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第十四章 過去と現在の対決!
第百十話 起死回生の次元能力発動!
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悟が次元能力を発現し、黒沢勝昭に立ち向かう。
しかし、それでも悟では勝ち目が全くなかった。
次元能力で急成長し身体能力が上がったとしても、必殺の一撃を避けるくらいしかできない。
それでは、いずれ追い詰められて負けてしまう。
姫状瑠璃はそれを理解し、悟のサポートに回る。
精神的にショックを受けていたものの、悟がピンチと分かれば動けるようだ。
最初の一撃は予想外の為に止める時間もなかったが、悟がある程度勝昭と戦えるのであれば、いろいろ作戦は湧いてくる物だ。
悟に指示を出し、オレと冷菓を救出する方法を練る。
瑠璃の次元能力『ワープ』を使えば、勝昭を倒せなくても逃げ切る事は可能だ。
悟が一瞬でも勝昭を止める事さえできれば、瑠璃がオレ達を救出時間が稼げるのだ。
しかし、瑠璃はオレの損傷を見て愕然とする。
「うっ、いくらなんでもマモルは助からないわ。
手当てしている間にも死んでしまうほど酷い。場所を動かしただけで致命傷だわ。
残念だけど、もう無理よ……。せめて冷菓だけでも助けないと……」
そう冷静に分析する瑠璃だったが、勝昭はこう宣言する。
「ふん、光宮マモルは死にはしないさ。
俺が奴をギリギリ生き残れるように計算して潰したのだからな。
奴に絶望の表情をさせるまでは、殺すわけにはいかんさ」
勝昭の異常な憎悪に瑠璃は違和感を覚える。
オレと勝昭に面識はない。それほどの憎しみを抱く理由は無いはずなのだ。
「なぜ、マモルをここまで追い詰めようとするの?
研究の邪魔をした程度なら、この状況で満足するはずでしょう?
マモルと冷菓に個人的恨みは無いはず……」
「確かにな。光宮マモルも冷菓も初対面だ。
だが、冷菓の親と同然でもある黒沢エレンには恨みがある。
元々は、俺が奴の母親と結婚し、家族を持つ予定だった。
しかし、結婚前に奴の母親が外国の若造と恋をし、エレンを身籠ったのだ!」
「なるほど。それでエレンを逆恨みしているというわけね? それと瓜二つの冷菓も……。そして、その外国の男性を光宮マモルに置き換えて恨み続けているというわけね?」
「早とちりするな、アンドロイド。
ただエレンを身籠っただけなら俺も一時の過ちだったと母親もエレンも許すわ。
だが、あの母親はいつまで経っても外国人の男の事を考えていた。
俺と結婚し、愛し合っている最中でさえだ。いつしか、エレンが憎らしく思えてきた。
俺がどんなに奴の母親を愛そうと、奴の母親は俺を愛そうとはしないのだ。
いろいろ努力はした。ピクニックや旅行に連れて行ったし、喜ばせる事なら何でもした。
それでも、奴の母親は外国人の男を思っていると言う。
エレンを使い脅すような事もしたが、一向に彼女の思いは変わらなかった」
「そりゃあね、愛し合ってないのに村の男達とレイプまがいの事を強要されれば、あんたを愛そうとはしないはずよ」
「ふん、俺が本気で奴の母親を別の男に抱かせるとでも思ったか?
それは村人同士で語るようにさせたハッタリだ。村の若い奴は本気で信じていたようだが、エレンの母親をずっと抱き続けていたのは夫である俺だけだ。
そう言ってエレンを使い脅して続けていたにもかかわらず、最後までどこぞの外国人の若造を愛していた。終いには、黒沢弘毅という小僧とエレンによって村は壊滅させられ、俺の怒りを増幅させた。許そうと思っても許せんぬわ!」
「確かに、村を滅ぼされたのは許しがたい事だろうけど……」
「それだけではない。村人達の嘲笑も俺を怒らせる要因となった。
分かるか? 常に別人が俺をあざ笑うのだ。
来る日も来る日も別の奴があざ笑い、気が狂いそうになる。
奴らをすべて潰さねば、俺の安息は無いというくらいにな。
俺の怒りが収まらず、全ての怒りをエレンに向けたとしても当然だろう。
そして、エレンに瓜二つの冷菓をボロボロにしたいと思ってもな!」
「ふん、聞いてみれば、それが怒りの理由か。
実際には、黒沢勝昭、お前は自分自身を最も憎んでいるんじゃないのか?
