転生者はめぐりあう（チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー）

第3章 竜の襲撃

3.10.2 アメリ姉さまの結婚

　リリアーナ母様が帰ってきたのは翌日。
　これからクロスロード家に使える男女二人を連れて帰ってきた。
　男性がオブスレイさん。女性はアマリリスさん。
　どちらも50代だろうか。
二人ともメリルディーナ家で執事長と侍女長をしていた人だ。
他にも侍女や執事が来るらしい、そちらは馬車の旅であと数日したら到着する。
オブレイさんとアマリリスさんはこれから来る執事や侍女の教育係としてこちらへ来たのだ。
僕やエレノア、ニナシティがメリルディーナ家の養子になる事を想定しての移動らしい。

僕が養子になる時期は、学園入学前を想定している。エレノアとニナシティも養女になり、メリルディーナ家の庇護下に入る。そのために、公爵家のマナーを身に着けさせるためと言うことらしい。
ただ、主には一緒に移動してくる侍女たちの教育が中心だと言っていた。
普段から目にする侍女たちの所作がダメだと、我々の教育にも良くないらしい。
まあ、確かに見慣れてしまうと真似してしまうからね。

正直な感想は、そんな人より魔道具作れる人が欲しかった。だけど、そんなわがままは許されず、僕らは粛々と教育を受けるしかないのだ。
それが貴族のつとめなのだからしょうがないとあきらめるしかない。

そして、アメリとレイブリングさん、母さんと父さんと言ってよいのか？
恥ずかしくて言いづらい。

二人は出発から1週間ほどして帰ってきた。
方々にあいさつに行かなければならなかったからだ。
カルスディーナ公爵とオルトディーナ公爵にも会って、僕がメリルディーナ家に養子に出ていくことも伝えたそうだ。

オルトディーナ公爵は、金眼を増やせなかったのが残念だがオルトディーナ公爵とレイブリングさんは血のつながりが濃い。オルトディーナ公爵の父親とレイブリングさんが兄弟なので、レイブリングさんが領主になる事を喜んでくれたそうだ。

そうなると問題はカルスディーナ公爵。

レイブリングさんの父親。つまり前前オルトディーナ公爵に嫁いだクロスロード家の娘が生んだ唯一の子供がレイブリングさん。
カルスディーナの系統から遠い血になる。どちらかと言えばオルトディーナ公爵よりの人物が領主となるのだ。そして金眼の子供がメリルディーナ家に出ていく。

妻となるアメリもメリルディーナ家よりの人物。
カルスディーナの地を荒らされていると言っても良い。

なので、カルスディーナ公爵へのお土産は頑張った。

エイミーの鎧と対になるホーリードラゴンの鎧を1体プレゼントした。
他にもティアマトが倒した黒狼、つまり太郎の母親から取れた巨大な魔石。
本来はティアマトの物だが、必要ないと置いて行ったので、それを献上したのだ。
これらの献上品でレイブリングさんがカルスディーナ公爵に従順であると示すことになるはずだ。

カルスディーナ公爵の目は決まったことよりも先の事に目が向いていたそうだ。
僕がメリルディーナ家に養子に行き、第2王女と婚約するまでは許すが、公爵になるなら二人の嫁を貰うことができる。だからもう一人の婚約者はカルスディーナ公爵が決めると画策しているらしい。
候補は、カルスディーナ公爵の娘、クリシュナ様。一つ下の女の子だ。
もしくは、カルスディーナ公爵の妹である第2王妃が生んだ第1王女。

第1王女は、僕よりも1歳年上になるが、彼女は自分で婚約者を選ぶといまだ相手が決まっていないらしい。第1王子と双子の第2王子はすでに婚約者が決まっているのにだ。
その第1王女の婚約者がいまだ決まらず王も困っていると言っていたから10歳を迎えた後に僕を王都に連れてくるように言われたそうだ。

どんどん僕の外堀が埋められている。

しかし、公爵だとしても、同時に娶れる二人の嫁が二人とも王女で姉妹というのは、いくら政略結婚でも、どうなんだろう。
さすがに、無理があるのではと思うのだが。