暴君は時には下僕に成り下がる

ruki

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水も十分飲ませてもらって満足すると、そういえばと思い当たった。

「和真さんは何か食べましたか?こんな時間だし、おなか空きませんか?」

そのまま背を和真さんに預けながら聞くと、ちょっと黙ってしまった。
もしかして何も食べてないのかな?

「冷蔵庫の中に温めるだけのごはんが入ってるので、良かったら食べてください」

本当は昨日のオレの夜ごはん。焼くだけの状態のグラタンなんだけど、オレは今お腹空いてないから和真さんに食べてもらおう。でもそれだけじゃ足りないかな?冷蔵庫に入ってるおかずの残りも適当に温めて、ごはんも冷凍のがあるし・・・。などと、頭の中でちょっと早い夜ごはんの算段をしていると、ふわりと和真さんの匂いを感じた。
あ、うちのボディソープの匂い。和真さん、シャワー使ってくれたんだ。

和真さんからオレと同じ匂いがする。そう思ったら背筋がゾクリとした。
もっと和真さんを感じたくて鼻を首筋に押し当てた。
身体の奥がゾワゾワして熱くなってくる。

オレ・・・なんか変。
和真さんと・・・したい。

いつも求められるばかりでなし崩し的にしていた行為を、今オレは自らしたいと思っている。

オレは身体を捻って向きを変え、和真さんに抱きつこうとした。なのに和真さんの腕が腰を捉えて固定すると、彼はすっと立ち上がってしまった。

避けられた?

急に支えを失って傾いた背に再び腕が回され、オレはまたベッドに寝かされた。

そのまま部屋を出ていく和真さんの背中を見ながら、鼻の奥がツンとした。

もしかして、まだ怒ってるのかな?
逃げたから冷めた?そのくらいの思いだった・・・?

オレが思ってるより和真さんに思われてる、なんて思ってバカみたいだ。
やっぱりオレは他のセフレさん達と変わらないんだ。

今までの女性達はきっと逃げたりしない。なのにオレは逃げるし、すぐに潰れるし、多分アレも下手だ。どうしたらいいか分からないからいつもマグロになってるし、そもそも同じ男だから柔らかい胸もないし、余計なものが股についてるし・・・。

オレのことなんてどうでもいいから、きっと身なりも適当になったんだ。

どんどんネガティブな考えが頭に浮かんで落ち込んでいく。

初めから引っ張られて流されて、ずるずるされるがままで、オレは自分の気持ちを考えたこと無かったけど、オレは和真さんのこと好きなのかもしれない。

キスもエッチも嫌じゃなかった。嫌じゃないどころか気持ちよくってもっとしていたい。もっともっとぎゅっとしてもらいたい。
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