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出会い※番外編
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本当は引退しようと思っていた。
最初は凄い楽しかった。次第に燃え尽き症候群ではないが、熱が冷めていった。何時もそうだった。1位になるまでが楽しいのであって、1位になってしばらく経つとゲーム自体に飽きてきてしまう。そうやって、いくつものゲームを渡り歩いてきた。
「んー。でも、まだ引退するには惜しい気もするなあ。グラフィックも綺麗だし」
引退してもたまに顔を出してもいいかなと思えるゲームに出会ったのは久しぶりのことだった。
引退ではなく、隠居を選び、サブキャラを作って1から育て始めた。ギルドの加入も検討したが、炎夢であることは伏せて育成したかったので、別のギルドを探した。
「ここのギルドも満員だから、サブ入れにくいよね。俺も最近作ったんだけど、わりとギルチャも賑やかだし、楽しいギルドあるよ。サブOKだから、助かるわ。まぁ、このギルドに比べれば、とーぜん報酬は不味いけど」
「そーなんだ?」
ギルメンのチャットを見て興味を覚えた俺は、サブキャラを、そのギルドに入れた。
そこで俺は運命の出会いを果たす。そう、プリムが居たのだ。当時のプリムはランキング上位には入っていないが、ダンジョンの攻略を考えるのが好きらしくブログをやっており、それなりの知名度があった。
プリムはギルドの盛り上げ役だった。気を遣って損をするタイプだった。初心者のユーザーに丁寧に遊び方やコツを教えてくれる。
それは初心者のふりをしていたサブキャラである俺に対しても同じで、くすぐったく思った。
次第にメインではなくサブキャラでインする日が増えていった。プリムと喋りたかったからだ。
ゲームには結婚システムがあり、それなりに強いキャラは皆既婚者だったが、プリムは独身を貫いていた。結婚すると、様々な特典が付く。なぜ結婚しないのか聞いてみると、「もし何かの事故でイン出来なくなって引退したら迷惑をかけてしまうから」という答えだった。
プリムらしいな、と思った。
俺は「俺はプリムが突然インしなくなっても大丈夫だよ。だから結婚しよ」と強引に口説き続け、プリムと結婚をした。あれだけ引退しようかなと思ったゲームだったのに、毎日が楽しかった。ゲームがつまらなかったんじゃない。いっしょに遊ぶ相手が居たら、全然違うのだと気が付いた。
次第に、「メインで結婚したいな」と思うようになった。サブキャラのままでも良かったけど、弱いキャラだし、今更本気で育てる気にはなれなかった。プリムを色々な場所に連れまわしたかった。思い切って、俺のメインキャラを教えることにした。
「ランキング見て。そうそう。1番上の炎夢ってのが俺のメインキャラね」
「……冗談よね? 陽炎にずっといるじゃない」
「プリムと遊ぶのが楽しかったからな~」
俺はメインキャラをプリムのギルドに移動させて、結婚した。引退かと思われていた炎夢が復活からのギルドを移動したことによりゲーム内で衝撃が走った。
「なんでわざわざギルド移動してきたのよ!?」
「だってプリムとギルドイベントしたかったし……」
「移籍希望者が殺到してるんだけど!?」
「え? そいつらの名前教えて。……あー……なるほど、あいつら……。ごめん、それ多分野次馬かも。申請全部却下して?」
プリムはそれの尻ぬぐいをするのに苦労したようだが、それはまた別の問題だった。
最初は凄い楽しかった。次第に燃え尽き症候群ではないが、熱が冷めていった。何時もそうだった。1位になるまでが楽しいのであって、1位になってしばらく経つとゲーム自体に飽きてきてしまう。そうやって、いくつものゲームを渡り歩いてきた。
「んー。でも、まだ引退するには惜しい気もするなあ。グラフィックも綺麗だし」
引退してもたまに顔を出してもいいかなと思えるゲームに出会ったのは久しぶりのことだった。
引退ではなく、隠居を選び、サブキャラを作って1から育て始めた。ギルドの加入も検討したが、炎夢であることは伏せて育成したかったので、別のギルドを探した。
「ここのギルドも満員だから、サブ入れにくいよね。俺も最近作ったんだけど、わりとギルチャも賑やかだし、楽しいギルドあるよ。サブOKだから、助かるわ。まぁ、このギルドに比べれば、とーぜん報酬は不味いけど」
「そーなんだ?」
ギルメンのチャットを見て興味を覚えた俺は、サブキャラを、そのギルドに入れた。
そこで俺は運命の出会いを果たす。そう、プリムが居たのだ。当時のプリムはランキング上位には入っていないが、ダンジョンの攻略を考えるのが好きらしくブログをやっており、それなりの知名度があった。
プリムはギルドの盛り上げ役だった。気を遣って損をするタイプだった。初心者のユーザーに丁寧に遊び方やコツを教えてくれる。
それは初心者のふりをしていたサブキャラである俺に対しても同じで、くすぐったく思った。
次第にメインではなくサブキャラでインする日が増えていった。プリムと喋りたかったからだ。
ゲームには結婚システムがあり、それなりに強いキャラは皆既婚者だったが、プリムは独身を貫いていた。結婚すると、様々な特典が付く。なぜ結婚しないのか聞いてみると、「もし何かの事故でイン出来なくなって引退したら迷惑をかけてしまうから」という答えだった。
プリムらしいな、と思った。
俺は「俺はプリムが突然インしなくなっても大丈夫だよ。だから結婚しよ」と強引に口説き続け、プリムと結婚をした。あれだけ引退しようかなと思ったゲームだったのに、毎日が楽しかった。ゲームがつまらなかったんじゃない。いっしょに遊ぶ相手が居たら、全然違うのだと気が付いた。
次第に、「メインで結婚したいな」と思うようになった。サブキャラのままでも良かったけど、弱いキャラだし、今更本気で育てる気にはなれなかった。プリムを色々な場所に連れまわしたかった。思い切って、俺のメインキャラを教えることにした。
「ランキング見て。そうそう。1番上の炎夢ってのが俺のメインキャラね」
「……冗談よね? 陽炎にずっといるじゃない」
「プリムと遊ぶのが楽しかったからな~」
俺はメインキャラをプリムのギルドに移動させて、結婚した。引退かと思われていた炎夢が復活からのギルドを移動したことによりゲーム内で衝撃が走った。
「なんでわざわざギルド移動してきたのよ!?」
「だってプリムとギルドイベントしたかったし……」
「移籍希望者が殺到してるんだけど!?」
「え? そいつらの名前教えて。……あー……なるほど、あいつら……。ごめん、それ多分野次馬かも。申請全部却下して?」
プリムはそれの尻ぬぐいをするのに苦労したようだが、それはまた別の問題だった。
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