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番外編その五 狙われた真槍ちゃんVS覚醒した虎熊童子!
第四十六話 飛行する真槍ちゃん!
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ネメアの獅子は、虎熊童子を乗せて暴れまわる。
真槍ちゃんに、殺気を剥き出しにして襲い掛かって来た。
いくら真槍ちゃんの身体能力が高いといっても、あの猫パンチをまともに喰らえば、ただの肉の塊になってしまう。
「そうは行くか!
槍のブースターを舐めないでよね!
これでスピードは互角のはず……。
後は、あの防御を掻い潜るだけ……」
なんとか獅子のスピードに対抗し、激しい攻撃をかわす。
ネメアの獅子の攻撃は速いが、直線距離で逃げれる真槍ちゃんに攻撃を当てる事は出来ない。
逃げるだけなら、しばらくは持ち堪えられるのだ。
ただし、反射神経だけを考えれば、ネメアの獅子の方が圧倒的に速い。
真槍ちゃんが近付くだけで、死角から猫パンチを繰り出して来るのだ。
見た目は可愛い攻撃だが、掠っただけで致命傷だった。
少なくとも、アイドル生命は絶たれてしまう。
「くう、やっぱりカウンター攻撃が一番怖いわね。
しかも、こっちの動きを見て興奮しているようだし、長期戦は不利かも。
なんとか猫の習性を利用して、攻撃を避け続けているけど……。
一発でも感覚を誤ったらやられる!」
猫じゃらしで鍛えたタイミングを見計らい、ネメアの獅子を翻弄しているが、本気を出した野獣は危険過ぎる。
真槍ちゃんが逃げれば逃げるほどヤル気を出して追って来るのだ。
命懸けの鬼ごっこが始まっていた。
「無駄ですよ。
降参して私の物になるのが賢い判断ですよぉ。
近付こうにも、猫の反射神経が強過ぎて、あなたでも避け切る事は不可能ですからねぇ。
猫こそ、この世界最高レベルのハンターなのです」
「ならば、猫ちゃんの弱点を突こうじゃないの!
いくら猫ちゃんでも飛ぶ事は出来ないわよね?」
真槍ちゃんは、槍のブーストを全開にして、空中に浮き上がった。
推進力だけなら、確かに飛行する事は可能だが、方向転換はできない。
ただ真っ直ぐに進むだけの設計のはずだった。
方向を自由自在に変えて飛ぶ事など、設計者でさえ考え付かなかっただろう。
もしも、方向転換機能まで付けて仕舞えば、ブースターの威力を落とさなければならない。
そうすれば、飛ぶ事自体が不可能になるのだ。
槍という事で、ただ純粋に真っ直ぐ突き進む事のみを重視して設計したのだ。
その不可能を、足の重心を移動させる事で、自在に方向転換させて飛行する事を可能にした。
多少の急旋回は、壁を蹴る事によって操ることができた。
襲い掛かるネメアの獅子の猛攻を、超高速で逃げ切る真槍ちゃん。
あの槍と天才的な運動神経がなければ不可能な動きだった。
まるで箒にまたがって移動する魔女っ子のように、ネメアの獅子を翻弄し始めていた。
「さすがに、槍を操る技術は凄いですね!
でも、ネメアの獅子に空中戦ができないと思ったら大間違いですよぉ。
猫は意外と高い所にも登りたがるでしょう。
この狭い石作の部屋なら、ネメアの獅子にも空中戦を戦う権利が与えられるのです」
狭いと言っても、普通の小学校の体育館くらいはある大きさだった。
確かに、ネメアの獅子が全力疾走をすれば、家の中を駆け抜ける猫のように狭く感じる事だろう。
それでも、空中戦ならば、空を飛んでいる真槍ちゃんが有利なはずだ。
「ならば、全力で追いかけて来なさい!
そこからが本当の勝負よ!」
真槍ちゃんは、ネメアの獅子が全力疾走をした後で、ジャンプするような態勢を取るように誘導する。
空中ならば、ネメアの獅子も簡単に動く事ができない。
そこを狙って、虎熊童子の頭の機械を破壊する気なのだ。
真槍ちゃんは、訓練場の直線距離が最も長い、隅の端から端までを槍で突っ切る。
すると、ネメアの獅子も後を追って付いてきた。
全速力で追い付き、壁際に追い込まれる。
すると、真槍ちゃんは壁を蹴って方向転換した。
急速に変化して、ネメアの獅子を壁に激突させて止める作戦なのだ。
「この土壇場での追い込み、さすがにやりますねぇ。
壁に激突すれば、いくらネメアの獅子といっても一瞬動きが止まる。
そこを狙って虎熊童子の頭の機械を破壊する気ですか。
悪くはないが、ネメアの獅子の運動能力を甘く見ないでくださいねぇ。
あなたと同じ事くらい、余裕でできるのですよぉ!
