転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第2章 幼少期

2.12.1 ゴルゴ・ノーリッシュ

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 約束どおり、出発の日に僕らの泊まっている宿屋にゴルゴさんがやってきた。
 護衛の馬車で一緒にクロスロードに向かうことになった。

 ゴルゴさんは旅をしていると言っていた。
 だが、貴族なのに従者がいない。
 平民の世話係がいるのかと思ったがそんな事は無かった。

 持っている道具も料理道具を持ち歩いていて、武器は小型のナイフ。
 一緒に持っていた包丁セットの方が武器になりそうだった。

 ここまでの道中、1年ほど旅をしていたらしいが、乗り合い馬車で移動中に魔物に襲われたり盗賊が出たりすることは無かったそうだ。

 トシアキから良く無事でしたねと言われていたが、メリーナ様の加護のおかげとかいうことがあるのだろうか。
 それとも単純に運が良い?

 我が家に到着後、料理長にゴルゴさんを紹介し、雇ってほしいので面接をしてほしいと頼んだ。

 ゴルゴさんは無条件で雇いたいが、ルールはルール。
 採用を決めるのは料理長なのだ。

 料理長はゴルゴさんに食材を渡し料理器具の一通りのことを教えた。
 どうやら一品作って採用を決めるようだ。

 できた品は餃子だった。
 料理長と一緒に僕も食べて見た。
 かける物は酢だけだったが、久しぶりの餃子はおいしかった。

 料理長も合格と言ってくれたので、無事採用。

 ヘイゼルさんたちが一緒に暮らし始めたが料理人を増やしていなかったのでちょうど良かったそうだ。

 合格が決まった後で、僕とゴルゴさんのふたりで話をさせてもらった。

「採用おめでとうございます。そしてあらためて聞きますが、転生者ですよね?」
 僕がそう訊ねると

「もちろん」
 ゴルゴさんは自信満々で答えてくれた。


「僕も転生者です。
この世界で初めて会った転生者。
どういう経緯で転生したか、もしよければ情報交換をしておきたいのですが、先に僕の話からしましょうか」

「そうですか、やはりジルベール様は転生者ですか。
あ、もう私はジルベール様のお宅で雇われた身ですので、私に敬語は不要です。
私のこともゴルゴと呼んでください。
では先にジルベール様のお話から聞かせてください」

 ゴルゴさんに自分の話をした。
 目の色や隠している能力については教えない。
 スキルについては、全属性の魔法が使えるといった程度。

 その後で、ゴルゴさんが自分の話を説明してくれた。
「ジルベール様は最初から記憶があったとはすごいですね。
私が前世を思い出したのは10歳の誕生日の朝です。
起きたら急に前世のことを思い出しました。
そして攻撃魔法があまり得意でなかった理由が、自分が願ったせいだったことを思い出して失敗したと後悔しました。
私は、転生前は料理人でした。
創作和食の店が明日オープンするという日に、料理の神を祭る神社にお参りに行きました。
その帰りに事故に遭い死にました。
すると、白い部屋でメリーナ様に会いました。
転生など冗談だと思いながら料理のスキルをお願いしました。
メリーナ様は、料理のスキルは簡単だけど、戦闘のスキルをどうするか聞かれ、私は生活ができれば戦闘スキルは必要ないと断りました。
自分で食材まで取りたいわけではないから、その分料理の才能に振ってほしいとお願いしました。
メリーナ様は困った顔をしましたが、結局その状態で転生をしました。
記憶を思い出した日が洗礼を受ける日だったので頭の中がもやもやしたまま教会へ行きました。
そこで暖かい気配を感じた後でメリーナ様の加護を得ました。
ステータスを見られることも思い出して、それから料理人を目指そうと奮起しました」

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