10 / 81
一章 ギルと名乗る男
道中(3)
しおりを挟む
次に目を開けると、ギルに頭を撫でられていた。抱き込まれているのに寝苦しいどころか熟睡していたのが少々どころかかなり恥ずかしい。
目があった瞬間、ギルの目が細められた。……干し草小屋の中でも日の光が入って明るい中、こんなに近くにいるのは初めてじゃないだろうか。ギルの瞳の色が黒でも茶色でもなくて、灰色を帯びているのがよく見えた。その双眸が細まり、口元に笑みが乗る。
「よく寝てたな」
「……今何時」
「村の奴らが朝一の仕事を終えて飯食ってる」
それって早いの、遅いの?
分かりかね、身体を起こす。エルフはともかく人間の生活リズムが分からない。鳥や家畜の鳴き声がするから、それなりの時間なんだろう。
起きよう、という気はあるのだが、ギルは俺を抱いたまま放そうとしない。それどころか腰に回されていた手が怪しく動き始め、俺は身をよじった。
「っ、ちょ……んゃ、ぁ……やだ、っ」
尻を揉まれる。足もギルの片足が被さって絡められているせいで思うように動けない。服の上から割れ目に指を入れられ、久々のギルの指に身体が跳ねて、指を挟むように尻に力を込めてしまった。それをいいことに、ギルの中指が門をひっかくように曲げられ、快感が走る。
「あぁ、ん……っ」
小声で堪えていたのが、それで崩れた。思ったより大きな声が出て、慌てて首を引っ込めるようにして身を丸めた。
そこでようやく、ギルの手が離れる。流石に今からすることはないらしく、ほっとして力を抜くと不意打ちのようにキスをされた。
「起きるか」
「う、うん」
きゅ、と胸が疼いたのは、いたずらに煽られたからなのか、それとも別の理由からなのかは判断がつかなかった。
身なりを整えて小屋を出ると、小さな女の子がひょっこりと、タンザさんの家の角から顔を出してこちらを伺っているのが見えた。俺が気づいたのだからギルも気づいているだろう。
さてどうしたものかと思っていると、予想外にも、女の子の方が嬉しそうにこちらへ駆けてきた。身長は高くない。ギルの腰ほどくらいか。
「ほんとに黒のおにいちゃんだ!」
「おー」
ほぼ勢いを殺さずタックルを仕掛けてきた女の子を軽く受け止めて、ギルが女の子の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。慣れた手つきだった。
「ようチビ、元気だな」
「チビじゃないもん! オリエだもん!」
ギルに食ってかかる女の子は声を張り上げる。耳に痛いけど、元気な声だ。よくギルに懐いているのが不思議なほどべったりだ。女の子を相手にしているギルはいつも通りに見える。……ギルが怖くないんだろうか。え、俺がビビりすぎなのか?
若干焦りを感じていると、女の子と目があった。女の子は俺を見て直ぐにギルの身体を盾にするように隠れてしまったが、さっき家の角からそうしていたように頭だけをひょっこりだすと、タンザさんがそうだったように満面の笑みを浮かべた。それにつられるようにして、俺も笑いかける。しゃがんで目線を合わせると、興味津々な瞳が近くなった。
「初めまして、俺はヒューイ」
「ヒューイお兄ちゃん。あのねえ、わたし、オリエ。お父さんがね、朝ごはんどうぞって言ってきなさいって」
「そう、ありがとう。お邪魔してもいいのかな」
「どーぞ、おじゃましてください」
にこにこ顔のままで、オリエちゃんはうふふと笑う。それからこっそりと俺に耳打ちしてきた。
「ありがと」
「え?」
「わたしが言ったの、ナイショね」
なにもしないうちからお礼を言われる意味が分からないが、もしかするとオリエちゃんは既に、俺たちが対価としてすることになるらしいことについて、何か知っているのかもしれない。
分からないなりにナイショという発言に対して頷くと、オリエちゃんは俺の手を取って「はやくはやく」と引っ張り出した。
歩きながらそっとギルを見ると、軽く頷かれる。
「村長んとこのチビだ」
「ああ……お父さんって、タンザさんか」
「むうううー! チビじゃないもん!」
憤慨しているオリエちゃんは俺から手を離して、今度はギルの腰のあたりをぽかぽかと叩き始めた。何事にも一生懸命な様子が非常に微笑ましい。ギルも嫌そうな顔をすることもなく、反撃もせずに、いつも通りの淡々とした態度でオリエちゃんの猛攻を受け止めていた。
「ばかばか! 黒のおにいちゃん、なんでわたし、名前何回も言ってるのに覚えないの? ばか!」
……元気なのは良いことだし物怖じしないのはすごいと思うのだが、流石子どもと言うべきか、張り上げる声が耳に痛い。見る限り全力で叩きに行ってるみたいだし、手加減のない子どもの攻撃って痛いんだよなあ……。
