4 / 48
4.カレンの過去
しおりを挟む
ソフィアとの出会いは半年ほど前、王都に古くからあるモベノ修道院での出来事に遡る。
カレンの曰くは子爵家の長子として生を受けたその日から始まった。
この国で最も多いとされる青みを帯びた金の髪を持つ父と母、その間に生まれたのが紫黒色の髪をしたカレンだった。
開いた瞼から覗かせた緑がかった灰色の双眸は、父の灰色の瞳に母の瞳の青葉色を一滴垂らしたような色彩だったけれど、子爵家当主は妻の不貞を疑った。
母親は必死に否定した。「真実あなたの子だ」と何度も訴えた。
しかし母が婚前から親しくしていた彼女の従兄弟が黒髪の持ち主だったこともあり、父の疑惑が払拭されることはなく。
「私の前に姿を現すことは許さない」
カレンが思い出せる父との最も古い記憶は自身を拒絶する言葉だった。
母が産んだことに違いはないので子爵家での生活は許されたが、父からはいない者として扱われた。
対外的には病弱な子として吹聴され、社交の場に出ることは認められず、年頃を迎えても社交デビューもさせてもらえなかった。
伴侶に責め立てられて蓄積した母のやり場のない気持ちが娘に向けられるのは必然だったのだろうか。
カレンに物心がつく頃には「あなたのせいで疑われたのよ」と何度も何度も言い聞かされていた記憶がある。時には叫ぶように、時には嗚咽の合間に。父が王都に出て領地に寄り付かなくなると、言葉に一層憎しみの色が滲んだ。
誰が真の父親かなどカレンにわかるはずもない。
それは子爵家で働く使用人も同じだったようで、ずっとずっと腫れ物のような扱いで育ってきた。
(せめて茶色の髪だったなら……違う目で見てもらえたのかしら……)
詮ないこととわかっていても、思わずにはいられなかった。
転機が訪れたのはカレンが二十一歳を迎えた半年前のこと。
外出を一切禁じてきた父が領地から王都へカレンと母を呼び寄せた。タウンハウスに足を踏み入れることも王都へ訪れることも、馬車に乗ることすらも生まれて初めての経験だった。
前日の夜から馬車に乗り通しであるにも関わらず、休憩する間も与えられずに身なりを整えられ、応接間に入るよう促される。父親との接触は皆無に等しかったため、右も左もわからないまま、ただ黙って従う他なかった。
応接間にはすでに客人がおり、対面に両親と並んで座らされる。
「そちらが子爵のお嬢さん?」
恰幅の良い客人は父よりも一回りは上であろう年嵩の男だった。値踏みするようなじっとりとした視線がカレンの背筋をぞくりとさせる。
「えぇ、病弱なもので長らく領地の方で静養させておりました」
父の言葉に内心で驚愕する。ろくに会話を交わしたこともない彼が人前でカレンを娘と認めたからだ。隣から母が息を呑む音も聞こえた。
何事かと緊張で息を詰めるカレンだったが、客人の視線がすっと横に流れる。母を見て、父を見て、そしてカレンの元に戻ってくる眼差し。そこには嘲りの色がありありと浮かんでいた。
「いやはや、そういうことですか」
唇をにんまりと歪めて客人は続ける。
「良きご縁をと思ったのですが、子爵家の正統な血筋でなければこちらには迎え入れられませんなぁ」
「伯爵! 髪色はこうですが、これは私の娘で」
「奥方も随分と肝の座ったお方だ」
不貞の子を堂々と人前に晒すなんて。
言葉にせずとも眇められた目がそう物語っていた。
「では失礼するとしようか」
伯爵と呼ばれた男が侍従から杖を受け取り、立ち上がる。その後ろ姿に父が追い縋った。
「伯爵! 娘を娶っていただくお話は、そちらのご三男を養子にいただけるというお話は……!?」
「後妻とは言え、不義理の子を娶るなど私の評判がどうなることか。このお話はなかったことに」
素気ない返事を置いて客人は応接間を後にする。パタンと扉が閉じられた後に残されたのは痛いほどの静寂だった。やや置いて馬の嘶きと車輪が石畳を踏む音が微かに聞こえ、本当に客人が去ったことを伝えてくる。
カレンは状況を飲み込むことに精一杯だった。
父と客人の会話から察するに、カレンが客人――伯爵の後妻に入る話が進められていたらしい。当の本人の与り知らぬところで。
そして伯爵家から養子を迎えるのだとも言っていた。
カレンの誕生が両親の間に亀裂を生み、子爵家に子が続くことはなかったから。
しかしたった今、目の前で破談となってしまった。
カレンの紫黒の髪色を原因として。
縁談も養子も、新たな跡継ぎが望めなかったのも。全てがこの黒に起因していた。