エレンの妻を他人に取られた事、それを自分自身で許せず、エレンや冷菓に八つ当たりしているにすぎないんだ。違うか?」
オレは、ギリギリ持ちこたえ、黒沢勝昭に回答する。
喋れる状態でもないが、言わずにはいられなかった。
「ふん、光宮マモル、やはりしぶといな。
俺が冷菓を目の前で奪い、自分の考えと力がどんだけ貧弱な物かを分からせてやる。
貴様の考えている道徳、正義がどれだけ耐えられるか楽しみだ。
絶望を嫌というほど受け、最後に消え去るが良い。
無論、冷菓が俺を愛するように改造する事も可能だろうな。
科学で人間の思いが操れる事を証明してやろう。
くっくっく、愛する夫の前で、本来憎むべき男に愛をささやき幸せな顔をする冷菓を見つめるが良いわ!」
「くっ、なんてまがまがしい野望だ……」
オレは、黒沢勝昭と話をしていたが、やはり肉体が苦しくなり気絶しかけていた。
姫状瑠璃と悟が心配してオレの近くへ寄る。
「マモル、喋っては駄目よ。すぐに手当てをするから……」
瑠璃は、絶望的な状況を確認し、唖然とするがオレを励まそうとしていた。
勝昭は、瑠璃が手当てするのを黙って見ているわけは無い。
オレに近付こうとする悟と瑠璃を攻撃しようとしていた。
「誰が、光宮マモルを手当てして良いと言った? 勝手な事をするな!」
凶暴な性格になりつつある勝昭を、氷が襲う。
冷菓が多少精神的に回復し、勝昭と対峙しようとしていた。
やはり子供を持つ母親は強い。
「これ以上マモルさんにも悟にも手だしさせませんよ!
二人は、私が守って見せます!」
「ふん、邪魔だ! 今は寝ていろ!」
勝昭は、冷菓を殴り飛ばし、壁に激突させる。
冷菓はかなりのダメージを受け、床に転がりこんだ。
大した時間も稼げず、すぐに勝昭がオレの元に迫っていた。
悟は、自分の次元能力がある程度理解できたようで、オレの体を修復しようとしていた。
「悟、何をする気?」
「もしかして、これが僕の次元能力なのかも。黙って見ていて!」
悟の次元能力により、オレは九歳の子供に戻っていた。脚は再生し、傷もない。
「すごい悟、でもマモルが子供の姿になっちゃったわ。大丈夫かしら?」
「でもあのままだと死んでいたし……」
悟の次元能力に、勝昭は賞賛の言葉を述べる。
「素晴らしい! 今、俺が最も必要としている能力だ。
これさえあれば、冷菓と同じ年になる事も出来る。愛し合う事さえ可能だ!
だが、光宮マモルの方はどうかな?
何の障害も無ければ良いが、そう簡単に若返る次元能力など使えまい。
何らかの高いリスクがあるはずだ。
例えば、いままでの記憶が無いとか……」
勝昭の言葉を聞き、悟は動揺する。それを瑠璃が窘めた。
「悟、あなたの判断は正しいわ。それに、私ならば記憶をある程度は甦らせる事ができる。
重要な記憶だけなら復元も可能よ! だてに二人と一緒に生活してないからね!」
「なるほど。アンドロイドも便利な物だな」
「こいつは、私が止める! 悟は、冷菓を治療しなさい。
記憶はアタシが何とかするから気にしないで!」
悟は瑠璃に言われた通りに、冷菓を九歳の子供に戻す事で傷を回復した。
セイレーンによって傷付けられた背中も綺麗に治っていた。
姫状瑠璃は、単独で黒沢勝昭と対決する。
「ふん、アンドロイド風情が俺に楯突くつもりか? 返り討ちにしてやるわ!」
勝昭の挑発に対し、瑠璃は冷静に返す。
どうやら活路を見出した様だ。微笑を浮かべる。
「まさか、私が動揺するなんてね。せっかくマモルがあなたを倒したというのに、私が攻略法を見失うのはどうかしていたわ。マモルと同じ次元能力を持っていたというのにね」
「アンドロイド、何を笑っている?」
不思議に思う勝昭だったが、別空間に移動する事で自分が絶望的な不利になっている事を悟った。勝昭では、瑠璃を倒す事は出来ない。
「ここは、まさか……」
「そう、マモルが使ったのと同じ次元相殺(ディメンションオフセット)よ!
