白薔薇姫は愛に溺れる【完結】

ちゃむにい

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トントン、と扉が叩く音が聞こえたと思うと、侍女が顔を出した。どうやらデルクが来ることを前もって知らせに来たようだ。
その数分後、再び扉を叩く音が聞こえて、心臓が飛び上がりそうになる。所在無げに、ベットの上に座り込んでいた私だが、すぐに立ちあがってデルクに駆け寄った。

「どうしたんだい、僕の可愛い人。……今宵はとりわけ奇麗に見えるね」

デルクの甘い言葉に緊張が解けて、頬が緩む。きっと私が寝る前に部屋に戻ろうと、急いで来たのだろう。彼の額は、うっすらと汗ばんでいた。私は、彼の胸の中に、そっと頭を擦り寄せた。息を呑むデルクの音が聞こえる。

彼の目を見れなくて、腕を彼の背中に回し、ぎゅっと抱き締めた。初夜のために、侍女が張り切って縫った自慢の薄着だから、デルクの体にぴったりと密着した。彼の匂いに、気分が高ぶってしまう。
これから、恥知らずなことを言うのだ。それに比べたら、こんなこと可愛いものだろうと思い、私の行動は大胆になっていった。

彼と一瞬だけ視線を合わせると唇と唇をあわせ、間髪をいれずに舌を割りこませた。彼の舌はピクリとも動かなかった。
ぎこちなく、舐めるようにざらざらとした舌を絡ませた。けれども、驚きで目を丸くしたその瞳を見て気恥かしくなる。
舌を引っ込めようとした瞬間、

「んぅッ……」

彼の厚い舌が逃げようと引っ込もうとする舌を捕えた。息苦しくなると同時に、甘い快感に痺れてドクリと心臓が脈打った。

「…………ッ」

私の声に反応するように、デルクは眉をひそめながら舌を解放した。私とデルクの唾液が混じったものが一筋、糸のように引いて、落ちた。

デルクは、そのまま無言で私の腰を引き、残った左手で、私の顎を上に向かせた。
燭台に照らされて、デルクの表情が露わになる。普段は優しくて温和なデルクの瞳が、餌を目の前にした獰猛な虎のように豹変していることに気が付いて、硬直してしまう。こんな表情、見たことがない。かつてデルクが、これほどまでに私に対して情欲を示したことがあるだろうか。

「レティア……、いけない、子だ。愛してもいない男に、こんなことをしてはいけないよ。こんなことをされたら、抱かれても文句は言えないんだからね」

もしかして、デルクは私を愛しているがゆえに、何時も、我慢、していたのだろうか。だとするならば、私は、何てひどいことをしていたのだろう。
ずっと曖昧な態度で、彼を苦悩させていたに違いない。切なげに呟くデルクの言葉に、濃厚な接吻の余韻は、あっという間に消え、冷水をかけられたかのように意識は浮上した。

「デルク…………」

彼の悲しげな瞳に、泣きそうになる。私は、こんなにも彼を苦しめていたのだ。彼の優しさにつけこんで、数か月も待たせてしまったことを悔やんだ。

「…………何ですか?」

「デルクは……、今でも私を愛していますか……?」

「勿論だよ。僕の愛する人は貴方だけだから……」

「なら……、その、ね……。私を、抱い……、て欲しいの……」

以前、お母様とお父様が闇夜に隠れて愛を交わしていたのを、うっかり目撃してしまったから、夜の営みがどのようなものなのかというのは、知っていた。
お母様が褒めて下さった、豊満なボディをちらつかせながら必死で媚を作り、彼を誘惑する。これでダメなら、どうしたらいいのかわからない。
いったい、世の中の女性は、どうやって夫を口説くのだろう。内心ドキドキしながら、彼の返答を待ったが、彼はまったく返事をしようとしなかった。

「デ、デルク……?」

「……その言葉……、無かったことには、できないからね…………後悔、しないかい?」

こんな時でも私の意思を確認するデルクを愛しく思う。これで嫌と言えば、きっと彼は待ってくれるだろう。
しかし、私が侍女に言われるように、彼だって他の人に言われているはずだ。これ以上、彼を失望させたくなかった。

「私は……、デルクが好き。だから、愛してくれますか?」

「レティア……!!」

「ん……んんっ」

濃厚な口づけをされて、頭がぼぅっとしてしまう。

彼に拒否されるのではないかということばかりが頭にあったので、その先のことまであまり考えていなかった。このまま抱かれるのだろうか、と実感がわかないまま、彼が私の服を脱がせ始めた。体を覆うものをすべて取り払うのには、やはり抵抗感があった。

彼の温かな指先の感触に、びくびくと感じてしまう。身を捻って逃げ惑うと、彼に馬のりになって抑え込まれた。
デルクは、ごくりと生唾を飲み込んだと思うと、手を恐る恐るのばして、私の乳房を手にとる。そうして、ひたすら胸を、慣れないてつきで撫でまわしはじめた。


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