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秋の桜海祭編
文化祭ーミス桜海 決勝戦前
しおりを挟む「こんなことなら、私が料理も終わらせるべきでした。百点出せないなんて恥ずかしいパートナーですわ。」
橘先輩は相変わらず不機嫌そうだ。
「何か御用ですか?先輩。」
私は橘先輩に尋ねる。
いろいろ言いたいことはあるが、まだその時ではない。
「率直に言います。次の試合あなた負けて下さい。」
はぁ………。
そんなことだろうとは思ったけど、ここまでストレートだと逆に清々しいな。
「これは私の新たなステージに立つ門出なのです。邪魔なんてせずに大人しくしておいて下さい。」
「…………………。」
こうやって杏ちゃんにもプレッシャーをかけて、怖がらせてきたのだろうか。
「まぁここまでのあなたを評価して、もし負ける条件を飲むならば、あなたの将来の安泰を約束しましょう。」
「大学進学に、大手企業の就職、適当なパートナーを見つけ出して結婚。何でも願いを叶えてあげますわ。」
「……………………。」
将来の安泰という約束された人生のレール。
橘先輩の家は超大企業の『橘商事』だ。こんな夢みたいなことを叶えれるのは嘘ではないだろう。
この人生という荒波を豪華客船に乗って悠々と過ごせるのだ。
「さぁ、どうします?」
橘先輩は再度聞き返す。
こんな機会、二度とないだろう。
宝くじに当たったような千載一遇のチャンス。
私の答えは決まっていた。
「勿論、お断りさせていただきます。」
答えはNoだ。
「はぁ………。あなた勘違いしているようだから話しますけど、3回戦の結果パートナーのおかげであなたは勝てたのであって、あなた自身だけでは私には勝てなかった。」
「決勝戦は当然私とあなたの一対一。当然あなたには勝ち目が無いのは分かりますよね?」
「それを踏まえてもう一度聞きます。次の試合負けなさい。あなたは賢いのでしょう?」
その問いに私は答えを返す。
「私に勝ち目が無いなら、そんな提案する必要ないですよね?ビビってないで決勝戦ぐらいは堂々と戦いましょう。」
「なっ。」
先輩は予想していた答えとは違ったのか、信じられないといった顔をしている。
「その答え、後悔しないようにね?」
そう言って先輩はステージ側から立ち去っていった。
「……荒々しい気候の中を突き進む船か。」
私はいつだったか星宮ちゃんの占われた時のことを思い出した。
まさにその通りになっている。
だけど関係ない、私はわたしを貫いてみせる。
そしてこの決勝戦も絶対に勝ってやる。
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