それを向けられているギルが短気を起こさないかとひやひやしたが、杞憂に終わった。
「あー、はいはい、お前知ってるか? 馬鹿って言ったほうが馬鹿なんだぞ」
「むう……じゃあ、黒のおにいちゃんはばかじゃないの?」
ギルのオリエちゃんいに対する扱いは決して雑でも乱暴でもなく、笑顔で相手をしているわけではないが、それでも、ないがしろにしているわけでもなかった。
「さあ、どうだろうな。馬鹿かもしれん」
「ばかなの?」
「チビがそう言うならそうなんじゃないか」
「……?」
黙って見守っていると、徐々にオリエちゃんは何の話だったのか忘れてしまったようだ。首をかしげてしまっていた。
かわいいな、と微笑ましく思いながらふとギルに目をやると、ギルも穏やかな表情でオリエちゃんを見下ろしていた。そこには少しもしてやったり、なんて空気はなかった。
……もしかしてギルって俺が思うよりももっとずっと、物凄く寛容、なんだろうか。
見てくれと印象に対して予想外にもほどがあるギルの一面を目にしたものの、その衝撃もタンザさんとその奥さんから振舞われた朝食で八割型吹き飛んで行った。
固いパンと、野菜をたっぷり入れてよく煮込んだらしいスープ。それに、よく焼かれたウィンナーに、スクランブルエッグとサラダだ。
豪華すぎるメニューだが、この辺の土壌は農作物を育てるのに非常に適しており、休ませながらあちこちに植えたものを収穫すると、税として収める分は勿論、備蓄に回せるほどになるそうだ。飢えることはほとんどないらしい。ありがたいことだ。
感謝して味わっていると、タンザさんに話を振られた。
「さて、黒いのにしてもらいたいのはいつも通りなんだが、ヒューイくんはなにか得意なことはあるかな」
「こいつも戦えるぞ。魔法が主軸だが前衛がいりゃ問題ない」
「ああ、ウルフを一匹従えてるんだってね。すごいなあ」
「は、え」
俺に向けられていたはずの言葉だが、ギルが拾ってしまい置いてけぼりを食らう。ウルフとはアドルフのことだ。アドルフという名前は俺がつけた固有の名前であって、狼型のモンスターはウルフ、と称されている。ある地帯で特に強い個体、エリアボスのような存在は外見も名前も変化して区別され、個体名のように扱われることもあるが……基本的に『Arkadia』ではモンスターしか出てこなかったため、皆元になった動物の名前で呼ぶことも少なくなかった。
俺が目を白黒させていると、タンザさんは愉快そうに笑った。
「黒いの。ヒューイくんにはなにも言ってないのか。まあ、自分からは言いにくいか」
「え、っと……?」
面白そうなものを見る目に首を傾げると、タンザさんはやっと俺を見てくれた。浮かべた笑みにはどこか、微笑ましそうなものが混じっている気がする。
「ヒューイくん、薬の調合ができるだろう」
そして発せられた言葉に俺はスープに浸していたパンを引き上げる手を止めた。
「初めてここに黒いのが来た時、たまたまモンスターが暴れていたのを助けられたんだが、数人が怪我をしていてね。その怪我を、黒いのが薬で治してくれたのさ。よくすり潰されて効果の高い軟膏だった。誰が作ったのか訊ねても、極度の恥ずかしがりだからって教えてくれなくて。でも昨日、君が薬を調合した本人だと言われたのさ」
にこにこと、オリエちゃんにも通じる笑みを浮かべながらタンザさんがネタバラシをした。思わずギルを見たが、ギルは静かに食べているだけで、全く動揺している素振りは見せなかった。
盗られていたものの行方を知って、少し方の力が抜ける。そりゃ、効果を実感できる薬の提供者と作った張本人なら歓迎されるわけだ。好意的なのも頷ける。
……ギルは隠したがっていたようだが、あれだろうか、見た目が怖い不良が実は凄く情に厚くてイイヤツだったみたいな、でも本人は良いことをしているなんてばれたくないみたいな、そういうことなのだろうか。別にだからといって、元が人からくすねて行ったものなのだから全部が全部善行とは言い難いのだけど。
「君の薬には随分助けられたからね。化膿することもなかったし、傷を塞ぐのに縫合したりしなくてもよかった。あれはわざと麻痺させたりしないといけないし抜糸もしなくちゃいけないしで大変だからね。黒いのには口止めされていたけど、でも、初めてのはずの場所で妙に歓迎されるというのも気味が悪いだろう? 実際、君は困惑するばかりのようだったし。黒いのが話を通しているというわけでもなさそうだったからついでしゃばってしまった」
言う割りに、清々しいほどの笑顔だ。ちっとも悪いと思ってない。まあ、俺も話してもらえた方が変に勘ぐったりしなくていいから楽なんだけど。
