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鳥籠

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渚は、毎日のように翔也に抱かれた。

「渚は淫乱だね。美味しそうに俺の肉棒を咥えこんでるよ」男を知らなかった渚の体は、翔也によって急速に開発され、強すぎる快楽を植え付けられた。

「渚……! 渚……っ!!」
「あぁ……っ、あっ、ああっ……!」

その結果、媚薬がなくても疼いて愛液が溢れ出すようになり、翔也は渚に自ら股を大きく開かせ、貪るように愛した。
パンパンという生々しい音が昼夜を問わず部屋で響き、射精を促すように、渚の蜜壺は翔也の肉棒を締め付けた。

渚は切なげな嬌声を上げ続けた。

ついに、その腹の中に新たな命が宿ったことが判明したのは、異世界に召喚されてから数か月後のことだった。

「……え……。なに、これ……。ここは……?」

いつものように翔也に抱かれて、目覚めたときに、じゃらり、と手足に鎖が巻かれていることに渚は気が付いた。周囲を見渡すと、見覚えのない場所だった。

そこは、つる薔薇が這った大きな金色の鳥籠の中だった。

鳥籠というより牢獄かもしれない。あまりにも非現実的な光景に、渚は驚くことも忘れて絶句し、大きな目をパチパチと瞬かせた。
 
「おはよう、渚。……その鎖、渚に似合うだろうなって思ったんだけど、やっぱり似合うね。それさ、聖遺物なんだって。この鍵がないと、渚は鳥籠から出られないってこと。色々考えたんだけど、やっぱり渚にケガしてほしくないからさ、ここで待ってて? 魔王なんかすぐ倒してくるからさ。そしたら、いっぱいデートしようよ」

鳥籠の鍵を持ちながら、満足気にほほ笑む翔也に、渚は顔を青くした。炎夢えんむが有言実行であることは、今までずっと見てきた。炎夢えんむはゲームでは無敵の存在だった。でも、ここはゲームではない。やり直しができない。間違ったら、死ぬかもしれない。

――炎夢えんむが死ぬ。

そう思うと、渚は居ても立ってもいられなくなった。火力面では炎夢えんむが優れていたが、戦略面では渚が指示を出すことも多かった。

炎夢えんむが……居なくなる? そんなの嫌だよ……!)

少しでも力になれるはずだ。こんな安全な場所で、何も出来ず、ただ待っているのは、とても辛いことのように感じた。

(私、こんなことをされても、炎夢えんむが、翔也が、好きなんだ……)

渚にとって、炎夢えんむの存在はとても大きかった。会社で嫌なことがあっても、ゲームにログインすれば炎夢えんむが待っている。

いつの間にか、炎夢えんむがそばにいることが当たり前になっていた。

翔也が渚の世界から消えていなくなってしまうことは、渚にとって耐えられないことだった。

「わ、私も戦……」
「だめ。渚は優しいから、助けなくてもいいやつも庇おうとするだろうし。ゲームだったらそれでもいいけど、リアルでそれやったら命落とすからね。だから、渚はお留守番。……俺だって、可愛い渚を置いていきたくないよ。1秒でも早く戻ってくるからさ」
「だから、私を妊娠させたの? ついてこないように……?」
「うん。だって、俺についてこようとするだろ? もうそのお腹の中には子供がいるんだから、ここにいて。宰相には渚のサポートをするように交渉してあるから」

翔也の決意が籠った強い視線、そして有無を言わせない言い方に、渚は目を伏せた。ここまで固い意志を見せているなら、渚が何を言っても決定を覆すことはないだろう。

長い付き合いで、翔也の性格は把握している。

それに、妊娠している体で、まともに戦えるとも思えなかった。

「……絶対、生きて戻ってきてよ」

「当たり前だよ。俺を誰だと思ってるの?」

翔也は笑顔で、渚の肩に手を回し、優しく抱きしめた。
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