ここならあなたの次元能力は無力になるわ。覚悟は良いわね?」
瑠璃のスタンガン攻撃により、勝昭は一瞬で気絶させられていた。
元の空間に戻り、姫状瑠璃は冷菓の記憶を復元する。
「ふふ、脳の記憶も所詮は電気信号です。
多少の事が要りますが、ある程度の記憶をインプットする事は可能なはずです。
もちろん、記憶が鮮明に蘇るまで少し時間がかかるかもしれませんけど……」
「瑠璃ちゃん、すごい!」
「ふふ、もう少し待っていてね、悟♡」
冷菓の記憶をインプットしていた瑠璃だったが、勝昭は予想以上に速く意識を解決していた。冷菓が記憶をインプットしたのと同時に、瑠璃を電気ショックで攻撃する。
「くう、しまった! でも、最後の力を使ってワープ能力を使う事は出来るわ!
マモルと冷菓を……」
姫状瑠璃の次元能力により、俺と冷菓はどこかへ移動させられた。
勝昭は、ワープを阻止する事ができずに怒りを露わにする。
「おのれ、アンドロイド! マモルと冷菓はどこへやった?」
「さあ、どこかしらね? 私が情報を消すから、あなたには知る由もないわ」
「ちっ、記憶を消すのもできるという事か?
小娘、良い気になるなよ。
この悟と言う小僧は、俺の奴隷にしてやる!
更に、お前にも新しいプログラムをインプットし、俺の手足とさせてやるわ!
エレンと冷菓を手に入れるまでな!」
「ふふ、悟に手を出したら許さないわよ?」
「悟は俺の大切な駒となった。大切に研究してやるさ。さあ、来い!」
姫状瑠璃と光宮悟は、黒沢勝昭に捕えられた。
ひどい扱いはされなかった物の、キメラカンパニーを強力にする為の駒として利用されるようになった。
(次の話は、空中都市『エムロード』内での戦いに戻ります)
しかし、それでも悟では勝ち目が全くなかった。
次元能力で急成長し身体能力が上がったとしても、必殺の一撃を避けるくらいしかできない。
それでは、いずれ追い詰められて負けてしまう。
姫状瑠璃はそれを理解し、悟のサポートに回る。
精神的にショックを受けていたものの、悟がピンチと分かれば動けるようだ。
最初の一撃は予想外の為に止める時間もなかったが、悟がある程度勝昭と戦えるのであれば、いろいろ作戦は湧いてくる物だ。
悟に指示を出し、オレと冷菓を救出する方法を練る。
瑠璃の次元能力『ワープ』を使えば、勝昭を倒せなくても逃げ切る事は可能だ。
悟が一瞬でも勝昭を止める事さえできれば、瑠璃がオレ達を救出時間が稼げるのだ。
しかし、瑠璃はオレの損傷を見て愕然とする。
「うっ、いくらなんでもマモルは助からないわ。
手当てしている間にも死んでしまうほど酷い。場所を動かしただけで致命傷だわ。
残念だけど、もう無理よ……。せめて冷菓だけでも助けないと……」
そう冷静に分析する瑠璃だったが、勝昭はこう宣言する。
「ふん、光宮マモルは死にはしないさ。
俺が奴をギリギリ生き残れるように計算して潰したのだからな。
奴に絶望の表情をさせるまでは、殺すわけにはいかんさ」
勝昭の異常な憎悪に瑠璃は違和感を覚える。
オレと勝昭に面識はない。それほどの憎しみを抱く理由は無いはずなのだ。
「なぜ、マモルをここまで追い詰めようとするの?
研究の邪魔をした程度なら、この状況で満足するはずでしょう?
マモルと冷菓に個人的恨みは無いはず……」
「確かにな。光宮マモルも冷菓も初対面だ。
だが、冷菓の親と同然でもある黒沢エレンには恨みがある。
元々は、俺が奴の母親と結婚し、家族を持つ予定だった。
しかし、結婚前に奴の母親が外国の若造と恋をし、エレンを身籠ったのだ!」
「なるほど。それでエレンを逆恨みしているというわけね? それと瓜二つの冷菓も……。そして、その外国の男性を光宮マモルに置き換えて恨み続けているというわけね?」
「早とちりするな、アンドロイド。
ただエレンを身籠っただけなら俺も一時の過ちだったと母親もエレンも許すわ。
だが、あの母親はいつまで経っても外国人の男の事を考えていた。
俺と結婚し、愛し合っている最中でさえだ。いつしか、エレンが憎らしく思えてきた。
俺がどんなに奴の母親を愛そうと、奴の母親は俺を愛そうとはしないのだ。
いろいろ努力はした。ピクニックや旅行に連れて行ったし、喜ばせる事なら何でもした。
それでも、奴の母親は外国人の男を思っていると言う。
エレンを使い脅すような事もしたが、一向に彼女の思いは変わらなかった」
「そりゃあね、愛し合ってないのに村の男達とレイプまがいの事を強要されれば、あんたを愛そうとはしないはずよ」
「ふん、俺が本気で奴の母親を別の男に抱かせるとでも思ったか?
それは村人同士で語るようにさせたハッタリだ。村の若い奴は本気で信じていたようだが、エレンの母親をずっと抱き続けていたのは夫である俺だけだ。
そう言ってエレンを使い脅して続けていたにもかかわらず、最後までどこぞの外国人の若造を愛していた。終いには、黒沢弘毅という小僧とエレンによって村は壊滅させられ、俺の怒りを増幅させた。許そうと思っても許せんぬわ!」
「確かに、村を滅ぼされたのは許しがたい事だろうけど……」
「それだけではない。村人達の嘲笑も俺を怒らせる要因となった。
分かるか? 常に別人が俺をあざ笑うのだ。
来る日も来る日も別の奴があざ笑い、気が狂いそうになる。
奴らをすべて潰さねば、俺の安息は無いというくらいにな。
俺の怒りが収まらず、全ての怒りをエレンに向けたとしても当然だろう。
そして、エレンに瓜二つの冷菓をボロボロにしたいと思ってもな!」
「ふん、聞いてみれば、それが怒りの理由か。
実際には、黒沢勝昭、お前は自分自身を最も憎んでいるんじゃないのか?
エレンの妻を他人に取られた事、それを自分自身で許せず、エレンや冷菓に八つ当たりしているにすぎないんだ。違うか?」
オレは、ギリギリ持ちこたえ、黒沢勝昭に回答する。
喋れる状態でもないが、言わずにはいられなかった。
「ふん、光宮マモル、やはりしぶといな。
俺が冷菓を目の前で奪い、自分の考えと力がどんだけ貧弱な物かを分からせてやる。
貴様の考えている道徳、正義がどれだけ耐えられるか楽しみだ。
絶望を嫌というほど受け、最後に消え去るが良い。
無論、冷菓が俺を愛するように改造する事も可能だろうな。
科学で人間の思いが操れる事を証明してやろう。
くっくっく、愛する夫の前で、本来憎むべき男に愛をささやき幸せな顔をする冷菓を見つめるが良いわ!」
「くっ、なんてまがまがしい野望だ……」
オレは、黒沢勝昭と話をしていたが、やはり肉体が苦しくなり気絶しかけていた。
姫状瑠璃と悟が心配してオレの近くへ寄る。
「マモル、喋っては駄目よ。すぐに手当てをするから……」
瑠璃は、絶望的な状況を確認し、唖然とするがオレを励まそうとしていた。
勝昭は、瑠璃が手当てするのを黙って見ているわけは無い。
オレに近付こうとする悟と瑠璃を攻撃しようとしていた。
「誰が、光宮マモルを手当てして良いと言った? 勝手な事をするな!」
凶暴な性格になりつつある勝昭を、氷が襲う。
冷菓が多少精神的に回復し、勝昭と対峙しようとしていた。
やはり子供を持つ母親は強い。
「これ以上マモルさんにも悟にも手だしさせませんよ!
二人は、私が守って見せます!」
「ふん、邪魔だ! 今は寝ていろ!」
勝昭は、冷菓を殴り飛ばし、壁に激突させる。
冷菓はかなりのダメージを受け、床に転がりこんだ。
大した時間も稼げず、すぐに勝昭がオレの元に迫っていた。
悟は、自分の次元能力がある程度理解できたようで、オレの体を修復しようとしていた。
「悟、何をする気?」
「もしかして、これが僕の次元能力なのかも。黙って見ていて!」
悟の次元能力により、オレは九歳の子供に戻っていた。脚は再生し、傷もない。
「すごい悟、でもマモルが子供の姿になっちゃったわ。大丈夫かしら?」
「でもあのままだと死んでいたし……」
悟の次元能力に、勝昭は賞賛の言葉を述べる。
「素晴らしい! 今、俺が最も必要としている能力だ。
これさえあれば、冷菓と同じ年になる事も出来る。愛し合う事さえ可能だ!
だが、光宮マモルの方はどうかな?
何の障害も無ければ良いが、そう簡単に若返る次元能力など使えまい。
何らかの高いリスクがあるはずだ。
例えば、いままでの記憶が無いとか……」
勝昭の言葉を聞き、悟は動揺する。それを瑠璃が窘めた。
「悟、あなたの判断は正しいわ。それに、私ならば記憶をある程度は甦らせる事ができる。
重要な記憶だけなら復元も可能よ! だてに二人と一緒に生活してないからね!」
「なるほど。アンドロイドも便利な物だな」
「こいつは、私が止める! 悟は、冷菓を治療しなさい。
記憶はアタシが何とかするから気にしないで!」
悟は瑠璃に言われた通りに、冷菓を九歳の子供に戻す事で傷を回復した。
セイレーンによって傷付けられた背中も綺麗に治っていた。
姫状瑠璃は、単独で黒沢勝昭と対決する。
「ふん、アンドロイド風情が俺に楯突くつもりか? 返り討ちにしてやるわ!」
勝昭の挑発に対し、瑠璃は冷静に返す。
どうやら活路を見出した様だ。微笑を浮かべる。
「まさか、私が動揺するなんてね。せっかくマモルがあなたを倒したというのに、私が攻略法を見失うのはどうかしていたわ。マモルと同じ次元能力を持っていたというのにね」
「アンドロイド、何を笑っている?」
不思議に思う勝昭だったが、別空間に移動する事で自分が絶望的な不利になっている事を悟った。勝昭では、瑠璃を倒す事は出来ない。
「ここは、まさか……」
「そう、マモルが使ったのと同じ次元相殺(ディメンションオフセット)よ!
ここならあなたの次元能力は無力になるわ。覚悟は良いわね?」
瑠璃のスタンガン攻撃により、勝昭は一瞬で気絶させられていた。
元の空間に戻り、姫状瑠璃は冷菓の記憶を復元する。
「ふふ、脳の記憶も所詮は電気信号です。
多少の事が要りますが、ある程度の記憶をインプットする事は可能なはずです。
もちろん、記憶が鮮明に蘇るまで少し時間がかかるかもしれませんけど……」
「瑠璃ちゃん、すごい!」
「ふふ、もう少し待っていてね、悟♡」
冷菓の記憶をインプットしていた瑠璃だったが、勝昭は予想以上に速く意識を解決していた。冷菓が記憶をインプットしたのと同時に、瑠璃を電気ショックで攻撃する。
「くう、しまった! でも、最後の力を使ってワープ能力を使う事は出来るわ!
マモルと冷菓を……」
姫状瑠璃の次元能力により、俺と冷菓はどこかへ移動させられた。
勝昭は、ワープを阻止する事ができずに怒りを露わにする。
「おのれ、アンドロイド! マモルと冷菓はどこへやった?」
「さあ、どこかしらね? 私が情報を消すから、あなたには知る由もないわ」
「ちっ、記憶を消すのもできるという事か?
小娘、良い気になるなよ。
この悟と言う小僧は、俺の奴隷にしてやる!
更に、お前にも新しいプログラムをインプットし、俺の手足とさせてやるわ!
エレンと冷菓を手に入れるまでな!」
「ふふ、悟に手を出したら許さないわよ?」
「悟は俺の大切な駒となった。大切に研究してやるさ。さあ、来い!」
姫状瑠璃と光宮悟は、黒沢勝昭に捕えられた。
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