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最終章(仮) 秘められた願い! 絶対に明かしてはいけない真実!
第百三話 大地を埋め尽くす無数の神殿!
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姫状瑠璃の次元能力『ワープ』により、オレは別の異次元世界へ移動していた。
ここに、黒沢勝昭と捕らわれた冷菓達がいるのだ。
早めに冷菓達を見つけ出さなければ、勝昭の怪しい研究により、冷菓達が危険な状態になっているかもしれない。
オレは、あたりを見回し、勝昭達がいる場所を予測する。
勝昭がいるであろう場所は一目瞭然だった。
周囲を無数の古代遺跡で埋め尽くされ、半径五キロほどに及んでいる。
その円の中心に巨大な研究所がある様だ。
古代遺跡は、どうやら神殿群の様であり、アンコールワットとセブ寺院を合わせた様な造形だった。
おそらく黒沢勝昭の宗教的なイメージなのだろう。
オレからしても神聖な空間の様にも感じさせる。
多くの人が、何年もかけてこれを築き上げてきたのかも知れない。
異次元世界だから、それほど長い時間はかかっていないのかもしれないが、壮大さを感じずにはいられなかった。
オレには、その建築物を堪能して見ていられる時間はない。
早く冷菓達と合流しなければ、危険な実験を強行されてしまうかもしれない。
オレは足早に、中心の研究所へと向かう。
研究所も同じ材質の外壁を用いており、巨大な神殿の一部と化していた。
その研究所まで辿り着くと、黒沢勝昭本人がオレを待ち構えていた。
何かの罠があるかもしれない。
オレは、慎重に勝昭に近づく。
「黒沢勝昭!冷菓と奏子、姫野真槍ちゃんは無事なんだろうな!」
オレは、あえて夕景ゆたかの名前を口に出さなかった。
あいつなら多分大丈夫だし、自力で脱出している可能性もあると踏んでいたのだ。
不思議ちゃんは、行動が読めないだけに、拘束するのも困難だ。
むしろ、野放しの方が余計な気を使わなくて済む。
勝手にゴハンを食べていたり、研究所の設備を弄っていたり、風呂入って寝ている可能性もあるのだ。
オレがピンチの時に活躍してくれる事もほんの少しだけ考えていた。
冷菓達がピンチの時には、突然現れる事だろう。
「ふふ、熊童子と幾島童子の次元能力から、自分の昔の記憶を甦られたか。
大方、光宮冷菓の記憶を使って、戦闘スタイルやこれまでの経緯を把握したのだろう。
アンドロイドの姫状瑠璃を差し向けた甲斐があったというものだ。
記憶の無い光宮マモルを倒しても意味がないからな。
記憶が戻り、冷菓との愛を思い出してこそ、俺の復讐完成する。
まあ、当初はそれが目的だったのだが、貴様がアンドロイドを倒したことで気が変わった。
俺の研究資料を見た上で判断してもらいたい。
光宮マモル、俺とパートナーにならないか?」
「なあ、何を言っている⁉︎」
「ふふ、驚く事はあるまい。
貴様の頭脳に惚れたという所だ。
アンドロイドや光宮悟の様に、脅迫して従わせるよりも、貴様とはお互いの野望の為に協力し合おうと考えているのだ。
それに同意してくれれば、光宮冷菓も奏子も他の娘達も解放しよう。
俺がお前と一緒にいるから、貴様が集中して俺の研究資料を見ることができるだろう。
では、中へ入ろうか?」
勝昭はそう言って、研究所の扉を開けた。
自動ドアになっており、外見とは裏腹に、内側はハイテクな設備で設計されている。
勝昭の罠がまっているかもしれないと思いつつも、オレは一緒に研究資料を見る事にした。
勝昭がおかしな行動をした場合、一気に戦闘になる可能性もある。
警戒しつつも、勝昭の後について行く。
研究所の中は、ハイテクな設備を置いているが、展示してある物は幻獣の石像や絵画だった。
グロテスクなメデゥーサの石造やユニコーンの絵などが飾ってある。
だが、基本的に亜人種型の幻獣が多く配置されている様だ。
「クックック、中々上手いだろう?
こいつらは、俺の研究員が描いた代物だ。
まず、俺の研究所に入るにあたり、こういった物を描かせたり、彫ったりさせている。
ここから、インスピレーションと意欲が湧いてくるのだ。
今の日本の会社は、遊びが少な過ぎる。
こういった子供の発想も、創作者にとっては必要な物だ。
ヤル気がある社員などほぼいないに等しいからな。
オモチャ会社や科学研究所、アニメや漫画の会社ならばともかく、ほとんどの奴らは聞いた事もない会社に就職せざるを得ない。
そんな中で、受かるかどうかも分からず、突然決まった就職面接でヤル気のある回答を出来るのは、社会にまだ馴染んでいない学生くらいのものだ。
ほとんどは、社会に出て、どこかに就職できればそれでいいという奴らが多い。
そういう社会なのだから、彼らを変えようとしても意味はないな。
なら、どうするか?
