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第4章 10歳王都編

4.11.5 王都での生活

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 さて、今日は第2王妃のエマーシェス様は夜会を欠席し僕らと一緒にいる。かわりに第3王妃のアンジェリカ様が夜会に行ったそうだ。
 貴族の多くが子育てを乳母に任せて夜会に行く。貴族女性にとってこの時期の社交は大切だからだ。子供が生まれるとすぐに子供の相手を見繕う必要もある。そんな社会なのに、交代で子供の面倒を見るなんて庶民的だなと思った。
 特に長男や長女は十分に下の子を見る事ができる年齢だし、小さい子供もひとまとめで乳母がいるのではなく一人に一人乳母と侍女も付いているのだ。交代とは言え、必ず母親がいるなんて、なんて贅沢な環境だろうか。

 そう思って自分を振り返ると、そういえばリリアーナ母様は極力領地にいたし、どんなに忙しくても1日1回は食事を共にしていた。
 アメリ母様はもっと僕と共にいる時間が多かった。さらにおばあさまはいつも家にいた。よく考えると僕の方がさらに恵まれた生活をしていた事を思い出した。
 そうか、僕はかなり過保護に育てられていたのだなと実感した。
「どうかしましたか」
 マリアテーレズ様が心配そうに聞いて来た。
「いえ、今日は第2王妃のエマーシェス様が一緒ですし、忙しい方々なのに、いつもどなたかが一緒におられるなあと。僕も自分の事を思い返したらリリアーナ母様やアメリ母様、おばあさまといつも誰かと必ず食事を食べていた事を思い出しただけです。よく考えると、親との食事をしなかったのは今回の旅が初めてだったのだと」
「ジルベール君は意外に甘やかされた環境で育ったと」
「そうみたいです。マクシミリアン様」

 そうして、食事が始まった。何度も食事を一緒にしているので、食堂を見回す余裕も出てきた。
 初めてきたときには緊張であまり細かい所まで記憶していなかったが、この食堂は王家の食堂というだけあり立派な調度品が揃っている。照明もクロスロードの食堂に比べてとても明るい。
 天井には豪華な絵が描かれ、壁にも綺麗な景色が描かれた絵が飾られている。身内しか使わない言うわりに、とても壮大な食堂だった。自然とマナーよく食事をしないといけないと思わせる感じだ。
 そして謎の魔道具で話をする相手の声が良く聞こえる。どうやら複数人が話しても声が大きくなるようになっているようだ。
 今日話した内容は、僕が転移門の修理をして4台が稼働状態になった事ぐらいだ。あとは王子や王女が魔力の使い方が上手くなり剣が上手になったのだと第2王妃に一生懸命説明していた。第1王子も第3王子も自分の生みの親ではないが、第2王妃と仲が良いようだった。
 第2王子は僕の貸した魔法陣の説明を読んでいるらしく、明日は解らない所を聞きに行くと言われた。
 食事が終わると、マイアーロッセ様とシュミット様が同時に僕のひざの上に乗って来た。二人同時だと二人が背中合わせで狭いのではないかと思うのだが、気にしないらしい。
 その状態で魔力を外から操作して魔力操作を覚えてもらう。どうやら二人とも甘えられるチャンスは逃さないタイプのようだ。
 お姉ちゃんのマリアテーレズ様はそれを見守っているだけのようだ。

 剣の訓練をしていたメンバーはだいぶうまくなっていたが、意外な事に第2王子は、勉強しながらも魔力操作の練習をしていたらしく他のメンバーよりも上達していた。身体強化はできないが、魔力検知と魔力の可視化ができていた。
 第1王子、第2王子、第3王子の3人が揃って魔力検知と魔力の可視化の併用はできないと言っている。
 魔力の可視化や鑑定と身体強化はどちらも魔力を広めたうえで身体上の能力発動なので練習すれば発動できる。だが魔力検知は体の中の魔力ではなく外の魔力になる。こういった異なる動きを魔力操作で同時に行うのは難しいのだ。
 同時併用は難しいので、頻繁に切り替えるなどの方法で慣れるしかないですよと答えたが、同時発動は難しいと思う。

 僕は賢者の能力もあってか、同時に2系統を使いこなせるようになっている。最近たまに3つできるのでどんどん成長しているのだろう。
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新作書いてます。
「神様  なかなか転生が成功しないのですが大丈夫ですか」
こちらの作品もよろしくお願いします。
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