、離れた! これで終わりよ、姫野真槍!」
口から吐く火炎攻撃と毒のトゲを飛ばして攻撃する『ベルーダ』だったが、槍をブースター状態にし、弾丸の様に飛行する真槍ちゃんに効かなかった。
槍の形状が全ての攻撃を弾いて行く。
「なんて槍なの……。火炎攻撃も毒のトゲも槍の角度によって弾かれてしまう。
槍の推進力が無くなれば勝てるだろうけど、姫野真槍の操縦技術が『ベルーダ』の飛行速度を上回っている。
いくら『ベルーダ』の防御力が高いと言っても、真っ向からあの槍の一撃を喰らったら不味い! でも、毒のブレスは、あなたの槍をも腐食させるのよ。
この毒のブレスこそが、対真槍戦の切り札よ!」
ベルーダは、真槍ちゃんの槍に毒のブレスを浴びせ掛ける。
最初は、火炎攻撃と同じように効かない感じだったが、次第に槍が毒に溶かされて行くのが分かった。推進力がわずかに落ち、真槍ちゃんの体調も悪くなっていた。
「うう、息苦しい。これが毒のブレス? 長時間の戦闘は無理だわ!
毒を吐くドラゴンの口ごと、槍で貫き通すしかない!」
真槍ちゃんは、ベルーダの口に向かって突撃して行く。
真正面からなら毒のブレスの攻撃を、真槍ちゃん自身は最小限のダメージで抑える事が出来るのだ。
槍による攻撃も、ベルーダの毒のブレスが目隠しとなり、対応し辛い事だろう。
ただし、毒による槍の損傷も激しかった。見る見るうちに槍が腐食して行く。
「このおおお!」
槍で特攻する真槍ちゃんだったが、毒のブレスによって槍の威力が落ちていた。
突進の動きが鈍り、ベルーダに攻撃のチャンスが訪れる。
ベルーダは、尻尾を使い、毒のブレスと挟み撃ちで攻撃する。
どちらか一方でも食らえば、真槍ちゃんに勝機は無い。
「はは、槍の威力が落ちた。これで終わりよ!」
ベルーダの尻尾攻撃を、真槍ちゃんはナイフで受ける。
「ふう、尻尾で挟み撃ちにするのは、読んでいたわよ。
この尻尾攻撃の足場を使って、更に突撃するわよ!」
真槍ちゃんは、ナイフで止めた尻尾を足場にし、キックの要領でスピードを上げた。
そして、槍のブースターを全開にし、一気にベルーダの口に飛び込む。
(くっ、ブースターの威力を落としたのは、態とだという事?
この尻尾の足場を使い、更に威力を上げる為に……)
ベルーダの口が間に合わず、酒呑童子は心の中でそう考えていた。
真槍ちゃんは、それを見透かしたように答える。
「そう言う事よ!」
毒のブレスを吐き続ける口ごと、ベルーダを槍で刺し貫いた。
頭を破壊され、ベルーダは一気に飛行能力を失い、空中都市『エムロード』に落下する。ベルーダは、『エムロード』の効果により、死体ごと消え失せた。
真槍ちゃんは、槍の推進力を失い、『エムロード』に着地する。
かなり高い位置からの着地だった為、脚に軽いダメージを受けたが無事だった。
しかし、槍はその着地の衝撃で崩れ去ってしまった。
毒のブレスによるダメージが蓄積し、軽い衝撃にさえ耐えきれなくなっていたのだ。
真槍ちゃんの持っていた部分のみ、わずかに残っていた。
その一部も風が吹いたことによって、真槍ちゃんの手から砂のように消えていった。
真槍ちゃんは、去って行く槍に、独り言を語るように呼びかける。
「今まで、アタシと一緒に戦ってくれてありがとう。あなたがいて、本当に助かったわ」
彼女は、ベルーダを倒し、感傷に浸っていると、背後から不穏な気配を感じた。
咄嗟に、ナイフを構えて振り向くが、強い衝撃を受け倒れ込む。
そこには、ワープ能力を使い、真槍ちゃんの所まで移動した酒呑童子が立っていた。
「ごめんなさい。目立つドラゴン達を囮にして、あなたが油断する時を待っていたの。
これで、あなたは戦線離脱だわ。あなたを捕えた事を知れば、あの方も喜ぶ事でしょう」
真槍ちゃんは、酒呑童子の手によって連れさられてしまった。
オレとゆたかは、何も知らずまだドラゴンと交戦している。
オレとリンドブルム、ゆたかとファイアードレイク、真槍ちゃんとベルーダの戦闘になっていた。