アイドル生命は無くなりますが、命くらいは助けてあげましょうかねぇ。
背中に巨大な傷を受けるが良い!
これで終わりですよぉ、姫野真槍!」
ネメアの獅子も壁を蹴り、真槍ちゃんを追撃する。
猫のような動きに、さすがの真槍ちゃんも逃げ切る事ができない。
だが、獅子の猫パンチが繰り出される瞬間、真槍ちゃんも防御体勢を取っていた。
さすがに、素手であの攻撃を受けるわけにはいかない。
「ここまでは読んでいたわよ、なんとかナイフで受け切るしかない!」
真槍ちゃんは、再び壁を蹴り、ネメアの獅子の攻撃をかわそうとするが、さすがに身体能力だけでは避け切れなかった。
槍のブースターを使い、真上へ上がろうとする。
槍のスピードとナイフによって、ネメアの獅子の攻撃を受け切った。
「何、真上で静止するだと?
しまった、ネメアの獅子でも壁を登って攻撃する事はできない!
下に落ちる瞬間を狙っていたのか?
その時は、確かに無防備だ。
だが、一度でも攻撃を外せば、お前は絶対に逃げられない。
下に落ちた瞬間、再び上にジャンプして攻撃する。
その時のお前とネメアの獅子の距離は、数センチメートだ。
決して逃げ切れる距離じゃない!」
バンデッドは、真槍ちゃんに勝った事を悟り笑う。
確かに、このまま下に移動して攻撃するのが唯一の勝機だが、危険も大きい。
ジャンプで再び攻撃されれば一溜りもない。
勝機をみすみす逃すか、危険を冒すかを選択しなければならないのだ。
だが、真槍ちゃんも勝利を確信し笑っていた。
「あんた、猫の事を良く分かっていないようね。
研究不足なんじゃないの?
猫はね、この状況で静止するのよ。
見てなさい!」
果たして、ネメアの獅子は誰の思惑通りに動くのだろうか?
勝負を決める決定的な瞬間が訪れようとしていた。
真槍ちゃんに、殺気を剥き出しにして襲い掛かって来た。
いくら真槍ちゃんの身体能力が高いといっても、あの猫パンチをまともに喰らえば、ただの肉の塊になってしまう。
「そうは行くか!
槍のブースターを舐めないでよね!
これでスピードは互角のはず……。
後は、あの防御を掻い潜るだけ……」
なんとか獅子のスピードに対抗し、激しい攻撃をかわす。
ネメアの獅子の攻撃は速いが、直線距離で逃げれる真槍ちゃんに攻撃を当てる事は出来ない。
逃げるだけなら、しばらくは持ち堪えられるのだ。
ただし、反射神経だけを考えれば、ネメアの獅子の方が圧倒的に速い。
真槍ちゃんが近付くだけで、死角から猫パンチを繰り出して来るのだ。
見た目は可愛い攻撃だが、掠っただけで致命傷だった。
少なくとも、アイドル生命は絶たれてしまう。
「くう、やっぱりカウンター攻撃が一番怖いわね。
しかも、こっちの動きを見て興奮しているようだし、長期戦は不利かも。
なんとか猫の習性を利用して、攻撃を避け続けているけど……。
一発でも感覚を誤ったらやられる!」
猫じゃらしで鍛えたタイミングを見計らい、ネメアの獅子を翻弄しているが、本気を出した野獣は危険過ぎる。
真槍ちゃんが逃げれば逃げるほどヤル気を出して追って来るのだ。
命懸けの鬼ごっこが始まっていた。
「無駄ですよ。
降参して私の物になるのが賢い判断ですよぉ。
近付こうにも、猫の反射神経が強過ぎて、あなたでも避け切る事は不可能ですからねぇ。
猫こそ、この世界最高レベルのハンターなのです」
「ならば、猫ちゃんの弱点を突こうじゃないの!
