転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第2章 幼少期

2.11.6 ブルンスワードへの旅行

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 さすがだ。
 大侯爵領、半端ない。
 蔵書の量がとてつもなく多い。
 僕の家とは比較にならない。

「たくさんありますね。
ファールじいちゃんが入れ替えてくれるけど家とは比較にならない」

「まあ、クロスロードの領主館は、文官、武官のいる場所と建物が分かれていますからね。
この城はそれらが一体になっています。
ですから、それだけ蔵書も増えます。
この図書室の大半が領地関係の過去の資料です。
物語や図鑑などの本はあちらの棚だけです。
クロスロードの領主館とさほど差がないのではないですか。
ファール様の名前も出ていましたし、噂ではリリアーナ様やアメリ様も本がお好きなようですから」

「へー、この棚ですか。
棚が長いし高い。
蔵書量は家の倍以上はあるかな」

 棚は奥まで続いていて、高さは3mほどの天井にぴったりとくっついている。
 いやはやすごい。

 とりあえず目に付いた大きめの本を1冊取ろうと右手を出したらアナスタシア様と手が繋がったままだった。

「ジルベール様は、不用意に触らないようにしてください。
図書館にも不思議な逸話があるのです。
おっしゃって下さればわたくしが取ります」

「へー。どんな不思議な逸話があるのですか」

「この図書館は、賢者様がお作りになったのです。
誰も見つけられていませんが賢者様が書かれた本を収めた裏図書館があると言われています。
入り口だか出口だかが、この棚のどこかにあると言われています。
もしかしてわかりますか」

 鑑定と魔力の可視化で見てみたが、特に何も見つけられない。

「別に、特に変わったところは無いみたいだけど。
見えない範囲、例えば本棚の裏とかにあるならわからないけど」

「そうですか、残念です。
ではこちらが先ほどの本です」

 執事さんが本を取ってくれ、台の上に置いてくれた。

 本の扉絵に描かれていたのはこの城の入り口にあった2体の騎士像だった。

「この騎士の絵は、城の入り口にあった像に似てますね」

「ええこれは入り口の像の絵ですね。
像のモデルになった戦士が戦ったというお話です」

「あの像は昔の人をモデルに作られたのか」

「その本によると、戦いに敗れても立った状態だったと。
そしてその状態のままで像となったとされています。
時代が移ると、この国のピンチの時に像が動きだし敵を倒したと言われています。
まあこの城の守り神のような物ですね。
像を調査しても、ゴーレムとなるような魔法陣は見つかりませんでしたから、さすがに動くことは無いと思います。
500年間で動いたという記録もありませんし」

「このお城が出来てから500年間ずっと動いた記録が無いってこと」

「いえ、この城は500年よりも前からありました。500年前に洪水がありこのあたり一帯が水に沈みました。その時にすべての蔵書が失われたのです。ですからこの城にある蔵書はそれ以降の物です。初代の賢者様がいつの時代にここを作られたのかも正確には解りません」


「500年。
それはずいぶんと昔からの記録があるのですね」

「古い蔵書ではラルクバッハ随一ですからね。
では、これは持って部屋に戻りましょう、じき夕食の時間ですから」

 そして、部屋に戻りアナスタシア様にもわかるように本を読んであげた。
 それからすぐに夕食が始まると声をかけられた。
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