「いえ、そういうことなら納得です。俺も自分が作ったもので人助けが出来たならうれしいですよ」
素直に感じたことを舌に乗せると、タンザさんは相槌を打って、それから
「急ぎでなければモンスターの数減らしか、力仕事でも手伝ってもらおうかと思ってたんだが……どうだろう、もし薬を持っていたら融通してくれないか」
そう、訊ねてきた。
「勿論、ないものを出せとは言わんがね。黒いのと一緒にいつもしてもらっていることをするのでもいいし。どうかな?」
「構いませんよ。まだ作り置きしておいたものがありますから。……でも、時間が経つと品質が劣化して行きますけど……」
「ああ、そこまで大量にじゃなくていいんだ。ありがとう、じゃあよろしく頼む」
「はい、分かりました」
そんなことでいいならばと俺が頷くと、タンザさんはほっとしたように笑った。単なる動物であっても、噛みつかれたりすると大事になる。回復手段があればある分、心強いのは誰も皆同じだ。
朝から大満足の食事が終わると、俺は早速ギルに突き返された皮袋から薬を取り出した。
アルカディアにおける回復手段だが、大別すると二種類に分けられる。
一つは魔法。回復魔法、というと基本的には傷を塞いで体力を回復させるものだ。外傷には効果的だが、毒や病気の場合、延命はできるが、原因を排除しなければ根本的な解決にはならない。ちなみにギルとの行為で腰に居座った鈍痛には効果がなかった。鎮痛剤としては使えず、筋肉疲労にもさして効果はない。反面、対応が早く魔法の熟練者が使えば後遺症もなく折れたり、切り離されたりした足や腕を治すことができたりする。ゲームではそんな描写はなかったが、現実として置き直すとこんなところだ。
もう一つが薬。こちらはそれこそ鎮痛から止血まで痒い所に手が届くタイプで、使い分けはしなければならないがとても幅広く使われている方法だ。
軟膏タイプ、湿布タイプ、お香タイプ、粉末タイプ、液体タイプと形状も豊かだが、最終的な、回復手段であるというのは魔法と同じだ。
軟膏は主に傷を塞ぐのに有効。粉末、液体の場合、飲み食いすることで内側から効果を発揮する。が、液体は外傷に直接かけることでも効果が得られる。potと呼ばれる……ポーションの類はこれに当たるが、これは粗悪品が出回らないようにと職業組合で品質管理がされている。自作品を売ろうと思ったら、どこかしらの組合から許可を得る必要がある。……らしい。フィズィから教わった。
pot作りに手続きが必要ということもあって、俺が作ることが多かったのは軟膏と粉末タイプだ。作って直ぐに効果が落ちて行くということはないが、やはり三ヶ月以内には使い切った方がいい。ゲームの場合はインベントリに仕舞うから、作成した瞬間、あるいは拾った瞬間の品質さえ気をつければ良くて、あまりこの辺りは意識しなかったが、インベントリが特殊な能力である以上気をつけなければならないところだ。
この村は小さすぎて、組合の支部はおろか、店もない。恐らく村に立ち寄った薬師か行商人から得るしか手段はないのだ。村に薬が作れる人がいるならこんな申し出はないはずだから。
インベントリにも回復薬は突っ込んであるし、ギルが要らないと言うのだからここで手渡してもいいだろう。それに、余剰分の荷物は軽い方がいい。
結果、タンザさんには喜ばれ、起きた時間が早くなかったためもう一泊することになった俺たちはアドルフと合流し、モンスター退治に勤しむことにした。
モンスターは様々いるが、接触、エンカウントの仕方は様々だ。感知できる範囲にいるプレイヤーを積極的に攻撃するタイプ、攻撃されない限りは攻撃しないタイプ、スキルを使う者のみを感知して攻撃してくるタイプ、攻撃が届く範囲に入るまでは全くピクリともせずに待ち伏せするタイプ。たまに特定のモンスターを倒すと出現するのもいるが、あまりにもレベル差がある場合は攻撃対象にならないと言う仕様があったりする。まあ座っていたり寝てたりすると襲われるのだが。
平原で出てくるモンスターの多くは動物に近い外見を持っている。牙や角のみならず、全体的に動物よりも巨体であることが目印だろうか。
村の周辺に出てくるモンスターは大体が小動物よりで、攻撃的である以外に特に注意点はない。毒も麻痺毒も持たないし、こちらから攻撃を当てることさえできるならそこまでの脅威にはならない。ま、なんというか村の中は安全地帯、安地になるようになっていると言うわけだ。『Arkadia』ではイベントとしてモンスターが街に押し寄せて防衛戦となるものもあったが、それはアルカディア的には珍しい部類に入るだろう。
討伐はつつがなく終わり、剥ぎ取った収穫物は村に納める運びとなった。