真槍ちゃんは、空中都市『エムロード』の上でベルーダと交戦する。
槍による推進力で短時間飛ぶ事はできるが、空中戦という観点からして見たら戦力的にかなり不利な状況だった。
『エムロード』を足場にし、接近戦に徹する。
酒呑童子は、ベルーダをコントロールしながら、真槍ちゃんと間接的に戦っていた。
身体その物は、巨大なドラゴン『ベルーダ』だが、脳をコントロールする事により、ベルーダの行動と思考を完全に掌握していた。
本来は、凶暴で獰猛なはずのドラゴンが、言葉を口にして語りかけて来る。
「ふふ、各個攻撃というのは、ある程度集中力できて助かるわ。
実際、この『ベルーダ』と姫野真槍をぶつけるつもりだったからね。
この『ベルーダ』の特徴は、炎と毒による攻撃よ。
そして、美しい乙女を大好物にしているの。
あなたとの対戦には、とてもふさわしいでしょう?」
「何、こいつ。話せるの?」
「ふふ、これは、酒呑童子である私の思考ですよ。
ドラゴン自体は、餌に飢えたライオン並みに凶暴ですからね。
つまり、あなたと話をしているのは、酒呑童子である私という事です」
「こいつは厄介ね」
「厄介なのは、あなたですよ!」
ベルーダは、背中にあるトゲを飛ばして攻撃して来た。
一本一本が箸ほど大きく、毒を持つトゲだ。それを弓矢の様に飛ばして来る。
映画で良く見る無数の矢と言った感じだった。一本でも刺されば、致命傷に成りかねない。
更に、真槍ちゃんは、毒の攻撃には耐えても、傷を負った部分によってはアイドル生命を断たれてしまう。真槍ちゃんは、ほぼ無防備にその強力な攻撃を受けた様に見えた。
「きゃあああ! あれ、トゲの攻撃を受けていない?」
真槍ちゃんは、自分の身体を良く見るが、無数のトゲが飛んで来たにもかかわらず、傷一つ負っていなかった。それどころか、『エムロード』の地面にさえ、トゲは届いていない。
ベルーダは、攻撃を試し、自分の予想通りの結果になった事を悟る。
「やはり、この『ベルーダ』の攻撃は、あなたには効きませんか。
正確には、『エムロード』を傷付ける全ての攻撃を無効にするので、姫野真槍も無傷だったと言うだけですけどね。
ここを陣取ったのは、あなたの勘の良さですね。
ここだけが、ベルーダとあなたがまともに戦えるフィールドですから。
その勘には、敬服しますよ」
「ふふ、アタシとしては、ただ足場が欲しかっただけだけど、かなり有利な場所の様ね!」
ベルーダは、飛行を続けながら語り続ける。
ドラゴンは、強力な武器を持っているが、接近戦はかなり苦手のようだ。
そのため、攻める為に思考を巡らしているのだろう。
真槍ちゃんも槍を構えているが、先に攻撃する事は許されない。
不用意に槍で飛んで、『エムロード』の無効果エリアを出た瞬間、ベルーダの反撃を喰らうからだ。
真槍ちゃん自身は、黙ってベルーダの言葉を聴くしかできない。
お互いに、相手が攻撃するのを待ち続ける状態だった。
「あなたを見ていると、昔に流行った歌を思い出しますよ。
丁度、曲名は、ベルーダの毒と同じ『ポイズン』ですけどね。
あなたのその自分を曲げない芸能活動は、正直敬服に値しますよ。
枕営業やAV等の汚れ役の仕事も有ったでしょうけど、あなた達は全部断っています。
それが一部の芸能人には嫌われ、今まで人気が無かった原因ですね。
でも、そのスタイルでは、いずれ限界が来ますよ。
一日の食事分も稼げない日があるでしょう?
今はまだ良いかもしれないけれど、年齢が上がる毎に追い詰められて行くでしょう?
そろそろ素直になった方が良いんじゃないですか?
このままでは、売れないまま二十歳を過ぎ、アイドルとしては絶望的になりますよ?」
「そうね。でも、これがアタシよ!
自分の信念を曲げてまでアイドルに成る気はないわ。
それは、弟の剣冴も磯辺霊子も同じ考えよ!」
「ふふ、何者にも妨げる事の出来ない真っ直ぐな槍か。確かに、美しく感じるわ。
でも、それを壊して、絶望的な表情を見てみたいのも人間としての欲求ですかね?