綺麗に編み上げられたその黒髪が唐突にグイと引かれ、頭部に鋭い痛みが走る。
「お前が……お前のせいで……!」
数えるほどしか見たことがない父の顔がカレンに向けられている。頬を怒りに紅潮させ、目を恨みの色に染めて。
「どれだけ私に恥をかかせれば気が済むんだ!!」
ガクガクと揺さぶられる痛みに顔を顰めながら、一縷の望みをかけて母に視線を投げる。しかし膝上でドレスを握りしめた母もまた憎しみの眼差しをカレンに向けていた。
ぎしぎしと髪の軋む音が聞こえる。腫れ物として扱われていたとは言え、それでも子爵令嬢として暮らしてきたカレンには感じたことのない痛みと恐怖が降り掛かってくる。
一際強く引かれたかと思えば、薙ぎ払うように床に倒された。
「お前たち、我がイノール家に娘はいない。病に臥して帰らぬ人となった。そうだろう?」
母と使用人に向けて発された言葉はまるで高らかな宣言のようだった。
思惑を理解しかねた使用人たちが困惑の表情を浮かべる中、カレンの胸中は絶望に塗り潰されていた。
カレンの存在は完全に消されようとしている。
このままでは殺されてしまうかもしれない、と。
咄嗟に立ち上がり、扉をこじ開けて廊下にまろび出る。
深い関わりを持たない使用人たちは止める素振りを見せないため、勢いのままに玄関ホールへと向かう。
カレンの背中に「二度と顔を見せるな」と悪態をついた金切り声がどちらのものかも判別出来ないほどに、逃げ出すことに必死だった。
住み続けた領地ですら土地勘がないカレンに初めて訪れる王都の地理などわかるはずもない。ただひたすらに人気のない方向へと駆けた。
すぐに息切れを起こすが、それでもよたよたと足を進めた先で見つけた、歴史を感じさせる古びた修道院。躊躇いもなく門戸を叩くカレンを出迎えてくれたのは同じ年頃の美しい女性。
後に親友となるソフィアだった。
カレンの曰くは子爵家の長子として生を受けたその日から始まった。
この国で最も多いとされる青みを帯びた金の髪を持つ父と母、その間に生まれたのが紫黒色の髪をしたカレンだった。
開いた瞼から覗かせた緑がかった灰色の双眸は、父の灰色の瞳に母の瞳の青葉色を一滴垂らしたような色彩だったけれど、子爵家当主は妻の不貞を疑った。
母親は必死に否定した。「真実あなたの子だ」と何度も訴えた。
しかし母が婚前から親しくしていた彼女の従兄弟が黒髪の持ち主だったこともあり、父の疑惑が払拭されることはなく。
「私の前に姿を現すことは許さない」
カレンが思い出せる父との最も古い記憶は自身を拒絶する言葉だった。
母が産んだことに違いはないので子爵家での生活は許されたが、父からはいない者として扱われた。
対外的には病弱な子として吹聴され、社交の場に出ることは認められず、年頃を迎えても社交デビューもさせてもらえなかった。
伴侶に責め立てられて蓄積した母のやり場のない気持ちが娘に向けられるのは必然だったのだろうか。
カレンに物心がつく頃には「あなたのせいで疑われたのよ」と何度も何度も言い聞かされていた記憶がある。時には叫ぶように、時には嗚咽の合間に。父が王都に出て領地に寄り付かなくなると、言葉に一層憎しみの色が滲んだ。
誰が真の父親かなどカレンにわかるはずもない。
それは子爵家で働く使用人も同じだったようで、ずっとずっと腫れ物のような扱いで育ってきた。
(せめて茶色の髪だったなら……違う目で見てもらえたのかしら……)
詮ないこととわかっていても、思わずにはいられなかった。
転機が訪れたのはカレンが二十一歳を迎えた半年前のこと。
外出を一切禁じてきた父が領地から王都へカレンと母を呼び寄せた。タウンハウスに足を踏み入れることも王都へ訪れることも、馬車に乗ることすらも生まれて初めての経験だった。
前日の夜から馬車に乗り通しであるにも関わらず、休憩する間も与えられずに身なりを整えられ、応接間に入るよう促される。父親との接触は皆無に等しかったため、右も左もわからないまま、ただ黙って従う他なかった。
応接間にはすでに客人がおり、対面に両親と並んで座らされる。
「そちらが子爵のお嬢さん?」
恰幅の良い客人は父よりも一回りは上であろう年嵩の男だった。値踏みするようなじっとりとした視線がカレンの背筋をぞくりとさせる。
「えぇ、病弱なもので長らく領地の方で静養させておりました」
父の言葉に内心で驚愕する。ろくに会話を交わしたこともない彼が人前でカレンを娘と認めたからだ。隣から母が息を呑む音も聞こえた。