いくら猫ちゃんでも飛ぶ事は出来ないわよね?」
真槍ちゃんは、槍のブーストを全開にして、空中に浮き上がった。
推進力だけなら、確かに飛行する事は可能だが、方向転換はできない。
ただ真っ直ぐに進むだけの設計のはずだった。
方向を自由自在に変えて飛ぶ事など、設計者でさえ考え付かなかっただろう。
もしも、方向転換機能まで付けて仕舞えば、ブースターの威力を落とさなければならない。
そうすれば、飛ぶ事自体が不可能になるのだ。
槍という事で、ただ純粋に真っ直ぐ突き進む事のみを重視して設計したのだ。
その不可能を、足の重心を移動させる事で、自在に方向転換させて飛行する事を可能にした。
多少の急旋回は、壁を蹴る事によって操ることができた。
襲い掛かるネメアの獅子の猛攻を、超高速で逃げ切る真槍ちゃん。
あの槍と天才的な運動神経がなければ不可能な動きだった。
まるで箒にまたがって移動する魔女っ子のように、ネメアの獅子を翻弄し始めていた。
「さすがに、槍を操る技術は凄いですね!
でも、ネメアの獅子に空中戦ができないと思ったら大間違いですよぉ。
猫は意外と高い所にも登りたがるでしょう。
この狭い石作の部屋なら、ネメアの獅子にも空中戦を戦う権利が与えられるのです」
狭いと言っても、普通の小学校の体育館くらいはある大きさだった。
確かに、ネメアの獅子が全力疾走をすれば、家の中を駆け抜ける猫のように狭く感じる事だろう。
それでも、空中戦ならば、空を飛んでいる真槍ちゃんが有利なはずだ。
「ならば、全力で追いかけて来なさい!
そこからが本当の勝負よ!」
真槍ちゃんは、ネメアの獅子が全力疾走をした後で、ジャンプするような態勢を取るように誘導する。
空中ならば、ネメアの獅子も簡単に動く事ができない。
そこを狙って、虎熊童子の頭の機械を破壊する気なのだ。
真槍ちゃんは、訓練場の直線距離が最も長い、隅の端から端までを槍で突っ切る。
すると、ネメアの獅子も後を追って付いてきた。
全速力で追い付き、壁際に追い込まれる。
すると、真槍ちゃんは壁を蹴って方向転換した。
急速に変化して、ネメアの獅子を壁に激突させて止める作戦なのだ。
「この土壇場での追い込み、さすがにやりますねぇ。
壁に激突すれば、いくらネメアの獅子といっても一瞬動きが止まる。
そこを狙って虎熊童子の頭の機械を破壊する気ですか。
悪くはないが、ネメアの獅子の運動能力を甘く見ないでくださいねぇ。
あなたと同じ事くらい、余裕でできるのですよぉ!
アイドル生命は無くなりますが、命くらいは助けてあげましょうかねぇ。
背中に巨大な傷を受けるが良い!
これで終わりですよぉ、姫野真槍!」
ネメアの獅子も壁を蹴り、真槍ちゃんを追撃する。
猫のような動きに、さすがの真槍ちゃんも逃げ切る事ができない。
だが、獅子の猫パンチが繰り出される瞬間、真槍ちゃんも防御体勢を取っていた。
さすがに、素手であの攻撃を受けるわけにはいかない。
「ここまでは読んでいたわよ、なんとかナイフで受け切るしかない!」
真槍ちゃんは、再び壁を蹴り、ネメアの獅子の攻撃をかわそうとするが、さすがに身体能力だけでは避け切れなかった。
槍のブースターを使い、真上へ上がろうとする。
槍のスピードとナイフによって、ネメアの獅子の攻撃を受け切った。
「何、真上で静止するだと?
しまった、ネメアの獅子でも壁を登って攻撃する事はできない!
下に落ちる瞬間を狙っていたのか?
その時は、確かに無防備だ。
だが、一度でも攻撃を外せば、お前は絶対に逃げられない。
下に落ちた瞬間、再び上にジャンプして攻撃する。
その時のお前とネメアの獅子の距離は、数センチメートだ。
決して逃げ切れる距離じゃない!」
バンデッドは、真槍ちゃんに勝った事を悟り笑う。
確かに、このまま下に移動して攻撃するのが唯一の勝機だが、危険も大きい。
ジャンプで再び攻撃されれば一溜りもない。
勝機をみすみす逃すか、危険を冒すかを選択しなければならないのだ。
だが、真槍ちゃんも勝利を確信し笑っていた。
「あんた、猫の事を良く分かっていないようね。
研究不足なんじゃないの?
猫はね、この状況で静止するのよ。
見てなさい!」
果たして、ネメアの獅子は誰の思惑通りに動くのだろうか?
勝負を決める決定的な瞬間が訪れようとしていた。
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