5 / 73
無口と会話
何だかんだで、次の休みが待ち遠しかった私。
それはもちろん、あの見た目が麗しい青年に会えるから。
(眼福だ~!楽しみ!怪我良くなったかなぁ?)
虐げられた生活では、それこそ妙齢の素敵な男性に会うことは皆無だし、私の元婚約者も好きではなかったし、顔は好みじゃなかったし(だから、婚約者変更万歳だったのに)、最近ではダニエルと使用人棟の侍従くらいしか見てないし、で乙女心はいつのまにやら干からびてた。
だから、う、嬉しい!
(あの人に会うのにこんな服装であれだけど。行ってから着替えようっと)
まさか使用人棟でドレスを着るわけにも行かず、お休みの日でも目立たない服装をしているわけで。
(こんなことなら、デート向きの服でも買っておけば良かったかなあ?)
別に人命救助しただけで、恋人になるわけでもないけど、久しぶりの眼福に心が躍りまくる。
そんなこんなで屋敷に着くと、玄関の扉を開ける。
「マリア、ダニエル~、ただいまー」
私が扉を開けると、待ち構えていたのは、まさかの怪我してベットに臥しているはずの眼福さんっ!ご馳走さまですっ!
私はびっくりして、眼福さんを見上げたまま辺りをキョロキョロしてみたけど、マリアもダニエルも姿を見せない。
「あ、あの……」
眼福さんは、あの時は気がつかなかったけど、かなり背が高い。165センチの私よりも頭一つ以上は大きいかな。
そして、黒髪に黒目のクールビューティーが炸裂!
(その目力なら視線だけで妊娠しそう~!)
期待以上の眼福具合に、見上げながら私は言葉を失ってしまった。
(しっかりするのだ!リリアーヌ!)
「もう起きて大丈夫なのですか?お怪我はいかがですか?」
次期領主モードに切り替えて対応再開。
矢継ぎ早に尋ねてしまったのがいけなかったのか?眼福さんは目力全開の瞳が全く動かず、体もそのまま動かず。私を怪訝そうな眼差しで見てくる。
「えーっと…………」
眼福さんが驚いてるということは、ダニエルたちがあまり話をしていないからだろう。とりあえず、やはり自己紹介しよう!
「はじめまして。次期侯爵のリリアーヌ・フォンデンベルグです。この館の主です!」
私はありったけの笑顔で右手を差し出した。
◇◇◇◇
私たちはとりあえず応接室に移動することにした。
眼福さんによると、マリアとダニエルは急用で先ほど出掛けたらしい。
眼福さんにソファに腰かけてもらっている間に、私はお茶の準備にいく。メイドライフで培ったスキルは侮れない。
「紅茶お持ちしました。領地特産のレモンでいいですか?あとは甘いものお好きでしたら、レモンパウンドケーキはいかがですか?」
ワゴンを自ら押す次期侯爵は、予備知識も着々と増やしてます。
眼福さんは無言なので、私は紅茶とパウンドケーキをサーブした。
その後もあまりに眼福さんが無口で場がもたないため、私は仕方なしに身の上話をすることにした。
「えっと、マリアとダニエルは夫婦で、私の母の侍女と侍従だったんですよ。今では私がこの世で信頼するたった2人の人間です。私、令嬢っぼくないでしょう?母が死んでから、愛人だった継母とその娘に毎日いじめられて――――」
母からもらったドレスや宝石も奪われたこと。(今別宅にあるのは、母が元から用意してあったものだけ)
婚約者もいつの間にか継母の子であるエリアルにすり替わっていたこと。
父は無関心であてにならないこと。
ついには、使用人棟に追い出されメイドをしていること。給料もないし、毎日メイドからも嫌がらせされていること。
(…………私、友だちもいないから、話す相手もいないし。聞いてもらいたかったことをつらつら話してしまった!!)
「ついには、この間貴族学院に入学手続きに行ったら、継母が裏から手を回していたらしくて、入学出来なくなりました…………。はぁ。情けないやらで。それで、決心したんですっ!あと2年半程で侯爵になれるんです!だから、私はそれまでに彼らを追い出すための力をつけることにしたんです!」
またしても続く沈黙に私のおしゃべりは止まらない。あ、止めちゃいけない?!
(眼福さん……!つまらなくてもいいから、少しは反応して~!)
私が懇願アピールをしているのに気が付いたのか?ようやく眼福さんが口を開けてくれた。
「…………何とかいうか、大変だったんだな、リリアーヌ嬢。そんな中、助けてもらい、すまない」
「あ、お礼なんていらないですよ。単に倒れてたから助けただけですから。怪我が良くなって良かったですね。あと、お名前だけ聞いてもいいですか?セカンドネームとかでも構いませんし」
無口すぎる上に、ワケアリ感が半端ない眼福さん。せめて名前くらいは知りたかった。
「……親しい人は、レイと呼んでいる」
「レイ様ですね。了解しました。では、私のことはリリーとでもお呼びさい。ここには、マリアとダニエルしか普段はいませんから、いつまでいてくださっても構いませんから」
私は、思わず本音を漏らしていた。
それはもちろん、あの見た目が麗しい青年に会えるから。
(眼福だ~!楽しみ!怪我良くなったかなぁ?)
虐げられた生活では、それこそ妙齢の素敵な男性に会うことは皆無だし、私の元婚約者も好きではなかったし、顔は好みじゃなかったし(だから、婚約者変更万歳だったのに)、最近ではダニエルと使用人棟の侍従くらいしか見てないし、で乙女心はいつのまにやら干からびてた。
だから、う、嬉しい!
(あの人に会うのにこんな服装であれだけど。行ってから着替えようっと)
まさか使用人棟でドレスを着るわけにも行かず、お休みの日でも目立たない服装をしているわけで。
(こんなことなら、デート向きの服でも買っておけば良かったかなあ?)
別に人命救助しただけで、恋人になるわけでもないけど、久しぶりの眼福に心が躍りまくる。
そんなこんなで屋敷に着くと、玄関の扉を開ける。
「マリア、ダニエル~、ただいまー」
私が扉を開けると、待ち構えていたのは、まさかの怪我してベットに臥しているはずの眼福さんっ!ご馳走さまですっ!
私はびっくりして、眼福さんを見上げたまま辺りをキョロキョロしてみたけど、マリアもダニエルも姿を見せない。
「あ、あの……」
眼福さんは、あの時は気がつかなかったけど、かなり背が高い。165センチの私よりも頭一つ以上は大きいかな。
そして、黒髪に黒目のクールビューティーが炸裂!
(その目力なら視線だけで妊娠しそう~!)
期待以上の眼福具合に、見上げながら私は言葉を失ってしまった。
(しっかりするのだ!リリアーヌ!)
「もう起きて大丈夫なのですか?お怪我はいかがですか?」
次期領主モードに切り替えて対応再開。
矢継ぎ早に尋ねてしまったのがいけなかったのか?眼福さんは目力全開の瞳が全く動かず、体もそのまま動かず。私を怪訝そうな眼差しで見てくる。
「えーっと…………」
眼福さんが驚いてるということは、ダニエルたちがあまり話をしていないからだろう。とりあえず、やはり自己紹介しよう!
「はじめまして。次期侯爵のリリアーヌ・フォンデンベルグです。この館の主です!」
私はありったけの笑顔で右手を差し出した。
◇◇◇◇
私たちはとりあえず応接室に移動することにした。
眼福さんによると、マリアとダニエルは急用で先ほど出掛けたらしい。
眼福さんにソファに腰かけてもらっている間に、私はお茶の準備にいく。メイドライフで培ったスキルは侮れない。
「紅茶お持ちしました。領地特産のレモンでいいですか?あとは甘いものお好きでしたら、レモンパウンドケーキはいかがですか?」
ワゴンを自ら押す次期侯爵は、予備知識も着々と増やしてます。
眼福さんは無言なので、私は紅茶とパウンドケーキをサーブした。
その後もあまりに眼福さんが無口で場がもたないため、私は仕方なしに身の上話をすることにした。
「えっと、マリアとダニエルは夫婦で、私の母の侍女と侍従だったんですよ。今では私がこの世で信頼するたった2人の人間です。私、令嬢っぼくないでしょう?母が死んでから、愛人だった継母とその娘に毎日いじめられて――――」
母からもらったドレスや宝石も奪われたこと。(今別宅にあるのは、母が元から用意してあったものだけ)
婚約者もいつの間にか継母の子であるエリアルにすり替わっていたこと。
父は無関心であてにならないこと。
ついには、使用人棟に追い出されメイドをしていること。給料もないし、毎日メイドからも嫌がらせされていること。
(…………私、友だちもいないから、話す相手もいないし。聞いてもらいたかったことをつらつら話してしまった!!)
「ついには、この間貴族学院に入学手続きに行ったら、継母が裏から手を回していたらしくて、入学出来なくなりました…………。はぁ。情けないやらで。それで、決心したんですっ!あと2年半程で侯爵になれるんです!だから、私はそれまでに彼らを追い出すための力をつけることにしたんです!」
またしても続く沈黙に私のおしゃべりは止まらない。あ、止めちゃいけない?!
(眼福さん……!つまらなくてもいいから、少しは反応して~!)
私が懇願アピールをしているのに気が付いたのか?ようやく眼福さんが口を開けてくれた。
「…………何とかいうか、大変だったんだな、リリアーヌ嬢。そんな中、助けてもらい、すまない」
「あ、お礼なんていらないですよ。単に倒れてたから助けただけですから。怪我が良くなって良かったですね。あと、お名前だけ聞いてもいいですか?セカンドネームとかでも構いませんし」
無口すぎる上に、ワケアリ感が半端ない眼福さん。せめて名前くらいは知りたかった。
「……親しい人は、レイと呼んでいる」
「レイ様ですね。了解しました。では、私のことはリリーとでもお呼びさい。ここには、マリアとダニエルしか普段はいませんから、いつまでいてくださっても構いませんから」
私は、思わず本音を漏らしていた。
あなたにおすすめの小説
【完結】あなたのいない世界、うふふ。
やまぐちこはる
恋愛
17歳のヨヌク子爵家令嬢アニエラは栗毛に栗色の瞳の穏やかな令嬢だった。近衛騎士で伯爵家三男、かつ騎士爵を賜るトーソルド・ロイリーと幼少から婚約しており、成人とともに政略的な結婚をした。
しかしトーソルドには恋人がおり、結婚式のあと、初夜を迎える前に出たまま戻ることもなく、一人ロイリー騎士爵家を切り盛りするはめになる。
とはいえ、アニエラにはさほどの不満はない。結婚前だって殆ど会うこともなかったのだから。
===========
感想は一件づつ個別のお返事ができなくなっておりますが、有り難く拝読しております。
4万文字ほどの作品で、最終話まで予約投稿済です。お楽しみいただけましたら幸いでございます。
年下の婚約者から年上の婚約者に変わりました
チカフジ ユキ
恋愛
ヴィクトリアには年下の婚約者がいる。すでにお互い成人しているのにも関わらず、結婚する気配もなくずるずると曖昧な関係が引き延ばされていた。
そんなある日、婚約者と出かける約束をしていたヴィクトリアは、待ち合わせの場所に向かう。しかし、相手は来ておらず、当日に約束を反故されてしまった。
そんなヴィクトリアを見ていたのは、ひとりの男性。
彼もまた、婚約者に約束を当日に反故されていたのだ。
ヴィクトリアはなんとなく親近感がわき、彼とともにカフェでお茶をすることになった。
それがまさかの事態になるとは思いもよらずに。
報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を
さくたろう
恋愛
その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。
少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。
20話です。小説家になろう様でも公開中です。
赤貧令嬢の借金返済契約
夏菜しの
恋愛
大病を患った父の治療費がかさみ膨れ上がる借金。
いよいよ返す見込みが無くなった頃。父より爵位と領地を返還すれば借金は国が肩代わりしてくれると聞かされる。
クリスタは病床の父に代わり爵位を返還する為に一人で王都へ向かった。
王宮の中で会ったのは見た目は良いけど傍若無人な大貴族シリル。
彼は令嬢の過激なアプローチに困っていると言い、クリスタに婚約者のフリをしてくれるように依頼してきた。
それを条件に父の医療費に加えて、借金を肩代わりしてくれると言われてクリスタはその契約を承諾する。
赤貧令嬢クリスタと大貴族シリルのお話です。
十年間虐げられたお針子令嬢、冷徹侯爵に狂おしいほど愛される。
er
恋愛
十年前に両親を亡くしたセレスティーナは、後見人の叔父に財産を奪われ、物置部屋で使用人同然の扱いを受けていた。義妹ミレイユのために毎日ドレスを縫わされる日々——でも彼女には『星霜の記憶』という、物の過去と未来を視る特別な力があった。隠されていた舞踏会の招待状を見つけて決死の潜入を果たすと、冷徹で美しいヴィルフォール侯爵と運命の再会! 義妹のドレスが破れて大恥、叔父も悪事を暴かれて追放されるはめに。失われた伝説の刺繍技術を復活させたセレスティーナは宮廷筆頭職人に抜擢され、「ずっと君を探していた」と侯爵に溺愛される——
あなた方には後悔してもらいます!
風見ゆうみ
恋愛
私、リサ・ミノワーズは小国ではありますが、ミドノワール国の第2王女です。
私の国では代々、王の子供であれば、性別や生まれの早い遅いは関係なく、成人近くになると王となるべき人の胸元に国花が浮き出ると言われていました。
国花は今まで、長男や長女にしか現れなかったそうですので、次女である私は、姉に比べて母からはとても冷遇されておりました。
それは私が17歳の誕生日を迎えた日の事、パーティー会場の外で姉の婚約者と私の婚約者が姉を取り合い、喧嘩をしていたのです。
婚約破棄を受け入れ、部屋に戻り1人で泣いていると、私の胸元に国花が浮き出てしまったじゃないですか!
お父様にその事を知らせに行くと、そこには隣国の国王陛下もいらっしゃいました。
事情を知った陛下が息子である第2王子を婚約者兼協力者として私に紹介して下さる事に!
彼と一緒に元婚約者達を後悔させてやろうと思います!
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、話の中での色々な設定は話の都合、展開の為のご都合主義、ゆるい設定ですので、そんな世界なのだとご了承いただいた上でお読み下さいませ。
※話が合わない場合は閉じていただきますよう、お願い致します。
【完結】あなたに抱きしめられたくてー。
彩華(あやはな)
恋愛
細い指が私の首を絞めた。泣く母の顔に、私は自分が生まれてきたことを後悔したー。
そして、母の言われるままに言われ孤児院にお世話になることになる。
やがて学園にいくことになるが、王子殿下にからまれるようになり・・・。
大きな秘密を抱えた私は、彼から逃げるのだった。
同時に母の事実も知ることになってゆく・・・。
*ヤバめの男あり。ヒーローの出現は遅め。
もやもや(いつもながら・・・)、ポロポロありになると思います。初めから重めです。
【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。
112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。
ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。
ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。
※完結しました。ありがとうございました。