何事かと緊張で息を詰めるカレンだったが、客人の視線がすっと横に流れる。母を見て、父を見て、そしてカレンの元に戻ってくる眼差し。そこには嘲りの色がありありと浮かんでいた。
「いやはや、そういうことですか」
唇をにんまりと歪めて客人は続ける。
「良きご縁をと思ったのですが、子爵家の正統な血筋でなければこちらには迎え入れられませんなぁ」
「伯爵! 髪色はこうですが、これは私の娘で」
「奥方も随分と肝の座ったお方だ」
不貞の子を堂々と人前に晒すなんて。
言葉にせずとも眇められた目がそう物語っていた。
「では失礼するとしようか」
伯爵と呼ばれた男が侍従から杖を受け取り、立ち上がる。その後ろ姿に父が追い縋った。
「伯爵! 娘を娶っていただくお話は、そちらのご三男を養子にいただけるというお話は……!?」
「後妻とは言え、不義理の子を娶るなど私の評判がどうなることか。このお話はなかったことに」
素気ない返事を置いて客人は応接間を後にする。パタンと扉が閉じられた後に残されたのは痛いほどの静寂だった。やや置いて馬の嘶きと車輪が石畳を踏む音が微かに聞こえ、本当に客人が去ったことを伝えてくる。
カレンは状況を飲み込むことに精一杯だった。
父と客人の会話から察するに、カレンが客人――伯爵の後妻に入る話が進められていたらしい。当の本人の与り知らぬところで。
そして伯爵家から養子を迎えるのだとも言っていた。
カレンの誕生が両親の間に亀裂を生み、子爵家に子が続くことはなかったから。
しかしたった今、目の前で破談となってしまった。
カレンの紫黒の髪色を原因として。
縁談も養子も、新たな跡継ぎが望めなかったのも。全てがこの黒に起因していた。
綺麗に編み上げられたその黒髪が唐突にグイと引かれ、頭部に鋭い痛みが走る。
「お前が……お前のせいで……!」
数えるほどしか見たことがない父の顔がカレンに向けられている。頬を怒りに紅潮させ、目を恨みの色に染めて。
「どれだけ私に恥をかかせれば気が済むんだ!!」
ガクガクと揺さぶられる痛みに顔を顰めながら、一縷の望みをかけて母に視線を投げる。しかし膝上でドレスを握りしめた母もまた憎しみの眼差しをカレンに向けていた。
ぎしぎしと髪の軋む音が聞こえる。腫れ物として扱われていたとは言え、それでも子爵令嬢として暮らしてきたカレンには感じたことのない痛みと恐怖が降り掛かってくる。
一際強く引かれたかと思えば、薙ぎ払うように床に倒された。
「お前たち、我がイノール家に娘はいない。病に臥して帰らぬ人となった。そうだろう?」
母と使用人に向けて発された言葉はまるで高らかな宣言のようだった。
思惑を理解しかねた使用人たちが困惑の表情を浮かべる中、カレンの胸中は絶望に塗り潰されていた。
カレンの存在は完全に消されようとしている。
このままでは殺されてしまうかもしれない、と。
咄嗟に立ち上がり、扉をこじ開けて廊下にまろび出る。
深い関わりを持たない使用人たちは止める素振りを見せないため、勢いのままに玄関ホールへと向かう。
カレンの背中に「二度と顔を見せるな」と悪態をついた金切り声がどちらのものかも判別出来ないほどに、逃げ出すことに必死だった。
住み続けた領地ですら土地勘がないカレンに初めて訪れる王都の地理などわかるはずもない。ただひたすらに人気のない方向へと駆けた。
すぐに息切れを起こすが、それでもよたよたと足を進めた先で見つけた、歴史を感じさせる古びた修道院。躊躇いもなく門戸を叩くカレンを出迎えてくれたのは同じ年頃の美しい女性。
後に親友となるソフィアだった。
150
あなたにおすすめの小説
『有能すぎる王太子秘書官、馬鹿がいいと言われ婚約破棄されましたが、国を賢者にして去ります』
しおしお
恋愛
王太子の秘書官として、陰で国政を支えてきたアヴェンタドール。
どれほど杜撰な政策案でも整え、形にし、成果へ導いてきたのは彼女だった。
しかし王太子エリシオンは、その功績に気づくことなく、
「女は馬鹿なくらいがいい」
という傲慢な理由で婚約破棄を言い渡す。
出しゃばりすぎる女は、妃に相応しくない――
そう断じられ、王宮から追い出された彼女を待っていたのは、
さらに危険な第二王子の婚約話と、国家を揺るがす陰謀だった。
王太子は無能さを露呈し、
第二王子は野心のために手段を選ばない。
そして隣国と帝国の影が、静かに国を包囲していく。
ならば――
関わらないために、関わるしかない。