答えは簡単だ!
俺と同じ趣味をある程度させ、この仕事に意欲を持たせる事だ!
俺もそうやって研究員をやる気のある奴に育ててきた。
お前も少しは興味が出てきたか?」
「なるほどな。
黒沢勝昭、ただの傲慢な男ではなかったか。
一方的に自分の理想を押し付けるのではなく、自分と同調させる。
人が本来持っている子供心を揺さぶる恐るべき方法だ。
子供は、他人が楽しんでいる事に、自分も参加したいと思うからな。
経営者のほとんどは、仕事を優先させるあまり、ただの単純作業をする様に求めている。
しかし、社員に必要な事は、その単純作業でさえ重要だと自覚させる事だ。
ただの単純作業だから代わりがいるなどという発想では、いずれ会社自体も滅びるだろう。
あくまでも、社員一人一人は、社長のパートナーである姿勢が重要なのだ。
『貴様の代わりなどいくらでもいる』という考えでは、これから先誰も信用してはくれないだろうな。
そこの仕事を与えた以上、最大限の敬意は示すべきだ!」
「ふふ、さすがに、社会の荒波を受けただけの事はあるな。
大学を出たエリートでも、この絵画を見ているだけでは、そこまで悟る事もなかったわ。
ただボーッとどの絵が自分の作風に合うか眺めていただけじゃ。
お前に、創作の課題は必要無さそうだな。
その回答を、お前の創作の答えとしよう。
では、次へ行こうか?」
黒沢勝昭は、オレを連れて新しい部屋を目指す。
絵画を見ていると、何かを思い出す。
さっきまで自分が走るながら見ていた神殿に、ここにある絵画や彫像が彫られていた。
恐ろしいほどの労力を使っている様だが、これも勝昭の創作意欲を呼び覚ます作戦なのだろう。
ただの絵画が、芸術的な価値を持つ神殿を作り上げているのだ。
オレは、勝昭に恐怖を感じていた。
奴の心を操る技術はかなりの破壊力がある。
オレの心配をよそに、勝昭は新たな扉を開けた。
この先には、何が待っているのだろうか?
ここに、黒沢勝昭と捕らわれた冷菓達がいるのだ。
早めに冷菓達を見つけ出さなければ、勝昭の怪しい研究により、冷菓達が危険な状態になっているかもしれない。
オレは、あたりを見回し、勝昭達がいる場所を予測する。
勝昭がいるであろう場所は一目瞭然だった。
周囲を無数の古代遺跡で埋め尽くされ、半径五キロほどに及んでいる。
その円の中心に巨大な研究所がある様だ。
古代遺跡は、どうやら神殿群の様であり、アンコールワットとセブ寺院を合わせた様な造形だった。
おそらく黒沢勝昭の宗教的なイメージなのだろう。
オレからしても神聖な空間の様にも感じさせる。
多くの人が、何年もかけてこれを築き上げてきたのかも知れない。
異次元世界だから、それほど長い時間はかかっていないのかもしれないが、壮大さを感じずにはいられなかった。
オレには、その建築物を堪能して見ていられる時間はない。
早く冷菓達と合流しなければ、危険な実験を強行されてしまうかもしれない。
オレは足早に、中心の研究所へと向かう。
研究所も同じ材質の外壁を用いており、巨大な神殿の一部と化していた。
その研究所まで辿り着くと、黒沢勝昭本人がオレを待ち構えていた。
何かの罠があるかもしれない。
オレは、慎重に勝昭に近づく。
「黒沢勝昭!冷菓と奏子、姫野真槍ちゃんは無事なんだろうな!」
オレは、あえて夕景ゆたかの名前を口に出さなかった。
あいつなら多分大丈夫だし、自力で脱出している可能性もあると踏んでいたのだ。
不思議ちゃんは、行動が読めないだけに、拘束するのも困難だ。
むしろ、野放しの方が余計な気を使わなくて済む。
勝手にゴハンを食べていたり、研究所の設備を弄っていたり、風呂入って寝ている可能性もあるのだ。
オレがピンチの時に活躍してくれる事もほんの少しだけ考えていた。
冷菓達がピンチの時には、突然現れる事だろう。
「ふふ、熊童子と幾島童子の次元能力から、自分の昔の記憶を甦られたか。
大方、光宮冷菓の記憶を使って、戦闘スタイルやこれまでの経緯を把握したのだろう。
アンドロイドの姫状瑠璃を差し向けた甲斐があったというものだ。
記憶の無い光宮マモルを倒しても意味がないからな。
記憶が戻り、冷菓との愛を思い出してこそ、俺の復讐完成する。
まあ、当初はそれが目的だったのだが、貴様がアンドロイドを倒したことで気が変わった。
俺の研究資料を見た上で判断してもらいたい。
光宮マモル、俺とパートナーにならないか?」
「なあ、何を言っている⁉︎」
「ふふ、驚く事はあるまい。
貴様の頭脳に惚れたという所だ。
アンドロイドや光宮悟の様に、脅迫して従わせるよりも、貴様とはお互いの野望の為に協力し合おうと考えているのだ。
それに同意してくれれば、光宮冷菓も奏子も他の娘達も解放しよう。
俺がお前と一緒にいるから、貴様が集中して俺の研究資料を見ることができるだろう。
では、中へ入ろうか?」
勝昭はそう言って、研究所の扉を開けた。
自動ドアになっており、外見とは裏腹に、内側はハイテクな設備で設計されている。
勝昭の罠がまっているかもしれないと思いつつも、オレは一緒に研究資料を見る事にした。
勝昭がおかしな行動をした場合、一気に戦闘になる可能性もある。
警戒しつつも、勝昭の後について行く。
研究所の中は、ハイテクな設備を置いているが、展示してある物は幻獣の石像や絵画だった。
グロテスクなメデゥーサの石造やユニコーンの絵などが飾ってある。
だが、基本的に亜人種型の幻獣が多く配置されている様だ。
「クックック、中々上手いだろう?
こいつらは、俺の研究員が描いた代物だ。
まず、俺の研究所に入るにあたり、こういった物を描かせたり、彫ったりさせている。
ここから、インスピレーションと意欲が湧いてくるのだ。
今の日本の会社は、遊びが少な過ぎる。
こういった子供の発想も、創作者にとっては必要な物だ。
ヤル気がある社員などほぼいないに等しいからな。
オモチャ会社や科学研究所、アニメや漫画の会社ならばともかく、ほとんどの奴らは聞いた事もない会社に就職せざるを得ない。
そんな中で、受かるかどうかも分からず、突然決まった就職面接でヤル気のある回答を出来るのは、社会にまだ馴染んでいない学生くらいのものだ。
ほとんどは、社会に出て、どこかに就職できればそれでいいという奴らが多い。
そういう社会なのだから、彼らを変えようとしても意味はないな。
なら、どうするか?
答えは簡単だ!
俺と同じ趣味をある程度させ、この仕事に意欲を持たせる事だ!
俺もそうやって研究員をやる気のある奴に育ててきた。
お前も少しは興味が出てきたか?」
「なるほどな。
黒沢勝昭、ただの傲慢な男ではなかったか。
一方的に自分の理想を押し付けるのではなく、自分と同調させる。
人が本来持っている子供心を揺さぶる恐るべき方法だ。
子供は、他人が楽しんでいる事に、自分も参加したいと思うからな。
経営者のほとんどは、仕事を優先させるあまり、ただの単純作業をする様に求めている。
しかし、社員に必要な事は、その単純作業でさえ重要だと自覚させる事だ。
ただの単純作業だから代わりがいるなどという発想では、いずれ会社自体も滅びるだろう。
あくまでも、社員一人一人は、社長のパートナーである姿勢が重要なのだ。
『貴様の代わりなどいくらでもいる』という考えでは、これから先誰も信用してはくれないだろうな。
そこの仕事を与えた以上、最大限の敬意は示すべきだ!」
「ふふ、さすがに、社会の荒波を受けただけの事はあるな。
大学を出たエリートでも、この絵画を見ているだけでは、そこまで悟る事もなかったわ。
ただボーッとどの絵が自分の作風に合うか眺めていただけじゃ。
お前に、創作の課題は必要無さそうだな。
その回答を、お前の創作の答えとしよう。
では、次へ行こうか?」
黒沢勝昭は、オレを連れて新しい部屋を目指す。
絵画を見ていると、何かを思い出す。
さっきまで自分が走るながら見ていた神殿に、ここにある絵画や彫像が彫られていた。
恐ろしいほどの労力を使っている様だが、これも勝昭の創作意欲を呼び覚ます作戦なのだろう。
ただの絵画が、芸術的な価値を持つ神殿を作り上げているのだ。
オレは、勝昭に恐怖を感じていた。
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