この『ベルーダ』で、あなたを絶望のどん底に叩き落してくれるわ!」
ベルーダの方から攻撃を仕掛けて来た。尻尾を鞭のようにして使い、接近戦となる。
基本的に『ベルーダ』の攻撃は効かないが、攻撃範囲を真槍ちゃんに絞る事で、『エムロード』の無効果エリアに対応する。
攻撃範囲が絞られた事により、攻撃方法は地味になったが、それでも人間には驚異の攻撃だった。
「くう、攻撃を耐え続けるのがやっと……」
真槍ちゃんは、ナイフを盾にして、ベルーダの攻撃を受け続けていた。
隙を見て、槍で攻撃しようとすると、ベルーダがこう言う。
「ふふふ、尻尾にも毒はあるわ。ナイフの防御が緩んだ瞬間、死ぬかもね♡」
「くっ、防御に徹するしかないのね。でも、このままじゃあ……」
ベルーダの尻尾攻撃をなんとか凌いでいるが、このままでは体力が尽きてやられてしまう。
何とかベルーダにダメージを与える必要があった。
ベルーダの全身は、硬い毛で覆われており、ナイフ程度では傷付かない。
それは、尻尾も同じであり、徐々に真槍ちゃんが疲れさせる。
ベルーダは、真槍ちゃんの右側だけに集中して攻撃していたが、突然に左側を攻撃する。
「ふふ、反対側が、がら空きよ。まあ、態とそうして攻撃したんだけどね♡」
「くっそ、ガードし切れない!」
不意を突かれた真槍ちゃんは、ナイフでその攻撃をガードする事が出来なかった。
避けられない攻撃を、槍のブースターを使って何とか避ける。
『エムロード』から離れ、真上に飛び出した。
ベルーダは、真槍ちゃんが『エムロード』から離れた事で、全ての攻撃方法を使い、全力で攻撃し始めた。
「離れた、離れた、離れた! これで終わりよ、姫野真槍!」
口から吐く火炎攻撃と毒のトゲを飛ばして攻撃する『ベルーダ』だったが、槍をブースター状態にし、弾丸の様に飛行する真槍ちゃんに効かなかった。
槍の形状が全ての攻撃を弾いて行く。
「なんて槍なの……。火炎攻撃も毒のトゲも槍の角度によって弾かれてしまう。
槍の推進力が無くなれば勝てるだろうけど、姫野真槍の操縦技術が『ベルーダ』の飛行速度を上回っている。
いくら『ベルーダ』の防御力が高いと言っても、真っ向からあの槍の一撃を喰らったら不味い! でも、毒のブレスは、あなたの槍をも腐食させるのよ。
この毒のブレスこそが、対真槍戦の切り札よ!」
ベルーダは、真槍ちゃんの槍に毒のブレスを浴びせ掛ける。
最初は、火炎攻撃と同じように効かない感じだったが、次第に槍が毒に溶かされて行くのが分かった。推進力がわずかに落ち、真槍ちゃんの体調も悪くなっていた。
「うう、息苦しい。これが毒のブレス? 長時間の戦闘は無理だわ!
毒を吐くドラゴンの口ごと、槍で貫き通すしかない!」
真槍ちゃんは、ベルーダの口に向かって突撃して行く。
真正面からなら毒のブレスの攻撃を、真槍ちゃん自身は最小限のダメージで抑える事が出来るのだ。
槍による攻撃も、ベルーダの毒のブレスが目隠しとなり、対応し辛い事だろう。
ただし、毒による槍の損傷も激しかった。見る見るうちに槍が腐食して行く。
「このおおお!」
槍で特攻する真槍ちゃんだったが、毒のブレスによって槍の威力が落ちていた。
突進の動きが鈍り、ベルーダに攻撃のチャンスが訪れる。
ベルーダは、尻尾を使い、毒のブレスと挟み撃ちで攻撃する。
どちらか一方でも食らえば、真槍ちゃんに勝機は無い。
「はは、槍の威力が落ちた。これで終わりよ!」
ベルーダの尻尾攻撃を、真槍ちゃんはナイフで受ける。
「ふう、尻尾で挟み撃ちにするのは、読んでいたわよ。
この尻尾攻撃の足場を使って、更に突撃するわよ!」
真槍ちゃんは、ナイフで止めた尻尾を足場にし、キックの要領でスピードを上げた。
そして、槍のブースターを全開にし、一気にベルーダの口に飛び込む。
(くっ、ブースターの威力を落としたのは、態とだという事?
この尻尾の足場を使い、更に威力を上げる為に……)
ベルーダの口が間に合わず、酒呑童子は心の中でそう考えていた。
真槍ちゃんは、それを見透かしたように答える。
「そう言う事よ!」
毒のブレスを吐き続ける口ごと、ベルーダを槍で刺し貫いた。
頭を破壊され、ベルーダは一気に飛行能力を失い、空中都市『エムロード』に落下する。ベルーダは、『エムロード』の効果により、死体ごと消え失せた。
真槍ちゃんは、槍の推進力を失い、『エムロード』に着地する。
かなり高い位置からの着地だった為、脚に軽いダメージを受けたが無事だった。
しかし、槍はその着地の衝撃で崩れ去ってしまった。
毒のブレスによるダメージが蓄積し、軽い衝撃にさえ耐えきれなくなっていたのだ。
真槍ちゃんの持っていた部分のみ、わずかに残っていた。
その一部も風が吹いたことによって、真槍ちゃんの手から砂のように消えていった。
真槍ちゃんは、去って行く槍に、独り言を語るように呼びかける。
「今まで、アタシと一緒に戦ってくれてありがとう。あなたがいて、本当に助かったわ」
彼女は、ベルーダを倒し、感傷に浸っていると、背後から不穏な気配を感じた。
咄嗟に、ナイフを構えて振り向くが、強い衝撃を受け倒れ込む。
そこには、ワープ能力を使い、真槍ちゃんの所まで移動した酒呑童子が立っていた。
「ごめんなさい。目立つドラゴン達を囮にして、あなたが油断する時を待っていたの。
これで、あなたは戦線離脱だわ。あなたを捕えた事を知れば、あの方も喜ぶ事でしょう」
真槍ちゃんは、酒呑童子の手によって連れさられてしまった。
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