転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第3章 竜の襲撃

3.1.2 竜の襲撃準備

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 そんなもやもやもあるが、僕にはここでやる仕事がある。
 僕はトシアキとバーニィを引き連れて転移門へと移動する。
 操作しているところを見せないように垂れ幕で隠す。
 ここにいるのは僕とバーニィにトシアキの3人だけだ。

「ジルベール様、ずいぶんと大人しかったですね」
 バーニィが僕に声をかけてきた。

「父さんの絵姿を見たことがあるかい」
「ええ、ありますよ。もちろん」
「わりと似てたよね」

「というと、アナベル様とレイブリング様がですかね?」
「うん」
「まあ、親戚だと言ってましたし、似ているところもあるでしょうね。
でもそんなに似てましたかね。
まあ、なんとなくジルベール様とクリュシュナーダ伯も似ていると感じもしますけどね」
「そうなの」
「ですが、高位貴族の方々は、親戚関係の方ばかりですので、似てると言えばみなさんどこか似てますよ。
男性は背が高くてかっこよいし、女性は皆美人でスタイルが良いですよ」
「そう言うもんなの」
「そうですね、子爵以下は領地で親戚関係が多いので領地毎に少し特色がある気がしますが、侯爵以上はみなさんどこかで繋がってますよ」

 そうか、そんなもんなんだな。
 何となく心はもやもやするが今はお仕事中。

 転移門に魔力を注ぎ、王都から5人が移動してくる。
 それがひたすら続いて、魔力を残して1日目に100人を移動させる。

 予定通り、2日目も100人移動させた。


「ここにヤンロード、クロスロード、そして王都から兵が集まった。
今回は、クロスロードの魔力供給によって王都からの兵士を迅速に移動する事ができた。
感謝する。
それでは事前に連絡が行っている通り、チームを分けたのでそれに従うように。
目指す地点はマーリンワードとヤンロードの境だ。
すでにマーリンワードの兵が拠点を準備している。
先発の情報によると竜に従う魔物もいるらしい。
皆も道中に襲われる可能性を考慮して移動するように。
では、出発」

 アメリ姉様の周りは王都からとクロスロード、それにヤンロードから集めた女性騎士を配置している。
 その中にエイミー・ブラウニングと言う剣王の称号を持つ女性が含まれていた。

 トシアキが教えてくれた情報によると、剣王とは、剣の聖地エルドラで鍛え、そのトップの僅か数名だけが貰える称号だ。
 この数十年ラルクバッハからエルドラに向かい剣王になれたものはいない。
 剣王の戦力は一人で100人の騎士にも相応すると言われている。
 現在24歳。
 独身女性としては行き遅れに分類されるが、剣王としてはめちゃくちゃ若いそうだ。
 才能だけでなく血のにじむ努力があってこそなのだろう。

 3つの部隊が集まり移動しているが、大部隊になると移動速度が落ちる。
 食事の準備や、寝るための準備なども必要になるからだ。
 今回の移動距離は短いので、夜営を2回として昼食もとらず僅かな休憩で移動し続けている。

 夜の夜営を準備する時に、マイストレージから荷物を取り出す。
 そして皆が料理にとりかかったり、テントを立てたりするのだ。
 僕は、荷物を出したらすることが無い。
 手伝いは、邪魔でしかないらしい。

 そんななかでエイミーは特に手伝う事もなく、数名の上位男性騎士と訓練を始めていた。
 暇だった僕は、そこに近づいて見学をしていた。
 するとエイミーが僕の隣に来たので質問してみた。
「エイミー様は手伝いをしたりはしないの」
「え、僕が。まさか」
やっぱり上位貴族は手伝わないのだなーと思ったら、一緒にいた男性騎士がその勘違いを訂正してくれた。
「エイミー様が作ると、毒の入ってないはずの食材でも、お腹を壊す料理になりますから、手伝い禁止なんですよ」
 ああ、そんな人だったのか。
 見た目は女子力が高そうなのに、残念女子だったらしい。
「さも自分は違うかのように説明してるけど、そういう、君たちもだろう。
この連中が全員、食事当番除外組なんだよ。
ひどいのは食器洗いすら番外だからね。
僕はまだ食器洗いを手伝うだけ良い方なのさ」
「はは、このでくの坊は片っ端から食器を割って記録を作ったんすよ」
 ひときわ体の大きな兵士を指差して皆が笑っていた。
 そのひときわ大きな兵士は、笑いながら頭を掻いていた。
 その巨体にたいして、一見優しそうな顔だが持っている武器は凶悪な大きさのハンマーだった。
 あれを振るのか、当たると簡単に人間が壊れそうでとても怖い。
 その武器を見て、すこしだけ背筋が冷たくなった。
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