「本当にいいのか?」
タンザさんは恐縮していたものの、最終的にギルに押し付けられるようにして受け取っていた。俺はそれがなんだか微笑ましいように思えてくすっと笑ってしまったけれど……ギルは、いい人、なんだろうか。
そうだといいのに。そう思ってしまいそうになる思いをぐっとこらえる。希望的観測はきっと、ギルに俺の理想を押し付けてしまう。そうして俺はそこから離れたギルの姿を見る度、勝手に失望してしまうのだろう。もはやどっちが失礼なのかわからない。
その日の昼食はタンザさん宅に持ち寄られた村の人たちの料理を振舞われた。正午を回っていたようだが、夕食は本当に簡単に済ませるらしく食べないこともあるそうなので、そのつもりでありがたく頂戴した。
昼からもぶらぶらと村の外を歩きつつ、モンスター退治の合間にゼクスシュタインの城壁の位置を確認した。人の手が入った田畑は広大で、遥か先の地平線から顔を出す城壁がはっきり確認できた。背丈ほどの草はやはり人の手が入っていなかったりあえて入れずに休ませている場所だけに生えているようで、村からは人の往来のために慣らされた細い道が伸び、土が露出しているのが確認できた。村で飼っているヤギやヒツジのおかげで森が広がりすぎることもないらしい。いい場所だと思う。
のどかな風景に、気持ちはどこか晴れていた。引きこもっていたこともそうだが、森という場所もよろしくなかったのかもしれない。自分の罪悪感から逃れたいという後ろ向きな理由であっても出てきてよかったと思う。
村を少し見下ろすような、僅かに高い程度の丘の上。ギルと二人、それにアドルフを加えて腰を下ろすと、仰向けに寝転がった。
「……ヒューイ、ゼクスシュタインまではあと2、3村がある。どれもそれぞれ朝一で発てば日没の少し後位には辿り着く。だが、ほかの村もこの調子で進むなら時間は倍かかるぞ」
胡坐をかいて座ったまま、ギルがそう呟いた。どうする、と尋ねられて驚いた。
「俺に決めさせてくれるの?」
「お前の旅だろう」
そりゃそうだ。
でも意外な気がしたのだ。それを喜ぶのは的外れだろうか。
「そうだなあ……。急ぎたいけど、無理してもしものことがあると困るし。っていうか、他の村でも薬配ってたりするの……?」
頭だけ起こしてギルを伺っても、俺の位置から表情を見ることはできない。背中と、ギルの襟足の中で一房だけ長い部分で編まれた三つ編みが背骨に沿うようにまっすぐ伸びているのと、耳が見えるだけだ。
ギルの反応はなく、それがどこか今朝のタンザさんの時のことを思い出させた。
「ギル?」
だから、図星なのかと思ってころりと身体を転がし、上半身を起こしてギルを覗き込んだ。
「なあ、」
「うるさい」
穏やかな声色はそのままに、小脇に抱えるようにして動きを止められ、黙れとばかりに唇を塞がれた。慌てて抵抗するも力で敵わないのは変わらず、柔らかくて熱い舌が口内へ入ってくる。有無を言わせない力で身動きできなくされているのに、その唇と舌はひどく優しく、甘い。味わうように啄まれ、飴を転がすように歯茎や舌をくすぐられる。
俺があまりキスがうまくない――ギルがうますぎるだけだと言ったほうが正しい気がする――のに配慮してなのか、ギルは俺が息を吸う時間というのを作ってくれる。それは吸って落ち着くのでいっぱいいっぱいなほど短く、俺がなにか言う気配を感じようものならすぐさま塞がれてしまう。今回もその類で、徐々に息継ぎに専念し始めた俺に、満足そうに目を細めた。ついていくのでやっとだったが、多分、笑ってた。
俺がすっかりキスに力を奪われるとようやく、ギルは俺を解放した。
「ぅう、こ、こんな場所、で」
「またそれか」
「そ、それにちょっとやり方が子どもっぽかった」
負け犬の遠吠えにしかならないがそう指摘すると、ギルは押し黙った後、それがなにか? とでも言いたげに口を開いた。
「お前よりはガキには違いない」
そのガキに散々いいようにされてる俺の立場はどうなる。
反論の種を失い、口を開いても自分の情けなさを振り返ることにしかならない俺にできることと言えば、大きなため息をつくことだけだった。
その日も干し草小屋を借り受けたが、悔しくもガキの腕の中は心地よく、気持ちよかった。
目があった瞬間、ギルの目が細められた。……干し草小屋の中でも日の光が入って明るい中、こんなに近くにいるのは初めてじゃないだろうか。ギルの瞳の色が黒でも茶色でもなくて、灰色を帯びているのがよく見えた。その双眸が細まり、口元に笑みが乗る。
「よく寝てたな」
「……今何時」
「村の奴らが朝一の仕事を終えて飯食ってる」
それって早いの、遅いの?
