【オススメネット小説】秘められた異次元( シークレットディメンション) ムッツリスケベは異世界を救う!?

猫パンチ

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最終章(仮) 秘められた願い! 絶対に明かしてはいけない真実!

最終話(仮) 失われていた愛の言葉!

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エロベアは、もったいぶりながら話し始めた。
オレは、勝昭を拘束しつつあったが、勝昭が抵抗を止めたので攻撃をしなくなった。
今のオレなら、黒沢勝昭の様な身体をどんな物質に変化できる脅威の次元能力も勝てるほどになっていた。
コツはいるが、創意工夫で対抗する事ができる。
勝昭も抵抗する素振りも無いので、エロベアの話に集中することにした。

「じゃあ、再生するぞ!」

エロベアがそう言うと、口調と音声が変わる。
ゆたかに近い声で、冷菓の様な丁寧な言葉遣いの女性の声が記録されていた。

「あー、あー、聞こえていますか?
本来は、私の言葉など必要ないと感じていました。
黒沢勝昭様は、物凄い洞察力と知識を有しておられます。
私など、本来足下にも及びません。

私が彼を愛している事は、薄々気付いている事でしょう。
毎日私を優しく抱いてくださり、女として充実しています。
しかし、勝昭様がエレンとノレンに対して、少し好意的でない事に不安を感じています。
きっと、私が勝昭様と一緒に暮らそうとしないのでそう思っているのでしょう。

本音を言うと、私も一緒に生活したいです。
勝昭様は聡明な方なので、きっとエレンも充分に愛してくれる事でしょう。
その方が、本当はもっと幸福なのかも知れません。
ですが、そうなると今度は私がエレンを疎ましく感じる可能性があるのです。

それが、私が一番恐れている事です。
私は、村からやって来たよく分からない外国の方に強姦され、エレンを宿してしまいました。
私は、彼に対して愛情などは全くありませんでした。

でも、エレンはとても大切な存在です。
だからその事実は言えなかった。
それを村中に知られたら、エレンが自分は存在してはいけない子だと思い込んでしまうかも知れない。

それだけは、どんな事をしても回避したかったのです。
たとえ、私と勝昭様が苦しんだとしてもね。
エレンの為、私がエレンを望んで産んだ事にしたかったのです。
すいませんでした。

おそらく勝昭様がこの内容を聞いてくださっているという事は、勝昭様とエレンの関係が宜しくないのでしょうね。
改めて、謝罪とお願いと感謝を致します。
これは、私の一方的な我儘です。

すいません、私の浅知恵によって勝昭様を騙していました。
本当は、勝昭様が毎日私を愛してくださり、充実した日々を過ごさせていただきました。
私は、おそらく後数日の命でしょう。
エレンとシレン、ノレンなどの子供達をお願いします。

今までずっと愛してくださりありがとうございました。
勝昭様も元気で長生きし、孫や子孫を大切にしてくださいね。
できれば、貴方の隣でそれを見守りたかったのですが、私が悪い女なので仕方ありませんね……」

勝昭はその音声を聞き、大粒の涙を流していた。
彼女を幸せにしたい、ずっと愛してあげたいという想いは、伝わっていた様だ。
勝昭から完全に戦意が喪失された。
次元能力も使わなくなり、普通のお爺さんになっていた。

勝昭は、冷菓とゆたか、姫野真槍ちゃんの拘束を解き、オレ達を現代の日本へ送り戻した。
オレ達は日本に帰り、学校の理事長となっている光宮光子先生にその旨を説明した。
こうして半年ほど生活した異世界の学校は消え去り、オレ達は別々の学校へ行く事が手配されていた。

一ヶ月ほど、夏休みという事で長い休暇を取り、生徒達各自が行きたい高校や大学の手続きをしていた。
異世界の学校へ行っていたメンバーは、それぞれバラバラになる事が予想された。
ファミレスなどで落ち合い、学校の情報を聞く。

姫野真槍ちゃんや剣冴、磯部霊子などは別の学校へ行き、新しい芸高活動をする様だ。
姫野真槍ちゃんと磯部霊子がコンビを組み、大阪でお笑い芸人になるという。
容姿が良いので、別角度から攻めれば人気になるという算段だ。

