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第4章 10歳王都編
4.11.4 王都での生活
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あれから数日は剣の練習ばかりだった。
今日は、大神官様との約束で大聖堂へ行く日だ。そう、ようやく賢者の書いた日記を読めるのだ。あの続きに何が書かれているのかとても興味がある。
「では、ジルベール様。この部屋の中でだけ読んでください。持ち出しは禁止です。
読み終わったら、壊れて使えなくなった転移門をお見せしますので、お声かけください」
約束通り、僕は決められた部屋で本を読む。やはり転移門の作り方が書いてある。一通り読んでから、英知で見直しができる事を確認した。この場で写本しなくても良いとは、とても便利な能力だ。
まだ読む時間があるので、後半の日記部分を読み進める。賢者は、転移門を作った後でアルフォンス王国にある未踏のダンジョンに行こうとしているらしい。そこの宝箱から出た魔道具がスマートフォンにそっくりだったと書いてある。
奥さんが亡くなったので、この国とのしがらみが無くなったからのようだ。
『わたしが世話になった恩は十分に返したと思う。私は元の世界との繋がりを求め旅立つことにした。この日記は後世に転移者や転生者の為に残す』と記載されていた。
もしかしたらアルフォンス王国のダンジョンで未だに生きているのかもしれない。幸せに生きているなら良いのだが。まさかダンジョンのシステムに捕まって生かされているような状況で無いと良いのだが。そう祈った。
昼食をはさみ、壊れた転移門を見せて貰った。
転移門の作り方に書いてあった通り、転移門は最初に同じ空間を作り、番号でつなぎを切り替える仕組みだ。その為、空間を作り出した本人以外にはその空間に干渉することができない。
例え、僕が修理をしても、それは新たに僕が作り出した空間で、新しい転移門同士でしか繋がらない。
つまり、空間との接続する部分が壊れれば修理が不可能となる。逆にいえば、空間に接続する部分以外の故障であれば修理可能なのだ。
壊れた転移門を見ると、幸いな事に空間は残されているようだった。何が壊れたのか調べると、魔石へ魔力供給を行う魔法陣が消えてしまったことが原因だった。
その部分に羊皮紙を使っていたので、そこが破れ役目を果たさなくなったのだ。
壊れている5個の門のうち、4つが同じ場所だった。
とりあえず原因は解ったので、交換すればよい。
「原因の一つは解りました。これだけが原因なら直りますが、原因が一つとは限らないので正直動くとは言えません」
「そうですか、修理に材料が必要ですか」
「魔法陣を書ける魔紙がありますか?」
「魔獣の皮から作った物と、エルフの里から取り寄せた高級紙があります」
「では魔紙の方をください」
僕は、魔紙に魔法陣を書きこみ起動させた。
「これで4つは治ったかもしれません。残りの一つは残念ですが故障している個所が特定できません。もし可能なら研究の為に預かっても良いでしょうか。
上手くいけば、新しい転移門を作り出せるかもしれません」
「そうですか、新しい転移門。本来の規則では持ち出し不可能なのですが、ジルベール様なら大丈夫でしょう。私から陛下への報告も行っておきますので、持って帰ってください」
「良いのですか?」
言っては見た物の、本当に許可してもらえるとは思っていなかったので驚いた。
「良いのです。権力は使える時に使わなければ意味がありません。大丈夫ですよ。
私にはそれだけの権限がありますから」
「では、借りていきます」
「大神官様、ジルベール様に修復して頂いた転移門が起動できました。
一つだけしか確認できていませんが、動きました。他は魔力が足りないので確認できていません」
「僕が魔力を供給しましょう。全ての門を確認しましょう」
小さな荷物を送り合い転移門が起動することを確認した。
「ずいぶんと簡単に修理されましたが、この魔法陣は最初の魔法陣と少し違うようです。
なぜこれで動くのでしょうか」
以前から修理を試みていた人なのだろう。もっとも質問だ。
「最初の魔法陣は、作った自分の名前。つまり賢者様の名前が入っているのです。
偽造防止としてですが。つまり、そのまま複製しても賢者で無ければ起動できないように作られていました。その名前の部分を僕の名前に書き換えたので起動したのですよ」
「そうなのですか。ジルベール様は、それをちょっと見ただけで理解され、魔法陣を改変したのですか。すごいのですね」
魔法陣の基礎も理解したし、今回の魔法陣の文字は、日本語が多かった。特に名前は完全に日本語だ。なので、この世界の文字を使った暗号化よりもストレートに解釈できたのだ。賢者は転移前の名前が『松本大介』だ。転移者は前の世界での名前を憶えているらしい。僕は、以前の名前を覚えていないので魔法陣に刻んだ文字はこちらの世界の名前だ。
帰り際に、これもと渡されたのは鑑定の魔道具だ。もちろん壊れている。
大聖堂では鑑定を行う。だが神官のすべてが鑑定魔法を使えるわけではない。そこで用意されたこの鑑定の魔道具を使って魔力量や属性を判定しているそうだ。
この魔道具でレベル5相当の鑑定魔法が使えるらしい。
その壊れた魔道具を貰った。
できれば修理して返せ、可能なら同じ仕組みの物を作って欲しいと言うことだろう。
なるほど、壊れた転移門をプレゼントされたのもこういうあたりが理由か。
程よく知識欲をあおり、双方にメリットのある状況で交渉。
大神官様もなかなかの交渉上手だ。
夕方になっていたので、今日も王城での会食に参加しなければならないので、僕は護衛を連れて王宮へと向かった。
-----------------------------------------------
新作書いてます。
「神様 なかなか転生が成功しないのですが大丈夫ですか」
こちらの作品もよろしくお願いします。
今日は、大神官様との約束で大聖堂へ行く日だ。そう、ようやく賢者の書いた日記を読めるのだ。あの続きに何が書かれているのかとても興味がある。
「では、ジルベール様。この部屋の中でだけ読んでください。持ち出しは禁止です。
読み終わったら、壊れて使えなくなった転移門をお見せしますので、お声かけください」
約束通り、僕は決められた部屋で本を読む。やはり転移門の作り方が書いてある。一通り読んでから、英知で見直しができる事を確認した。この場で写本しなくても良いとは、とても便利な能力だ。
まだ読む時間があるので、後半の日記部分を読み進める。賢者は、転移門を作った後でアルフォンス王国にある未踏のダンジョンに行こうとしているらしい。そこの宝箱から出た魔道具がスマートフォンにそっくりだったと書いてある。
奥さんが亡くなったので、この国とのしがらみが無くなったからのようだ。
『わたしが世話になった恩は十分に返したと思う。私は元の世界との繋がりを求め旅立つことにした。この日記は後世に転移者や転生者の為に残す』と記載されていた。
もしかしたらアルフォンス王国のダンジョンで未だに生きているのかもしれない。幸せに生きているなら良いのだが。まさかダンジョンのシステムに捕まって生かされているような状況で無いと良いのだが。そう祈った。
昼食をはさみ、壊れた転移門を見せて貰った。
転移門の作り方に書いてあった通り、転移門は最初に同じ空間を作り、番号でつなぎを切り替える仕組みだ。その為、空間を作り出した本人以外にはその空間に干渉することができない。
例え、僕が修理をしても、それは新たに僕が作り出した空間で、新しい転移門同士でしか繋がらない。
つまり、空間との接続する部分が壊れれば修理が不可能となる。逆にいえば、空間に接続する部分以外の故障であれば修理可能なのだ。
壊れた転移門を見ると、幸いな事に空間は残されているようだった。何が壊れたのか調べると、魔石へ魔力供給を行う魔法陣が消えてしまったことが原因だった。
その部分に羊皮紙を使っていたので、そこが破れ役目を果たさなくなったのだ。
壊れている5個の門のうち、4つが同じ場所だった。
とりあえず原因は解ったので、交換すればよい。
「原因の一つは解りました。これだけが原因なら直りますが、原因が一つとは限らないので正直動くとは言えません」
「そうですか、修理に材料が必要ですか」
「魔法陣を書ける魔紙がありますか?」
「魔獣の皮から作った物と、エルフの里から取り寄せた高級紙があります」
「では魔紙の方をください」
僕は、魔紙に魔法陣を書きこみ起動させた。
「これで4つは治ったかもしれません。残りの一つは残念ですが故障している個所が特定できません。もし可能なら研究の為に預かっても良いでしょうか。
上手くいけば、新しい転移門を作り出せるかもしれません」
「そうですか、新しい転移門。本来の規則では持ち出し不可能なのですが、ジルベール様なら大丈夫でしょう。私から陛下への報告も行っておきますので、持って帰ってください」
「良いのですか?」
言っては見た物の、本当に許可してもらえるとは思っていなかったので驚いた。
「良いのです。権力は使える時に使わなければ意味がありません。大丈夫ですよ。
私にはそれだけの権限がありますから」
「では、借りていきます」
「大神官様、ジルベール様に修復して頂いた転移門が起動できました。
一つだけしか確認できていませんが、動きました。他は魔力が足りないので確認できていません」
「僕が魔力を供給しましょう。全ての門を確認しましょう」
小さな荷物を送り合い転移門が起動することを確認した。
「ずいぶんと簡単に修理されましたが、この魔法陣は最初の魔法陣と少し違うようです。
なぜこれで動くのでしょうか」
以前から修理を試みていた人なのだろう。もっとも質問だ。
「最初の魔法陣は、作った自分の名前。つまり賢者様の名前が入っているのです。
偽造防止としてですが。つまり、そのまま複製しても賢者で無ければ起動できないように作られていました。その名前の部分を僕の名前に書き換えたので起動したのですよ」
「そうなのですか。ジルベール様は、それをちょっと見ただけで理解され、魔法陣を改変したのですか。すごいのですね」
魔法陣の基礎も理解したし、今回の魔法陣の文字は、日本語が多かった。特に名前は完全に日本語だ。なので、この世界の文字を使った暗号化よりもストレートに解釈できたのだ。賢者は転移前の名前が『松本大介』だ。転移者は前の世界での名前を憶えているらしい。僕は、以前の名前を覚えていないので魔法陣に刻んだ文字はこちらの世界の名前だ。
帰り際に、これもと渡されたのは鑑定の魔道具だ。もちろん壊れている。
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この魔道具でレベル5相当の鑑定魔法が使えるらしい。
その壊れた魔道具を貰った。
できれば修理して返せ、可能なら同じ仕組みの物を作って欲しいと言うことだろう。
なるほど、壊れた転移門をプレゼントされたのもこういうあたりが理由か。
程よく知識欲をあおり、双方にメリットのある状況で交渉。
大神官様もなかなかの交渉上手だ。
夕方になっていたので、今日も王城での会食に参加しなければならないので、僕は護衛を連れて王宮へと向かった。
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