分かりかね、身体を起こす。エルフはともかく人間の生活リズムが分からない。鳥や家畜の鳴き声がするから、それなりの時間なんだろう。
起きよう、という気はあるのだが、ギルは俺を抱いたまま放そうとしない。それどころか腰に回されていた手が怪しく動き始め、俺は身をよじった。
「っ、ちょ……んゃ、ぁ……やだ、っ」
尻を揉まれる。足もギルの片足が被さって絡められているせいで思うように動けない。服の上から割れ目に指を入れられ、久々のギルの指に身体が跳ねて、指を挟むように尻に力を込めてしまった。それをいいことに、ギルの中指が門をひっかくように曲げられ、快感が走る。
「あぁ、ん……っ」
小声で堪えていたのが、それで崩れた。思ったより大きな声が出て、慌てて首を引っ込めるようにして身を丸めた。
そこでようやく、ギルの手が離れる。流石に今からすることはないらしく、ほっとして力を抜くと不意打ちのようにキスをされた。
「起きるか」
「う、うん」
きゅ、と胸が疼いたのは、いたずらに煽られたからなのか、それとも別の理由からなのかは判断がつかなかった。
身なりを整えて小屋を出ると、小さな女の子がひょっこりと、タンザさんの家の角から顔を出してこちらを伺っているのが見えた。俺が気づいたのだからギルも気づいているだろう。
さてどうしたものかと思っていると、予想外にも、女の子の方が嬉しそうにこちらへ駆けてきた。身長は高くない。ギルの腰ほどくらいか。
「ほんとに黒のおにいちゃんだ!」
「おー」
ほぼ勢いを殺さずタックルを仕掛けてきた女の子を軽く受け止めて、ギルが女の子の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。慣れた手つきだった。
「ようチビ、元気だな」
「チビじゃないもん! オリエだもん!」
ギルに食ってかかる女の子は声を張り上げる。耳に痛いけど、元気な声だ。よくギルに懐いているのが不思議なほどべったりだ。女の子を相手にしているギルはいつも通りに見える。……ギルが怖くないんだろうか。え、俺がビビりすぎなのか?
若干焦りを感じていると、女の子と目があった。女の子は俺を見て直ぐにギルの身体を盾にするように隠れてしまったが、さっき家の角からそうしていたように頭だけをひょっこりだすと、タンザさんがそうだったように満面の笑みを浮かべた。それにつられるようにして、俺も笑いかける。しゃがんで目線を合わせると、興味津々な瞳が近くなった。
「初めまして、俺はヒューイ」
「ヒューイお兄ちゃん。あのねえ、わたし、オリエ。お父さんがね、朝ごはんどうぞって言ってきなさいって」
「そう、ありがとう。お邪魔してもいいのかな」
「どーぞ、おじゃましてください」
にこにこ顔のままで、オリエちゃんはうふふと笑う。それからこっそりと俺に耳打ちしてきた。
「ありがと」
「え?」
「わたしが言ったの、ナイショね」
なにもしないうちからお礼を言われる意味が分からないが、もしかするとオリエちゃんは既に、俺たちが対価としてすることになるらしいことについて、何か知っているのかもしれない。
分からないなりにナイショという発言に対して頷くと、オリエちゃんは俺の手を取って「はやくはやく」と引っ張り出した。
歩きながらそっとギルを見ると、軽く頷かれる。
「村長んとこのチビだ」
「ああ……お父さんって、タンザさんか」
「むうううー! チビじゃないもん!」
憤慨しているオリエちゃんは俺から手を離して、今度はギルの腰のあたりをぽかぽかと叩き始めた。何事にも一生懸命な様子が非常に微笑ましい。ギルも嫌そうな顔をすることもなく、反撃もせずに、いつも通りの淡々とした態度でオリエちゃんの猛攻を受け止めていた。
「ばかばか! 黒のおにいちゃん、なんでわたし、名前何回も言ってるのに覚えないの? ばか!」
……元気なのは良いことだし物怖じしないのはすごいと思うのだが、流石子どもと言うべきか、張り上げる声が耳に痛い。見る限り全力で叩きに行ってるみたいだし、手加減のない子どもの攻撃って痛いんだよなあ……。
それを向けられているギルが短気を起こさないかとひやひやしたが、杞憂に終わった。
「あー、はいはい、お前知ってるか? 馬鹿って言ったほうが馬鹿なんだぞ」
「むう……じゃあ、黒のおにいちゃんはばかじゃないの?」
ギルのオリエちゃんいに対する扱いは決して雑でも乱暴でもなく、笑顔で相手をしているわけではないが、それでも、ないがしろにしているわけでもなかった。
「さあ、どうだろうな。馬鹿かもしれん」
「ばかなの?」
「チビがそう言うならそうなんじゃないか」
「……?」
黙って見守っていると、徐々にオリエちゃんは何の話だったのか忘れてしまったようだ。首をかしげてしまっていた。
かわいいな、と微笑ましく思いながらふとギルに目をやると、ギルも穏やかな表情でオリエちゃんを見下ろしていた。そこには少しもしてやったり、なんて空気はなかった。
……もしかしてギルって俺が思うよりももっとずっと、物凄く寛容、なんだろうか。
