転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第3章 竜の襲撃

3.15.2 神格化

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「ふむ、やはり高度な回復魔法が使える者を殺すのは簡単ではないか」
やばい、やばいって。
なんで。どうしてこうなった。
目の前のカイから感じる神気は本物だ。最初に現れた時の強大な魔力による恐怖ではない。それよりもはるかにヤバイ者が目の前にいる。
まずい、勝てるわけがない。逃げなければ。
無駄とわかっているが魔力を込めて火の魔法を撃ち込む。

やはり、当たった魔法はそのまま反射された。
時間を止めて瞬転で避ける。

いや、やっぱり無理でしょ。勝てるわけない。あれを超える力をぶつけないと無駄なんだ。
超えるって何さ。
アロノニア様とか女神の力なら何とか。
ああ、神の力があればなんとかなるのか。イシスとガルダを呼び出すか。
「イシス、ガルダ。召喚に」
『駄目だ、主。神の力には逆らえぬ。残念だが協力できぬ。
神格化する前ならまだなんとかなるが、あれは無理だ。
主が神格化するしかない』

 イシスが答えてくれたが、それはより絶望的な答えだった。
 自分が神格化。
 確かに神の眼を持っているが神の力が自分の中にあると意識したことはない。だけど神格化しなければこの状況は切り抜けられない。
 再びカイが近くで剣をふるった。
 残された左手を前に出し、絶対防御の魔法を使ったが無駄だったようだ。見ると、左手もなくなっている。
いよいよ死が見えてきた。まずい、事態を好転させるには神格化するしかない。
よく考えろカイが言っていたことを。自分の神格化した様子を思い浮かべることができることだ。
 自分が神格化した様子を思い浮かべるのだ、神様と言えばアロノニア様。
いや、それは無理だな。どう考えても人から外れすぎだ。
 ラキシス様も同じ。
 メリーナ様ならどうだ。
 あのふよふよっとした感じならできそうな気がする。

 なんとなく、できそうな。いやできる。
 メリーナ様みたいな感じだ。
 なる。なるぞ。
『神格化』

 だめか、変わってねー。
 何がダメなんだ。
 うわ!
 再び切り付けられたのを瞬転で逃げる。
「まって、まって。くそー。
せっかく彼女を見つけたのに、まだ死にたくないんだ。
今度こそ守るって約束したのに、まだ何もしていない。
こんな、道半ばで死にたくない」
 叫びながらカイの剣を避ける。
 普段ならギリギリで避ければよいのだがこの剣は大きく大きくよけなければいけない。
実際に見えている範囲以上に影響があるとても危険な剣だ。
どうする、このままじゃあやられる。
どうにかして神格化しなければいけない。目の前に答えはあるのだ。スーパージルベールになれば良いんだ。簡単だろう。
思い込め、魔法は思いとイメージだ。
簡単、簡単、簡単。
スーパージルベール、スーパージルベール。
ならないとマリアテレーズと会えなくなる。

もう死にたくない。あれはダメなんだ。
死にたくない、死にたくない。

よし!
僕は心の奥から望み大きな声で唱えた。
「神格化」
 自分のステータスを表示する画面に神格化の文字が現れた。
 そこをオンだと意識すると薄い文字が濃くなった。
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