【オススメネット小説】秘められた異次元( シークレットディメンション) ムッツリスケベは異世界を救う!?

猫パンチ

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第十四章 過去と現在の対決!

第百二話 亜人種の誕生秘話

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キメラカンパニーの二人の研究員に案内され、オレと冷菓だけで見学する。

「じゃあ、案内しますね。最初はちょっと怖い感じがするかもしれません。
まあ、科学者や医者もこういう物を毎日目にすることで徐々に慣れて行きますから。
気分が悪くなったら言ってくださいね。休憩にしますから」

扉の向こうは、恐るべき人体実験場だった。
ホルマリンに入った人間の一部が、オレ達を出迎える。
部屋の中は、明るく設定されており、博物館の中にいるようだった。

しばらく見ていると、人体の剥製などが蝋人形の様に思えてきた。
凝視する事は避けたいが、それほど怖くもない。

「はは、気持ち悪いけど、だいぶ思っていたのと違うな。
これとか、蝋人形の様だよ」

研究員は笑いながら言う。

「はは、ここにある物は、ほとんど蝋人形ですよ。
過去の研究の失敗作を展示して、自分達の研究の発展と戒めにしています。

素人の方は、ここを通る事でより奥の研究所も平気で通れるようになります。
まあ、ちょっとした悪戯だと思ってください」

「なるほど。じゃあ、この巨大なオーガみたいな奴も失敗作か? 
それとオークみたいなのもいるが……」

オレは、巨大な男性の蝋人形に注目する。
異次元で知り合ったオーガにそっくりだった。

そして、数体の蝋人形は、オークの様な顔と背丈をしている。
無関係とは考えられない。
女研究員は、オレ達に説明し始めた。

「ふふ、大きい体でしょう? 実は、初期の研究者の作品だったんですよ。
人間の体を一部分だけ改造し、筋力の強い働き者を作り出そうという試みがあったのですが、それが上手くいきませんでした。これらは、その失敗作ですよ。

最初は、オークと言われる不気味な顔をした男性達が出来てしまい、仕方なく数人をある企業に移動させ働かせていたのですが、やはり顔が悪くては商品に成りません。
返品されてきたので、研究員はこっそりと他の異次元に捨てたらしいです。

さすがに自我もありますし、殺処分は気が咎めたのでしょう。
そして、顔の良いオーガを作り出したのですが、これがまた大失敗!」

「はっはっは、牛の筋肉と人体を融合させようとしたら、顔と筋力は申し分ないが、体と腹が異常なほど大きくなってしまいましたよ。

こんな化け物では、どこの企業も使ってくれませんし、泥棒扱いされて返品されてきました。まあ、殺処分でも良かったのですが、他の異次元に捨てる事にしたようです」

オレと冷菓の表情が曇った事を、女性研究員が気にかけて論じ始めた。

「人間の観点からしてみたら酷い事をしていると思いますが、貴方達が同じ立場なら同じ事をしていたでしょうね。

ほら、人間だって顔の良い男性に恋をする物でしょう? 
ここまでの不細工と異常な巨体では、一緒に仕事をするなんてできませんよ! 

所詮、どんな人間も顔の良い人々と働きたい物です。
まあ、その点を考慮して失敗作としたわけです。
企業に使ってもらいたいなら、まず見た目の良い物を作れという事でね!」