姫野剣冴は、独自で俳優を目指すそうだ。
すでに、いくつかの仕事をこなしている。
全て可愛い男の子という役だが、本人はやる気満々だ。

姫状瑠璃と茨木童子となった悟は、正式に結婚し、異世界でひっそりと暮らすらしい。
彼女が作ったアルスター王国の管理をしつつ、アルバイトでいろいろ仕事をするそうだ。
悟は、彼女のマネージャーという役割らしい。
すでに、いくつかの仕事を並行してこなしているという。

光宮冷菓はオレの許嫁という事で、オレ達の家で一緒に住み、一緒の学校へ行く予定だ。
夕景ゆたかと黒沢勝昭もオレの隣に住み、同級生と臨時の教師になるという。
黒沢弘毅とエレンに対して少し恥ずかしそうにしていたが、弘毅の好きなヒーローのお面を付けることで克服した。

今では、立派なコスプレ仲間になり、一緒に映画を見に行くまでになった。
オレと冷菓、エレンはそれを冷ややかな目で見ている。
黒沢弘毅に新たな理解者ができ、意気投合している様だ。
夕景ゆたかも少し大人になり、料理などを冷菓や奏子としている時もある。

確かに、オレも幸せであり、冷菓と結婚したいという意欲は強まる。
だが、まだ気持ち的に早い気がしていた。
高校生活もあと二年以上あるし、もっと学生生活を楽しみたい。
やはり、夕景ゆたかや姫野真槍ちゃん、姫状瑠璃や茨木童子となった悟ともっと生活したいという想いが募る。

だが、オレ一人の想いでは、せっかくまとまりつつあった彼らの計画を崩すわけにもいかない。
冷菓とゆたかは、オレの寂しい表情を感じ取り、自分達は離れないと誓ってくれた。
嬉しいが、それでもこの楽しい時間を失いたくないとセンチメンタルに感じる。

そんな日常の生活を楽しみ、一ヶ月が過ぎた。
オレ達は、教師達から報告された高校へ向かう。
オレの家から近く、学校へ行くのも楽だった。
そこは、廃校となっていた学校の校舎であり、新しく改装されている。

光宮光子先生やギンロウ先生、オーガ先生などが集まっていた。
酒呑童子だった姫状瑠璃や茨木童子だった悟もいる。
体育館に集まり、何らかの知らせがあるらしい。
理事長代理である光宮光子先生がこう語り出した。

「この度、この廃校を買い取り、正式に公立幻獣高等学校となった事をお知らせいたします。
現在、在校中の生徒は、卒業までずっとここで勉強して社会で活躍できる様に頑張ってください!
生徒も募集し、来年、再来年にはもっと増えて行く様に努力して行きます!
また、二年と半年ほどよろしくお願いしますね!」

「ただし、もう異次元世界へ行く事はできません。
異次元世界を維持するエネルギーが無くなり、学校も無くなってしまいました。
実は、この学校が異次元世界にあった学校と関連しているのです。
その説明は、理事長兼学生の姫状瑠璃が説明いたします」

光子先生は演壇から降り、姫状瑠璃に引き継ぐ。

「はい、異次元世界の説明を致します。
まず、数年前に頻繁に大地震が起こっていた事は記憶に新しいと思います。
しかし、突然にそうした大地震も少なくなりました。
実は、火山と地震のエネルギーを異次元世界のエネルギーに変換していたのです。

理論上、膨大なエネルギーは、物質に変える事ができます。
宇宙を作り出したビックバンは、その一例です。
膨大なエネルギーを使って、物質に変換する技術が開発されました。
しかし、実際に実験して見ましたが物質は出現せず、失敗した様に思われていました。

実は、異次元世界となって出現していたのです。
そこがあの学校が建てられた異次元世界でした。
『秘められた異次元(シークレットディメンション)』と呼ばれる異世界です。
膨大なエネルギーが消費されたことにより、この異次元世界は消え去りましたが、現実世界にも影響を与え、この廃校の学校が手に入りました。

『秘められた異次元』は、消えても現実世界に影響を及ぼし、異次元世界で得た物質はいずれその人物が手に入れる事ができる様にできているのです。
この新しい学校も無料で手に入り、少しの手入れで再び使用する事ができる様になりました。
これから二年間半ほど、一緒に頑張って勉強や運動に励んでいきましょうね!」