見てくれと印象に対して予想外にもほどがあるギルの一面を目にしたものの、その衝撃もタンザさんとその奥さんから振舞われた朝食で八割型吹き飛んで行った。
固いパンと、野菜をたっぷり入れてよく煮込んだらしいスープ。それに、よく焼かれたウィンナーに、スクランブルエッグとサラダだ。
豪華すぎるメニューだが、この辺の土壌は農作物を育てるのに非常に適しており、休ませながらあちこちに植えたものを収穫すると、税として収める分は勿論、備蓄に回せるほどになるそうだ。飢えることはほとんどないらしい。ありがたいことだ。
感謝して味わっていると、タンザさんに話を振られた。
「さて、黒いのにしてもらいたいのはいつも通りなんだが、ヒューイくんはなにか得意なことはあるかな」
「こいつも戦えるぞ。魔法が主軸だが前衛がいりゃ問題ない」
「ああ、ウルフを一匹従えてるんだってね。すごいなあ」
「は、え」
俺に向けられていたはずの言葉だが、ギルが拾ってしまい置いてけぼりを食らう。ウルフとはアドルフのことだ。アドルフという名前は俺がつけた固有の名前であって、狼型のモンスターはウルフ、と称されている。ある地帯で特に強い個体、エリアボスのような存在は外見も名前も変化して区別され、個体名のように扱われることもあるが……基本的に『Arkadia』ではモンスターしか出てこなかったため、皆元になった動物の名前で呼ぶことも少なくなかった。
俺が目を白黒させていると、タンザさんは愉快そうに笑った。
「黒いの。ヒューイくんにはなにも言ってないのか。まあ、自分からは言いにくいか」
「え、っと……?」
面白そうなものを見る目に首を傾げると、タンザさんはやっと俺を見てくれた。浮かべた笑みにはどこか、微笑ましそうなものが混じっている気がする。
「ヒューイくん、薬の調合ができるだろう」
そして発せられた言葉に俺はスープに浸していたパンを引き上げる手を止めた。
「初めてここに黒いのが来た時、たまたまモンスターが暴れていたのを助けられたんだが、数人が怪我をしていてね。その怪我を、黒いのが薬で治してくれたのさ。よくすり潰されて効果の高い軟膏だった。誰が作ったのか訊ねても、極度の恥ずかしがりだからって教えてくれなくて。でも昨日、君が薬を調合した本人だと言われたのさ」
にこにこと、オリエちゃんにも通じる笑みを浮かべながらタンザさんがネタバラシをした。思わずギルを見たが、ギルは静かに食べているだけで、全く動揺している素振りは見せなかった。
盗られていたものの行方を知って、少し方の力が抜ける。そりゃ、効果を実感できる薬の提供者と作った張本人なら歓迎されるわけだ。好意的なのも頷ける。
……ギルは隠したがっていたようだが、あれだろうか、見た目が怖い不良が実は凄く情に厚くてイイヤツだったみたいな、でも本人は良いことをしているなんてばれたくないみたいな、そういうことなのだろうか。別にだからといって、元が人からくすねて行ったものなのだから全部が全部善行とは言い難いのだけど。
「君の薬には随分助けられたからね。化膿することもなかったし、傷を塞ぐのに縫合したりしなくてもよかった。あれはわざと麻痺させたりしないといけないし抜糸もしなくちゃいけないしで大変だからね。黒いのには口止めされていたけど、でも、初めてのはずの場所で妙に歓迎されるというのも気味が悪いだろう? 実際、君は困惑するばかりのようだったし。黒いのが話を通しているというわけでもなさそうだったからついでしゃばってしまった」
言う割りに、清々しいほどの笑顔だ。ちっとも悪いと思ってない。まあ、俺も話してもらえた方が変に勘ぐったりしなくていいから楽なんだけど。
「いえ、そういうことなら納得です。俺も自分が作ったもので人助けが出来たならうれしいですよ」
素直に感じたことを舌に乗せると、タンザさんは相槌を打って、それから
「急ぎでなければモンスターの数減らしか、力仕事でも手伝ってもらおうかと思ってたんだが……どうだろう、もし薬を持っていたら融通してくれないか」
そう、訊ねてきた。
「勿論、ないものを出せとは言わんがね。黒いのと一緒にいつもしてもらっていることをするのでもいいし。どうかな?」
「構いませんよ。まだ作り置きしておいたものがありますから。……でも、時間が経つと品質が劣化して行きますけど……」
「ああ、そこまで大量にじゃなくていいんだ。ありがとう、じゃあよろしく頼む」
「はい、分かりました」
そんなことでいいならばと俺が頷くと、タンザさんはほっとしたように笑った。単なる動物であっても、噛みつかれたりすると大事になる。回復手段があればある分、心強いのは誰も皆同じだ。
朝から大満足の食事が終わると、俺は早速ギルに突き返された皮袋から薬を取り出した。
アルカディアにおける回復手段だが、大別すると二種類に分けられる。
一つは魔法。回復魔法、というと基本的には傷を塞いで体力を回復させるものだ。外傷には効果的だが、毒や病気の場合、延命はできるが、原因を排除しなければ根本的な解決にはならない。ちなみにギルとの行為で腰に居座った鈍痛には効果がなかった。鎮痛剤としては使えず、筋肉疲労にもさして効果はない。反面、対応が早く魔法の熟練者が使えば後遺症もなく折れたり、切り離されたりした足や腕を治すことができたりする。ゲームではそんな描写はなかったが、現実として置き直すとこんなところだ。
もう一つが薬。こちらはそれこそ鎮痛から止血まで痒い所に手が届くタイプで、使い分けはしなければならないがとても幅広く使われている方法だ。
軟膏タイプ、湿布タイプ、お香タイプ、粉末タイプ、液体タイプと形状も豊かだが、最終的な、回復手段であるというのは魔法と同じだ。
軟膏は主に傷を塞ぐのに有効。粉末、液体の場合、飲み食いすることで内側から効果を発揮する。が、液体は外傷に直接かけることでも効果が得られる。potと呼ばれる……ポーションの類はこれに当たるが、これは粗悪品が出回らないようにと職業組合で品質管理がされている。自作品を売ろうと思ったら、どこかしらの組合から許可を得る必要がある。……らしい。フィズィから教わった。
pot作りに手続きが必要ということもあって、俺が作ることが多かったのは軟膏と粉末タイプだ。作って直ぐに効果が落ちて行くということはないが、やはり三ヶ月以内には使い切った方がいい。ゲームの場合はインベントリに仕舞うから、作成した瞬間、あるいは拾った瞬間の品質さえ気をつければ良くて、あまりこの辺りは意識しなかったが、インベントリが特殊な能力である以上気をつけなければならないところだ。
この村は小さすぎて、組合の支部はおろか、店もない。恐らく村に立ち寄った薬師か行商人から得るしか手段はないのだ。村に薬が作れる人がいるならこんな申し出はないはずだから。
インベントリにも回復薬は突っ込んであるし、ギルが要らないと言うのだからここで手渡してもいいだろう。それに、余剰分の荷物は軽い方がいい。
結果、タンザさんには喜ばれ、起きた時間が早くなかったためもう一泊することになった俺たちはアドルフと合流し、モンスター退治に勤しむことにした。
モンスターは様々いるが、接触、エンカウントの仕方は様々だ。感知できる範囲にいるプレイヤーを積極的に攻撃するタイプ、攻撃されない限りは攻撃しないタイプ、スキルを使う者のみを感知して攻撃してくるタイプ、攻撃が届く範囲に入るまでは全くピクリともせずに待ち伏せするタイプ。たまに特定のモンスターを倒すと出現するのもいるが、あまりにもレベル差がある場合は攻撃対象にならないと言う仕様があったりする。まあ座っていたり寝てたりすると襲われるのだが。
平原で出てくるモンスターの多くは動物に近い外見を持っている。牙や角のみならず、全体的に動物よりも巨体であることが目印だろうか。
村の周辺に出てくるモンスターは大体が小動物よりで、攻撃的である以外に特に注意点はない。毒も麻痺毒も持たないし、こちらから攻撃を当てることさえできるならそこまでの脅威にはならない。ま、なんというか村の中は安全地帯、安地になるようになっていると言うわけだ。『Arkadia』ではイベントとしてモンスターが街に押し寄せて防衛戦となるものもあったが、それはアルカディア的には珍しい部類に入るだろう。
討伐はつつがなく終わり、剥ぎ取った収穫物は村に納める運びとなった。
「本当にいいのか?」
タンザさんは恐縮していたものの、最終的にギルに押し付けられるようにして受け取っていた。俺はそれがなんだか微笑ましいように思えてくすっと笑ってしまったけれど……ギルは、いい人、なんだろうか。
そうだといいのに。そう思ってしまいそうになる思いをぐっとこらえる。希望的観測はきっと、ギルに俺の理想を押し付けてしまう。そうして俺はそこから離れたギルの姿を見る度、勝手に失望してしまうのだろう。もはやどっちが失礼なのかわからない。
その日の昼食はタンザさん宅に持ち寄られた村の人たちの料理を振舞われた。正午を回っていたようだが、夕食は本当に簡単に済ませるらしく食べないこともあるそうなので、そのつもりでありがたく頂戴した。
昼からもぶらぶらと村の外を歩きつつ、モンスター退治の合間にゼクスシュタインの城壁の位置を確認した。人の手が入った田畑は広大で、遥か先の地平線から顔を出す城壁がはっきり確認できた。背丈ほどの草はやはり人の手が入っていなかったりあえて入れずに休ませている場所だけに生えているようで、村からは人の往来のために慣らされた細い道が伸び、土が露出しているのが確認できた。村で飼っているヤギやヒツジのおかげで森が広がりすぎることもないらしい。いい場所だと思う。
のどかな風景に、気持ちはどこか晴れていた。引きこもっていたこともそうだが、森という場所もよろしくなかったのかもしれない。自分の罪悪感から逃れたいという後ろ向きな理由であっても出てきてよかったと思う。
村を少し見下ろすような、僅かに高い程度の丘の上。ギルと二人、それにアドルフを加えて腰を下ろすと、仰向けに寝転がった。
「……ヒューイ、ゼクスシュタインまではあと2、3村がある。どれもそれぞれ朝一で発てば日没の少し後位には辿り着く。だが、ほかの村もこの調子で進むなら時間は倍かかるぞ」
