【オススメネット小説】秘められた異次元（ シークレットディメンション） ムッツリスケベは異世界を救う！？

最終章（仮） 秘められた願い！ 絶対に明かしてはいけない真実！

第百四話 人間を支配する恐るべき支配の完成！

勝昭が扉を開けると、そこには脳科学の研究資料が展示してあった。
一転して、ここが脳科学も研究しているハイテクな設備を備えた高次元の研究所である事を思い知らされた。
全ては薄型のモニターで説明されており、オレのような素人にも解りやすく説明してくれる。
これも、研究員や学生達の意欲を湧かせる設備なのだろう。

「ふふ、光宮マモル、お前は惚れ薬というものを知っているか？
今では、人の心を操るなどもはや夢物語ではない。
脳科学を駆使すれば、どんな人間でも操る事はできる。
脳に電極を埋め込み、目立たない小さな傷だけで人間本体を操ることもな。

すでに、快感を感じた時にどこの部分が強く反応するかを調べる事はできている。
その部分を微弱な電流を流すことで刺激し、脳に擬似的な快感を与える。
そうすると、脳はその快感を刻みつける。
例えば、嫌いな奴にあったとしても、脳が快感に変われば、脳が勝手に解釈を起こし、そいつの事が好きなのかもと想い出す。

そして、体が自然とそいつに会える場所を探し始めるというわけじゃ。
どうじゃ、これもまた一つの惚れ薬じゃろう。
そして、この技術をチップ化して、脳に埋め込む事ができれば、人間を大量に操ることも可能なのじゃ。

両親が決めた相手と結婚するという事も、悪い習慣を強制的に辞めさせる事もできる。
社員に、高い給料などという褒美を用意しなくても、一生懸命にラットのように働いてくれるというわけじゃよ。
どうかね、まさに理想の人間社会が出来上がるわけだ！

当然、好きな女の子を望み通りに操る事も可能じゃろうな。
無理に制御から逃れようとすれば、脳が電極によって苦痛を感じるようになる。
古代人が造ったような巨大な建築物も、この技術を成功した後では、ただのオモチャと化してしまう。
たとえ辛い労働条件でゴミのように死んだとしても、最後は笑って死ぬ事だろう。

これこそが、支配形態の最終系だとは思わんかね？
嫌がる事さえ許されず、全てが俺の望み通りになるのだ。
まさに、人間を超越した存在と言えるだろう！」

「それが貴様の望みか？
そんな事をして人間を支配しても、お前は幸せになれないぞ！
オレが貴様の野望を止めてやる！」

オレは、勝昭に武器を向ける。
子狐丸を構えて戦闘態勢を取る。
こんなふざけた計画をさせるわけにはいかない。
すると、勝昭はふっと笑った。

「いずれは、人類が行き着く答えだ。
何も知らない独裁者がやるより、俺達自身が起こす方がマシだとは思わんかね？
すでに、人間の人体にチップを埋め込む研究は進んでいる。
遅かれ早かれ、人類はその支配携帯に行き着くのだ。
ならば、俺達が最初にその支配をし、人間を配下に置く方が幸せなのではないかね？

他人ならば、お前の妻の冷菓を好きなように操って殺してしまったりするかもしれぬぞ。
そうなる前に、お前が支配者になった方が賢明だ。
最初は、俺がメインだが、次第にお前に立場を譲ってやる。
俺が支配したいのは、黒沢エレンだけだからな。
それ以外は、お前が自由に操ってやると良い。

どうだ、悪い条件ではないだろう。
近くにいる姫野真槍や夕景ゆたかなんかもお前の好きなように操ると良い。
妻が数人欲しいというなら、法律を変えるのも容易なのだぞ！
まさに、夢のような世界ではないかね？」

黒沢勝昭は、世界地図をバックに俺をそう誘ってきた。
この世界をオレが支配する⁉︎
恐ろしい計画の全貌が明かされたのだ！

「ふふ、確かに、姫野真槍ちゃんも、夕景ゆたかも、冷菓も奏子もオレの好みのタイプだ。
妻にしたいという欲望はあるさ。
だが、その未来の結末も知っている。
答えは、NOだ！
そんな風に無理やり人を操っても、最後に残るのは虚しさだけだ。

愛する妻と一緒にいて、励まし合い、苦しみを分かち合うから、幸せを感じる時も一入嬉しいんだ。
無理矢理に人間の脳を操り、支配しても意味はないぞ！
それは、妻を思い続けたお前が一番良く分かっているんじゃないのか？
本当は、愛する妻の一言が欲しんだろ⁉︎」

オレの言葉に、勝昭は何も答えない。
無表情の顔をしているだけだった。
怒りも悲しみも感じていない表情だ。
苦しみを受け過ぎ、感情を失ってしまった現代人に良くある表情だった。

仕事を無くし、何も刺激がない生活をしていたオレも、あんな感じの表情だったのだろう。
それを救ってくれたのは、シルビアさん、つまり光宮冷菓だった。
彼女を失うわけにはいかない。
オレは、改めて冷菓の必要を感じて、いとおしく思った。
黒沢勝昭は、無表情でこう言う。

「屋上へ出ようじゃないかね？」

精気を失いつつある顔だが、本当に大丈夫だろうか？
勝昭の満たされない心を鎮めなければ、オレに本当の勝利は無い。