転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第4章 10歳王都編

4.4.1 メリルディーナ領への移動

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 王都に隣接するメリルディーナ領を見て回りたかったので、大回りのコースを通りメリルディーナ領を通ってから王都を目指すコースを進む。
 ここブルンスワードから王都に向かうには、バディアワード領かメリルディーナ領のどちらかを通らなければ侵入できない。
 二つの領都に向かう道は綺麗だ。僕らは途中まではこの道を進む。
 バディアワード領は、おじいさまの兄が受け継いだある意味で直系の土地だ。クロスロードとは同じカルスディーナ領でも端と端。バディアワード領は王都の隣にある一等地。
 それに比べてクロスロードは田舎の田舎。さらにおじいさまが亡くなってから早10年以上。その為なのか、あまり付き合いはない。
 僕らは道沿いに進む間は順調だった。そうして大きな分岐点にきた。ここまではずっと大きな道だった。数時間おきに町があり、休憩もできるし、宿屋に泊まる事もできる。野営がないとかなり楽に進むことができる。
「東に進むと王家が管理する鉱山になります。
犯罪者の牢獄にもなっていますし頻繁に大型の荷馬車が通るので道幅も大きいのです。
ですが、一般の我々は奥まで進むことはできません」
「奥まで?」
「はい、途中までは行けるのです。
牢獄の手前に死の沼があります。
観光地になっていますのでそこにはいくことができますが、あくまで観光です。
沼に着いたらそれ以上は進めません。
沼の上にある崖の縁にそって進めます」

「死の沼か、どのくらいかかるの?」
「淵までなら1日です。
ですが本当に何もありませんよ」

「わかった。じゃあ、出発」
 死の沼に向けて出発した。
 そこからは、ずっとなだらかな登り坂だった。
 道は、王家が管理する鉱山があるため、それほどひどくなかった。
 途中で一晩野営が必要だったが、難なく進むことができた。分岐からちょうど1日進んだところに死の沼が広がっていた。

 立っている所が沼の淵。僕らのいる下は谷で、1kmほどの沼があり、その先は山。その大きな沼には植物が一切なく、魚もいそうに無い。
 下の沼まで高低差が100m程。

 どうやら水の抜け穴が無く、かつて海だった時に存在した塩がそのまま残されている塩湖のようだ。
 冬には雪が積もり、春に溶けて一面が湖になる。その時期が最も水位が高くなる。夏から徐々に水がなくなり冬の現在が最も水位が低い。
 沼はただの塩では無い。鉄分が多いのか、真っ赤な水だ。そのため水深も不明だ。

 観光地というだけあり綺麗ではあるが、何もない。周りは切り立った岩山に囲まれ、本当に何もないのだ。生き物の気配がないので不気味なほど静かだ。
 沼に降りれば鉄分と塩が多い泥が取れる。だが、この高低差で降りて泥を引き上げるのは大変そうだ。
 崖は全方向にあり、すべてが切り立っている。泥を採取する人がいないのは大変だからだろう。恐らく足場も塩が強く作業場が作れないかもしれない。

「僕は重力魔法で降りれるけど、エイミー、降りたい?」
「えー、上から見ると綺麗だけどさすがに足を踏み入れる勇気はないよ」
「そう、じゃあ、とりあえず降りてマイストレージに入れるだけ入れてくるよ。
後で献上用のアイテムボックスを作る予定だから中に入れて王家に献上すれば良いよね」
「そうですね。貴重な塩や鉄がたくさん含まれているはずです」

「じゃあ、降りるか。ティアマトはどうする?」
「ああ、私も行こう。せっかくだから私もストレージに入れておこう」

 僕らは二人で降りて、マイストレージに収納した。
 ストレージの中に入れると、水分と鉄分などの固形物は分離できた。
 ただ、水分に溶けている塩やミネラル成分は分離することはできなかった。
 同じように固形物も、鉄などの鉱物別に分ける事はできなかった。ティアマトは分別に興味が無いからか、分離はできないと言っていた。

 この地での夜の野営では星が綺麗だった。
 夜に沼を見たら、生物がいないと思っていたが、巨大なスライムがプヨプヨと浮いていた。どうやら夜行性らしい。
 他にもなんらかの生物が存在するようだ。死の沼といえども何か住める生物がいるらしい。とても驚いたが、距離が離れすぎているし暗かったのでどんな生物がいるのかまではわからなかった。

「この辺りの魔物の反応はとても小さい。
その代わりなのか、沼から離れると魔力の濃い部分がいくつかある。
ここから離れると強い魔物がでる可能性が高い。
明日からは気を付けた方が良い」

 その後の道は、王家の鉱山に行く道からも外れてしまったのでとても凸凹した道だったそのまま馬車が進むと車輪が壊れそうだったので途中で馬車をあきらめ、馬車をマイストレージに格納し、馬に分担して乗っての移動となった。
「バーニー、こういう時こそ腕の見せ所だったのに」
 エイミーがレティーシアを乗せて、オメガさんがバーニィを乗せている。
 トシアキが馬術が一番うまいのだが、エイミーとトシアキの両方の護衛が動けないのは良くないと、そういう配置になった。
 エイミーは、この時は太郎には載っていない。さすがに太郎にレティーシアを乗せる事は避けた。

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