胡坐をかいて座ったまま、ギルがそう呟いた。どうする、と尋ねられて驚いた。
「俺に決めさせてくれるの?」
「お前の旅だろう」
そりゃそうだ。
でも意外な気がしたのだ。それを喜ぶのは的外れだろうか。
「そうだなあ……。急ぎたいけど、無理してもしものことがあると困るし。っていうか、他の村でも薬配ってたりするの……?」
頭だけ起こしてギルを伺っても、俺の位置から表情を見ることはできない。背中と、ギルの襟足の中で一房だけ長い部分で編まれた三つ編みが背骨に沿うようにまっすぐ伸びているのと、耳が見えるだけだ。
ギルの反応はなく、それがどこか今朝のタンザさんの時のことを思い出させた。
「ギル?」
だから、図星なのかと思ってころりと身体を転がし、上半身を起こしてギルを覗き込んだ。
「なあ、」
「うるさい」
穏やかな声色はそのままに、小脇に抱えるようにして動きを止められ、黙れとばかりに唇を塞がれた。慌てて抵抗するも力で敵わないのは変わらず、柔らかくて熱い舌が口内へ入ってくる。有無を言わせない力で身動きできなくされているのに、その唇と舌はひどく優しく、甘い。味わうように啄まれ、飴を転がすように歯茎や舌をくすぐられる。
俺があまりキスがうまくない――ギルがうますぎるだけだと言ったほうが正しい気がする――のに配慮してなのか、ギルは俺が息を吸う時間というのを作ってくれる。それは吸って落ち着くのでいっぱいいっぱいなほど短く、俺がなにか言う気配を感じようものならすぐさま塞がれてしまう。今回もその類で、徐々に息継ぎに専念し始めた俺に、満足そうに目を細めた。ついていくのでやっとだったが、多分、笑ってた。
俺がすっかりキスに力を奪われるとようやく、ギルは俺を解放した。
「ぅう、こ、こんな場所、で」
「またそれか」
「そ、それにちょっとやり方が子どもっぽかった」
負け犬の遠吠えにしかならないがそう指摘すると、ギルは押し黙った後、それがなにか? とでも言いたげに口を開いた。
「お前よりはガキには違いない」
そのガキに散々いいようにされてる俺の立場はどうなる。
反論の種を失い、口を開いても自分の情けなさを振り返ることにしかならない俺にできることと言えば、大きなため息をつくことだけだった。
その日も干し草小屋を借り受けたが、悔しくもガキの腕の中は心地よく、気持ちよかった。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】悪役令息の従者に転職しました
* ゆるゆ
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
透夜×ロロァのお話です。
本編完結、『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました!
時々おまけを更新するかもです。
『悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?』のカイの師匠も
『悪役令息の伴侶(予定)に転生しました』のトマの師匠も、このお話の主人公、透夜です!(笑)
大陸中に、かっこいー激つよ従僕たちを輸出して、悪役令息たちをたすける透夜(笑)
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
前世が教師だった少年は辺境で愛される
結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。
ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。
雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
* ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)
インスタ @yuruyu0
Youtube @BL小説動画 です!
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです!
ヴィル×ノィユのお話です。
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました!
時々おまけのお話を更新するかもです。
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』
バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。 そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。 最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結、恋愛ルート、トマといっしょに里帰り編、完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる