転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第4章 10歳王都編

4.3.3 大人たちの話し合い

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「トンネルを開けたのは竜王バハムートの協力か?」

「いや、ジルベール単独であけたらしい。
ジルベールは建国王シン様と同様に聖獣を2体従えているそうだ。
トンネルは、その聖獣の力を使ったそうだ」
「聖獣。
あの伝説の。
1万の軍隊ですらかなわぬと言う。
それを2体も従えているのか。
ジルベールが?」
 オルトディーナ公爵が椅子に深くもたれかけ、天井を見る。

「そんな危険人物をどうするのだ。
今現在、我が領地を歩いているのだぞ。
じじい、お主、気は確か」
「ジルベール個人は非常におとなしい性格だ。
魔法の研究に没頭し、世の中を良くする魔法や魔道具を開発したいと言っている。
純粋な心を持つ少年だ。
確かに力は持っておる。
悪い物に騙されるぬように育てねばならん。
だから、田舎領地に引っ込め、ワシが育成したのだ。
今のやつに問題はない。
重要なのはこれからだ。
やつを外国にとられるようぬせねばならん。
1人で万の戦力だ、他国からの干渉は避けたい」
「どうするつもりだ。作戦があるのだろうファール?」
「はい、陛下。
本来はマリアテレーズ様との婚約をなるべく早く発表し他所からの干渉を避けたいところですが、マリアテレーズ様はまだ7歳。
婚約の発表はマリアテレーズ様が10歳になるまでは早すぎます。
ですが枠が空いたままと思われるのは良くありません。
年回りで考えると第1王女あるいは、カルスディーナ公爵家のクリシュナ様。
この二人を年初に合わせ、どちらかと婚約をさせるのが良いかと」
「ふむ、そうか。
まあ聖獣を従えているのならばそれが妥当か。
だが、スザンヌは一筋縄ではいかんぞ。期待はクリシュナ嬢か。
レグルス、父親としてどう思う」
「クリシュナですか。
いままで第3王子の妻にと考えていたのでどうでしょうか。
本人たちも仲が良いです。
無理に引き離すのは良くないのではないでしょうか。
同じ年のイザベラはどうですか。
金眼ですし、スザンヌ様にも似ている」

「できれば、王家、もしくは公爵家で固めておきたい。侯爵家では他国から王女を推薦されると断りにくい。
まずは、王家とそれに親しい者だけで10日を過ごさせ様子を見ましょう。
年初は王家と公爵家以外はジルベールに近づけないようにします」

「ジルベールだけをその輪に入れるのか。
現段階では侯爵家だぞ。
まあ、公爵家の養子になると言うのは年初に念押しで知らせれば良いだろうが」

「我が家もエレノアとニナシスティを養女として迎えました。
上位だけでの集まりに入れて貰えるのはちょうど良いのです」
「ふむ、良かろう」

「やはり、スザンヌがジルベールを気に入ればそれが一番よさそうだな。
あれが、誰も選ばねば国外に出すしかなくなるし。
スザンヌも手元に残り、ジルベールも残るのなら両得ではないか。
そうだ。
スザンヌは、剣で負けぬ者が条件と言っていたな。
ジルベールが剣王並みなら、スザンヌは負けるぞ。
自分が言ったことだ、撤回は難しいな。
まずは、最初の一人か。
その後条件を変えさせよう。
年上は、騎士団長との勝負じゃったが、ジルベールに勝ったらすれば良い。
そうすれば相手が一人だけじゃ、スザンヌはジルベールを選ばざるを得まい」
「陛下、それはジルベールがスザンヌ様を選ぶ前提になっておるように聞こえますが」
「ジルベールがスザンヌを選ばぬことがあり得るのか。
あれは、自慢ではないが国内で最も美しくなるぞ」
「いやいや、それはうちのサフィーナですよ、カトレア様、ルーナの血を受け継いでいるのですから」
「いや、美しさの基準の違いじゃ。
サフィーナやカトレアは可愛げのある女性じゃ。
エマーシェスやスザンヌは、凛とした美人タイプだ。
方向性が違う。
だからエマーシェスやスザンヌは国内で最も美人なのだ」
「はいはい。
陛下の嫁自慢はそこまでにしましょう。
なんにせよ、おおよそはこれはで決まりだな。
あとはじじいが何とかまとめるのだろう。
我らに両金眼を黙っておったのだ。
すべてをまとめる自信があるんだろう」

「ああ、任せておけ。
必ず、スザンヌ姫かクリシュナ姫のどちらかで決めさせる。
その前に、侯爵家を集めた会議を招集する。
お披露目会で騒ぎを起こされても困るし、ジルベールの両金眼を告知し王家と公爵家に優先権がある事を言わねばならんからな」

 そういった大人たちの会話があった事をジルベールは一切知らない。

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