アヴェンタドールは王国を救うため、
政治の最前線に立つことを選ぶ。
だがそれは、権力を欲したからではない。
国を“賢く”して、
自分がいなくても回るようにするため。
有能すぎたがゆえに切り捨てられた一人の女性が、
ざまぁの先で選んだのは、復讐でも栄光でもない、
静かな勝利だった。
---
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
【完結】灰かぶりの花嫁は、塔の中
白雨 音
恋愛
父親の再婚により、家族から小間使いとして扱われてきた、伯爵令嬢のコレット。
思いがけず結婚が決まるが、義姉クリスティナと偽る様に言われる。
愛を求めるコレットは、結婚に望みを託し、クリスティナとして夫となるアラード卿の館へ
向かうのだが、その先で、この結婚が偽りと知らされる。
アラード卿は、彼女を妻とは見ておらず、曰く付きの塔に閉じ込め、放置した。
そんな彼女を、唯一気遣ってくれたのは、自分よりも年上の義理の息子ランメルトだった___
異世界恋愛 《完結しました》
【完結】仕事のための結婚だと聞きましたが?~貧乏令嬢は次期宰相候補に求められる
仙桜可律
恋愛
「もったいないわね……」それがフローラ・ホトレイク伯爵令嬢の口癖だった。社交界では皆が華やかさを競うなかで、彼女の考え方は異端だった。嘲笑されることも多い。
清貧、質素、堅実なんていうのはまだ良いほうで、陰では貧乏くさい、地味だと言われていることもある。
でも、違う見方をすれば合理的で革新的。
彼女の経済観念に興味を示したのは次期宰相候補として名高いラルフ・バリーヤ侯爵令息。王太子の側近でもある。
「まるで雷に打たれたような」と彼は後に語る。
「フローラ嬢と話すとグラッ(価値観)ときてビーン!ときて(閃き)ゾクゾク湧くんです(政策が)」
「当代随一の頭脳を誇るラルフ様、どうなさったのですか(語彙力どうされたのかしら)もったいない……」
仕事のことしか頭にない冷徹眼鏡と無駄使いをすると体調が悪くなる病気(メイド談)にかかった令嬢の話。
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
【完結】ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~
青依香伽
恋愛
ルイーズは婚約者を幼少の頃から家族のように大切に思っていた
そこに男女の情はなかったが、将来的には伴侶になるのだからとルイーズなりに尽くしてきた
しかし彼にとってルイーズの献身は余計なお世話でしかなかったのだろう
婚約者の裏切りにより人生の転換期を迎えるルイーズ
婚約者との別れを選択したルイーズは完璧な侍女になることができるのか
この物語は様々な人たちとの出会いによって、成長していく女の子のお話
*更新は不定期です
*加筆修正中です
はずれの聖女
おこめ
恋愛
この国に二人いる聖女。
一人は見目麗しく誰にでも優しいとされるリーア、もう一人は地味な容姿のせいで影で『はずれ』と呼ばれているシルク。
シルクは一部の人達から蔑まれており、軽く扱われている。
『はずれ』のシルクにも優しく接してくれる騎士団長のアーノルドにシルクは心を奪われており、日常で共に過ごせる時間を満喫していた。
だがある日、アーノルドに想い人がいると知り……
しかもその相手がもう一人の聖女であるリーアだと知りショックを受ける最中、更に心を傷付ける事態に見舞われる。
なんやかんやでさらっとハッピーエンドです。
今宵、薔薇の園で
天海月
恋愛
早世した母の代わりに妹たちの世話に励み、婚期を逃しかけていた伯爵家の長女・シャーロットは、これが最後のチャンスだと思い、唐突に持ち込まれた気の進まない婚約話を承諾する。
しかし、一か月も経たないうちに、その話は先方からの一方的な申し出によって破談になってしまう。
彼女は藁にもすがる思いで、幼馴染の公爵アルバート・グレアムに相談を持ち掛けるが、新たな婚約者候補として紹介されたのは彼の弟のキースだった。
キースは長年、シャーロットに思いを寄せていたが、遠慮して距離を縮めることが出来ないでいた。
そんな弟を見かねた兄が一計を図ったのだった。
彼女はキースのことを弟のようにしか思っていなかったが、次第に彼の情熱に絆されていく・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる