とある虐げられた侯爵令嬢の華麗なる後ろ楯~拾い人したら溺愛された件

紅位碧子 kurenaiaoko

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手紙

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再びレイと馬車に乗り込む。
手には受取ったばかりの手紙があった。

「はぁ……」

手紙を、見つめる。
ため息しかない。

「読まないという選択肢もあるぞ」

開封を躊躇う私に、レイが横から手紙を奪おうとした。

「俺が代読するか?」

父親からの手紙を読みたくない娘……。

「じゃあ、レイ、お願い。一緒がいいや」

レイは、手紙の封を慎重に開封した。

「じゃあ、読むぞ?」

私はこくりと頷いた。

『リリーへ

この手紙は渡そうかどうか悩んだのだが、以後連絡することもないかと思い、手紙を託すことにした。

まずは、結婚おめでとう。

リリーの母親が亡くなり、イザベラが来てからずっと上手くやっていると思っていた。すまない。

いや、自分で直接確認した訳でもないから、そうあって欲しいと思いこんでいただけなのかも知れない。

私は父親らしいことも、貴族らしいことも何もかも放棄し、ひたすら自分が心地よいと思う場所だけを求めていたことにようやく気がついた。気がついたら、全てが遅かった。

私はこれから平民として陰ながらこの領地を見守りたいと思っている。

ジョセフ』

レイが手紙を読み上げてくれた。

相変わらず、中途半端な手紙……。
謝罪でもなければ、反省でもない。

これが父親なんだろう。

(そういえば、平民落ちしたんだっけ……)

実家である伯爵家にも戻れないため、判決が確定し平民落ちになった。

ちなみに、イザベラとエミリアは裁判でも罪を認めず、結局は証拠多数で有罪となり、北の大地の強制労働所で慰謝料を払うため働くことになったそうだ。

あの二人ならそうそうへこたれることはないだろう。
(しぶとく生きそうだからね……)

「リリー?」

レイが押し黙っている私を心配して声をかけてくれる。

「レイ。やっぱり、生きるって難しいのね……」

「そうだな。例え親子であってもな……」

結局、私にはお父様がどんな人か良く分からなかった。
ただ言えることは、悪い人ではないのだ。
ただ、どこにも自分がないだけなのだ。

「ねぇ、レイ?私の家族って……もうレイだけなんだよね?」

レイは分かってる、とばかりに私を優しく抱きしめてくれた。
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