「よっしゃあ!」

感情をあまり表に出さないオレだったが、この時ばかりは満面の笑顔で喜ぶ。
みんなは、オレの声に少し驚いていたらしい。
また、みんなで一緒に生活する事ができるのだ。
学園生活が終わったと思っていただけに無茶苦茶嬉しい!
恥ずかしさを少し感じたが、本当はみんな同じ気持ちだった様だ。
始業式も終わり、オレ達はみんなで一緒に図書室で勉強会を開いていた。

姫野真槍ちゃんや剣冴は、海外進出も考えており、英語を真面目に勉強していた。
夕景ゆたかと磯部霊子は、アンドロイド製作に関していろいろ討議しているようだ。
肌の質感やら胸の大きさを真面目に話し合っている。
みんなは将来に意欲的に取り組んでいるが、オレは疎外感を感じ始めていた。

すでに、将来的にオレの仕事は決まっており、再び冷菓と共に異世界の異変を調査したり、研究したりする仕事だ。
彼ら以上に知識はあっても、彼ら以上の熱意は無い。
オレが羨ましそうに彼らを見ていると、冷菓がオレの手を掴んできた。

「夕日が綺麗ですよ!
二人だけで少し景色を眺めませんか?」

「ああ、良いよ」

冷菓も少なからずオレと同じ気持ちを感じていたらしい。
見た目は彼らと同い年だが、気持ちに少しズレがあるようだ。
子供が大人になる時、もはや自分の好きな事だけをずっとやって行くだけではダメである事を悟る。
生活の中に責任感が生まれ、優先順位を決めなければならないのだ。

子供はそんな責任を感じることもなく、ずっと突っ走って行ける。
どこまでも続く果てしない道を行くかのように、全力疾走ができる。
だが、大人になると現実を知り、社会や会社に適用しなければならない。
その時に、嬉しさと共に寂しさも感じるものなのだ。
オレ達は屋上に登り、冷菓はオレの隣に座る。
冷菓は、不意にオレにこう尋ねてきた。

「最初に黒沢勝昭と戦った時、マモル君はどう感じましたか?
アンドロイドの姫状瑠璃によって私と結婚したことで、私のことが嫌いになりましたか?
私は、一瞬戸惑ったんですけど、やはりマモル君のことが大好きなんです。
この気持ちだけは変わりません!」

「オレが黒沢勝昭から、オレと冷菓の恋愛が姫浄瑠璃によって計画されていたと聞いた時、冷菓がオレのことを嫌いにならないかで不安だったよ。
オレ自身は、冷菓のことは大好きだけど、冷菓は違うのかもと考えて不安で仕方なかったんだ!」

オレと冷菓は、一瞬見つめ合ってプッと吹き出した様に笑う。

「なんだ、同じ気持ちを抱いていたんだ!
お互いのことを思って、お互いに気を使い過ぎていたんですね」

「ふふ、オレも冷菓をもっと信頼してれば避けられた問題だったんだな。
また、オレと一緒に愛情を深め合ってくれるか?」

「はい、またこれから何十年もずっと一緒にいたいです。
これからもよろしくお願いいたしますね。
私は、みんなと一緒に生活する学校生活も好きですけど、マモル君と一緒じゃないと嬉しくはないのです。
同じ時間を生き、喜びや悲しみ、苦しさも一緒に経験したいのです」

「オレも一緒だよ。
確かに、姫野真槍ちゃんや夕景ゆたかは、可愛いと思うし、大好きだよ。
でも、オレの人生でずっと隣にいて欲しいのは、光宮冷菓ただ一人なんだ。
それはきっとずっと変わる事はないし、変わらせたくない!」

「はい、私はずっとずっと一生マモル君と一緒にいますよ♡」

夕日はとても綺麗だった。
はっきりと物が見える世界が終わり、薄暗い世界が始まる。
冷菓は夕日の光に照らされ、紅く染まる。
世界は、様々な光によって見方が変わるが、物の本質が変わる事はない。
オレが望むモノ、それはちゃんとそこにあるのだ。

こうして、オレ達は、再びみんなで学校生活を送れることになった。
どうやら、過半数以上がこの学校で生活する事を望んでいたらしい。
オレもその一人だ。
また楽しい学校生活が始まるが、一旦はここで物語終了となる。



最終話だけど、夕景ゆたかの卒業後の進路や主人公とヒロインのその後を書きたいので、ちょっと他のエピソードを加えて、時間が立った様な感じに持って行きます。
順序としては、夕景ゆたかの過去、キメラカンパニーとの死闘、卒業後の進路、主人公とヒロインその後です。
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