「まあ、そういう事で彼らも我々に貴重な教訓を与えてくれたわけですよ。
我々は、次に美女の研究に取り組む事にしました」

「そう、男性ならこっちの研究の方が興味あるかもしれませんね。
賢くて、美しい女性達です。
量産できれば、様々な企業で大活躍してくれる予定だったのです」

女性研究員に手を引かれ、オレ達は次の部屋へと向かう。
次の部屋には、女性の剥製が並べられていた。

美しいエルフの女性達が、身動きせずに並んで立っている。
女性研究員は、ガラスに手を置き、得意気に説明し始めた。

「まさに圧巻でしょう? これらは、実際に大量生産されていた商品です。
美しく賢いので秘書となりますし、魔法という異次元能力を組み合わせる事で用心棒にもなります。

そして、この男性を魅了するオッパイ! 
多くの大企業から注文が殺到したんですよ! 
でも、しばらくしたら問題が発生し、製造取り止めになった作品です」

男性研究員も、剥製のオッパイを触りながら話し合いに参加する。

「ええ、我々に富をもたらしてくれた第一号ともいうべき作品ですが、気性が荒く人間に危害を加えてきました。

企業の社長達もしばらくは大丈夫と言っていたのですが、一人が自室で殺された為に、急遽製造を中止して、回収したのです。
大部分は我々の手に負えなくなり、他の異次元に泣く泣く捨てました。

残りの数匹は、こうして剥製にして置きました。我々は学びました。
性格が良く、穏やかなタイプの商品が良いという事にね」

「ええ、そこでエルフを改良して作ったプロトタイプが、このレッドキャップです!」

女性研究員は、小さな子供と思われる女性を指差した。
これは、剥製ではなく蝋人形だった。男性研究員が説明する。

「残念ながら、これも失敗でした。
頭の賢さを調節したのですが、言葉を発する事が無くなり、会話が困難になったのです。そして、発育も悪いので、失敗だと思っていたのですが、ある人物に雇われたようです。

秘密裏に処理され、どこかの企業に行ったきり戻ってきませんでした。
いろいろ調節したかったのですが、残念です」

「ええ、最近はロリコンブームなので、人気も増えると期待していたのですが、製造は中止のままです」

男性研究員は、足早に次の研究を紹介し始めた。
次の研究所の扉を開けると、美しい男性とも女性ともとれる人物の絵画が描かれていた。そして、研究が今も続いているようで活気に満ちていた。

「ここはずっと研究を続けている商品です。
サキュバス・インキュバスと呼ばれる怪物を作り出すまでには至ったのですが、それ以上の進展が無く未だに研究し続けている部署です。

数万ほどの企業が完成を期待して投資しているのですが、残念ながら完成には至っていません。数十年前に誕生した怪物は、どんな人間の姿にもなり、性別も自由に変えられるまでにはなったのですが、肝心の行為を人間とすると生命を奪う危険があったのです。

しばらくはその怪物を研究していたのですが、逃げられてしまいました。
今では、人間界に潜み、獲物を狙っている事でしょう」

「ええ、この怪物に襲われたと思われる事件もたびたび発生していたようですからね。
見付け次第殺処分する予定ですが、未だに見つかりません」

研究員達は、次の部屋に案内する。人体改造を再び試みているようだ。
男性の肉体強化は諦めて、技術分野に優れた商品を生み出そうとしていたらしい。

エルフの女性を研究の基礎にし、男性型を生み出したようだ。
毛深い男性達の剥製が並べられている。異次元世界で見た事のあるドワーフ達だった。

「これは、起業家達が揃って嫌がった商品ですよ。
技術者でもあり、筋力もあるドワーフですが、せこい言い訳が多くて全く使い物になりませんでした。

剣の腕がある人物もいましたが、戦争では役立たずなので、まとめて殺処分になったのです。何匹かは、起業家が怒って殺そうとしましたけど、彼らの剣技術が強く殺せませんでした。

そこで仕方なく他の異次元に捨てました。
それ以降は、戦闘で使う兵士を作る事にしたのです。

用心棒や戦争を裏から操る事が可能になりますからね。
つまり、次の部屋は生きた戦争兵器というわけです」

「もちろん、見た目にも気を使っていますよ。
カッコよく、凛々しいタイプが好まれていますからね!」

研究員達は、オレ達を引いて行くように次の部屋へ向かう。
オレ達の反応など気に留める事もなく、自分達の研究成果を、子供が玩具を見せびらかすように説明する。次の部屋からが、本当の彼らの実験場になるわけだ。
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